みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
17.《ネタバレ》 ドイツ人が一人の人間としてのヒトラーと向き合った傑作。 「イングロリアス・バスターズ」といい、ナチスの問題に踏み込むことにNG気味な日本人には呆れ返る。 本作を支配する「滅び」の暗さ。 秘書候補、闇の中連れてこられる女性たち、彼らがウダウダやっている間に市民は次々に死んでいく。軍人の家族でさえ。 兵士、懐中電灯に照らされて、面接、ドアから出て丁寧に御挨拶、タイプライター。 冒頭のユニークさが嘘のように時は過ぎ去り戦場と化した市街地へ。 街への砲撃、ボロボロの鷲、総統も余裕がなくなってきている、痙攣でも起きているような腰の左手、大量の書類を焼き払う末期、滅びの足音、せわしく走り出す地下駐車場の車、都市計画、逃げていく市民、高射砲、土嚢、少年兵、少女兵、ナチに魅せられてしまった人々。 ギリギリとした上層部、こんな状況でも勲章授与、元気づけるためのパーティー、ドレス、彼女は黙ってとどまることを選ぶ。 気分を紛らわすための散歩、踊り、夢から覚ます一撃、悪夢へ逆戻り、散乱した書類と残るもの、機能しない師団、病院、山積みにされた遺体と病人、酒に溺れる者、情事に逃げる者。 積もり積もったものが爆発するかのような会議での激怒。左手は震えながら眼鏡を外し、腕を振り上げ罵詈雑言を浴びせるブチギレ総統…だがそこには疲れ切った中年の姿しかなかった。 明かりも水道も絶たれようとしている、束の間の一服、極限状態で味方同士でも殺し合いに、外も地下も地獄、市街戦の惨状、野戦病院と化す防空壕、子供たちの慰問、自殺の相談、手紙、別れの握手、砕けた肉片、へし折られる鉛筆、怒る気力もない、拒絶される握手、涙、帰りを待っていた者たち。 最後の立ち直り、手榴弾、狂乱、死に際に服を整え化粧をし貴重な弾丸を処刑に使う、遺書、結婚式、胸に手を当ててまで頼む、トイレに犬がいた理由、最後の最後まで飯を食らう、別れの挨拶、虚しく積み重ねられる死、死、死、それを覆う布。 処刑 、母親の苦渋の選択、足、足、足、さすがにソ連の強姦事件までは描かれなかったか、ハンナ・ライチュ、飛行士。 老後の秘書にインタビューする場面で物語は終幕する。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:17:55) 16.《ネタバレ》 いわば自国の「負」ともいえる部分を克明にそして冷静に描いたドイツ渾身の作品。戦争が終わるときに指導者はどうなるのか、帝国が滅びるときはどうなるのか、、、長い時間に関わらず食い入るように観てしまった・・・。わが子を毒殺するシーンはとてもとても苦しくつらいシーンでした。ヒトラーを演じたブルーノ・ガンツはすごい、穏やかさと激しさを交えたすさまじい演技は観る人を圧倒しますね。「あぁヒトラーってこんな人だったのかな」とも思えるカメラの近さが生々しい。出演者と当事者のそっくりさんっぷりもすごい。いやーほんとすごかった(溜息)こんな映画を造ってしまうドイツという国はすごいデスネ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-01-15 11:02:57) 15.一歩誤ったら批判の集中砲火に遭いそうな題材をあえて選択し、しかも、当のヒトラーをかばうわけでも同情するわけでもなく、かといって、過剰な演出により悪性を誇張するわけでもなく、淡々と地道に事実のみを積み重ねる。まるで本当に当時の地下室にカメラを入れたような緊迫感と生々しさがあり、実に難易度の高い作品造形をクリアしていると思う。ナチスやヒトラーは、その当時においてはある種のモンスターだったのかもしれないが、モンスターだとして片付けてしまうことは、それ以上の認識と分析を遮断するだけであり、今後の我々が実感をもって明日のナチスを防止することはできない。その意味で、この作品が持つ意義は大きい。また、描写の手法としては、地下室のみにとらわれずに、砲撃や包囲の描写も随時挿入し、他方、食事などの日常生活のディテールにもこだわっている姿勢が、作品に一本の筋を通している。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2009-02-01 12:45:35)(良:1票) 14.おそらくドイツにとっては最高のタブーに挑んだ作品だったようで、 ベルリン陥落の様子と、すでに破綻しているヒトラーの理念に雁字搦めに なっている上層部の悲哀を旨く表現しており、純粋に良作。 なお、主役のブルーノ・ガンツのヒトラーはじめ、よくぞここまで似させてた と思われるくらいの俳優陣営。特にシュペアーや、ゲーリングなどは実物と そっくりなので驚いた。 【JCBN】さん [インターネット(字幕)] 9点(2007-04-10 00:32:57) 13.《ネタバレ》 正直軽い気持ちで見始めたのですが、うーん、なんか言葉では言い表せない複雑な気持ちにさせられました。彼が戦時中行った行為はどんな言葉をもってしても決して正当化できる事ではありませんが近親者に対する人間味ある対応や思いやり、そして総統の顔になった時の激昂し取り乱す様子に一人の人間としての存在を見た気がします。決して軽々しい評価が出来る作品ではありませんが、このような非常に重い題材を重厚な映像で正面から描き、その結果心が激しく揺さぶられたのは事実です。悩みましたがその点を評価してこの点数をつけました。 【MEL】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-09-09 19:56:39) 12.《ネタバレ》 この監督に密室ものを作らせたらすごい…esも好きだけどこれはすごい。 まさか最後に主人公の秘書が出てくる事も、リアルな話な事も知らなかったんですが、ブルーノ・ガンツの名演もあり、息ぐるしくなるほどのリアルな雰囲気が映画から感じられます!! 地下で酒に酔い、踊り、現実逃避する将校、その将校のために無意味にソ連軍の侵攻を食い止める兵士達、、、すごい良く出来てます。 もう最後の彼女の笑顔にどれだけ癒されたか、この瞬間にスゲエほっとする自分が監督の思うツボだなぁ~と。観ても全く損の無い作品だと思います ただ、兵士の自殺シーンは見せるのに、ヒトラーとかの自殺シーンは見せないっていう区別がイマイチ良くわかんなかったので9点 【マキーナ】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-05-15 22:11:54) 11.《ネタバレ》 華飾を剥いだファクトの提示はそれだけで意味をもつ。ヒトラーの狂気や独裁者のもとでの共同幻想を描いたドキュメンタリー映画ではあるのだが、ありがちな過剰な演出を排除しているのが素晴らしい。ドイツでなければ作れない映画だが、懺悔が全面に出ているわけではなく、教訓めいた色彩が強いわけでもない。しかし、強烈なメッセージが内在しているという微妙なバランス。 ヒトラーはもちろん、ゲッベルスやヒムラー、シュペーアなど、これでもかというくらい実物と似た役者を集めたことはもちろん、政治的遺書と個人的遺書の別や、愛人エヴァとの自殺前の結婚、死体が残らないようガソリンで完全に焼き切るように指示した事実、手が不自由であったことや、ヒムラー/ゲーリングの裏切りなど、忠実に史実に基づいていることも評価できる。 ありがちな「ひとつの戦闘にフォーカスした映画」ではなく、第三帝国最終期の独裁者の最期の12日間を丁寧に描いた新しい切り口に感嘆を覚える。ベルリン陥落直前であっても、人間飯を食うし、タバコも吸う。一方、自己を正当化し、部下に責任をなすりつけ、「ナチを支持した国民に同情しないのか」と問われ、「われわれを支持したのが悪い」とコペルニクス的責任転嫁を行う。ドイツの恥部を丁寧に描いた勇気に賛辞を送りたい。できれば、ナチ党の結成やドイツ国内での政治的権力の確保、独ソ不可侵条約やSA粛正など前史を描いた作品も見てみたい。 【floydpink】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-04 22:41:03) 10.《ネタバレ》 室内劇のような作りを想像していたら、激しい戦闘シーンもそれなりにあり、ちゃんとした「戦争映画」でもあった。劇中、見ている者はヒトラーの周囲の人物に「何故そんなヒステリックな小男に死ぬまでついていくのだ?」「何故新しいドイツを夢見ないのだ?」と何度も疑問を投げかけるだろう。親衛隊の若者からゲッベルスら政府参謀までが、明らかに精神に変調を来たしているヒトラーに盲目的につき従っていく。考えてみると、独裁者は生まれ持って独裁者になるのではない。独裁者は人々が創り上げるものなんですね。ヒトラーの素顔は秘書の女性にさえ細やかな心遣いを見せる柔和な中年男。一方で、そのどこにでもいる中年男が何百万人の人間を虐殺し、民族浄化を本気で実行させる。悪魔のような独裁者は私やあなたの隣にもいるかもしれないし、それを創り出す私たちの中にも存在すると実感できた。ヒトラーは人々を映す大きな鏡だったのかもしれない。ラストのユンゲのインタビューのように、「目を見開いていなければ」それに気が付かない。そしていつかはゲッベルス婦人のようにわが子を自分の手で殺していくような愚を犯すことになる。あの死人のような無表情の悲しさ。胸が締め付けられるように辛く、そして恐ろしかった。イスラエルはヒトラーを美化していると反発したようですが、第3者として見ると、人間の愚かな性質や戦争の馬鹿らしさをこれほどに描ききっている戦争映画は少ないと思う。 【しまうま】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-02-04 21:17:33)(良:3票) 9.ずっしりと見ごたえのある力作でした。 時間が長いという方もおられますが、個人的には2時間半という時間も全然長く感じませんでした。(先日ロードオブザリング3部作を観たばかりだからかも?) 第三帝国崩壊の最後の12日間を描いた作品ですので、そこまでの過程というか、どうしてヒトラーや彼を取り巻く人々があの狂気の戦争へ向かったのか?ナチスがユダヤ人等に何をしたのか?という部分は全く描かれていません。 またヒトラーの周辺だけ語られており、ソ連軍や連合国などの目線では一切描かれず歴史の一片をちょっとだけ切り取った感じです。 ですが、戦争の愚かさ怖さは十分に感じ取ることができました。 【ジム】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-15 22:16:26) 8.悪の象徴、非人間、悪魔と糾弾されるヒトラーだが、描かれていたのは極限状態に置かれ混乱し、憔悴し、部下に八つ当たりをしながらも、一方で秘書や少年兵に優しい言葉をかけるそれこそ何処にでもいそうな初老の男だった。それだけに彼の招いたあまりにも大きな混乱や悲劇が際立って見えてくる。20世紀は人類史上最も多くの血が流れた世紀だと言われるが、その嵐の目にいた者は、しっぽの生えた悪魔でも妖怪でもなく、ただの人間だったのだ。何か暗澹たる気持ちにさせられた。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(吹替)] 9点(2006-01-13 21:39:58) 7.敗戦が確実視されていながら「誰も止められない」現状の打破が出来ない状況が非常に良く出ていた。打開策を検討するでもなくただただ集まっているだけの地下要塞内部の将校。敗色を悟り酒に逃げる司令部の武官。ホールで踊り恐怖や敗色を忘れようとする兵士とゲスト。ヒットラー一人に振り回された事になっているが・・・第三帝国の思想自身が負けた事が判っていない総統の側近。「戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ」(機動警察パトレイバー2 the Movie/後藤喜一の言葉より)まさにその通りだと思います。 すべては武力闘争になった時点で取り返しが付かない状態なんだとつくづく感じました。 【だだくま】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-11-12 08:58:16) 6.《ネタバレ》 衝撃! ナチスドイツ崩壊時の人間模様をベルリン地下室の見事な再現と鬼気迫る俳優陣の演技で描ききっています。単なるドキュメンタリーとしても秀逸ですが、なによりも究極下での人間の尊厳・愚かさ・命の軽重をこれでもかと見せつけ、「無常」という」言葉では片付けられない人間の本質を観る者に問いてきます。 ヒトラーや秘書ユンゲばかりでなく、すべての登場人物の生き様(死に様)をこの短時間に表現し、観客に「あなたなら誰の生き方を選ぶの!」と投げかける見事な演出。 ゲッベルス夫人が6人の自分の子供を毒殺するシーンは落涙を通り越して心臓がしめつけられます。 最後のユンゲ女史の告白には、ドイツ国家の「戦後処理」の思想を窺わせる狙いを強く感じたが、私はこの映画を「不朽の人間ドラマ」として讃えたく、あえて唯一、残念なラストシーンといわざるを得ない。 【つむじ風】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-11-09 02:35:07)(良:1票) 5.ユダヤ人を大量に殺害した独裁者には見えないところに本当の怖さがある。 【モチキチ】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-09-12 09:43:24) 4.これから多くのレヴューが書き込まれる事でしょう。劇場で観る価値ありです。 【GUSUTAV03】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-30 06:26:59) 3.榴弾の弾着音がBGMのベルリン陥落直前の総統地下壕、憔悴し諦め切った軍首脳部と現実を直視しようとしないヒトラーもついに4月22日にあきらめる…。しかしその後も地下壕の外ではモーンケSS少将ら武装SSや国防軍の必死の抵抗が続いている…ほんの少しだが原作から脚色されているが、ほぼ想定される史実どおりの展開(マルティン・ボルマンの運命には異説もあるが…)であり実に良く出来ている!私生活でのヒトラーは申し分の無い紳士で人当たりも非常に良かったと言われている。その一方で人種絶滅などを推し進める極端な2面性。この両面を一本の映画の中で描ききったのは初めてではないか?考証的にも非常に良いと思う(SSルーンの使い方に疑問を感じなくも無いが…)さすがドイツ製作の映画。ただソビエト兵の略奪・暴行のシーンは一切無かったですね…味方を撃つ人がやはり大悪人であると思うのか、外交配慮というか敗戦国の悲劇と言うべきなのか…。 【クルイベル】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-22 10:15:37) 2.《ネタバレ》 見た後に呆然としました・・・。 以前から問題作といわれ、イスラエルの新聞が批判していましたが、完璧な反戦映画で、人間の残酷さと愚かさが完璧に描かれていました。 今までの戦争映画では、ドイツ軍は悪魔のように描かれていましたが、この映画ではその悪魔に同情してしまいました。大人がいないために、代わりに10代の男の子や女の子までが戦い、ナチスによって完全に洗脳されていたために、意味もなく死んでいた ヒトラーは、最後は狂人となっていて、ヨーロッパを支配した人物とは到底思えないほどで、ましてや600万人のユダヤ人を虐殺した独裁者には見えませんでした。 パンフレットには、地下要塞から脱出した将軍が臆病者と書いてあったが、あんな状態で怖くない人間がおかしいし、彼らは自分の使命を果たし、市民兵を助けようとし、上官のヒトラーやゲッベルスに激しく反抗していた。この映画で、ドイツ軍(武装SS)とナチスの違いがよくわかった。 日本がこんな映画作ったら、近隣諸国から批判を受けるだろうが、歴史をちゃんと理解していたら、この映画みたいにすばらしい反戦映画ができると思う。 【マック】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-13 12:07:32)(良:1票) 1.第2次世界大戦末期に於ける、連合軍進攻によるベルリン陥落までの十数日間を描いた実録風戦争ドラマ。原題は「The Downfall(=陥落、崩壊)」であり、独裁者としてのヒトラーの知られざる側面を描きつつ、むしろ側近を含んだ彼の周囲の人間模様により焦点が充てられている作品だと言える。独裁者たるヒトラーを嘘・偽りの無い一人の人間として描く事や、陥落寸前のベルリンの悲惨な当時の状況を語る事は、何かとタブー視されて来ただけに、今回の映画化にあたっては、それ相当のリスクや軋轢があっただろう事は想像に難くない。しかしそれらを可能にしたのが彼の秘書であったユンゲの回顧録である。従って、映画はあくまでも彼女の視点から描かれていて、それがそのまま我々観客の視線ともなっている。映画である以上多少の誇張もあるだろうが、ここで描かれるヒトラーはおそらく最も真実に近い姿のような気がするし、今となっては彼女の回想を信じるしかないが、それでもユダヤ人団体から“人間的に描きすぎる”というクレームが来たそうだ。歴史上の人物を描くのが如何に難しいかという事だろうか。しかしながら、狂気と重厚さを併せ持った独裁者を演じるB・ガンツはそのソックリぶりで、名優ならではのヒトラー像を見事に体現してくれた。しかしその割にカリスマ性は然程感じられなかったのは残念だとしか言いようがない。それと言うのもやはり彼の側近たちの狼狽ぶりに力点が置かれている為であり、そう言う意味でヒトラーは言わば狂言回しではなかったろうか。組織の崩壊を目前にして素直に敗北を認める者と徹底抗戦する者、或いは国家を憂い将来を悲観して玉砕する者、それでもなお虚勢を装って退廃に耽る者など、国家や戦争への思い入れや立場の違いで、身の処し方も違ってくる。そんな悲惨な極限状況の中、追い詰められた者たちそれぞれの葛藤を、映画は極めて冷徹で淡々としたタッチで描出していく。壮絶で生々しい描写とは裏腹に、感情の無くなった兵士たちの表情がとりわけ印象的だ。本作は戦争が如何に狂気じみたものであるかという事とその戦争を終わらせるのは更に難しいという事を、強烈なメッセージとして世界に訴えかける。戦後60年を迎えた今、この映画を製作した意義は大きく、同じ敗戦国である日本人としては実に身につまされる作品である。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-09 00:52:42)(良:4票)
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