みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
3.長い尺があっという間にすぎるほど面白かった。「自殺サークル」「紀子の食卓」「愛のむきだし」は、個人的に園子温3部作と思っていますが、この作品から急に完成度が高くなりました。 家族主義的な閉塞を逃れるべく、郷里を離れ東京に辿り着いた紀子。そうして出会った ハンドルネーム「上野駅54」に言われるがまま、レンタル家族を引き受けるも、どこか 違和感を拭えない。赤の他人がその時間の限り、かけがえのない家族でいられる、家族や 人格の「入れ替え可能」の象徴としてのレンタル家族。 一方、娘が失踪してなお、理想の家族を信じて疑わぬ紀子の父は、娘が消えたその理由を 探るも、まるで分からない。分かるはずもない、彼にとって家族は「入れ替え不能」な 存在なのだから。 娘・紀子はいずれとも決せぬまま、その狭間で戸惑い、翻弄される。 「入れ替え可能」、ゆえに生きていても、生きていなくても一緒。 生きるという選択も「あり」だし、死ぬという選択も「あり」。 だから、例えば集団自殺をするわけだし、例えばマイク真木「バラが咲いた」に包まれて、 殺されることをも甘受する。 誰が死のうが、何が起きようが、何も変わらない。平坦な「終わりなき日常」がただそこに あるばかり。 クライマックス、血みどろの惨劇は夢か現か、過去の記憶の染み付いた借家で、家族揃って 鍋を突く団欒のとき。 そして夜明け前、妹・ユカはひとり東京の街へ消える。家族の「入れ替え不能性」が 夢物語でしかないことを思い知らされる瞬間だ。 【のび太】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-03-31 17:47:59) 2.この作品の中で起きているような事件や出来事がもし実際に起きていたとしたら、僕はきっとそれに関係している人々の心や考えは理解できないだろうし、受け入れることなんて絶対に無理だと思う。だけど、この映画に見入った僕の感情は、そこにいる人々の思いをなんの抵抗もなくあっさりと受け止めていた。終始ナレーションで語られる映画なんてのは、説明的で観る気も失せるのだが、この作品は別。わからないし、理解できない人間たちの胸のうちが言葉として耳に届き、心では理解できていないはずなのにわかったような気になって彼女たちを見つめることができた。結局何が言いたいのかわからなければ、この物語を観た事で自分に何かを与えたかもよくわからない。でも、今僕の頭の中にドロドロとした粘着質な液体がくっ付いている。それは何か具体的な思いや感情ではなく、この映画の存在自体が巨大で力があるんだと思う。映画が始まってから終わるまで、僕は画面から目を逸らす事ができなかったのはやっぱりそこにこの映画の力があるからだと思う。父、娘、家族。切っても切り離せない現実と、それに背を向けようとする人間の理想があった。これこそ人間だと思えた人間がはっきりと描かれていた。 【ボビー】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-08-10 02:31:57)(良:1票) 1. 姉妹作「自殺サークル」を見た後に鑑賞しました。こちらは「自殺サークル」のような怖さはなく、どちらかというと青春映画。ただ、「すごい映画」という点は共通しています。かなり深遠で画期的なテーマを扱いながらも、制作者の意見を押し付けない作り方も共通。だから「で、結局何が言いたいの?」と思う人も多いとは思います。しかし切り口は斬新で、しかもリアルなものです。僕らが想像もしなかった世界を見せつけてくれます。それを見た人が何を思い、何を考えるかは自由、といった感じでしょう。鑑賞直後には8点をつけましたが9点に変更しました(「自殺サークル」もです)。「自殺サークル」同様、あとから、いろんなことを考えさせられる映画です。 【コウモリ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-11 23:58:32)(良:1票)
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