みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
10.《ネタバレ》 人間の本音をさり気なく描いている作品だと思います。所詮世の中のルールや法律は人が作ったものですから矛盾もあると思います。作者の思いは知る由もないですが、私には、そのルールに優先するもっと本質的で大事なものがあるのではと問いかけているように思えてきます。八千草薫の田舎のおばあさん役には多少違和感を感じましたが、偽医者鶴瓶と看護師余貴美子はなかなかの好演だと思います。偽医者が経験豊富な看護師のアイコンタクトで診察、治療するシーンは特に印象的でした。とても面白い映画で西川美和の作品をもっと見てみたくなりました。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2014-08-25 20:16:41) 9.《ネタバレ》 とくに衝撃はないけれど、さらっと普通にすべてのクオリティが高い上質な映画。 【aimihcimuim】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-08-05 00:50:06) 8.《ネタバレ》 どうしても必要なものが手に入らなったら、人はどうするのでしょう。絶望する?諦める?いえ、代用品を探します。ハリボテだろうと、紛い物だろうと、無いよりはマシ。伊野という“張子の虎”を本物の医者と信じたのは、張子の出来が良かったからではなく、村人が信じたかったからだと推測します。少なくとも看護師は早々に伊野の正体を見抜いていたでしょう。でもその事実に蓋をしたのです。おそらくは村長も。そして一部の村民も。村ぐるみの知らなかったフリ。村人が優先したのは、医療技術ではなく“医師が在住している安心感”だったのでしょう。しかし、これは幻想でした。当たり前ですが、緊急事態に偽医者では役に立ちません。先にその事に気付いたのは、他ならぬ偽医者自身です。気胸の件はラッキーだっただけ。二度目はありません。伊野の額の脂汗が証拠。そういう意味では、かづ子の娘来訪は伊野にとって渡りに船でした。病気を見過ごすのは許されるのか?本物の医者ならどう判断するか?どんなに考えても、ニセモノに答えが出せるはずがありません。患者との約束を守りぬく覚悟も、嘘をつき通す信念も、彼には無かったのです。責任の重さに耐えきれなくなった伊野は、ついに逃げ出しました。暗闇の中、必死に伊野を探す研修医の姿が印象的です。失くしたものを探す。いや、初めから存在しなかったものを探す。この行為が、偽医者騒動の本質であったと考えます。『蛇イチゴ』でも感じた事ですが、西川監督のアプローチは複眼的です。伊野、研修医、看護師、村長、健康な人、病気を患っている人、そして部外者である警察。それに医師不足に終末医療の問題。視点や立場、角度を変えて事象を照らしてくれます。どれもが正しくて、全てが間違っているように思える妙。監督の主義主張も抜かりなく挿入されており(ラストのかづ子の笑顔こそ監督のメッセージ)、頭と心をフル稼働させて味わい尽くすに相応しい、質の高い映画でありました。最後に鶴瓶について語らせてください。元ぬかる民(←コレが言いたかっただけ)として、鶴瓶にシンパシーを感じている私ですが、それを差し引いても本作の伊野役は完璧でした。演技は上手いとは思いませんが、鶴瓶のキャラクターを100%活かした見事なキャスティングだったと思います。脇を固める俳優陣も非の打ちどころがありません。何度も観たい、大好きな映画に、またひとつ出会えました。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-11-15 18:25:42)(良:1票) 7.《ネタバレ》 鶴瓶がニセ医者の役をする、と聞いてだいたい想像がついたような気になってたモノです。なめててすみませんでした。逃走中に実家に電話するシーンが印象的。もっと謝らなければならないことがあるはずなのに。最初のつまづきがペンライトだったんでしょう。机の上でころがるカナブン、シンクで溶けていくアイスなど。小さなエピソードを塗り重ねて重厚感を作り出す。西川監督作品はこれで全部見てしまいました。次回作が待ち遠しい。【追記】「家族編」に入れられなかった以上、「喜劇編」に入れざるを得なかったのでしょう、山田洋次監督は。確かに、日本の名作100本の一つには違いないと思いますので。 【なたね】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-06-13 08:31:07)(良:1票) 6.《ネタバレ》 「その嘘は、罪ですか。」が内容を言い表している。過疎地の無医村における偽医者、その嘘を皆で真実にしつつ、土壇場になったら手のひらを返す村人たち。偽物であり、自分とは関わりのないことだと言い張りつつも、全否定はせずにどこかでその意義を皆が認めている。そうしたギリギリの難しい問題をこの映画ではまさに投げかける。 ■なぜ釣瓶が偽医者になろうと思ったか。当人は「撃たれたから返し、を繰り返していただけ」と瑛太に語り、香川照之はわざと倒れそうになって警官が手を差し伸べたところに「なぜあなたは手を差し伸べたのか。自分を愛しているからではないですよね。それと同じだ」という。最初の動機は楽な金もうけも多少はあったのかもしれないが、来てみると全く違ったのであろう。そこは最終的には観る者に投げられたままだ。 ■八千代薫、井川遥母子の関係は非常にうまい。全体として皆素晴らしい中でこの二人の演技は際立っている。井川が泣くのをこらえるシーンは名演。 【θ】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-05-05 00:49:14) 5.深い、深いなぁ、この映画。 【ビアンキ】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-07-09 21:30:11) 4.《ネタバレ》 山里の無医村で偽医者として、医療を生業とする主人公。 唯一の医者を神のように崇拝する村人たち。 “嘘”はいつまでもつづくことはなく、偽医者は遂に逃げ出す。 この映画、この監督の凄いところは、人間を決してキレイには描かないことだ。 たとえば、同じプロットであったとしても、主人公にもっと使命感を持たせ、村人をはじめとする周囲の人間にもっと分かりやすい慈愛を持たせれば、涙溢れるとても感動的な映画になっただろうと思う。 しかし、この映画は、そういう安直な感動を否定する。 それは、人間の持つ本質的な弱さや不安定さを、この監督はよく知っていて、認めているからだ。 主人公は、安易な自己満足のために偽医者を演じはじめ、大金を得て、何となく誤摩化し、偽り続けながら生きている。 村人たちは、決して声には出さないが、実はその“偽り”にも気付いていて、ただ“無医村”という自分たちの状況におけるとてつもない“不安”を覆い隠すために、それを盲目的に認めている。 偽っていたのは、主人公の無免許医だけではない。村全体が、互いの弱さを支え合うように、偽ってきたのだと思う。 だからこそ、主人公が無免許医であるということが具体的な形で判明した後の村人たちの反応は、極めて冷ややかで、彼を擁護する者は無い。ただし、彼のことを全否定できる者も同時に無い。それは、偽っていたのが彼だけではないということを、誰もが知っているからだ。 「その嘘は、罪ですか」とこの映画は問う。 もちろん、罪だとは思う。ただその罪には、加害者も被害者もない。「嘘」に関わったすべての人間が、加害者であり、被害者だったと思う。 そして、嘘をつかなければならなかった「状況」にこそ、本当の罪があると考えさせられる。 正直、観終わった直後は、想像以上に感動が薄かったせいもあり、一寸の物足りなさを感じてしまった。 しかしそうではなく、その物足りなさの中に存在する見えない感情こそ、この映画が伝えようとすることだと思う。 鶴瓶師匠の決して目の奥が笑っていない恵比寿顔は、まさにベストキャスティングで、その表現力は最高だったと思う。 そして、前作「ゆれる」に続き、またもや一筋縄ではない人間ドラマを創り上げてみせた、西川美和。その若き女流監督の懐の深さに感嘆する。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-03-14 14:12:19)(良:1票) 3.《ネタバレ》 間違いなく今年のベスト邦画のひとつとなる映画。ことに台詞演出がすばらしく、あくまで外部の人間による感想だが、邦画の現状を鑑みるとこれ以上のものは望めないのではないかとさえ思える域に到達している。それだけしびれるような台詞が随所にあるのだが、だけでなく冒頭から失踪前後の出来事を効果的に配置する脚本もすばらしいし、鶴瓶や香川照之のような一見反映画的と思える顔ですら何とか映像世界に押し込めてしまう撮影手腕も、まさしくプロであるとしかいいようがない。ちょっと褒めすぎかもしれないが、しかし邦画を褒める機会などめったにないと思うのでこの際思いきり褒めておこう。 鶴瓶が××であることは、毎日顔を付き合わせているベテラン看護婦は当然気づいている。出入りの業者も勘付いている。それどころか本当は、患者を含む村人たちだって気づいているのかもしれない。しかし彼らはそのことに触れようとしない。共同体にとって重要なのは彼がいることであり、本物かどうかは瑣末事項だからだ。しかし正体がばれた後、ここがひとつの見せ場であるのだが、村人たちは口々に彼を非難するし、八千草薫など刑事の質問に「何もしてくれませんでした」ときっぱり言ってのける。コーエン兄弟のそれなどとはレベルの違う反物語性が芸術としてこの世に現出する瞬間であり、もしかしてものすごい瞬間なのかもしれない。おそらくは共同体の保身をはかるためのそれらの台詞は一見本意を無視している。だが関係者を詰問していくうち、刑事たちは逆に村の強固な意志を感じ取り、恐れをなすまでに至る。それがラス2のシーンへとつながる。私はこのシーンは映画が丁寧に撮り続けてきたものの最終解であると思う。つまり、共同体とは恐ろしいものであり、鶴瓶はだましたつもりが実は利用された被害者だったのであり、警察は彼を裁こうにも裁けない立場なのだという。 ラストシーン、食事係に化けて現れた鶴瓶に対し、八千草薫はいったん顔を引きつらせてから微笑む。理由はどうあれ遁走した瞬間村は彼を見放したのであり、そういう人間に対して彼女は素直に微笑むべきかどうか迷ったのである。日本人の表情の多義性をここまで捉えた映画を、私はひさしく見なかった。 慌てて付け加えておくが、だからといってこの映画が冷たい映画だといっているわけではない。むしろ全編優しさにあふれた映画であるのでよろしく。 【アンギラス】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-07-15 18:24:55)(良:1票) 2.誰がいいもんで誰がわるもんかわかんねえし、誰に感情移入したらいいかわかんねえし、結局それでいいのかよっていう終わり方だし、意味わかんねーよ鶴瓶はまあまあ面白くて瑛太がかっけえからいいけど……と、ただ泣けたーとか感動したーとかの低俗な邦画に慣れさせられた観客は言いそうだが、ほんとに人間を見つめたレベルの高いこういう映画を見ると、ああまだまだ邦画は大丈夫だなあとほっと胸をなでおろすことができる。 【とと】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-07-10 14:25:42) 1.《ネタバレ》 これは鶴瓶と八千草の、ラブストーリーである。 【no_the_war】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-06-28 23:53:53)
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