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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
5.ウルヴァリンシリーズの締めに相応しい内容だった。プロフェッサーローガンの老い、そして子供たちへの希望。だってどんなヒーローだって老いがあり死がある。これこそがリアルティである。長く続いた作品のフィナーレとしてしみじみと鑑賞。ローラ役の子役の演技バトルでの動きも文句なし。子供たちの幼い特殊能力も派手さが無くて良い。ほぼ逃避行のみでサプライズ無しの展開だったけどシンプルさに好感がもてる。最後のXには胸が熱くなる。それこそぼくもローガンと同じようにシリーズ開始から年齢重ねているから。 【タッチッチ】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-02-18 15:32:22) 4.《ネタバレ》 軋む。 古い車体が、錆びた鉄扉が、そして満身創痍のヒーローの身体が。 不死身だったはずのヒーローが、老い、拭い去れない悔恨を抱え、死に場所を求めるかのように最後の旅に出る。 メキシコからカナダへ。アメリカを縦断する旅路の意味と、その果てに彼が得たものは何だったろうか。 17年に渡り「X-MEN」シリーズを牽引してきた主人公のラストが、まさかこれほどまでにエモーションに溢れた“ロード・ムービー”として締めくくられるとは思ってもみなかった。 シリーズ過去作のどの作品と比較しても、圧倒的に無骨で不器用な映画である。テンポも非常に鈍重だ。 いわゆる“アメコミヒーロー映画”らしい華やかで派手な趣きは皆無だと言っていい。 だがしかし、どのシリーズ過去作よりも、“ヒーロー”の姿そのものを描いた映画だと思う。 個人的に、長らく「X-MEN」シリーズがあまり好きではなかった。 初期三部作における主人公・ウルヴァリンの、鬱憤と屈折を抱え、あまりのもヒーロー然としないキャラクター性を受け入れるのに時間がかかったからだ。 リブートシリーズと、ウルヴァリン単独のスピンオフシリーズを経て、ようやくこの異質なヒーローの本質的な魅力を理解するようになった。 それくらい、このヒーローが抱える憂いと心の闇は深く果てしないものだったのだろうと思う。 そんなアメコミ界においても唯一無二の「異端」であるヒーローが、ついに自らの闇に向かい合い、決着をつける。 おびただしい数の敵を切り裂いてきたアダマンチウムの爪が、これまで以上に生々しく肉をえぐり、四肢を分断し、血みどろに汚れていく。 そして、同時にそのアダマンチウム自体が体内に侵食し、無敵のヒーローの生命を徐々に確実に蝕んでいく。 それはまさしく、“ウルヴァリン”というヒーローの呪われた宿命と業苦の表れだった。 不老不死故に、他の誰よりも、相手を傷つけ、そして傷つけられてきた哀しきヒーローが、ふいに現れた小さな「希望」を必死に抱えて、最後の爪痕を刻みつける。 過去作におけるウルヴァリンというキャラクター故のカタルシスの抑制とそれに伴うフラストレーションは、今作によってそのすべてが解放され、別次元の感動へと昇華された。 それが成し得られたのは、何を置いても主演のヒュー・ジャックマンの俳優力によるところが大きい。 彼は今作で自らのギャランティーを削って、「R指定」を勝ち獲ったらしい。 そこには、“ウルヴァリン”を演じることによってスターダムをのし上がったことへの感謝と、このキャラクターのラストを締めくくる上での並々ならぬ意気込みがあったに違いない。 結果、ラストに相応しい見事な“オールドマン・ローガン”を体現してみせたと思う。 「This is what it feels like(ああ、こういう感じか)」 最期の最期、哀しきヒーローは、ついに“それ”を得ることが出来た。 墓標の「X」が涙で滲む。 さようなら、いや、ありがとう、ローガン。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-06-09 23:05:46)(良:2票) 3.《ネタバレ》 スリラーなら「アイデンティティー」、アクションなら「ナイト&デイ」「3時10分、決断の時」と面白い映画を撮って来たジェームズ・マンゴールドだが、本作もその凄まじい戦い振りにまいっちまった。 なんせ目覚めたらいきなり車泥棒に遭うわ、ショットガンぶっ放されるわ、過剰防衛でトンズラしなきゃならんわ、ボケボケのジイさんから眼を離したらみんな死にかけるわ、刃物みたい(物理)な幼女の人生がハードモードすぎてローガンおじさんの体はボロボロ。 あの咆哮が悲鳴のようにさえ聞こえてくらあ。見てて何度「助けてスタン・リー(「X-MEN」原作者)!!!!!」と叫びそうになったことか。 強制的に出来た“繋がり”が引き起こす出会いと悲劇、託された「メッセージ」が揺り動かす戦士の魂、帰る家を奪われ「流れ者」になってしまった者たちの旅路。 マンゴールドが幼少より親しんだというジョージ・スティーヴンス「シェーン」、そして最も参考にしたと語っていたクリント・イーストウッドの傑作「許されざる者」から受け継ぐ系譜。 この映画における現実は「シェーン」のように甘ったるくなかった。かつてウィリアム・S・ハートの流れ者が殺し合いから逃げられなかったように、イースットウッドの西部劇が凄惨な殺し合いを避けられなかったように。 “普通”とは異なる者との溝・恐怖・すれ違い・修復しようのない負の連鎖。道から外れた者同士の死闘死闘死闘。 それでも少女はアメコミや映画の中の“楽園”にすがるしかなかった。殺し合いのない、自分を愛してくれる、凶器ではなく優しい言葉で語り掛けてくれる人に出会いたかったのだろう。 見たかよあのシェーンを見つめる眼差しを。恐怖を乗り越えられるかもしれないヒーローの存在。 あのオジさんもまた、少女と同じような平穏が欲しかったのかも知れない。船を買い自由を得るためだけの仕事じゃなかったはずだ。運転席から見続けた“普通”の人々の日常。誰にも命を狙われることのない、分かり合う事ができるかも知れない世界。 だが「ペイルライダー」よろしく怒涛の勢いで敵は襲い続けてくる。無敵のヒーローなんて助けに来ちゃあくれねえ。自分の力で斬り開くしかない。 怪しいオジさんには取り合えず投擲、食事の邪魔をするならブッた斬れ!ブッ刺せ!列車が来たら線路の向こうまで、とにかく全力で走り続けろ!! ローガン「漫画は現実じゃないんだっ!!」 日本でトンデモないことやってたのは何処の誰でしたかね...(詳しくは「ウルヴァリン: SAMURAI」を御覧下さい)」)。 ハイウェイに飛び込んで来た「選択肢」、言葉が分からなくても通じた想い、欲しかった団欒、油断、すべてを奪い去る凶刃、動かないはずの肉体を突き動かした“怒り”、告白、目覚めた先で待っていた思わぬ出会い。 口元に優しく伸びる小さな“刃”、不気味に旋回し迫る黒い影、残され再び与えられる「選択肢」。 男は、再び立ち上がり、走ることを、戦うことを選んだ。人生を終わらせるか運命を切り開くか。それを左右する必殺の“一撃”。 「流れ者」になってしまった人々に終わりは何時来るのだろう。いくら叫んでも、先に行ってしまった者は戻って来ない。十字架を「X(エックス)」として手向けることしか出来ないのだから。 【すかあふえいす】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-06-06 04:24:57)(良:2票) 2.《ネタバレ》 ヒュー・ジャックマンさん、パトリック・スチュワートさんの名演技に感動。 二人の掛け合い互いの思いやりすれ違いに、こちらも1作目を思い出したり、そういうこともあったなと感慨深いものがありました。 パトリックさんの目が優しい。 校長を引退しても教え子や未来ある子供に愛を注ぐ。 それをほとんど顔の表情とセリフだけで表現できる。 さすがです。 そしてヒューさんの「ローガン」に対しての思い入れ。 演技、アクション、疲労、老化、どれもこちらにひしひしと伝わってきます。 ヒューさんって、世界一の努力家だなと感心しきり。 ローラ役に悪ぶって見せても、良い人が表に出ちゃうところがヒューさんの持ち味ですね。 そういうところが好きです。 あーそして・・・ラストシーン。 ローガン本当に良かった。 これでもう苦しまなくてよいから。 死ねない苦しさから解き放たれて、見ているこちらもほっとしました。 心の中でローガン大好きだよと叫びました。 素晴らしい人間ドラマに感涙です。 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-06-02 22:02:57) 1.《ネタバレ》 父と子供、暴力、ロードムービー、つまりアメリカ映画だ。 ジェームズ・マンゴールドの巧さは、ひとの生き様やその深度を描くことだと感じる。 また彼の作品群には視線劇という印象が強く、今作も殆ど喋らないローラの視線が強烈に描かれる。 しかしある時を境に彼女は突如喋り出すのだが、これは仕方がないことだ。 恐らくながら、マンゴールドは複雑な構造ではないシナリオにしている。 つまり敢えて典型的なシナリオを書いていて、誰かが死んでこうなるという予感などは裏切らないわけで、 だからローラが喋るという行為自体も都合だ。何故ならローラはずっと喋らなくたって良いわけだ。 しかしチャールズの死後、そうでなきゃ物語を転がせられないからで、 だがそれは物語上の些細な都合だし、それは転がすだけの装置でしかない。 だから別にそんなことは大した問題でもなくて、ローガンを動かす何かをちゃんと描いてるから巧いのだ。 矢鱈と語らせるわけでもなく、必要最低限の台詞に留め、風景と役者の芝居と視線で描ききる。 そして愛は暴力を生み出すのだけども、また暴力に勝るものは愛でしかないというアメリカ映画の根底的主題。 それやこれやを積み重ねていき辿り着く最後は、観ていて途轍もなく身体が熱くなるアクションとドラマを畳み掛ける。 それは無論カタルシス的な何かであって、ここまでの蓄積がある故に、それが典型的なフォーマットだろうが、 そこへ落し込む力、それを納得させるという巧さがあるから、泣ける。兎に角、泣ける。 過去の自分の化身と満身創痍で戦うのだが、その化身の息の根を止めるのが、今の自分ではなく、 娘であるローラだというところが泣ける。それの意義たるや泣ける。 そして十字架を傾け、Xの文字になったとき、誰もが詠嘆するだろう。 それはきっと、あれだけであるひとりの男の人生がそこに一気に立ちあがってしまうという、 マンゴールドのひとの生き様やその深度を描くことの巧さなのだろう。 素晴らしい。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-06-02 01:55:22)(良:1票)
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