みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
5.《ネタバレ》 さすが黒澤監督、圧巻である。 4時間ほどの映画を短くしたことに対する不満もあるが、 短くなったおかげでクライマックスの原節子と久我美子の対決がより鮮明になった気がする。 原節子の演技がこの映画の命だ。 とくにクライマックスでの表情は、小津さんなどの映画に出ている原節子とは全く違う。 ここまで女優がむき出しの演技をしている映画はあまりないのではないか? ラスト、主人公の青年はどうなったのだろうか? 伝言少年の嘆き「あの人のいいとこだけを思い出に・・」とか言ってたが・・ 三船が気がふれてきた場面から一体何が起こったのだろう・・う~む これは原作を読むべきかもしれない・・ いずれにせよ、この作品のおかげでドストエフスキーに興味をもった。 黒澤監督がラブストーリーを撮らないのは、これ一本でもう十分だからだろうなぁ。 いや、唸った。唸った一本だ。 10点満点だが、縮小版のため、この点数。 【トント】さん [DVD(邦画)] 9点(2018-05-05 10:04:24) 4.《ネタバレ》 これは、矢張りとんでもない作品なのではないでしょうか。 ここまでズタズタにされながら、なおも作品としての生命力を 保ち、且つ圧倒的な精彩を放ち発散させている事は奇跡に近い 驚きである。もう一つの驚きは黒澤の精神的体力の強靭さである。 ドストエフスキー作品の根底にある人間の根源的な、最終地点で 否が応でも突き当たる「魂」としか呼び様のない、のっぴきならぬ厳粛な物と 格闘し、ここまで描きまくるとは、恐るべき腕っ節である。圧巻は、矢張り 亀田と赤間が妙子の亡骸と共に一夜を過ごすシーンである。「これで、もう、 彼女は何処へも逃げない」という束の間の安堵感で二人は少年の様に なってしまう。蝋燭の灯だけの寒く薄暗い部屋の中で二人は、恐ろしく、 それでいて何処か甘美な秘密を共有して、なにやらワクワクしてきて興奮する。死臭を心配しながら。そして、夜明けと共に二人はこの世で一番崇高でいとおしい者の傍らで 遂に「真っ白」になってしまう。私はこれ程まで可憐で美しく、それでいて高潔で厳粛な センチメンタリズムを他に知らない。まさに黒澤がドストエフスキーその物を描き切った 名シーンである。それにしても、この全篇に漲るテンションの高さは如何だろう。ややもすると大仰に映る黒澤作品の中でも突出してハイテンションである。一つ間違えると、 役者の動きや表情の演技などは、ギャグ ホラーになってしまいかねない危うさがある。 現に私などは、久我美子との直接対決の時の原節子の顔が昔の楳図かずおタッチ なので、余に怖すぎて吹出しそうになったくらいである。しかし、このテンションの高さは ドストエフスキー物には不可避なのであることは、原作を読んで頂ければ納得して もらえるだろうと思う。ただ一つだけイチャモンをつけさせていただければ、ナスターシャ の解釈にほんの僅か違和を感じた。「本当はこの娘、いい子なんだよ!」というのに対して、もっと「つっぱね返し」を強調しておいて、でも、やっぱり、時折チョットした切っ掛けで如何仕様も無く且つさりげなく弱さと優しさが溢れ出る方が、キャラの奥行きが 深まったと思うのだが、如何だろうか?余に素直でおセンチ過ぎるきらいがある。しかし、そんな事はたいしたことではない。 この黒澤の青臭いまでのドストエフスキーとの取り組みと、ある種の「危うさ」を 含め、私は断固この「白痴」を支持する! 【水島寒月】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-07-09 22:24:20) 3.原作の「白痴」自体は未読。「カラマーゾフの兄弟」「罪と罰」「悪霊」その他の小品は読んだ。その前提でレヴューを書かせていただきます。まずドストエフスキー作品の雰囲気はかなり忠実に再現されていると思う。荒涼とした雪景色の中、人間の欲望と狂気が交錯する様が異常なまでの緊張感で描かれている。悪魔的なまでに幻想的なスケートのシーンがいかにも黒澤らしい。ストーリーのショートカットも原作を知らないとそれほど気にならない。しかし途中で説明を入れないと、さすがにこの長い話を描ききることはできないのであろう。キャストは皆上手い。原節子の迫力には圧倒される。那須妙子という名前が笑える。そしてクライマックスの三船敏郎はもう圧巻の一言である。目が完全にイッてしまっており、赤間の狂気を余すところ無く演じきっている。その演技だけでも作品を観る価値があると思う。単なるアクション俳優ではないという事実に初めて気付かされる。しかし本作を観て思うのは、作品よりも黒澤自身の映画に対する執念自体が、一番ドストエフスキー的ではないか、ということである。 【わいえす】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-16 23:52:11) 2.クロサワのかくれた名作。 完全版が観たかった。昔の日本は美しかったんだな。 【Waffe】さん 9点(2004-05-09 23:55:48) 1.《ネタバレ》 原作では死の宣告を受けた少年の話が長々と述べられるシーンがあるが、ここでは森雅之が死刑に追い込まれたがゆえに白痴になったという風に原作の言いたかった部分を上手くまとめているのではないかと思う。けど、無理やりカットされたという事実もあるように、最初のほうを文字で説明していたのはちょっとつらかった。 【ボーリック】さん 9点(2003-12-26 01:02:30)
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