みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
7.《ネタバレ》 これほど有名な作品でありながら、あらすじを聞いて二の足を踏む作品もないであろう。自分自身がそうであった。今回、ようやくDVDで鑑賞した。観終わって率直に思った。もっと早く観ておくべき作品であった。そして、何度でも観たくなる作品である。 巨匠ウィリアム・ワイラーがなぜこのようなエキセントリックな犯罪作品を、しかも新人に近い若手キャスト二人を起用して製作したのか?実に興味深い。 貧困と孤独を背負って育った主人公フレディが画学生のミランダに対して抱く、ソフトでいてねちっこい征服欲。その背景にみえるのは、英国における階級社会の軋轢であったり、インテリに対する不信であったりする。例えば、ピカソの絵の解釈をめぐり、こんな絵は駄作だと唾棄するフレディに対し、傑作だと反論するミランダ。フレディはそれを権威になびいているだけだと一蹴するところは、“わかったつもりで優越感に浸っている”インテリの欺瞞性を衝いているようで面白い。いずれにしても、普段なら鼻も引っかけられないインテリ学生をここぞとばかり論破(?)することで権威や流行を貶め、留飲を下げているかのようだ。だが、現実にこんな風に紳士面を脱ぎ捨てて突然キレる男と二人きりで暮らさなくてはならないミランダの恐怖は想像を絶するだろう。その豹変ぶりを物凄い眼の演技で表現するテレンス・スタンプが素晴らしい(本作でオスカーを獲っても不思議ではないのに、ノミネートすらされていないのは首をかしげる)。 衝撃の結末には、「この世に悪が栄えたためしはない」という言葉が空々しく聞こえる。否、フレディはそれほどの「悪」ではないのかもしれない。ワイラーはフレディをおぞましき精神異常者として描いてはいないのである。例えば、フレディがミランダ誘拐に成功して喜びのあまり雨の中を駆けずり回るシーンは、サスペンスに不似合なほんわかしたBGMが流れ、まるで青春映画のひとコマのようですらある。ごくわずかではあるが、フレディの冗談にミランダが吹き出すシーンなどは、友好的なムードになるのかなと思わせたりもする。察するに、ワイラーは、誰もがフレディのような欲望を潜在させていることを暗示しているようにも思える。恐るべき青春映画である。 【あやかしもどき】さん [DVD(字幕)] 10点(2021-01-11 17:41:33)(良:1票) 6.《ネタバレ》 私が高校生の頃、日曜洋画劇場で放映され、解説の淀川長治さんが絶賛していたのを覚えています。当時の主人公の吹き替えは、沢田研二さんが担っていました。その後は、ビデオ(字幕)で観て現在に至ります。 実は、この「コレクター」について、私は3つのバージョンにふれました。一つ目は当映画、二つ目は舞台劇(現在も舞台を中心に活躍中の、日本人の某実力派俳優さんが演じていました)、三つ目が原作小説です。 原作小説は、主人公と女子画学生の日誌が交互に紹介される形で展開します。画学生の日誌は、一応、恋愛要素を加えているので女性的な面はありますが、基本的には、当時のイギリスの社会批評のような内容になっています。クライマックスも映画とは異なっています。 一方、映画と舞台劇は、クライマックスを含めた内容や構成がよく似ていました。果たして、【小説を舞台劇にしたものを、ワイラー監督が映画化したのか】、【映画を基に舞台劇にしたのか】は、私にはわかりませんが…。 さて、私にとって、この類の映画としては、唯一、観ることのできる作品です。ワイラー監督は、それまでの作品同様、一定の礼節を備えた心理劇に仕上げ、テレンス・スタンプとサマンサ・エッガーの演技を見事に引き出していると思います。モーリス・ジャールによる、管楽器を主体にした音楽も独特のもので、あまりサスペンスタッチでないこと(と私は感じましたが、サスペンスらしい音楽だと思ったレビュアーの皆さん、スイマセン…)も、私には観やすい一因かもしれません。 ただ、この映画を観た当時「このようなことは、現実にはあり得ない」と考え、【特殊な状況下での二人芝居】として割り切りっていたからこそ、観ることが出来ていました。昨今の世相では、非常に現実味を帯びてしまっており、複雑な気持ちになります…。 さて、採点ですが、ワイラー監督の晩年の傑作として10点を献上します。 【せんべい】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2015-08-23 22:26:45) 5.《ネタバレ》 妻投稿■昨今のワイドショーみたいに主人公の異常さを際立たせるわけでも、「今の世の中はどうなっちゃったの?」という問題提起をするわけでもない。旦那に「ぶっちゃけた話、主人公を応援していたでしょ」と聞くと「あの男が『僕は君とわかりあいたいからあんなことやこんなことはしない』と上品ぶるまでは」と素直に言っていたあたり、「道端のかわいい女の子をクロロホルムで誘拐してあんなことやこんなこと」という「健全な」男性諸君の妄想を極めて忠実に映像化したものだと思う。■しかし、その後どんな下水な凌辱劇が待っているのかと思いきや、主人公は女の子に優しく接する。しかしその「優しさ」が怖い。私が知る限り「優しさ」と言うものをここまで怖く描いた映画はない。主人公の「異常さ」よりも「優しさ」といった通常は素晴らしいとされる感情をここまで怖く描いたこの映画の勝利だろう。■そういえば現実世界でも(私自身の経験値にすぎないが)女を強姦する上司って凄く優しい。自分が強姦している女の子をまるで運命共同体のような言い方で接してくる。女の子はその支配下において加害者の愛情(愛玩)を受け入れる義務がある。しかしそれでも加害者は満足出来ない。暴力で勝ち取った愛情など信用できないからだ。■さすがに監禁や強姦は極端だろうが、それでも相手をピンで止めるような「優しさ」は日常生活の至る所で見られる。気を付けないと。 【はち-ご=】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2010-08-13 01:04:57)(良:1票) 4.この人以外に主演が務まる人はいないね。 【M・R・サイケデリコン】さん 10点(2003-06-28 13:41:20) 3.他の人の評価を読んでいると、リピート再生にはあまり耐えられないように書かれていますが、私は5~6回以上観ました。(笑)と言うのも主役のテレンス・スタンプにイカレてしまったので、彼のこまやかな、そして独特の演技は、噛めば噛むほど味の出る、スルメのようですよ。主人公フレディの、先進的な流行や進歩的態度、インテリに対する怒りや恨みや嫉妬の狂気じみた感情を、まるごと、そのものとして演じているように思えました。共演のサマンサ・エッガーは、この映画以外では名を知らない女優さんですが、最後の死ぬ所はほとんど、演技を超えてました。ほんとに死んだとしか思えなかった。 【ベリンモン】さん 10点(2002-07-06 00:55:34)(笑:1票) 2.新潟での少女監禁事件など、最近では、この映画に描かれたようなおぞましい恐怖が現実化している。しかし、怖い時代になったなあ。サイコ系のスリラー映画がお好きな方でしたら、絶対お勧めです。 【ヨアキム】さん 10点(2001-08-14 12:54:32)(良:1票) 1.今見てもショッキングで古びてないですね。同名(原題は違いますが)の作品も90年代に登場していますが、やはりこれには敵わないようです。 【イマジン】さん 10点(2001-02-13 12:30:30)(良:1票)
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