みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(5点検索)】
4.《ネタバレ》 私は後味の悪い映画が好きで、この後に撮られた『母なる証明』を猛烈に支持しているが、この『殺人の追憶』には首をひねってしまった。美しいオープニング・イメージに心を掴まれながらも、おぞましい犯行シーンに戦慄しながらも、最後はイライラだけが残った。なぜなら、主人公に1ミリも「成長」が見られないからだ。 この観賞体験は、テレビ番組の「ザ・ノンフィクション」にとても近いと思う。「世の中には、こんな救いようのない人間がいるのか…」と胃が重くなる感じ。「他人の不幸は蜜の味」ではなく、ただただ臭いメシを擬似体験する感じ。それはこの監督の、ひいては韓国映画の持ち味として評価されている部分でもある。 しかし道中がエグく、後味が悪いとしても、カタルシスは用意されていなければならないと思う。『母なる証明』にはそれがった。あのお母さんは最後に、「社会的な意味での存在の変質」と、「母という本質のブレなさ」をダブルで提示してくれる。「母は母である時点で、存在としてすでに純化している」という反則技なのだ。 本作の主人公にも一応、「人を見る目があるという傲慢な自信が揺らいだ」とか、「容疑者を殺そうとする刑事を止めた」といった瞬間的な対比は用意されているが、あの局面であれば誰だって揺らぐし止めるだろう。そこに主人公の「成長」はなく、ただイライラさせられただけで終わってしまった。実話ベースとはいえフィクションなので、事件の凄惨さに胸を痛めて「考えさせられた」などというのは評価になり得ない。 【乱泥】さん [インターネット(字幕)] 5点(2022-08-08 06:40:33) 3.《ネタバレ》 さて、こういう場合、事件に対して述べる事、韓国警察のずさんさに対して述べる事、映画の作りに対して述べる事、キリが無いほどたくさん出て来ます。ただ、この手の悲惨な事件をお取り扱いする場合、まず第一に被害者を敬い、被害者遺族が不快に思われない作りにすべきだと思えます。だがその点からすると、被害者は衣服を剥がされ強姦された様子を再現され、泥にまみれ虫がたかる見るも無残な姿を造形されエンターテインメントの世界に晒されてしまっています。死人に口なしとは言いますが、このようなエンターテインメント風に仕上げられた作りを遺族の方が目にされましたらどのようなお気持ちになられるのでしょうか。思いますに、ホラー映画ではないのですから別に死体を醜く見せる事による視覚効果は不要なのです。そういったメーキャップ技術はフィクションホラーの映画で御披露なされればよいのです。以上、不快に思った点でした。 さて、そんなわけで時が経ち、現在2022年となりまして、この華城連続殺人事件に関する決着なんですが、既に3年前に遡る事となりまして、 2019年10月に真犯人が確定いたしましたね。このドラマではかすりもしていなかったイ・チュンジェという男でした。 ↓以下、10件全ての殺害について自白したイ・チュンジェの供述です。 「(殺人事件で)証拠隠滅もしなかったのですぐに警察がくるだろうと思っていたら来なかった。どうして捜査線上に自分の名前が挙がらなかったのか不思議だった」と話し、「ちゃんと捜査していたら(自分のところに)来たはず。見せるだけのための捜査だったのではないか」と批判までしている。 ↓ だが実は、イはこの事件を含めて3回ほど警察の尋問を受けていた。しかし、いずれも証拠不十分とされ取り調べられることはなかった。イがO型だったため除外されたといわれる。 らしいです。 では、時間は掛かりましたが一件落着なのか、いや違います。 一応の犯人確定でスッキリしたかと思いきや、真犯人だったイ・チュンジェは今どこにいて、どうしているのか、気になりませんか ではそれは御自分で検索なさってお調べください。 《華城連続殺人事件》と検索なされば、現状を知る事出来るかと思います。 その結果について、きっとあなたは驚愕されることになるのであろうと思えます。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-01-08 00:03:06)(良:2票) 2.映画としての完成度と興行成績とを両立させるこのスタイル。 確かに、この監督は天才かもしれない。 だけど、やっぱりこの作品は大衆的な臭いが強すぎる。 犯人を追い詰めたかと思えば勘違い、そして次なる有力な手がかりが見つかるが、それもダメ・・・こうして、観客をひっぱっていくあざとい演出。 いかにも観客を飽きさせまいと、話を都合よく引き伸ばしていく、いかにもな展開には白けてしまった。 まるで、「次回をお楽しみに!」的なテレビドラマのようだ。 ただし、ラストシーンで排水溝を覗き込み、これがまさに“殺人の追憶”と提示する終わらせ方は素晴らしい。 こうした演出手腕を持っているのに、それだけで映画を創ろうとはせず、敢えて計算ずくで大衆受けする演出をしている。 映画監督として素晴らしい作品を創る能力は持っているのに、あまりに器用過ぎて、観客を動員することまで計算して作品を創っている嫌いがある。 とりあえず有名監督になり、観客を沢山動員できる監督して重宝されるかもしれないが、長い目でみたら、せっかくの才能を自ら捨てているかのようだ。 いわゆる「器用貧乏」で終わってしまう危惧すら感じる。 ところで、主演のソン・ガンホだが、実に味のある俳優だ。 当時36歳とは思えない貫禄。 誰もが親しみを持つであろう、ちょっと愛嬌のあるルックスと確かな演技力をさすがと言えよう。 総括としては、普通に楽しめるが、かといって大衆娯楽映画のようにバカらしい作品でもなく、どっちつかずの中途半端な作品と言わざるを得ない。 今後のこの監督の方向性が非常に気になった。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-11-15 00:23:54) 1.どことなく、ヨーロッパ映画の雰囲気を感じた。背景とか、敢えて見せる汚さとか、テンポは良くないのに、間延びしているわけでもなく、時間がただ滔々と流れている。よく出来た映画だと想うし、あの暗く湿ったアジアの田舎独特の雰囲気とか、とても秀逸だと思うんだけど、犯人が判らず、桃の意味も、歌が流れる時間に殺人が起きる理由も曖昧なまま終わってしまうのは、いくらなんでも観客に???を残しすぎる。実在の事件を題材にしているにしても、これはあくまでフィクションなんだから、もう少し物語的な盛り上げがあってもいいのでは? 【ともとも】さん 5点(2004-11-27 14:06:05)
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