みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(6点検索)】
5.《ネタバレ》 今年の終戦の日に観たのはこちら。10年ほど前にひめゆり平和祈念資料館に行ったときは、無言の写真たちが訴えてくる重さ、ググゥッと肩を押されるような重さに、言葉を失ってしまった。なので、もうタイトルだけで重たく感じてしまう作品。 そこを吉永小百合と浜田光夫を起用して、日活青春映画そのまんまなオープニングで惹きつける。当時まだ戦後から23年。戦時中の若者がどのような青春時代を過ごし、命を落としていったかを、次の世代、特にあの子たちと同年代の若い人に観てもらいたいという思いが感じられる。モノクロなので耐性のない人でも最後まで観られると思うけど、実際の場面を想像するだけで充分に恐ろしい。 真面目に創られた映画にしては、ちょっと気になった点が二つ。まず口で手榴弾の安全ピンを抜くトコ。当時の武器は“天皇陛下からの預かり物”だから、丁寧に扱ったはず。それも兵隊でもない女学生が口でグイって…きっとTVドラマ“コンバット”辺りの影響だろうな。 それとアメリカ軍の攻撃機…には見えない。どう見ても民間機。あの飛行機はロッキード・モデル10という輸送機。水浴びを襲うグラマン・ヘルキャットは特撮で表現しているのに、どうして輸送機で代用したんだろうか。 アメリカ軍の攻撃機が女学生を追い回し、機銃を撃つ。きっとこの画を1つのカットに収めるために、撮影用に手配出来る実機を使う必要があったんだろう。パイロットの視力なら、砂地を走るトミちゃん達が非武装なのはもちろん、“一目散に逃げてる女子供”だと解ったはず。 それを、撃つんだ。狙って、撃ててしまうんだ。 この映画にはアメリカ人俳優が出てこない。きっと意図して出さないことにしたんだろう。誰が撃ったかも解らない、無感情な“鉄の雨”だけが彼女たちに襲い来る。そんな劇中、女学生を撃つ攻撃機のカット。撃てば死ぬ。あのアメリカ兵は、どんな気持ちでトリガーを引いたんだろう。その画のためのモデル10。 日本軍の学徒隊の扱い方も酷い。動員されたのが卒業直前なのって、校長先生の人望を利用するのと、学生の方がまとめやすいからだと思う。 学徒にも暴力を振るう軍人。男性器を出してお小水の介助。切断する足を押える手に伝わる体温とノコの振動。生きる希望より青酸カリのミルク。まだ10代の少女たちにはあまりに想像を絶する過酷な数ヶ月。 戦場を連れ回すだけ連れ回して、最前線での解散命令。実際はあの子たちを生かすためじゃない、見捨てる道を軍は選んだ。結果的に1,503名(映画より)もの学徒の命が奪われた理由として、あまりに理不尽じゃないか。 何の抵抗も出来ず、誰にも守られず撃たれて死んでいく学徒。捕虜となって、軍人に聞かされてきた辱めを受けるより、自決を選ぶ少女たち。 軍人でもない少年少女が、呆気なく散ってゆく姿に『無駄死に』という言葉が浮かんでしまう。 それじゃあんまりだ、決してそうじゃない。と思いたいけど、じゃあ、あの子たちの死は『意味のある死』だったのか。 現地訪問よりおよそ10年。この映画を観ても、やっぱり言葉を失うしか出来ない。 ひめゆり学徒隊の悲劇を知った私に出来るのは、平和の有り難みを実感して一生懸命生きることと、あの子たちの犠牲を忘れないでいてあげることくらい。 【K&K】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2022-08-23 23:41:58)(良:1票) 4.《ネタバレ》 現在から見れば、演出や特殊効果、セット、音楽など全てにわたって時代的な拙さが目につき、映画としての完成度は決して高くないものの、あの沖縄戦の悲劇の象徴である「ひめゆり部隊」が辿った運命を多くの人に知らしめるという点では、当時の青春スターである吉永小百合が主役という意味は決して少なくないものがあっただろう。 平和下であれば、現在の若者と変わらず青春を謳歌したであろう女学生たちが、戦争という個人では如何ともし難い状況下で、次々に犠牲になっていった歴史は何度見ても心が痛む。 冒頭の現代のダンスホールのシーンや、沖縄戦を前にした運動会での普通の青春映画のようなシーンなどは、その意味でも効果的に配されている。 やがて戦雲が立ち込め、従軍看護助手として一転過酷な任務に従事しゆく中でも、若い女性が集まれば異性の話で心をときめかせることもあったであろうし、水浴びのシーンが象徴するような友達との無邪気で楽しい時間もあっただろう。 しかし、最後はその学友たちとも離ればなれになり、本島南部のガマで大半が悲劇の最期を遂げるという救いのないラストが意味する事も大きい。 ラストにテロップで流されたとおり、未来ある学徒まで戦場に駆り出し、最期は自決に追い込んだという、人類史上稀にみる愚行がわが国で行われたという事実を忘れてはならないと思わせる作品だった。 【田吾作】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-08-20 11:37:38)(良:1票) 3.《ネタバレ》 多分哀しい女学生の情緒一直線的描写になるんじゃないかとか、こんな重いテーマで吉永小百合はきちんと演技ができるのかとか、いろいろ危惧していたのですが、意外にきちんとした内容でした。まず、前半の青春生活のところを、明るくなりすぎない程度にきちんと押さえている。エキストラ使いまくりの運動会の「拡がり感」がよい(そして後になってみれば、「それだけの若者がここにいた」という痕跡としても機能している)。それに先だっては、なぜか登場する現代パートの渡哲也。このアバンギャルドな構成も、それほど浮いておらず、ある種の楔として残っている。中盤の卒業式や池の水浴びのシーンの焦点の絞り方もなかなかですが、この辺から、(やっぱり)何かあるたびに泣いたり叫んだりしているのは、結局最後の解散命令やお別れ会の重みを削いでいるんじゃないのかな。それと、最後に2時間ドラマのラストのごとく岸壁に立つ2人、あれはいかんでしょ。そこに行く理由がないですし、その前に絶望しきっている心理の描写があることともつながりません。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-01-13 02:53:14) 2.終戦間際、沖縄で非業の死を遂げたひめゆり部隊の物語。 ドラマという部分での中身は決して厚くはないのだが、現実にあったということ、 そしてそれ自体が反戦のテーマになっているので、やっぱり重みを感じてしまう。 若くして自らの命を捧げた彼女たちの気持を思うと胸が痛む。 "ひめゆりの塔"は時代やキャストを変え、これまでにも何本か制作されているが、 やはり一度は観ておかなければならない作品かと思う。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-11-16 05:24:59)(良:1票) 1.序盤は吉永小百合・浜田光夫の黄金コンビによる日活青春映画のノリ(オープニングは女子高の運動会)。しかし、沖縄決戦が直ぐそこまで迫っている中では青春を謳歌している暇はなく、黄金コンビも勤労動員からの帰り道でお互いが目配せする程度。やがて学童疎開船・対馬丸が撃沈されて、肉親を失った者達が悲嘆に暮れる中、本格的戦闘が始まる。卒業間近の女学生達も「ひめゆり学徒隊」として看護動員され、次々と戦場に散っていく…。本作は導入部と後半の落差が激しいので、「ひめゆりの塔」に詳しくなかった人は結構衝撃的だったんじゃないでしょうか、6点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-09-24 00:04:42)
【点数情報】
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