みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
4.《ネタバレ》 恥ずかしながら新藤兼人監督の作品はほとんど観たことが無い。脚本作は何本か観たのだが。 森川定造の妻・友子は戦争で多くのものを失う。まず夫を失い、その後その弟に嫁ぐがそれも失い、そしてその父と母も息子を失った失意の中でこの世を去ってしまうという絵に描いたような悲劇。その夫を戦地に行かせたのはクジ引きである。定造本人ではなく上官が引いたクジでだ。だがそのクジで戦地に行かずに済んだ者もいる。松山啓太はクジで生き残るが帰還してみれば妻は父親と関係をもって家からはとんずらしている始末。 といったように徹底して戦争による不条理を描いている。ここまで不条理だと悲劇すら喜劇に見えてきてまさに紙一重だ。その不条理に翻弄される人々を役者たちが冒険的な演技で演じる。まるで舞台を観ているかのようにその演技は大げさで声を張り上げるようなものだ。特に大竹しのぶはさすがの怪演。もっと若手女優でも良さそうな役だがこの演技力が必要だったのだろう。 しかし、この作品を観終わった後の印象はそんなに暗いものではない。どちらかというと人間のたくましさや力強さを感じられる。一人になった友子に言い寄る男は妻子もいるのにどうしようもない奴だが、友子が松山とブラジルに行くと決まれば祝いの席を設け「あんたが本当に好きやった」と感情を吐き出す。その姿をぐちゃぐちゃだが可愛いと思ってしまう。戦争を起こすのももちろん人間だが愛すべき姿もきちんと描かれていて監督はきっと人間を見つめ続けてきた人なのだろうと思う。 ともかく100歳まで生きた監督が晩年まで創作意欲が尽きなかったことが素晴らしい。人間の持つエネルギーを体現してますね。 【⑨】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-13 02:35:27) 3.《ネタバレ》 他の方も言われている通り、舞台を見ているような感じの作品でしたね。良くも悪くも、とても素直で直球な作りでした。それはすなわち、戦争がもたらす悲しさ、悲惨さ。その一点。新藤監督の最後の作品となりましたが、彼が映画で伝えたかったものは終始一貫してましたね。翻弄される人たち、特に友子さんにとっては実に痛ましいストーリーとなってるんだけど、でも単に悲しいだけの映画ではなく、ところどころ笑える、ある意味ではコメディのような仕立てにもなってるわけです。それはたぶん、戦争という過酷な経験に比べればそれ以外のことはたいしたことないんだよ、とか、あらゆる生き様において人間はとても愛らしい生き物だよ、とか、生きてさえいれば、必ずいいことあるんだよ、とか、そういうポジティブなメッセージを伝えたかったんだなと思います。友子さん役を演じるには、大竹しのぶではおばちゃんすぎるのでは?という気もするけど、なかなか若い人でこの役を出来る人はいなかったのかも。なんにせよ、新藤さんの遺作として、希望を感じられる結末であったのはとても感慨深いです。 【あろえりーな】さん [地上波(邦画)] 7点(2015-01-14 00:24:22) 2.久々に近年の映画で良質なものを観れました。さすが新藤監督。映画とはこういうものだ。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-11-22 21:53:13) 1.久々に骨のある映画に出会いました。新藤監督といえばあまりにも多くの作品があるのでレビューしにくくて、もしかすると初めてかもしれませんが「人間」を見たときのような感覚が生々しく甦ってきた事だけは確かです。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-04-22 22:22:58)
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