みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
7.《ネタバレ》 自分は「忠臣蔵」(1990年)の項にて「一番面白い忠臣蔵だと思うけど、捻った作りなので初心者には薦め難い」と書きましたが「じゃあ、初心者に薦め易い忠臣蔵は何?」と問われた場合、本作の名前を挙げる事になりそうですね。 とにかく分かり易いというか「忠臣蔵の映画をやるなら、これは外して欲しくない」という部分が、きっちり盛り込まれている辺りが見事。 自分が特に好きな三つのエピソード「畳替え」「大石東下り」「徳利の別れ」を全部やってくれてる映画って、意外と珍しいですからね。 特に「畳替え」の件はダイナミックに描かれており、序盤の山場と言えそうなくらい力が入ってるのが嬉しい。 「朝までに仕上げねばならん、頼んだぞ!」と職人達を激励する浅野家臣の姿も、実に良かったです。 それによって、浅野家に「庶民と力を合わせて頑張る武士集団」というイメージが生まれますし、彼等を善玉として描く上で、非常に効果的な場面だったと思います。 対する吉良方が「庶民の敵」である事を、徹底的に描いている点も良いですね。 どうしても「斬り付けた浅野が悪い。吉良は被害者」ってイメージが拭えないのが忠臣蔵の弱点なんですが…… 本作は、その点でもかなり頑張っていたんじゃないかと。 とにかく吉良方が庶民を虐めてる場面が繰り返し挿入されるもんだから、観客としても自然と浅野方を応援しちゃうんですよね。 討ち入りの際にも「女子供は逃げろ」と言ったりして、徹底して「正義の赤穂浪士」として描いている。 「浅野殿、田舎侍を御家来に持たれては色々と気苦労が多う御座ろうな」と吉良が嫌味を言ったりして、内匠頭が怒った理由に「自分だけでなく、家臣も馬鹿にされたのが許せなかった」という面を付け加えている辺りも上手かったです。 また「斬られたのは吉良の方なのに、吉良に仇討ちするのは筋違い」という事が劇中で何度か言及されている点も、バランスが良かったと思います。 観客に(そういえば、その通りだ……本当に、浅野側が正しいのか?)と考えさせる余地を与えており「視点を変えれば、赤穂浪士は正義にも悪にも成り得る」という事を教えてくれるんですよね。 そういう意味でも、初心者にも安心というか「はじめての忠臣蔵」に丁度良い品であるように思われます。 そんな本作の欠点としては…… 「忠臣蔵お馴染みのエピソード」を描いた場面は凄く良いんだけど「この映画でしか拝めない、オリジナルのエピソード」はイマイチだったという点が挙げられそう。 京マチ子演じる「女間者 おるい」の存在が特に顕著であり、どう考えても浮いてるというか「大スターの為に無理やり女性のメインキャラを追加しました」って印象が拭えなかったんですよね。 一応、女間者が絡んでくる忠臣蔵としては「大忠臣蔵」(1971年)などの例もありますが、連ドラではなく映画でコレだけ尺を取られてやられると、ちょっと辛い。 しかも彼女ときたら「恐ろしいほど美しい姿でした」なんて感じに、主人公を賛美する台詞を延々吐く役どころなもんだから、贔屓の引き倒しに思えちゃって、観ていて居心地が悪かったです。 元々本作における大石内蔵助って、登場時から「有能な家臣」であり、敵からも散々「大した奴」と褒められる役どころで、自分としてはどうも胡散臭いというか…… 正直、あんまり魅力を感じない主人公なんですよね。 頭脳も人格も最高の超人であり、夜道で襲ってきた刺客を撃退したり、斬り掛かろうとした相手の体勢を扇子で崩したりして、剣士としても一流の腕前ってのは、流石に盛り過ぎだった気がします。 かつては細身の女形だったとは思えないほどに丸々と太り、貫禄たっぷりな長谷川一夫の演技力ゆえに、嫌悪感を抱いたりはしなかったし「恋の絵図面取り」に対して「引き出物」を渡す場面や「残りは四十七名か」と呟く場面なんかは、とても良かったんですけどね。 個人的好みとしては、もうちょっと隙が多い内蔵助像の方が嬉しかったかも。 後は、大映制作らしい怪獣映画のような音楽。 切腹までは描かれていない為(もしかしたら、この映画の中では赤穂浪士達は助かったのかも?)と思えて、ハッピーエンド色が強い結末だった辺りも、忘れちゃならない魅力ですね。 自分としては「初心者にオススメ」「色んな忠臣蔵を観賞した上で観返すと、ちょっと物足りない」という、良くも悪くも優等生的な作品という印象なのですが…… 「色んな忠臣蔵を観たけど、やっぱり王道なコレが一番!」という人の気持ちも分かるような、そんな一品でした。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 7点(2019-10-18 13:02:48)(良:1票) 6.忠臣蔵については大まかな流れくらいしか知らなかったですが、十分なほど楽しめました。 登場人物が多くて誰が誰やら細かいところは確認できない所もありますが、それでも楽しめ感動できたのは普遍的な情緒があって感じられるからでしょう。 忠臣蔵をあまり知らない人にはおススメです。私は詳しいところを調べたくなりました。数百年前の大昔から楽しまれていたのも頷ける! 【さわき】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-27 17:09:57) 5. 親子・夫婦・主従等の人間関係を描き分け、よく知られたエピソードを散りばめたオーソドックスな作り。豪華な出演陣を観るのも一興で、遊興で舞い踊る大石は通俗的だが雪中の討ち入りは見ごたえがあった。史実どおりにリアリズムで描くのはどだい無理なんだから、ある程度講談調になるのはやむを得ない。 別れの場で大石を抱きしめる母。主君の仇を討つとともに、幕府の理不尽な処分に対する異議申し立てという一大プロジェクトを成し遂げる大石とてひとりの人間、普遍的な母親の情愛は心にしみる。 赤穂藩の四十七士に加え、その家族・協力者(理解者)・市井の人々、さらに吉良方と上杉藩の動き等、多くの物語を取捨選択して一定の時間(166分)に手堅くまとめた。 憎々しい吉良、毅然とした態度の多門伝八郎が印象深い。 【風小僧】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-01-07 17:49:37) 4.《ネタバレ》 大映オールスターによる忠臣蔵映画。これで忠臣蔵映画見るの三本目だけど、大映だけあって出演者はもちろん、セットも豪華で凝っていてこれぞ大映!という感じの映画になっていて数ある忠臣蔵映画の中でも特に名作とされているのもうなずける。次から次に出てくる豪華な俳優陣の中でもやはりのちにNHK大河ドラマ「赤穂浪士」でも同じ役を演じる長谷川一夫の大石と滝沢修の吉良が見事なはまりぶり。それに群像劇のようにエピソードてんこ盛りで描いているが、166分間、決してだれることなく見せきっているのはうまい。そのエピソード群は泣かせるものが多いが、とくに時間を割かれている鶴田浩二演じる岡野と若尾文子演じる大工の娘との恋のエピソードがやっぱり印象に残り、吉良邸の絵図面を手に入れるために最初から自分に近づいたのかと問う若尾文子に対し、鶴田浩二が本気で惚れていると告げるシーンは良いし、ふたりの別れのシーンも良かった。川崎敬三と志村喬のエピソードも泣ける。すべてのエピソードが史実とは限らないのだが、忠臣蔵はこのように浪士ひとりひとりの物語として見ても面白いものなのだとあらためて気づかされたし、これがこの物語の人気の理由のひとつなんだなと思う。男優陣だけではなく、先ほど書いた若尾文子をはじめ、京マチ子や山本富士子など女優陣も魅力的に描かれていてその点でも満足できた。冒頭に登場する浅野役の雷蔵もうまく、むしろこういう出番の少ない役なのは勿体ない気がするが、それもオールスター映画の贅沢なところ。それにもし、雷蔵がもっと長生きしていれば彼の大石役が見られたかもとつい思った。勝新演じる赤垣源蔵の別れのエピソードもいいのだが、やはり勝新はもっと後年のほうが好きだな。なにはともあれ、大映時代劇自体をかなり久しぶりに見た気がするのだが、じゅうぶんに大映らしさを堪能できる娯楽大作で、最後まで楽しめた。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-02-18 00:21:01)(良:1票) 3.ひとつひとつのエピソードがしっかりとしているから、最後のカタルシスが強烈。少しセリフが早口でわかりにくいのが難点。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-12-22 20:04:03) 2.今まで数多くの映画やTVドラマが作られた忠臣蔵、何本見たことだろう。もちろん私が生まれる前の忠臣蔵は知らないが、子どもの頃見た忠臣蔵はずいぶん重みがあった。 この長谷川一夫の忠臣蔵はその筆頭といえるだろう。何といっても豪華なキャストとたくさんのエピソードを盛り込んだ内容は、秀逸である。 ただ私好みとしては、片岡知恵蔵の方が好きであり、松本幸四郎も捨てがたい思っている。長谷川一夫はやや浪花節調であり、刀を振り回す内蔵助は好きでない。この映画で好きなのは、幕府目付役の多門伝八郎だ。内匠頭の切腹に対し、堂々と進言しているのに応援したくなる。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-12-15 21:53:44) 1.実は今まで「忠臣蔵モノ」をちゃんと観た事がなく、たまたま先日BSで放送されていた本作を観ました。正直「主君の仇討ち」という考え方はどうなん?ってな気もしたし、いくら美談化してもやったことって結局テロ(百歩譲って押し込み強盗)なんじゃないの?とか、最初は思ってみてたのだけれど、何だかんだで討ち入りのシーンに胸が高まってしまったのは、やはり日本人だからなのだろうか。なんかそういう安易な結論付けはイヤなのだけれど。ともあれ、討ち入りそのものも良いけれど、その周辺の各エピソードが魅力的。名前は忘れたけど、大石がその名を騙っていた大名(か何か)が、偽者が(敵討ちを果たさんとする)大石であることを知り、「申し訳ありません、私が偽者でした」と言って自分の通行手形を大石に渡す所とか、或いは乱痴気遊びにふける大石を見限った家族が仏壇に供えてある大石の位牌を見て彼の決意に気付く所とか、「以心伝心」な場面が、良いですねえ。 【ぐるぐる】さん 7点(2004-05-29 16:35:38)(良:1票)
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