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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
5.妻投稿■人間は自分という存在に対し、絶対的な支配権がある。唯一殺しても罪に問われないのが自分自身であるくらいその自己支配権は絶大だ。当然「死ね」と言われて死ぬ必要もないし、自分の命を守るためなら「社会人の品格」なんて踏みにじっても問題はない。それが人間の自然だ。■でも軍隊の訓練はそういう自然を不自然にし、自己支配権を組織に全部渡してしまう作業だ。その時点で実は物凄く無茶なんですよね。そういう無茶をさせられた人間が、戦闘に巻き込まれなくてハッピーハッピーかというとそうでもなく、「自分自身が安全で、殺されたり殺さなくてもいい状況」を許せなくなってしまう。「人間兵器」に自己進化した人間の、なんかすごく悲しいものが描かれていたと思う。■でもそういう人間を作り上げる事で現代社会の繁栄と安全は成り立っているんですよね。結構重い問題ですよね。 【はち-ご=】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-09-02 22:40:22) 4.《ネタバレ》 面白かった。良作。 はっきりと分かるのは、アメリカ人にとって戦争とは朝鮮戦争以降のことだろう。朝鮮戦争やベトナム戦争にしても、クラシックな戦争で今現在の戦争というイメージではないと思う。 そういう意味では、やはり第二次世界大戦というものはさらに古典戦争の世界で、歴史の教科書に出てくるテスト対策のような話なのかもしれない。日本人が第二次大戦中の話をみて涙し、これを風化させまいという話を一生懸命作り続けているのとは違い、アメリカでは常に変わり続ける戦争の意味を賢明に現実とすりあわせようとしているかのようだ。 アメリカ人にとって、戦争はずっと続いている(お祭り的な意味ではない)イベントの一つなのだろう。そこでは常に日本人が幻想を抱く第二次大戦中の悲劇と同種かそれ以上の苦しみが現存し、それを放置し国益や自国民の生命を損なうことすら無かったことにする、他の西欧圏諸国とは違う現実主義が横たわる。 アメリカの身勝手、のように豊かな地域のアジア圏ではねじ曲げられて良いように紹介される戦争は、常にアメリカだけではなく中東との共存を描く西欧圏全体の秩序を乱す組織的な悪の存在が根源となっている。中東だろうがアジアだろうが、ビジネスの場であり生活の場でもある、単なる地球上という場所をテロリスト的な集団(いろいろな規模を包括して)が思想と暴力で蹂躙しようとする。その集団の主張をなぜかテレビや雑誌が拾って真剣な顔でアメリカ批判をする状況は少し異様ではないだろうか。 そういった批判は少なからずアメリカ国内にもあるようだが、そんな中戦地に赴いた主人公達の任務は、戦闘と呼べない相手側の脆弱性に耐えることだった。古典戦争の世界にあった闘争はそこにはなく、はっきりと異質になった現代戦争の有様は、気持ちの悪い、国家ではない思想的な何かを相手にした、それに対する準備を強いられる毎日だけだった。 武力と恣意の危険な思想集団は今もその脆弱性や攻撃誘発性を巧みに操り、同情を引き相手方の主張をぶれさせ同化しようと奔走している。それはこの映画に具体的には描かれていないが、すでに共通認識としての下敷きとしては明らかに存在する。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-11-23 15:20:46)(良:1票) 3.現在日本とアメリカは民主主義という同じ価値観を共有している同盟国です。政治だけでなく、経済、文化でも最も強い影響を受け、地球の反対側にあっても遠くて近い国。しかし最も違うのは、アメリカはWWⅡで日本をコテンパにのした後も世界中で戦争を続けていること。かたや日本は半世紀以上、一度も戦争をしていません。もう殆どの世代が戦争体験が無い。ところがアメリカは、戦争はリアルなものとして身近にある。この映画を観ていると、主人公と僕は殆ど同世代ですが、体験する世界のあまりの違いを目の当たりにした思いです。しかし、60年間戦争をしていないという国のほうが実は少ないのかも(この先はわからないけど)。 【ロイ・ニアリー】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-07-28 16:02:42) 2.戦場現地の奥地で王国を築いたり、悲痛な戦場の惨劇の中で“生死”に対する感覚が麻痺しまっていくというような、仰々しいことだけが“戦争の狂気”ではないということを、この映画は雄弁に語る。 言うならば、「戦争」そのものが「狂気」であり、そこにそれ以外のものは無いのではないか?だからこそ、誰も死ななくても、誰も殺さなくても、“狂気”は生まれ、そこにいる者たちを急速に蝕んでいく。 ライトなテンポで敢えて感情的にならずに、主人公たちの心情の起伏を描き出すあたりに、サム・メンデスの流石の演出力が冴える。 テーマ性としては、映画によって散々描かれてきているもののようにも見えるが、「戦争」という「狂気」の“普遍性”とでも言うべき“何気なさ”を描いたこの映画は、非常に独特だと思う。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-16 23:53:08)(良:1票) 1.《ネタバレ》 国の大義名分は分かっていても、戦争に行くということは人殺しをしに行くに他ならず、行ったはいいが実際は銃撃戦や白兵戦をするような次元の戦争ではなく、「人殺し」という目的を達成できずに欲求不満ばかりがつのっていく。そして武器を手に戦場で戦う海兵隊も、国へ帰れば良き父親であり、ビジネスマンであり、スーパーの店員であり、ただの人間にすぎない。カラッポの頭、ジャーヘッドで軍に統率され、狂気に足を踏み入れる兵士に誰もがなり得ると言う現実が、手抜きをすることなく描かれていて面白かった。‥‥‥国が世界の平和だ、大量破壊兵器だと薄っぺらな大義を振りかざしても、国の大義名分なんか、末端の兵隊には関係ない。ベトナムでもどこでも、生き死にの究極を争う現場では、兵隊は「殺したいから殺す」。そんな獣性を発揮しなければ生き残れないだろうし、そんな獣性を持っている自分自身に気付いて、後になって苦悩する。ベトナムからの帰還兵の人々も、きっと同じ悩みを抱えたことだろう。戦場の中では誰しもが獣になるが、そんな獣になった自分を認めたくはないものだ。‥‥‥ハデな殺戮シーンや、悲惨さを訴えるために陳腐な凄惨シーンを描いたりすることなく、近代戦の中を人間の視点から、妥協せずに描き抜かれているのが面白い。戦地に赴く訓練の過程で、画面を見ながら不覚にもワクワクしてしまったのは、私自身の中にもそんな獣性が存在するからだろう。 【six-coin】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-13 12:46:47)
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