みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
4.《ネタバレ》 作品紹介でスリラーとあったのですが、本作は違いますね。人の死に方がオソロシくて血も飛びますけど、テーマはPTSDと闘う男の凄絶な心の軌跡。画も音楽もビターで内省的。とりわけ音楽は劇中のラジオが音源だったりすることが多く、これが作品世界にすっと入っていける効果をもたらしているように感じました。 ホアキン・フェニックスが只事じゃない重たさです。幼少期の父親の虐待に始まって、軍の任務で経験した数々の不条理な暴力でジョーはすっかり心をやられてしまいました。何度も死のうとして、でもギリギリ踏みとどまってきたのは母親の世話があるから。二人でフォークを磨いたり、子どもの頃に口ずさんだ歌を思い出したりする姿は、説明の少ない本作の中で彼らの結び付きがうかがい知れる心安らぐ場面でした。 母親は死んでしまったけれど、ニーナがいてくれる。観る者が希望を抱くのは、彼女が若くて心の芯が強そうだから。彼女もさんざん傷ついているのに「今日はいいお天気よ(It's a beautiful day) 」とジョーが立ち上がるきっかけを与えることができるのだから。 窒息しそうなジョーが息をつくことのできる人生を取り戻してほしい。ショッキングなラストの自死のシーンが現実でなかったと分かった時、わたしは本当に、心からほっとしました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-11 23:41:15) 3.《ネタバレ》 ホアキン・フェニックスのパフォーマンスはキャリアベストと言っていい。一人の男から滲み出る悲哀と孤独、自殺願望とそれに拮抗する女性への慈しみ。傷だらけで中年のたるみが出て決してカッコイイと言えないが、その反面、哀しみを全て背負ったようで、元軍人の威圧感のある体。体全体で主人公を演じきっている。バイオレンスシーンは、予想に反してしつこくは描かれていない。印象的なサウンドと、湖のシーンに代表される美しい画づくりが心地よくもせつない。ラスト、救出した少女の言葉から見せる主人公の表情は、苦しくも救いのあるものだと信じたい。 【カワウソの聞耳】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-01-13 21:41:12)(良:1票) 2.《ネタバレ》 死にたいのに死ねない、死にたくなるほど辛いのに助けを求めない、というセルフネグレクトの主人公に近付くことが出来ない。説明が極端に少ないのは狙った演出である。 なぜならPTSDに苦しむ人を、心底理解することは無理だからだ。 苦しみながら自分をごみのように扱う主人公を、近寄りがたい雰囲気を醸し出すこの人を、ただ見ているだけしかできない。 軍人だった経歴があるので公的援助を受けられるのに、あえて拒否しているのは死を望んでいるからに他ならない。 まだ生きているのは母がいるからだ。 虐待をしていた父から自分を護りきれなかったであろうと思われる母は、現在は高齢のため虚弱になり認知機能も衰えたため自立して生活することはできずに支援を必要としている。 主人公にとってそんな母親は安らぎでもあり足手まといでもあるが、この世に自分を繋ぎ止める切れそうな細い糸でもある。 そしてもうひとつ主人公には生きる理由があることに気付く。 HPで主人公は行方不明者を探すエキスパートと書かれているが、寝ていないのにそこら辺はよく分からない。過去の自分が受けた虐待とそれを押し退けた方法で、現在にも対応しているようにしか見えない。もう子供ではないのに、フラッシュバックで何度も悲惨な場面を体験するのだから。 それでも主人公は自分のような目に合っている子供たちを助け出したいのだ。それは、連絡係?の雑貨屋主人の子どもを現場で見たことが許せなかったり、湖から上がってずぶ濡れのままニナを救いに行ったりすることでそれが分かる。 それをするために主人公は死ぬことを先延ばしにしながら生きていた。 反対勢力の相手に喜んで制裁を下していたのではないとわかるのは、追い詰めた相手が死に瀕して主人公の手を握るがそれを振り払おうもせずに寄り添ったところだ。 因果応報。暴力を行う者もまた暴力を受ける。主人公はそれを心底理解していた。 だからニナの行ったことに対して死にたくなるほど動揺する。それは二度と起きてはいけないことであり、自分が阻止しなくてはならなかったことなのだ。 湖のシーンはシェイプオブザウォーターのラストに匹敵するほど印象的であり、その後に起きた一連のことが自分にとって物凄くショックだったようで、何だかわからないが後半ずっと涙が垂れていた。 復習や勧善懲悪とは違う、やることやって早く死にたいという願望だけで生きている主人公が痛々しく、救ったはずのニナに救われて、エンドクレジットの後は是非違う道を歩んでほしいと切実に願った。 【えんびす】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-06-06 19:56:49)(良:1票) 1.雇われ殺し屋が少女を助ける為に任務を遂行して行くというプロットだけ見るならばこれまでにもよく有りそうな話なのだが、エンタメ性は低め。この映画はアクションそのものに楽しさはあまり見い出せない。というのもホアキン・フェニックス扮する殺し屋はハンマーをメイン武器として敵に立ち向かうが、その殺しのテクニックはあまり見せない演出となっており、いつの間にか倒してしまっているというシーンが多い為だ。それでも、彼の全身を纏ったオーラからは殺意しか感じられず、直接見る事が無くてもそこはかとなく想像するに難くない。そういう意味ではもはや直接表現しなくても十分過ぎると言えるだろう。 かなり暗い内容だが、"ビューティフル・デイ"の言葉の意味を知った時、ちょっとだけ前向きな気持ちになれた。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-06-06 11:33:26)
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