みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
3.西洋や日本を問わず、土俗民族の話が好きだ。 例えば……友人と、山の中を車で走ってて道に迷った…らしい。 そして、急に祭りの提灯が並んでいるのを発見し、人が多そうな明るい方向へ向かう。 けど、その提灯に書いてる文字が、どこの文字なのか分からない異様なモノだった…とか。 他に、H・P・ラヴクラフト原作の「インスマウスの影」とか…ああいうのが堪らない。 迷い込んだ場所が、異様な空間で「自分がいるべき場所ではなかった」という設定。 そこが堪らないんだよな、本当に。 * * さて、最近は映画によく行くんだが…最近はアレだ。 まず「何の映画にするか?」って動機はあまり考えないようにしている。 ただ、SNSの前評判で「面白かった!」と聞くと、それだけをベースに(何も頭に入れる事なく)観に行く。 っつー感じで、午前中に川崎へ「犬王」を観に。 これは、凄い映画だった……と思う。 芯に触れるには「何度か観ないと分からん」かもしれない。 そして、人には勧めはしないが、俺はきっと「また観る作品」なんだろうな、とも予感した。 若干ボーイズ&ボーイズの雰囲気が匂うが、絵柄のせいでチープじゃなく本物感が漂ってた。 そして、ガキの頃に(早朝から)観てて…脳裏にトラウマ的な思いを刷り込まれた「三日月情話」的っつーか…土俗民族な雰囲気が大好きなんで、制作陣が「それ」を理解して踏まえて作ってる事にも…ただ、ただ、驚嘆した。 いや、本当に凄いなー、このクオリティー。 アニメ業界って大変と聞いてるが、諸々の事も大変だけど「オリジナリティー溢れる雰囲気」を出せてるのを確認すると…クオリティーは安心できそうだ。 そして、先日観た映画「名探偵コナン」の時のように「(脳裏には)事前に情報を入れてない状態」から、ドラマ観ながら情報を脳裏で構築してゆく。 思えば、「フットルース」や「ストリート・オブ・ファイヤー」あと「リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986)」(キリが無いので、この辺で)などの、過去から80年代MTV映画が好きだった。 久し振りに「その、リズム感の映画」を観てる事に気付いたんだが、そこについては異様な雰囲気まで醸し出していて、相当驚愕しながら観てしまった。 ああー、ネタバレ無しで書けないわ…もう! ともあれ、すぐに消えていく映画ではないのは事実。 たぶん…きっと、いや、絶対に。 この、時代を怨念と共に「語られぬ者たちの狂騒曲」だ。 んで、アレだ。 映画の客は…大体50人~70人くらい居たと思う。 映画が終了した後、電気が灯って……俺は超焦った! なんと―――男の客は俺だけ! あとは全員女性という異様な空間だった! マジで、あの恐怖感って!超ビビった! 西洋や日本を問わず、土俗民族の話が好きだ。 けど、映画館の中では…そんな気持ちになりたくないなぁ。 もう、全員出ていくまで下を向きながら、スマホを弄ってたし…あー、焦った。 そういう層からも人気なのね…この作品…。 仕方ないからアレだ…Blu-rayが出たら買うか。 うん、それしかない。 【映画の奴隷】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-06-30 09:41:31) 2.とても楽しかった。 まるで音が見えるよう、魅入る映像の数々。 最初の目が見えなくなる所の演出など秀逸 ライブシーンはちょっと長いが許容の範囲 百鬼丸のごとき犬王の変貌は目を見張る 細かい所作なども目を引く。 「見せたい映像を形にしたらこうなりました。」 みたいな潔さが、質を高めた、文句なし! 【カーヴ】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-06-13 17:40:25) 1.時代と怨念を超えた語られぬ者たちの狂騒曲。 この国が誇る最古の舞台芸術である「能楽(猿楽)」をメインフィールドにして、時代に埋もれた能楽師と名も無き琵琶法師の友情と狂気が、縦横無尽のアニメーション表現の中で描きつけられている。 まあ何と言っても、湯浅政明による変幻自在のアニメーション世界の中で、松本大洋が描き出したキャラクターたちが、自由闊達に舞い、歌い、乱れる様が凄い。 この二人のコラボレーションといえば、「ピンポン THE ANIMATION」が記憶に鮮烈に刻まれているが、松本大洋の独特な描線で生み出されたキャラクターたちを、その性質を損なうことなく躍動させることにおいて、湯浅政明のクリエイティブは極めて的確で、文字通り“息を吹き込む”ことに成功している。 原作者は別にあるようだが、時代に対する反逆心溢れる二人の主人公が、己の才能とアイデンティティを証明するために共鳴する様は、過去の松本大洋原作漫画に共通するモチーフだった。「ピンポン」の“ペコ”と“スマイル”しかり、「鉄コン筋クリート」の“クロ”と“シロ”しかり。 そういう点でも、この原作のキャラクター創造を松本大洋が担ったことはとても的確だったと思える。 “平家物語×ロックフェスティバル”とでも言うべきミュージカルアニメーションの映像世界はイマジネーションに溢れる。 時代や文化、人々の感性をも超越して混じり合ったその世界観が、独創的な「芸術」を生み出していることは間違いない。 が、しかし、その一方でエンターテイメントとしてやや“独りよがり”になってしまっている部分もなくはない。 室町の京都で“ロック”が奏でられる事自体は斬新だけれど、我々現代人にとってそれはあまりにも普遍的な音楽なわけで、その描写そのものを肝とするには物語の推進力としてやや弱さを感じてしまった。琵琶法師の主人公が路上バンドよろしく大衆を煽る様が延々と繰り広げられるシーン等、間延びしてしまったことは否めない。 本作にとって音楽描写は「主題」というべきもので不可欠なものだけれど、作品全体のストーリーテリングの中で用いるポイントをもっと絞ってよかったのではないかと思う。 代わりに、主人公たちをはじめとするキャラクターたちの心理描写をもっとディープに掘り下げた方が、音楽描写によるエモーショナルが更に高まったのではないかと思える。 そういうことを踏まえると、叶うことならば、松本大洋による漫画化作品も読んでみたくなる。 とはいえ、「異形」そのものの姿形で生まれ落ちた“犬王”を禍々しさと愛着を併せ持つキャラクターとしてクリエイトし、時代を超えた「音楽」の中で舞い踊らせ、作品内外の“観客”を魅了したことは、「見事」の一言に尽きる。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-06-05 22:37:45)(良:1票)
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