みんなのシネマレビュー |
|
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
4.“主人公”という概念に対する本作のミスリードを感じ取ったとき、途端にこの物語が持つ本質に引き込まれた。 “ある男”とは、結果として誰を指すタイトルだったのか。ラストの短いシークエンスでそれをあぶり出す本作の試みは、とても興味深く、とても感慨深かった。 鬱積した現代社会に関わらず、人間が織りなす社会に巣食う私たちは、少なからず何かを偽って、「自分」という仮面を被って生きている。 家庭人の仮面、仕事人の仮面、社会人の仮面、モラリストの仮面……、自らが築いた環境、または流れ着いた環境を保持し、必死にしがみつくように人は「仮面」を被り続けている。 結果、他ならぬ自分自身が、己の本当の「顔」を見失う。 本作で象徴的に映し出される“ルネ・マグリット”の絵画「複製禁止」は、そういう人間たちの愚かさを如実に表すものだったのだろうと思う。 石川慶監督の独特の映画の空気感と“間”の中で、安定感のあるキャスト陣がそれぞれ人間の脆さと弱さ、それでもなんとか存在し続けようとする人間の根幹的な執念のようなものを表現していた。 中でもやはり印象的だったのは、ストーリーがかなり進んでからようやく登場する“主人公”を演じた妻夫木聡だろう。 本作は安藤サクラ演じる未亡人の亡き夫(窪田正孝)の偽られた「正体」を、妻夫木聡演じる弁護士の男が追い求めるストーリーであるが、実のところあらわになるものは謎の男(=X)の正体ではなかった。 Xに対する追究、探訪を通じて、隠し秘め続けていた主人公のアイデンティティが丸裸にされていく。まさに“ルネ・マグリット”の絵画のように、見えている男の背中は、他のだれでもなく自分自身の背中だった。 妻夫木聡は、絶妙な人間的な希薄さと違和感を見事に表現して、その主人公像を創造し、演じきっていたと思う。 実は、主人公の弁護士は、謎の男Xの追究を始めるずっと前から、自身の「仮面」と直視できない本当の「顔」に気づいている。 すなわち、この映画を通じて本当に気付かされるのは、それ(ある男)を観ている私たち観客の“後ろ姿”だったのだと思う。 今この瞬間も、自分自身の後ろ姿を見続ける、決して相対することのない本当の自分が存在しているのかも知れない。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 8点(2024-10-13 00:42:47) 3.安藤サクラって薄幸な感じの役がすごくよく似合います。俳優陣も豪華で納得のアカデミーでした。あと、邦画にしては台詞がよく聞き取れました。 【木村一号】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2024-02-12 15:14:11) 2.《ネタバレ》 子供を難病で亡くし、離婚し、再婚した相手が事故死し、その相手が死後に正体不明の男と判明する、という不幸のオンパレードの女を安藤サクラが熱演。城戸夫婦も最初から不幸の香りがぷんぷんしている。生まれながらにして不幸を背負っている原誠を演ずる窪田正孝も熱演である。城戸が在日韓国人の子孫であること、ヘイトスピーチなどのエピソードは、とってつけたような感じがする。小藪、いい味出してる。いずれ自分が殺人者の孫であることを知るであろう女の子の将来が心配。なかなか見ごたえのあるドラマ。 【エンボ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-08-13 19:22:27) 1.《ネタバレ》 見応えある。 ラスト、一瞬、シャラマンばりのフェイクストーリー?と思わせるとこが面白い。 騙された? でもそうじゃない。詐欺師の柄本明が「本物」だからだ。 偽物の奥さんと一緒にいる妻夫木弁護士を看破していたからだ。 つまり、本物の犯罪者は、本物だってことなんだろう。 救いは、安藤サクラの言葉だ。 「真実」を知らなくても、実際平和だった私たちの幸福こそ真実じゃないかというセリフだ。 傑作である。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2023-06-29 22:58:04)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS