みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
6.はたして原爆は世界に平和をもたらしたのか。 【TERU】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-06-26 21:52:39) 5.《ネタバレ》 まず、アメリカ公開から時間がたちすぎで事前情報も入りまくり、まっさらに映画を観られなかったのは本当に残念。そんな状況を作り出した配給会社に対して、私は結構怒っている。事前情報なんて蓋をしておけと思われるかもしれないが、そこそこ映画好きな人間がアカデミー賞作品に関する情報を完全遮断なんて無理に決まってる。正直、アカデミー賞のときに(事前試写で見たであろう)評論家やジャーナリストが、その内容をあーだこーだ語ってるのだって不愉快だった。これだけの大作・話題作を、まったく見られない状態でオスカーの日を迎えるなんて、なんと不幸なことだろうか。 そもそもノーランは過去に『ダークナイト・ライジング』で核兵器をものすごく雑に扱った前科がある。あれ以来、私はノーランが核を描く、という本作のコンセプトに懸念しか感じなかった。あるいは、あれがきっかけでもう一度勉強して、今度はそのリベンジなのか。そこを確かめたいという思いもあって、公開翌日に映画館へ。 さて、実際に見てみた感想としては、IMAXで見る「おっさんばかりの会話劇」は、過剰気味な音響効果も相まって見所は十分。たしかにこれは、後々まで語られる重要作品であるのは間違いないだろう。面白いのは、本作を見終わった身近なみなさんの感想が、「本当に同じ映画を観た?」と思うくらいバラバラだったこと。ある人は、核の悲惨さを描いたものだ。原爆被害のシーンを描かなくても(描かないからこそ)十分にその「恐ろしさ」を描いていたと言うし、ある人は、これはナチ対ユダヤ人の闘いとその遺産を描いた映画だと言い、別の人は赤狩り時代のアメリカを描いたものであって、核はむしろおまけだったと語っていた。オッペンハイマーの周りにいた戦前の共産主義者の闘士たちの奮闘へのリスペクトを描いた、という明らかに的外れな見解を熱弁してる人までいる。 なんでこうなったのかといえば、緻密なのにちょっと緩い(ゆえに鑑賞者の解釈の枠組が入り込みやすい)時間軸バラバラ構成のおかげなんじゃないかと思ってる。別々のシーンがバラバラに配置されているなかで、その個別の場面をつなぐ「物語」を観客一人一人が見出しやすい構造になってる。そう考えると、原爆被害を描かなかったことも理に適ってる。私は描いたほうがよかったと思ったけど、もともと核問題・原爆被害に関心がある人は、描かれなくても自分が知っている「悲惨な絵」を思い浮かべながら見れるわけだし、そうだからこそ後半のオッペンハイマーの苦悩にも感情移入しやすい。ところが、アメリカに多そうな核問題に関心ない人たちは、描かれないがゆえにそこではなく、男たちの嫉妬のドラマだったり、戦争・冷戦・赤狩りという時代を描いた大河ドラマとして、十分に楽しめてしまう。実に、賢い。作り手の物語に引き込むのではなく、観客がそれぞれを再構成しやすい構造こそが、この映画の勝利だったし、だからこその興行成績と賞レース圧勝だったのだと思う。 結論としては、映画としての出来はすばらしい。ノーラン映画のなかでも出色だし、これでオスカー取れてよかったね、という気分。だけど、この映画で『ダークナイト・ライジング』での前科を克服したとはいえない。むしろ、悪い方にパワーアップして「非社会派な映画」の最高峰に達したと考えるべきだと思う。 【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-04-13 18:19:02)(良:1票) 4.《ネタバレ》 いやー相変わらずのノーラン節で、情報量が半端なく時間軸も3つあるので最初は???で集中力が必要(毎回そうだが)。 あえて事前の知識等も身に着けていない状態で鑑賞したので頭がパンッパンですよ。でも終盤で全てがつながり理解できるのはさすがノーランの手腕だなと。映画の始まりにプロメテウスを持ってきて、序盤の象徴的なリンゴ、オッペンハイマーの観念的幻想などの演出も上手い。緊張感のある音楽を使い3時間ダレずに観れるのもすごい。 情報量半端ないのに主人公オッペンハイマーの心中がはっきりと明示されず、複雑な人間性を表現できている点は素晴らしいと思った。 一方で日本人としてはやはり原爆に対して思うところがあり、総じてエンタメな作りになっている点やマンハッタン計画のシーン、原爆投下後の展開というのはなかなか複雑な心境。皮膚がめくれる、炭化した人間など原爆の幻想を見て思い悩み苦しむ姿は描かれるが、ちょっとその描写が甘いんじゃないかと思ってしまう。 でも原爆の映画じゃなくてオッペンハイマーの映画として見るならそれも仕方ないか…いやしかし…。 周辺情報を収集して再鑑賞しようと思います。 本国では年齢制限つきで3時間の大作としては異例の大ヒット、アカデミー賞では総なめといった大成功をおさめた作品となったが、どういう風にこの作品を観てどう感じたのか、何が観客にウケたのかというのが気になる。 フローレンス・ピューがあっけらかんと脱いでいたのはびっくりした。正直そういうタイプの俳優だとは思ってなかったので。 エミリー・ブラントは助演女優賞獲ってもよかったのでは?と思うほどの熱演でした。あの怒りで顔真っ赤にしてるのが忘れられない。 【eureka】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-04-03 11:39:49) 3.《ネタバレ》 原爆の父オッペンハイマー博士の半生を描いた伝記映画。ユダヤ人である氏は絶対にナチスに先を越されるわけにはいかなかった。恐怖を抱えながら研究・開発に邁進するが、やがてヒトラーが自殺、そしてドイツは降伏した。先を越されるという懸念した事態は避けられたのに、彼は日本に対して核を使用するよう進言する。制空権を奪われ、連日の空襲で焼け野原と化し、もはや瀕死と呼んでいい国に対してだ。その後の世界において主導権を握りたかったアメリカの思惑によるものとされるが、政治家ではないオッペンハイマーがこの主張をしたのは自身の功績を国内外に示したかったからとしか思えない。科学者の性と言うべきか。それでいて、8月6日以降は急に罪悪感に苛まれ、より強力な水素爆弾の開発で競い始めた米ソに対しても、どうにか歯止めをかけられないものかと苦心する。矛盾するようで矛盾しない、実に人間らしい主人公をキリアン・マーフィーが好演。映画的にはだいたいこの辺りがピークかなと思うが、その後の赤狩りを背景とした戦いもアカデミー助演男優賞に輝いたロバート・ダウニー・Jr.の存在感もあり、なかなか見応えがあった。3時間だれることのない優れた出来。アカデミー作品賞も納得の一本だ。 【リーム555】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-04-01 20:46:56) 2.《ネタバレ》 作品賞受賞も納得の重厚なドラマでした。 いやあ、でも、だいぶストーリーには置いて行かれましたね。字幕では膨大な情報を処理しきれません。 マンハッタン計画と、赤狩りの聴聞会まではわかるのですが、R.ダウニーJr.の熱演は光るものの彼が主役の公聴会のパートのつながりがさっぱり理解できずでした。日本人でストローズって人を知っている人ってあまりいないでしょう。そもそも、このパートってそんなに必要だったかな? 原爆の被害の描写がない、ってことがこの映画が国内公開がここまで遅れた理由とのことですが、過剰反応でしょう。映画全体としてはしっかり反核、反軍拡の主張でした。オッペンハイマー自身が、最初はただのプライドや競争意識だけに駆られて始めた原爆開発が、それが実際に使われるに至って強い後悔にさいなまれていく様子がよく表現されていたと思います。背景が重低音とともにぼやけて震えだす、という演出はシンプルではあるけれど、本人の不安感をよく伝えてくれていたと思います。 アインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルグ、ローレンス、ベーテなどの巨人たちがどんどん出てくるし、ほんのちょい役だけどフェルミやゲーデルまで顔を出すところは、昔このあたりを学んだことのある自分にはちょっとうれしい感じはありました。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-03-30 17:56:13)(良:2票) 1.《ネタバレ》 (2024/10/12再見) 初見時は正直(情報量の多さに)付いていけないと感じながら観るしかなかったのですが、改めて観てみると、少なくともオッペンハイマー氏の秘密聴聞会(所謂「オッペンハイマー事件」)と、あとその数年後のストローズの公聴会の時系列+顛末を(事前に)理解していて、加えて主要キャラが(政治的&学術的に)どういう人物なのか、というトコロが整理されて居るのなら、思ったよりスムーズに観てゆけるかな~という気もしましたかね。要はシンプルに「前提知識必須」な映画である、と(⇒でも、言い訳ではねーですが、オッペンハイマーの聴聞会とストローズの公聴会が数年ズレてて+どういう関係性の事象か、なんて前提無しの初見じゃ絶対分からないと思いますケドね)。 その上で、ダレるトコロも無いしテンポも抜群だから(3時間の長尺であっても)非常に観易いし、単純に2回目ながら再び非常に面白く観れちゃったのは確か+内容も色々な意味でやはり意義深い映画だ、とも思ったのですケドも、結論的には(初見時より1点ダケ加点しての)この点数にしておこうかと思うに留まりました。理由は、まずは根本的に、このレベルまでに鑑賞者側の「事前準備」が必要であり、かつ、実際に観てみた時の感覚としてのテンポの好さ・中身のゴージャスさ…とゆーのは逆に言えばコレでもまだ「尺が足りてない」というコトだと思ってしまったのですよね。私としては、それってまた根本的には「映画のフォーマットには乗り切ってない内容&題材だった」というコトに思えてしまったのですよ(⇒プラス、やっぱちょっと全編でテンポがひたすらに好すぎて、余韻とかを心地好く感じる暇が無い、とも)。後々、6時間バージョンのディレクターズ・カットとか出た暁には、すぐさま飛び付いて観てしまう…とは思いますケドね。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-03-29 23:59:55)★《更新》★
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