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【クチコミ・感想】
2.《ネタバレ》 源頼光とその家臣四天王により首を刎ねられた酒天童子の「大江山の鬼退治」伝説が下敷きになっている。酒天童子は鬼ではなく、盗賊の首領となった元近衛武士の橘致忠で、藤原道長に妻なぎさを奪われたことを恨み、復讐に血をたぎらせているという設定。童子は妻が自害しないことを嫌厭し、妻を憎んでいる。彼の手下に鬼や妖術使いがいて、道長となぎさを襲う。狼狽した道長はなぎさを源頼光の妻に下す。ここに童子と頼光の因縁が生まれる。
脚本の方針が優柔不断だ。大江山鬼伝説を換骨奪胎して、復讐に燃える男が悔悛するという真摯な人情物語に加えて、特撮を駆使した妖術の娯楽活劇要素も色濃く残している。ある意味贅沢だが、中途半端感は否めない。人間劇として見ると妖術が邪魔するし、特撮ものとして見ると人間劇が鼻につく。童子と頼光の一騎打ちの決着がつかない上に、悪逆を尽くし謀叛を企てた童子が無罪放免になるなど生ぬるい。鬼と妖術使いを倒すには救世観音から施与された正法の弓矢が必要だが、施与された理由が十分に描かれていない。弓は夢に見た救世観音から唐突に与えられる。童子が悔悟したのは、なぎさの自害を知ったことと、頼光の人品骨柄を見て武士の世の到来を予見したからだが、後者はいかにもとってつけたような理由だ。悪者の道長には何の咎めもない。結局、魅力的な敵役が不在で、勧善懲悪という落とし所を失った物語は迷走せざるを得ない。間諜として乗り込んだ渡辺綱の妹もたいして活躍しない。童子と鬼との淡い恋も描かれるが、蛇足以外の何物でもない。酒天童子の部下が恣意に殺掠行為を働き、統制が取れていないのも気になる。
特撮だが、土蜘蛛と巨牛は見て脱力感がぬぐえなかった。鬼と救世観音の場面は見応えあった。俳優陣はみな凛々しく、達者な演技を見せていたが、童子役の俳優が役にしては老けていたのが残念だった。往年の役者を総覧するにはもってこいの映画だ。 【よしのぶ】さん [地上波(邦画)] 6点(2014-09-20 12:26:12)
1.古い映画だけど、今観ても十分おもしろかった。古いのになんだか新鮮だ。これほどおもろく雰囲気ばっちりの日本ファンタジー映画があったとは。大江山に酒天童子とゆう鬼が棲みつき都には怪異があふれ、山賊たちが暴れまわり、これを退治するために関白の命をうけ源頼光が立ち上がるが、実はその裏には男と女の悲劇の物語が隠されていたとゆうお話。冒頭の入りからしてかなりいい感じだ。オドロオドロしい日本の絵巻物語の雰囲気がかなり出ている。さらに、妖怪変化の特撮もその雰囲気にあっていて、これまたいい感じ。土蜘蛛や牛鬼などは巨大なハリボテで見せてくれる。このハリボテも出来は悪くない。女が舞を踊るとあたりが怪しくなり牛鬼が城の上空に女をさらって登場するくだりなんて幻想的でいて、こんな日本妖怪映画を見たかったとゆう気持にさせてくれる。安倍晴明がちょっとだけだが登場するが、陰陽師とゆう邦画があったけど、ヒーローものな子供むけな雰囲気のあるあの映画より、雰囲気としては断然こちらの方が安倍晴明の魑魅魍魎な時代を反映した雰囲気がある。物語的にもよく出来ていて、酒天童子の新解釈ともとれ、テンポもいいし、一つ一つのセリフも心にすんなりはいってくる。後半には、結構スペクタルな合戦シーンもあり、茨木童子の神秘的だけど献身的な姿勢や好き勝手に暴れる山賊達により徐々に困惑していく酒天童子の心のうちなど、他にもひきつけられる要素がてんこ盛り。最後まで十分楽しめました。大人の妖怪絵巻だと思う。 【なにわ君】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2009-02-12 22:00:46)
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【点数情報】
Review人数 |
2人 |
平均点数 |
8.00点 |
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