みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
149.《ネタバレ》 ガールフレンドとの噛み合わない会話で主人公の人となりを如実に示す導入が見事だ。主人公マーク・ザッカーバーグが如何に傲慢なティーンエイジャーであるか、そして自らのその傲慢さに如何に無自覚であるか、さらには彼が如何にコミュニケーション能力の欠落した孤独な嫌われ者であるかを、監督デイヴィッド・フィンチャーは、一見他愛のない冒頭の数分間だけで強烈に印象づける。ボストン大の学生なら時間を惜しんでまで勉強する必要もないだろうと悪気なく言う彼が、一目散に走り戻る名門ハーバード大の学生寮。フラれた腹いせにガールフレンドの中傷をブログに書き込むマークは、それが恥ずべき卑劣な行為であるなどとは夢にも思わない。自分を必要としない凡庸な人間への怒りと渇望、それこそが彼の持ちうるただ一つのコミュニケーション手段だからだ。悪趣味な女子学生の品評サイトも、それに続くSNSの立ち上げも、マークのそうした幼い承認欲求に基づく産物であるという意味では、本質は同じだ。欲求をあからさまにむきだしたブログや品評サイトは反発を食らい、欲求を包み隠したスマートなFacebookは万人に受け入れられた、両者の差違はただそれだけでしかない。彼の思惑どおり、驚異的なスピードで膨れ上がっていくFacebook。だがフィンチャーがここで真に見据え、そして描くのは、この若き天才青年によるサクセスストーリーの、奇型的なその裏側である。Facebookの爆発的成功とはうらはらに止めどなく空洞を拡げていくマークの青春と、その失敗。彼の不遜なまでの優越感と一方でその内に巣喰う巨大な劣等感は、まさに青春映画の構図そのものだ。 ウィンクルボス兄弟のようにボート部のエースとして活躍すること、あるいはエドゥアルドのように名門クラブから招待を受けること、そんなちっぽけな権威や名誉は、史上最年少で億万長者になったマークの成功に比べれば子どもだましな玩具のようなものだ。しかし誰もが羨む成功を手にしたこの孤独な天才が心の底で本当の本当に望んでいたのは、その玩具の方だったのかもしれない。ラスト、はじめて自分から痛切に友だちを求め「更新」キーをクリックし続けるマーク。皮肉たっぷりなビートルズのBaby You're a Rich Manが、負け犬の栄光と挫折を辛辣に祝福する。祈るように彼が見つめるモニターは、そして彼が見つめるその世界は、いつか更新されるだろうか。 【BOWWOW】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-01-18 17:33:04)(良:5票) 148.《ネタバレ》 「天才の孤独」を見せながら、凡人の孤独も感じさせてくれる作品でした。他者と上手くコミュニケーションが取れない主人公。冒頭のガールフレンドとの会話がそれを象徴し、導入として秀逸です。システム作りに熱中してアイデアの盗用を疑われたり、サイト拡大の為に友人を裏切る行為を容認したり。やはりその知性には幼稚な部分が窺える。彼は「知ること」や「創ること」に対する興味は人一倍あっても「理解すること」や「共感すること」に対する意識は極めて希薄だった。それが「天才」の性向と画一するのは早計だけど、彼の孤独は自身で招き入れたものだ。ガールフレンドの悪口をブログに書きなぐったことは弁解の余地も無いが、よく知りもしない奴らから「あいつは友達が2~3人しかいない」なんて断言されるのは、さすがに可哀想でした。SNSの主旨や目的は彼にとって皮肉と演出される。漠然と感じたのは、天才では無くとも趣味的時間をPCに向かって費やす時間が長い人には、主人公と同様の孤独を感じている人も多いのでは、ということ。孤独感を端末上のコミュニケーションだけで癒すことは難しく、友人を作るサイトがあっても、それを有効に活用できるかどうかはやはり本人の資質に戻って行く話なのでしょう。喧嘩別れしたエリカへメッセージを送って更新を何度もクリックするよりも、1本の電話を入れるべき。その二つの行為の狭間に、この十数年で急速に肥大したネットコミュニケーションの功罪を見る思いでした。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-01-16 04:17:40)(良:5票) 147.《ネタバレ》 見始めて少し経ってから、「フェイスブックの映画だ」と気付きました。 フェイスブックそのものに興味は有りませんが、ジェシー・アイゼンバーグの演技に説得力を感じて作品に引き込まれていきました。 主役の彼が演じるマーク・ザッカーバーグがフェイスブックを立ち上げるきっかけや拡げて行く理由の殆どは負の感情から来ています。 物事の行動原理は主に欲望や感情に起因していますが、天才が世の中の新しい常識を創るような発明も凡人と何ら変わらない理由がきっかけとなっているのは面白い所です。 バーニングマンというアートイベントも彼女に振られた男の行動がきっかけで始まったという話も思い出しました。 そんな天才マークが作中唯一表情を緩める相手は友達のエドゥアルドでも彼女のエリカでもなく、ナップスターを立ち上げた山師のショーンです。 エドゥアルドがフェイスブックを単なるビジネスツールと考えていたのに対して、ショーンはフェイスブックを『クール』なものとして捉えています。 マークにとって彼のプライオリティの頂点に位置するフェイスブックを肯定し、その本質とも言える部分を見抜く事の出来るショーンは最高の理解者と言えたのではないでしょうか。 また、マークにとっての『クール』とは彼の最大のコンプレックスで、フェイスブックに『クール』を見出したショーンに無意識のうちに傾倒していくのは極めて自然な事だと思います。 ショーン・パーカーは欲しがっている相手に最も欲しがっている物を与える天才として描かれています。 彼の周りにいつも女の子が居るのも納得です。 物語はフェイスブックの成功の過程と並行して、この3人にウィンクルボス兄弟を加えての醜い人間ドラマを描いています。 フェイスブックを立ち上げた理由がもっと社会的に意義の有るものだったらここまで酷い事にならなかったのではないか等と甘い理想論の様な考えを抱かせる程に彼等の争いは虚しく映ってしまいます。 ジェシー・アイゼンバーグの演技や編集、音楽、タイムリーな話題性等の優れた要素を軸にテンポ良く色々なイベントを矢継ぎ早に見せてくれますが、正直内容的には見終わってからも印象に残るものは余り有りませんでした。 脚色はされているものの実話という事で話に惹きつけられますが、もしフィクションだと仮定してしまうと物語自体はそれ程魅力のあるものではないように感じます。 作中では上記の登場人物の中でもエドゥアルドが最も好意的且つ良心的に描かれていると思います。(マヌケな部分はありますが) マークと彼の間の示談条項は非公開で彼は本作の監修に携わっているとの事です。 条項内容に映画製作等があった場合、他の関係者を除外しての単独検閲権限も含まれていたのではないかと勘繰ってしまいます。 【しってるねこのち】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-06-15 19:06:26)(良:3票) 146.《ネタバレ》 マークの心理描写は120分中、冒頭の7分弱で終わる。その後、マークの側にいたサベリンの心理描写が克明に描かれている。「おれが最初にマークを評価したんだ、おれがマークと一緒に成功するんだ!」という彼の焦燥感が伝わってきました。それなのに双子の資産家や山師のショーンがあとからやってきて、マークという宝の山の奪い合いをはじめる。金の匂いに敏感なやつらだ。勝者は嗅覚が優れている。比喩的な表現になりますが彼ら勝ち組は、マークという名の錬金術師を見つけたのです。そして政治家顔負けの謀略を繰り広げ、そのなかでサベリンが見事に脱落してしまった。この男の孤独が痛いほどわかる・・そしてこんなときのマークの心理描写は意図的に省略されている。すなわち製作者は、マークを物質的な「金のなる木」と見立てている。それゆえに主観は極力排除されている。彼は単なる金、もしくは宝の山の象徴なのだ。この手法により「金」に群がる者たちの人間模様─、右往左往し、そして一喜一憂するヒューマンドラマを描くことに成功した。そして裁判。どんな判決が出ても、けっして勝者がいない裁判。果たしてこれは本当に成功者の物語なのか?ハーバード連中の勝ち組の物語のようにみえて一筋縄にはいかないそんな曲者ぶりがこの作品には終始漂っている。ソーシャルネットワークという事象に限らず、才能溢れる人のまわりでは、常に大金が動き、独特の嗅覚をした奴らがそこに群がってきやがる。冗談じゃない。この映画はフェイスブックだとか、起業家の実像なんていう話はどうでもよくて、宝の山に群がる人間たちの人間模様を描きたかったのだとおもう。そしてその試みはじつに見事に成功したものだと考えます。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-01-27 22:29:37)(良:3票) 145.映画の中で、主人公は自らが創り上げたサイトの在り方に対して頑なに言う。 「クールじゃないと駄目だ」と。 そのセリフどおり、この映画は、ひたすらにクールにそしてシンプルに、「今この時代」の成功と挫折を描き切っている。 「事実をもとにした映画」というものは、星の数程もある。今年のアカデミー賞において、今作と賞レースを争っているのも、実在の英国王を描いた作品だ。 ただし、数多のそういった映画に対して今作が特異なところは、描かれる「事実」が遠く過ぎ去った過去ではないということだ。 「フェイスブック」という、今この瞬間もそのテリトリーを全世界に広げていっているソーシャルネットワークサイトの成り立ちと、創業者の生き方。この映画で描かれるすべてのことは、ほんの数年前のことであり、継続中の「事実」である。 主人公の生い立ちやバックグランドなんて一切描かず、彼の感情さえも大部分において明確には描かれない。 ただただシンプルに、主人公がこの数年の間で、“何をどうしたか”そして“何が起こったか”ということのみを、クールに描き連ねているだけだ。 普通に考えれば、酷く淡白で退屈になりそうなプロットにも関わらず、映し出される映画世界は、クールやシンプルという形容に反して生々しく、不思議な程にドラマティックだ。 主人公が発する膨大で慌ただしい台詞は、そのまま、今の世界に溢れ行き交う「情報」を表している。 目まぐるしい映画のスピード感は、変化し続ける世界と、そこで急激な成長を遂げたSNSの姿そのものであり、その一つの「中心」に存在する人間の避けられない“在り方”を如実に表現していると思った。 正直なところ、鑑賞前は今流行りの媒体を描いた軽快でポップな映画なのだろうと思っていた。 しかし、そうではなかった。この映画は、今この時だからこそ描けて、そして今この時だからこそ観られる決して“普遍的ではない”ドラマだと感じた。 逆に言うと、今この時だからこそ、最大の価値を見出せる映画だとも思う。 その特異性も、自らが生み出したSNSの「価値」をひたすらに高めていった一人の男の「成功」と「孤独」を描いたこの作品に相応しい。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-02-27 09:33:13)(良:3票) 144.冒頭から凄まじい会話の応酬、情報量。この情報量、そして「かみ合わない」オープニングシーンが本作を最も端的に著している場面ではないかと思う。 主人公役のジェシー・アイゼンバーグがとにかくハマりすぎ。名演。 事実に基づいた天才プログラマーの成り上がりを描きつつも、それに伴い失っていくもの、そして世界最大のコミュニケーションツールを作ったのに、身近な一番繋がりたい友人と繋がれない切なさ。エンディングは秀逸だと思いました。 トレント・レズナーの音楽もベストマッチ。 とにかく終始凄いスピード、情報量なので、字幕が苦手な人は辛いかもしれないが、主人公の演技を堪能するためには是非とも字幕で鑑賞すべき。 個人的にこの映画に似た映画を観たことが無いので、貴重な経験だった。 7.5点献上。 【おーる】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-14 09:13:54)(良:3票) 143.《ネタバレ》 予想以上に面白かった。専門業界の会話劇なのにテンポがよく、明確な結末がないにも関わらず消化不良のモヤモヤ感はない。 (作中の)マークは悪人ではない。自分の感情にも他人の感覚にも無関心、社会性がごっそり欠如しているだけだ。怒りは行動と結果で巻き返そうとする気概があり、安易に他人の情に頼ろうとしない克己心もある。なのでどれほど言動がKYであっても、不思議と人の関心を惹きつける「キャラクター」としての魅力があった。(実際に身近にいたら嫌だけど) そもそも彼らのすれ違いの原因は、社会経験がないうちに事業を当ててしまったところにあるのではないかと思うし、対人関係においては衝動に任せた行動しか取れなかったマークが、エドヴァルドとの別離やショーンという反面教師のおかげで、「他人にとっての自分の存在価値」という概念が芽生えたラストは後味が良かった。 また作中のSNSはあくまで取引商材にすぎず、「ネットのコミュニケーションは空虚で云々…」という年寄り向けの陳腐なエピソードを入れなかったのも革新的。 この映画のテーマとなっているのは、メールや電話といったコミュニケーションの「手段」ではなく、友人たちとの衝突を通してマークの心が他人に向きはじめたという、急成長な事業を通しての心の成長にあるのだと思う。 【アキ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-01-25 00:00:14)(良:3票) 142.《ネタバレ》 人間関係が上手く構築出来ないオタクエンジニアが彼女にふられた。おそらく彼自身自分の社交性の欠如には気が付いていた、すなわちソーシャル(社会的な)人間関係はどのようにして成しえるのか、他人は何を欲して社会性に溶け込むのか、主人公の頭の中には常にそのことでいっぱいだ。この映画はビジネスのサクセス物語ではない、ましては裁判、訴訟映画でもない、ラストの何度も「更新」をして彼女からのメールを待つ終わり方には、一人の女性に振り向いてもらいたかった若き億万長者の恋物語に思えた。 【かのっさ】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-01-22 01:13:10)(良:3票) 141.《ネタバレ》 コミュニケーション能力が極端に欠如した人間がコミュニケーションツールを構築するという皮肉、これはネット社会を痛烈に批判した映画なのか?と言うと、そんなに単純なものでもなさそうで。mixiのフレやtwitterのフォロワーとの繋がりにしろ、2chで名無しで人を中傷するお馬鹿さんにしろ、希薄化する関係性に対するネットを介しての自己の存在確認作業っていう意識が働いているように思えるのですね。ほら、ひと昔前、女子高生が友達のまた友達の・・・ってプリクラを沢山集めていたように、それはこの世界で自分って存在が他者と繋がっているという証明を得る事でもたらされる安心、みたいな。でも、そこに重きを置く事でリアルでは更なる希薄化を生み出したり、どんどんと複雑で肥大化したシステムとなり、大量の情報が溢れる事でネットの内側でも結局は繋がりが希薄になっていったり。この映画に登場する人々は極端な味付けをされていると思います。主人公の、他者と視線を合わせない、会話が噛み合わないっぷりったら、もうハナから絶望的な存在としてシンボライズされていたりして。でも、嫌悪感すら抱かせるあの姿は実際のところ、まるで別の次元の人間と言えるのか?って。新米弁護士が語った法廷での証言の中身(誇張85%、残りの15%は嘘)は、そのまま日々ネットで表現される個人にあてはまりそう。そんな今の時代のコミュニケーションのあり方を問うてみせた映画として認識させて頂きました。結局はリアルにしろネットにしろ、コミュニケーションの本質って変わらないんじゃない?って。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-01-19 16:15:55)(良:3票) 140.《ネタバレ》 正直、フェイスブックやザッカーバーグについて殆ど知らなかったので、最低限の知識を事前に入れて鑑賞。展開はテンポよくサクサク進み全く退屈しなかったです。ただあまりに作品としてスピーディーな語り口なせいか、鑑賞後にそのままサーッと印象が流された感じが私は否めなかったので、一回だけの鑑賞では捉えきれないものがありました。ちょっとしたきっかけとアイディアと行動力でザッカーバーグは恐るべきスピードでフェイスブックを巨大化させていく下りはちょっと恐くなり戦慄すら覚えました。そしてそれによる代償と結果も同時に見せて『一体、何だったんだ・・?』と虚無感も感じました。ザッカーバーグ始め他のキャラクターの人間性の深いドラマ部分の描写に関しては、この映画の中では敢えてあまり見せておらず、色々な解釈の余地を残しており誰に特別、感情移入をする事無く冷静に各キャラを観れたのは良かったです。ザッカーバーグはいいヤツではないかもしれないが、すべて間違っているとは思えない、訴訟を起こした兄弟も共同設立者のエドゥアルドの言い分も最な所もあるし、ナップスターのショーンもドラッグ以外はすべてが悪いとは言えない・・巨大なうねりの中ですべての歯車が噛み合うとは思えないし、時には冷酷な判断を下すのは止む得ない所がある、誰が悪いかの善悪の判断は難しく、色々考えさせられました。ラストの五億人の友達を作ったと銘打たれた男のたった一人の『友達』の承認を待ち続ける姿は、淡々としていながら実に彼の孤独を的確に表した見せ方と感心しました。ラストのテロップ『登録者5億人、企業価値250億ドル』・・驚異的な事なのに、じんわりと虚しく響く・・ 【まりん】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-01-16 16:57:17)(良:3票) 139.《ネタバレ》 自分も主人公と同業の末席にいる人間ですので色々と身につまされたりリアリティを感じる内容でした。仕事が出来ることと倫理感は別であるとか、自分が「楽しい」とか「便利である」と思ってるサービスじゃなければヒットはしないとか、絶えず良いサービスを考え続けないといけないとか、天才や本当に仕事が出来る人の横についていくだけでも大変だ・・・とか。でも色々考えている今の時期に見る映画としては素晴らしい選択だったと思っています。 【AIRS】さん [映画館(吹替)] 8点(2011-01-16 03:52:33)(良:3票) 138.《ネタバレ》 主人公、マーク・ザッカーバーグ。かのハーバード大屈指の天才であり、やがてネットビジネスの寵児となる者。しかし、その人間性は「問題アリ」で、個人的には絶対に関わりたくないタイプ。でもこうして客観的に見ているだけなら楽しく退屈させない人間なので、映画のキャラクターとしては最高かも。 Facebook創設の歴史は確かに興味深い。しかし、この映画には実はもう一つのテーマがあります。本作は、百の屁理屈を並べる凡人たちよりも、金のなる木に群がる凡人たちよりも、(何かを初めに) 創作した者こそが最も偉大、、という、古今東西、あらゆる分野における「創作者」たちへのリスペクトである、と思っています。もちろん、Ⅾ・フィンチャー監督ご自身による、「幾多の映画評論家よりも "映画監督" こそが偉大である」というメッセージが暗に込められています。 世界中のユーザに異性と出会う機会を与え、Facebookを通じて多くのカップルも誕生したと思います。その創設者自身が目の前にいる意中の女性を落とせないとは、笑っちゃいけないけど皮肉なお話でした。しかし、ネットビジネスにおける偉大な人物、それが実は恋に彷徨う等身大の一人の若者だった、、彼に愛着がわくような締め方には "人間愛" があってよかった。 個人的には、過去と現在を延々と繰り返す手法は苦手なこと、そしてこういった映画は公開当時、つまりFacebook全盛期に観てナンボでしょう、という思いはあります。 以下余談。 出演した俳優たち、ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、そして、ルーニー・マーラですか。当時はそこまで有名ではなかった認識ですが、特に本作以降、役者として大成したように思います。今改めて、Ⅾ・フィンチャーの役者を見る「慧眼」は素晴らしいとしか言いようがありません。 【タケノコ】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-11-28 23:00:32)(良:2票) 137.現実に勢力を拡大し続けるSNSの裏話を虚実交えて描いた映画。進行形の実話を基にした映画だけに劇的な描写もなく、徹頭徹尾、客観的な視点で進行し、登場人物を応援したり手に汗握ったりというドラマの醍醐味は、全くと言っていいほど無い。しかし、圧倒的なテンポの良さ(時系列の違う場面がビシビシと入れ替わるスタイルが効果的)で、あれよあれよの間に観終えてしまった。暴走しエスカレートしていく出来事をハイスピードで見せていくデヴィッドフィンチャー監督ならではの手腕に脱帽。トレント・レズナーの、哀しく、ミニマムな音楽も驚くほどハマっている。 ただ正直、テクニックの鮮やかさに酔う以外、一度観たら充分な内容。 ここ数年(「ゾディアック」もそうだが)実話を基にした半ドキュメンタリー形式の作品が多いフィンチャー監督だが、この路線は本作でもう充分ではないか。 確かな演出力が健在なうちに、心を揺さ振るドラマ作品を撮ってほしい。 【i-loop】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-09-26 09:33:11)(良:2票) 136.楽しい映画、悲しい映画、怖い映画、切ない映画、いろんな映画があるけど、これは実に虚しい映画。 冒頭からラストまでマーク・ザッカーバーグという人物の描き方が一貫してるのがいい。 フェイスブックはどんどん成長していくのに彼は何も変わらない。 感情移入するのは難しいかも知れないけど、憐れむことなら容易にできるでしょう。 フェイスブックが世界的に注目されてる現状で評価するなら興味深いサクセスストーリーと言えなくもないけど、やがて訪れるだろう衰退期に改めて見直してみたいですね。 虚しさが倍増して更にいい作品になってるような気がする。 ラストの虚脱感、好きです。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-08-29 15:58:00)(良:2票) 135.最年少での億万長者となったのを成功者、幸せ者と捉えるか否か、観る者の価値観に問いかけています。ジェシー・アイゼンバーグの好演は光るものの、無機質な話に喜怒哀楽の感情が湧かない作品でした。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-08-05 01:05:18)(良:2票) 134.《ネタバレ》 インターネットという時代の流れと才能が上手く噛合い、大きく展開していく様はまるで新たな歴史が作られていくのを見ているようにも感じた。 気になる女性に自らを認めさせたいという天才でありながら、ほんの少しの完璧でない人間性が作り上げた物語(ソーシャル・ネットワーク)は、様々な事に対してもまだまだ多くの可能性がある事を教えてもくれる。 そして、お金と友達、恋愛という数字では表せられない幸せが思い通りにいかないという事も。。。 今作は今だからこそ作られ、見れる映画だと思う。 なぜなら10年、20年後にはもっと新たなコミュニケーションツールが出来ているかもしれない。 色々な意味で深く考え、楽しませてくれる内容は十分映画的で素晴らしかった。 ラストの何度もクリックする姿が、変わらない彼らしくてとにかく印象的!! 【sirou92】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-01-29 23:06:58)(良:2票) 133.なんとも不愉快な映画。その不愉快の根源は、人間関係の問題を顕在化させるときに金を使ってやり、形而下に収めるときも金でやり、登場人物の心の動きなんかどうでもよくて、話の中心にあるのは金、金、金であるということ。でもこれは原作というか、事実のせいなので、映画のせいにするつもりはありません。テンポがよく、演出も小気味よい。見ごたえもある。だけど、こんな映画を大好き!というつもりは未来永劫ありません。くだらないッ! 【ケルタ】さん [映画館(字幕)] 3点(2011-01-24 18:07:15)(良:1票) (笑:1票) 132.シンプルで無駄が無く驚くべきテンポの良さ、息つく暇も与えない構成で、Dフィンチャーの作品は2時間を超す長いものが多いですが、本作は全くその長さを感じさせません。 主人公であるザッカーバーグだけでなく、エデュアルドやショーンといった彼のパートナーや、大富豪の名門の家柄でオリンピックに出るほどのボートの選手でもあるエリート意識の塊のようなウィンクルボス兄弟らが何者かもしっかりと描かれており彼らが抱く野望や意志がとても強く伝わってきます。作中のザッカーバーグと彼らが描かれる配分も良かったと思います。 伝記ものというジャンルは、その人物が健在でバリバリ活躍しているほど、そこに作者の私情や評価を挟もうとすればするほど難しいと思いますが、冒頭で口論となったガールフレンドが「あなたは最低よ」と立ち去っていくのに対しラストで新米弁護士の女性が「あなたは悪人じゃない。そのふりをしているだけ」という台詞が印象に残ります。これが本作のザッカーバーグに対する思いだったのでしょうか。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-01-22 00:50:44)(良:2票) 131.《ネタバレ》 とても見応えのあるドラマでした。 登場人物の心情を捉えるような叙情的なカットは殆ど無く、 圧倒的な量のセリフがストーリーを牽引している。 それでいて、名門クラブに憧れるマークの親友エドゥアルドを始め 資産家のエリート兄弟やナップスターを創ったカリスマ・ショーンなど マークの周囲の人物は滑稽さも含めて実に個性的に描かれている。 逆に、マーク自身の印象自体が希薄に感じた。あえて感情移入を避けたのだろうか。 端的にいえば、facebook誕生という歴史的事実を巧みな群像劇として見事に仕上げている。 そして、成功の影に愛や友情を失うといった物語は、 何を考えているか明かさないマーク自身の人間性から生まれた亀裂である。 そんな彼が、エリートだけのネットワークに対抗し、より開かれたネットワークを構築したこと自体皮肉であり本作の焦点ともいえる。 直接的な人間関係が希薄になる現代社会において ラストは喪失感もあるが、それと同時に希望も描かれている。 新たな革命に期待します。 【シネマブルク】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-01-20 18:24:41)(良:2票) 130.《ネタバレ》 これは傑作。前評判が高すぎて、肩透かしも覚悟していたが、これなら文句無し。最も勢いのある業界を舞台にした人間ドラマという意味では、現代の「ウォール街」にも似ている。 まずは冒頭のマークと恋人エリカの高速おしゃべりから一気に引き込まれた。天才だから論理的ではあるが、同時にオタクであるが故にあまりにも歯に衣着せない、相手に対する配慮が足りないマークの怒涛のおしゃべりを堪能できる。本物のマークがしゃべっているところを見たことがないので迫真なのかどうなのかは分からないが、ジェシー・アイゼンバーグのリアル(そう)な演技はさすがだ。 登場人物を絞ったのも正解。マークと友人のエドゥアルド、ショーン・パーカー、ヴィンクルヴォス兄弟くらいを押さえておけば、だいたい理解できる。マークはもちろんその他のキャラクターもきちんと立っており、取り違えることは無い。全編を通じて会話量が物凄く、もっと英語が理解できれば!と何度も思ったが、キャラ立ちのおかげである程度字幕に集中できるのはありがたい。 ラストの盛り上がりに欠けるという意見もあるようで、それには納得できる。ただ、確かにクライマックスというわけでは無いが、マークと若い弁護士とのやり取りやその後のマークの行動は「天才の孤独」を象徴していて感動的だった。しかも天才なだけではなくとてつもなくお金があると、さぞかし生きにくいだろう。 最後に、本筋とは関係ないが、ハーバードの学生生活で一番驚いたのは「クラブ」(男性限定の排他的なサークルみたいなもの)の存在感。理不尽な入会試験がある閉鎖的な組織にもかかわらず、マークの友人エドゥアルドをはじめ、皆名門クラブに入りたいようで一生懸命なのが日本と比べて著しく異なっていてびっくりした。フリーメーソンとか結社系には欧米人は弱いのだろうか。日本人よりもよほど集団主義的だと感じた。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-01-15 23:29:00)(良:2票)
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