みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
43.《ネタバレ》 光と影のコントラストがとても美しい。 背景となる舞台もスゴいですね、パースが歪んでいてとても変な空間だと思う。 遠近感がオカしいんです。椅子にしても異様に高かったり、扉も歪み、家も傾いているし、、、 建物の隅っこや部屋の奥、開いた窓などに影ができて、それがとても深い「闇」をつくり出している。 光と影がその造形の異様さを強調するのです。 とても歪んでいる作品、しかしその奥にとても美しいものがある。。。 それは登場人物の大袈裟で大胆な身振りからもいえます。 その身振りから狂気が伝わって来るかの様。 手のひねり方にしても、表情にしてもなんといいますか、、、とても繊細なものを感じます。 言葉にしても、とても美しい余韻を残す。 音楽もとてもお洒落で好いんです。 チェザーレが目覚めるところは薄気味悪くてゾッとする。コワい、、、 「自分の寿命はあとどれくらい?」なんて訊いちゃダメですよ!絶対に「明日だよ」とか、そういう答えが返ってくるんだから。。。 ストーリーとか全く記憶できないんだけど、この異常なまでの映像美と怪しさに退廃に9点。 解説を見ても、当時としてはかなり型破りなことをやり (CGとかぜんぜん無い時代に異様な空間を創り出そうとしたのは凄いと思う) それがとてもプリミティブでリアリティがあるんだと思う。 どこまでが現実でどこからが夢かわからない。 「光の強いところには強い影が存在する」みたいなことを読んだことがあります。 この作品では「影」がとても大きく支配している。 光と影が作る幻想、、、とても怪しい世界、歪んだ「美」、、、、カリガリ博士! 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-01-22 00:04:42)(良:3票) 42.コントラストを利かした白黒の映像、カリガリ博士の強烈な風貌、斜にセットされ不安定だが幾何学的で幻想的な舞台美術…等々、まるで奇怪な夢でも見ていたかの様な60分でした。《ネタバレ》物語りといえば、精神異常者の妄想という古典的なオチで終るサイコ・ホラーなんですが、見方を変えれば様々な解釈が出来る風刺映画。カリガリ博士とは黒幕のことで、戦争指導者を痛烈に批判しているというのは時代背景からして大いに納得。 何回でも見たくなるコワイながらも不思議な映画でした。 【光りやまねこ】さん 9点(2003-08-23 23:25:01)(良:2票) 41.《ネタバレ》 話の内容や演出の意図が隅々まで分かり易い・伝わり易いというサイレントではない…とも思いますが、ソレでも一点、サイレントならではの「演技の質」とゆーのには、また大いなる見ドコロが在るという作品かと思いました。やはり、音・台詞に頼らないという意味ではある面で非常に「高度な」とゆーか、少なくとも現代のソレとはかなり「異質な」という意味での面白さ・興味深さとゆーのが(サイレント映画の演技には)存在していると思うのですが、今作は、まず状況設定からして異常なコトもあり、かなり独特・独創的なソレを観るコトが出来たという実感はごく強力でした。やっぱり、兎に角はチェザーレ、でカリガリ博士、そしてラストにかけてはフランシスとジェーン…この彼らの「狂気」の表現は、間違い無く実に高度で普遍的な演技の仕事だったと思います(+そしてまた高度に異質で「ココでしか観れない」という感じも在り)。コレまでも、またコレからもずっと、永く観て損は無い作品として在り続けるのではないか…と思いますね。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-03-03 20:44:24)(良:1票) 40.《ネタバレ》 中世ドイツで流布していた民間伝説を基にして舞台設定を近代(?)に持ってきた脚本、「夢遊病者がフランケンシュタインの怪物みたいに恐れられている」という世界、その不安定な世界線には何となく違和感を覚えますが、オチを知ると納得してしまいます。でも良く考えると、百年以上前の作品だということには戦慄を覚えます。 この映画を語るときにはアイリス・ショットの多用が取り上げられますけど、当時の映画撮影技術としては良く使われていてさほど珍しくもない。真に凄いのはやはりアヴァンギャルドなその美術やセットで、まさにこれこそ“ドイツ表現主義”の誕生した瞬間と言えるんじゃないでしょうか。またカリガリ博士やツェザーレのメイクが毒々しいほどで、「メイクも俳優の演技の一部」というような製作者の主張すら感じさせられます。また当時の撮影技術では闇を映すことが出来なかったので、逆手をとったようなホワイトバックでの闇表現がまさに“白い闇”という感じで禍々しさが強調されている感すらあります。「実はすべて精神病院入院患者の妄想だった」という当時のハリウッド映画では考えられないような身も蓋もない幕の閉じ方も、いかにもドイツ映画らしいと言えるでしょう。脚本にはフリッツ・ラングも係わっていたそうですが、このストーリーテリングも後世に多大の影響を与えていることも見逃してはいけないでしょう。 DVDは字幕が英語なので英米向けバージョンだったんでしょうけど、劇中で映されるカリガリ博士の日記なども英語で綴られていました。これって言語バージョンごとに撮っていたのかな、オリジナルは当然ドイツ語でしょうし、とすれば芸が細かいことです。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 7点(2022-08-04 21:27:03)(良:1票) 39.《ネタバレ》 映画の発達史を考えると、当時としては非常に画期的なセット、描写ではあったのだろうし、その突飛さはなかなかのものだと思う。 が、面白く見て楽しめるかというと、×。 ストーリーは最後の結末含めて、ある程度しっかりしているのだが、サイレントのテンポと、役者の大仰な演技に違和感ありまくり。 「戦艦ポチョムキン」もそうだったが、映画ファンなら勉強の意味で一度は見ておくべき映画なのかもしれないが、楽しもうと思ってみると後悔します。 【nobo7】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-07-01 01:44:45)(良:1票) 38.《ネタバレ》 「カリガリ博士」今までずっと「ガリガリ博士」だとばかり思ってました。「ガリガリ博士」でもある意味、怖いけど、これは本当に怖い。まず何よりもあのセット、歪んだセットと白黒の画面、美しい映像美、それに常に何かに対して怯えさせるような情緒不安定な空間、建物、光と影のコントラストのバランスの素晴らしさ、役者達の表情も怖い。寝ている男の向こう、シルエットに突如として現れる男、殺人鬼の大きな影、同じく寝ている女の所に足音すら立てずにそっうと忍び込んでくる殺人鬼のその姿の怖いこと!女を抱いて屋根裏へと逃げて行こうとする場面も何ともスリリングです。屋根、窓、その他とにかくあらゆるものを駆使して、恐怖に怯える人達の不安定な心理というものを捉えているのも素晴らしい。映像とは何か?表現方法に対する一つの答えのようなものをこの映画から感じることも出来る。けして、CGでは表現出来ない画面構成の美しさとセット、美術による映像表現、この映画は映像の持つ凄さというものを観るだけでも十分に値する作品だ!またしてもはるか遠く、昔のドイツ映画のレベルの高さというものを教えてもらった気がする。 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-07-27 10:39:27)(良:1票) 37.ドイツ表現主義映画のハシリであり極北。天才博士にして連続殺人鬼というキャラはラングの『ドクトル・マブゼ』に継承され、実行犯の眠り男の描写と光と影による恐怖演出はムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』に継承される。この頃のドイツ映画は物語が洗練されていてとても楽しめるものが多く、これも例に漏れずで回想形式によるドキドキ感とラストの驚きのどんでん返しは当時の観客をとんでもなく驚愕させたんじゃないだろうか。ただ、その一方でどんでん返しのオチが懲りすぎているようにも感じてしまったのは、おそらく幻想的な映像でじゅうぶん興奮しているところにえらく現実的なオチを持ってきていることに対する不満だと思う。不安を背景全てで表現する前衛的なセットと、モノクロにもかかわらずカラフルさを感じるセットの色が強烈なインパクトを持っていて、それだけでも十二分に楽しめる映画。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-06-19 13:45:07)(良:1票) 36.《ネタバレ》 これ、1921年制作です。日本では大正10年です。大正デモクラシーとかいっています。でも、遠いドイツでは、この映画です。狂人の映画です。セットが曲がっています。話も曲がっています。メイクも変です。字幕の文字も尋常ではありません。狂人の見る世界を私達が見ます。現代の私達だから、あれやこれやの批判もできる。ドイツにはすでに、狂人の夢を語る映画を作る人がいる、見る人がいる。文化の進化度が分かります。ドイツ表現主義。ヨーロッパでは絵画にキュビズムが出た時代。夢を語る、精神分析の影響の強いシュールレアリスムの夜明け。日本は夢野久作の「ドグラ・マグラ」が出るのをあと10数年待たねばなりません。 【K-Young】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-02-11 14:07:55)(良:1票) 35.モノクロと無声映画、そして時代を経た古さからくる不思議な感覚がまず映画の世界にひきつけてくれる。いったいこの時代にどんなストーリーを展開してくらるんやろーって感じで観てると、なんだかワクワク。しかし意外と猟奇的で興味深いストーリーにちょっと驚き。いや、冷静に観ると、なんや、そんな話はアリガチって思えるが、猟奇的オトギ話感覚ってゆーんかな、この雰囲気でこんな映画は最近では逆に新鮮。夢遊病者の眠り男、カリガリとゆう不気味なネーミング、ヘンテコな建物、しかも1時間もない短さなので観やすいし。眠り男が最初に目覚めるシーンが特に好きです。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-09-27 14:15:25)(良:1票) 34.サイレント期のドイツ映画はどれも素晴らしい。ドイツ表現主義の映像の迫力は、それだけで言葉を必要としない。この作品の大掛かりなセット撮影にしても、平衡感覚を失った前衛的な建築物のデザインには驚かされる。数多く見られる実験的なマスキングも興味深く、チェザーレが女の部屋に忍び込むシーンでは、斜めの構図を思わせる菱形のマスキングが施されている。全てが効果的なものばかりではないが、その模索が感じられる。カフカ的な悪夢を映像化したストーリーもこの時期らしい。一方で、ソニマージュとして完成されている音楽との調和には編集技術の高さも感じられる。この作品自体が傑作というわけではなく、後の傑作を支えた重要な足跡じゃないかと思う。 【ハッシーふりかけ】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-03-16 15:32:23)(良:1票) 33.《ネタバレ》 中一の頃、なぜか学級文庫に古い古い映画事典が置いてあり、そこに『カリガリ博士』のストーリー紹介が百枚近いスチルと共にストーリーボード形式で載っていたのです。おぞましく危うい展開に、何度も何度も読み返し、即夢中になりました。そんな若かりし頃から幾星霜。宿願かなってDVDが発売され、数年前にやっと鑑賞する事ができたわけですが…スチルの印象と大幅に違うのに驚きました。あの不思議なセットをバックに人々が動き回ると、シュールさがどんどん増して行くんですねー。逆に「絵」としては強烈だったチェザーレの逃亡シーン、郊外の田舎道は動画になるとイマイチでした。やはり建築物のセットの素晴らしさだと思います。 ストーリーについて。本作の公開された1919年は、パリ講和会議にベルサイユ条約の締結で第一次世界大戦に決着のついた年。無謀なベルギー越境作戦によって自ら大戦を始め、最後まで敗北を認めなかったドイツ。戦争に善悪はなく政治の延長線だと考えていたドイツ。戦後処理でダダをこねまくり、賠償金を値切ろうとし、連合国に「やりすぎだ」と噛み付いたドイツ。帝制を廃しただけで軍と官僚は責任を取らずにゴッソリ人材を温存したドイツ。『カリガリ博士』を見ると、国家と国民がメンタルに離れつつあったのを感じる事ができます。「院長は連続殺人鬼なんだ!」と叫べば拘束着を着せられ沈静房へ入れられてしまうドイツ人のやるせない状況。果たしてどっちが狂っているのか? …ほどなく歴史に登場するヒトラーが、あくまで主人公の側から出てきた人間である事を考えると、この作品はもう一段、深みと暗さを増してきます。 そして自国・我が身を振り返った時、政治と狂気の間に存在する「カリガリ的状況」に静かなため息をついてしまうのですな。最近のニュース、なんか前衛風の書き割りみたいに見えてきませんか? 【エスねこ】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-05-09 21:43:09)(良:1票) 32.《ネタバレ》 独特にゆがんだセットのデザインが、前衛芸術としての心意気を感じさせます。サイレント独特のメイクや表情は、メトロポリスを思い出しました。予想していない終わり方でしたが、あまり驚きはありませんでした。あれ、どっちが本当なのかな?くらいの感想で、どんでん返しとは捉えなかったです。当時としては衝撃的だったのかも知れませんが、今となってはありがち過ぎて使わないオチですしね。DVD(淀川長治解説映像付き)購入視聴。淀川長治の見る前からネタバレしそうな勢いの解説ワラタ 【camuson】さん [DVD(字幕)] 4点(2023-06-16 18:51:46) 31.《ネタバレ》 流石に古い。見た時のフィルムの状態が悪かったせいか、映像・音がわかりにくかった。ただ、美術。歪んだ映像や傾いた床などが印象的。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 6点(2019-01-16 05:08:28) 30.ドイツ表現主義の代表作。夢遊病者と香具師が街を恐怖に陥れる…と書けば聞こえはいいものの、とても面白いとは言えない物語を見事に装飾する表現の数々に感動しました。歪んだ美術、死人のようなメイク、手書きの字幕、実に無声映画的な演技など、どれをとっても素晴らしい。映画館で観ることができて本当に良かったです。 【カニばさみ】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-04-12 08:08:52) 29.《ネタバレ》 ストーリーはたわいないもので、「権力とは何ぞや」などといろいろ深読みするより、当時の娯楽一般が病的に歪んでいたものだったことを確認するぐらいでいい。この表現主義に影響された日本の『狂った一頁』も精神病院になっちゃうわけで、時代のグロテスク趣味にとどまっている気がする(それはそれでセットの美術だけ見れば悪くないけど)。夢遊病男が夜、女性の家に忍び込む場面は不気味であった。これよりもこの翌年の『朝から夜中まで』のほうが、狂気で片づけてないぶん、一歩前進があるよう。ことの起こりは主人公の狂ったような激情だけど、ストーリーは幻想というわけでなく、いわば悪夢のような現実。電灯の光までヒラヒラを付けて描写し、表現主義もこういった方向で発展していったら、グロテスクで病的なものだけに閉じない新展開があったんだろうが、不健全を許さない「病的に健康」な時代にドイツが入っていってしまうからなあ。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-07-08 09:59:02) 28.ストーリーは面白くない。というか、よくわからん。 印象に残ったのは、舞台となっているチープなセットなんですが、ダンボールに絵の具で絵を描いただけというようなお遊戯会レベルのセットで、褒めるつもりで言うならば、この映画の主題にとてもマッチしていて凄く雰囲気が出ていた、という感じでしょうか。 セットがチープ過ぎていたお陰でカメラの動きが制限されてしまっているどころか、一ヶ所に固定し定点からの視点にならざるを得ないという事態が起きてしまっているために、本当に客席から舞台を見ているような印象さえ受けとられるので、どうしても物足りなさが出てきてしまうのは否めません。 まぁ、映画黎明期の頃はカメラを動かそうという発想がまだなかったということもあり、この映画が作られた頃もそうだったかも知れないので、この点を追及するのはやや反則気味のような気もしますが。 セットの細部について言及しますと、自分は表現主義だとかそういったバックグラウンドの知識は持ち合わせておりませんが、異様な形の建物の様相を見るに、体験談を語るという主観的なスタンスで物語が進むわけですから、あのような非現実的な妖しい背景もアリなのかなという気がし、ここは斬新で自由な発想を感じ取る事が出来たと思います。 【もっつぁれら】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-04-03 20:21:29) 27.良くできてると思う。 絵的にも好きな感じだし、あまり文句もない。それにしても100年前から映画にもこういうオチって言うのがあるって言うことに感動。別に驚く事じゃないって言う人もいるかも知れないけど、これを映画フォーマットにはめ込もうとした当時の人も、これを目の当たりにした当時の人も存分に驚いたに違いない。 が、今の人が見て面白くはないだろう。時代背景とか、技術力とかを当時のことを考えなからしみじみと見るとこの映画とは関係のない感動がいくつも発見できるはずだ。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-10-07 23:59:07) 26.「人を操って自身の黒い欲望を満たす」ストーリーと全編を覆う病的な雰囲気の映像が相まった、心冷え冷えとする作品。ラストのオチが余韻を残します。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-10-06 00:11:33) 25.大正時代に作られた映画ということで、他作品と比較するのが非常に困難なのだが、 ストーリー自体は、中々しっかりしているほうではないかと。 ただ全編サイレントのうえに映像も悪いので、ぽーっと観ていると、 ちょっとわかりづらい部分もあるかも。カリガリ博士のキャラはインパクトがあるし、 ラストもちゃんとオチが効いていて、この時代なら良くできているのでは・・・と思う。たぶん。 貼り絵のような背景とセットが面白かった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-09-04 02:53:43) 24.《ネタバレ》 博士が夢遊病者を操って、自らの隠れた欲望を果たすという設定は、一種のエロスも感じて面白い。 だが、同時代のムルナウやシュトロハイム、グリフィスといった監督達の代表作と比べると、「面白さ」という点において決定的に劣る。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 2点(2011-04-05 23:14:54)
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