みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
489.はっきし言って、「俺ってちょっと変わってるから~」とかホザいてるヤツは好きじゃない。お前な、平凡じゃない自分をそんなにアピールしたいのかと。「特別でありたい」と思うことそれ自体がすでに平凡なんだよ。それに気付けよ。本当に特別な人間はそんなことわざわざ言わなくても、すでに特別なんです。だって「特別」なんだもん。でもそんな人はそうそう滅多にいるもんじゃない。みんな普通で平凡なんだ。かくいう俺も平凡な人間。特別な存在になりたいと常に願い続けてる平凡な人間。その平凡さからほんの少しでも脱却したいから、敢えて「自分は平凡」だと認める俺。平凡な自分を悟り、それをもってして特別たろうとする俺は、結局のところやっぱり平凡な人間なんです。そうやって平凡な自分を悟り、それをもってして特別たろうとする俺は、やっぱりやっぱり平凡なんです。どこまでいっても所詮庶民は庶民。そんな自分の殻を脱いで自由になりたくて、他人に認められたくて、幸せになりたい。でもやっぱり俺にはダメなんです。そんなことを考えている俺にとって、この映画はどこまでも深く傷をえぐってきやがる。その上で、ラストでは我々庶民に一筋の光を示してくれたようにも思える。ケビン・スペイシーのあの恍惚の表情を思い出しながら、俺は今日も願い続ける。特別でありたい。特別でありたい。特別でありたい。皆さんは、どうですか? 【コバ香具師】さん 8点(2004-10-25 13:42:34)(良:5票) (笑:2票) 488.《ネタバレ》 これを観て、登場人物の心理がまったく理解できない、あるいは本作は自分にとってまったくの別世界だと思うことのできる人は幸いでしょう(決して皮肉ではなくて)。大人も子供も、「自分は自由ではない」「自らの願望は満たされていない」と強迫神経症的に思い込みながら、生の充足感を求めて、平凡な人生を唾棄しつつ、欲望の赴くままに行動しようとするものの、どこまでいっても満たされない――まさにニヒリズムの極地。唯一、満ち足りた表情を見せているのが、ゲイのカップルと、死ぬ直前・直後のK・スペイシーのみという逆説。決してアメリカだけではない、日本も含めてある程度の経済的富裕を成し遂げた(=次なる目標を喪失した)社会に共通する問題であるといえるでしょう。もちろん、安直な解決策などあろうはずがない。たとえば、隣家の父親のごとく、秩序と道徳を体現しようとすればするほど(常に「自分は大佐だ」と言い募らなければならないように)逆に卑小で滑稽な存在にしかなりません(まさに昨今のナショナリズム親父を連想させます 苦笑)。せいぜいが、「サイコ」少年のように、市場価値のあるアイテム(ドラッグ密売)を身につけて不透明な世の中を巧みに生き抜いていくべし、という精神論くらいでしょうか。スペイシーが、回りまわってようやく身の丈に合った「家族との一体感」という幸福に逢着した途端、この世から消されてしまう悲劇。銃殺される前後に彼の見せた、満ち足りた柔和な笑顔、涅槃の境地にあるかのごとき安らかな死に顔には、胸を締めつけられ、涙を抑えることができません…。自由な世界、物質的に満ち足りた社会に住む人間特有の焦燥感・不遇感を、巧みな誇張と滑稽さをまじえて鋭く描いた名作であると思います。 【アイアン・バタフライ】さん 9点(2004-04-12 09:10:10)(良:6票) 487.《ネタバレ》 この映画が見せてくれるのは、世界はいつだって内側にあるものだということ。人々が共有している外側の世界には、いまや壊れた世界とそれを取り繕っている人々しかない。家庭崩壊や性倒錯やドラッグなどは、いまさら深刻に語ってみても驚きなんかない、もはや当たり前のことだ、と軽く笑いとばしてしまう。 娘の友達に恋をして、彼女の気を引くためにエクササイズを始めてしまうケビン・スペイシー。アホなオヤジと笑うのもいいけど、物事は全てこの通り。なにかの目的をモチベーションにして、夢中に励む。世界は結局そうやって回っているんだから。主人公の中の世界では、そのこと自体がすでに幸せなんだ。外の世界にある彼女という存在自体とは関係なく幸せになれる。だからいざ彼女と一線を越えようとしたとき「初めてなの」という告白で、内世界と外世界のギャップを再確認し、すっかり醒めてしまう。 その後の彼女との会話は素敵なシーン。彼女との関係はすっかり娘の友達に接する父親のそれになっている。さっきまでニャンニャンしようと目を血走らせていたケビンが、ここでは思い出したように娘の心配をしちゃったりする。それは外世界で父親でいるための処世術であり、その実、父親としての本音でもある。内外の世界が一瞬だけ重なるその瞬間が美しいです。ここで死んでしまうところがまた、彼にとってこれ以上ない幸せなのかもしれません。彼の内世界では、温かい家庭が彼を包み込んでいただろうから。 主人公と対比した影として描かれる隣人、元海兵大佐役のクリス・クーパーの人生もまた観客にとって身に覚えがあると思う。棺桶まで持っていく秘密を抱えて、保身のために嘘を塗り重ねて生きている。主人公のことも、大佐のことも、あまりに私(達)に似すぎていてコメディだけど、同時にとてもシニカルだ。 しかし、登場キャラクターに付随するファクターを、自分の手札に変換して考えられない人にとっては、まったく共感を得ることが出来ない映画なのかも。 【337】さん 10点(2003-11-28 19:52:35)(良:6票) 486.《ネタバレ》 登場してくる人達に感情移入できるか、そこでこの映画の評価が分かれてくると思う。登場人物は、周りには滅多にいない変人達ばかりに見えるが、実際はそうではない。自分を偽り、表面だけハッピーに見せかけて成功を勝ち取ったかのように振舞う。あるいは、世間では変だと思われること(例えばゲイであること)を公にはしない。自分も含めて、そういった部分を持っている人は決して少数派ではないはずだ。奥さんに隣人、友人に不動産屋…彼らは本当のところでハッピーではない。単なる犠牲者に過ぎない。本当のハッピーを持っている人との表情の差は明らか。ゲイを公にしている男はとてもいい笑顔だ。全てを告白した後のアンジェラは、本当に綺麗に見えた。そして、最期を迎えたレスターは儚くも美しい表情をしている。出演者の好演もこの映画を素晴らしくしている。今作は下品な部分も確かにあるが、ストーリーから逸れた下品さではなく、きちんとしたバックグラウンドのある描写ばかりだ。今作の下品さばかり目に付いてしまう方は、もしかしたら偽りの登場人物たちのように、上品さや綺麗なモノを重視する偽りの仮面を付けているのかもしれない… 【グングニル】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-06-01 18:43:03)(良:4票) 485.《ネタバレ》 大変面白く、心に残る映画でした。 朝、シャワーを浴びながらするオナニーが一日で最も至福の時間、後は地獄へ一直線、と言う主人公レスター。「僕らは普通の人間です」というインチキコマーシャルを、毎日演じ続けている自分達を他人事のように笑っているレスター。娘の同級生に、正直に欲情するレスター。責任のない仕事を求め、ハンバーガー屋でバイトを始めるレスター。そんなレスターに少し共感してしまった私は、レスター予備軍なのでしょうか。 隣人の、暴君の父親を持つドラッグ少年も、興味深い人物でした。そのドラッグ少年と、レスターを父に持つジェーンが、お互いの父親を、笑いながら嘆くシーンは、素晴らしかったですね。他の登場人物にもとてもリアリティーがあり、見るたびにいろいろな発見がある映画です。父性はどうあるべきか?というのは、現代社会の大きなテーマの一つだと思いますが、安易な解決策を示すことなく、現在の姿を描こうとしているこの映画には、誠実ささえ感じました。あと、親が子供に言う「あなたのためを思って」という台詞のインチキ臭さを再認識させられた点も良かったです。 それにしても、この映画はある意味、アメリカ人(や日本人?)の価値観そのものを茶化している映画だと思うのですが、そんな映画がヒットしアカデミー賞までとってしまう所に、アメリカの凄さを感じます。 【MANSON】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-01-04 17:38:45)(良:3票) 484. 先日TVで放映されたのを観たら面白かった。最初に観たときと評価が変わった。犯人がわかった上で観た方が面白かったのはなぜか?それは、ケヴィン・スペイシー演じるレスター・バーナムの“演技”だった。ケヴィンは映画の中で偽りの自分を演じるレスターを演じている。それに気づいたらハマッた!無気力なレスター、娘の良い父親を一生懸命演じるレスター、娘の親友に恋したエロ親父なレスター、好条件の退職を“勝ち取って”有頂天のレスター、勢いをかって妻を挑発するレスター、妻の浮気現場でニヒルになるレスター、そして、最期に我に還ったレスター。ケヴィンは、いろいろと「無理している」レスターを演じた後「最期のレスターが本当のレスターだよ」としっかり印象付けて演技を終えている。同様に妻役のアネット・ベニングもずぅ~と無理したキャロラインを演じて、ラストのうろたえて拳銃を隠した後、クローゼットに倒れこむシーンで本当のキャロラインを演じている(もし、本当に殺意があったならレスターの死を見て自分が手をくださなくて済んだことを喜んだだろう。人が見てないところでうろたえる演技はあり得ない)。その他にも無理していた登場人物が二人、クリス・クーパー演じる隣人(彼だけは真実の自分を否定されてしまった)とレスターに優しくされるまではつっぱりねーちゃんを演じていたミーナ・スバーリ。ラストのバスルームで化粧を直すシーンだけは可愛く見えた(笑)。無理から開放されたラストの爽やかなこと(笑)。一度観て面白くなかった人も二度目は面白いかも知れませんよ!? 【さとし@快投乱打】さん 9点(2003-06-26 15:56:14)(良:3票) 483.Spectacular!現実社会からの様々な影響、制約によって、人生における成功や幸福の意味を履き違えた(或いは又疑問を感じているものの自らを解放する勇気が無い)人達が、やがて自らを解放し自分自身に目覚め本当の幸せとは何であるか、本当の人生の成功とは何であるかに気が付く。気付かなかった妻は常に不安にかられストレスに満ち、発散を求め浮気や射撃などの刺激に向かい続け、最後まで人生の持つ本当の美しさが判らない。ゲイのカップルは清々しく、自分自身を見出しリッキーに出会う事で勇気を得て自らを解放してからの主人公は如何にも人生が楽しそうだ。キーパーソンはリッキー(知らない俳優けど上手だった)。この作品の中で彼だけが(多分ゲイのカップルも)外界と折れ合いつつも自らのアイデンティティーを失わない術を知っている。ジェーンが「彼は自分を知っている。」言ったのはそういう意味に他ならず、だからこそ彼女は彼にひかれたのだ。この作品のテーマは既に使い古されたものだが、極めて美しい映像と秀逸なカメラワーク、リアリティ溢れる脚本、ケビン・スペーシー、アネット・ベニングその他の熱演などによって傑作に仕上がっている。この映画の良さが判らない人は、きっと幸せなんだろう。羨ましい限りだ。多分、外界に接している自分と内面の自分とのギャップなんか感じた事が無いんだろう。そんな人にこの映画を理解しろと言っても無理な話だ。何故なら彼らはアネット・ベニング演じる妻の側にいるからだ。 【gray_ghost】さん 9点(2003-05-03 18:26:54)(良:3票) 482.《ネタバレ》 本作は家庭の崩壊を描いた作品だと言われますが、実際のところ、家庭という要素はあまり重く扱われていないように思います。主人公であるお父さんは中盤で吹っ切れてしまい、以降は家庭に背を向けてしまうからです。嫁や娘とどう向き合うかという視点は一切なく、彼女達の存在は彼の頭からは完全に消えてしまいます。むしろ私が注目したのは、本作が1999年に製作されたという点です。1999年といえば、『マトリックス』と『ファイト・クラブ』という映画史に残る傑作が2本も生まれた年。そして両作ともに、くだらない日常を生きる男が、生の実感を求めて戦いの世界に足を踏み入れるというお話でした。本作もまた、上記2作と共通のテーマを扱っているように思います。家庭と仕事に揉まれて人生を見失っていた男が、そうした一切のしがらみを捨てて自分の歩みたい道を目指す。上記2作の主人公が追い求めたのは「全人類の救世主になる」「国中の男を束ねた組織のリーダーになる」という幼稚な夢でしたが、一方、本作の主人公が追い求めるのは「女子高生とセックスする」という実に下世話だが、実に正直な夢。目指すもののレベルはぐっと下がりましたが、レスター・バーナムはネオやタイラー・ダーデンと同根の男なのです。。。 本作の脚本は非常によくまとまっています。「この後、私は死ぬ」というつかみで一気に観客の関心を引き、その後は意外性のある展開が繰り広げられてまったく先読みさせません。コンラッド・L・ホールによる撮影、サム・メンデスによる演出も非常に手堅く、こういうものをよく出来た映画と言うのだという見本のような仕上がりとなっています。ただし、問題に感じた点が一点だけあります。クライマックスにて主人公はついに憧れの女子高生とセックスする機会を得たものの、結局彼はセックスを辞退してしまうということ。そこに大人の良識を介入させたら、青年に戻った中年男の悲劇というドラマの意義が半減してしまうでしょうよ。アメリカ社会の破壊を実行したタイラー・ダーデンを見習って欲しいところでした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2013-06-21 01:25:38)(良:2票) 481.《ネタバレ》 自然すぎるケヴィン・スペイシーの演技に、笑っちゃうほど不自然なアネット・ベニング、そして意外なドンデン返しのクリス・クーパーと、役者たちの演技が半端ない。大人も凄いが、ソーラ・バーチ、ミーナ・スバーリも若い裸体を晒して頑張ってます。落ち葉と共に風に吹かれて舞い上がるビニール袋の美しさ。ラスト、はたと我に返ったところで撃ち殺されてしまう主人公。死後のナレーションから始まる本作、この無常観は、〈アメリカの悲劇〉を謳った凡百の映画を軽々と跳び越えてしまっている。傑作。 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-03-29 07:38:48)(良:2票) 480.《ネタバレ》 これのどこがコメディーなのか。私はひとつも笑えなかった。これはアメリカの話じゃなく、わたしの、おそらくあなたの話でもある。どこの家も(おそらく)抱えているであろう見栄や虚勢や世間体をこうもリアルに描かれるとは。隠してなんぼの生活をしてるのにまるでかさぶたをはがされるような嫌悪感。ざわざわするような悪寒といやな汗。私は重症か。大佐の奥さんが息子のガールフレンドに「散らかっていて・・」とありがちな言葉を口走ったあとに映される塵ひとつない室内 このシーン ホラーかと思った。もうアメリカには大草原の小さな家は存在しないのか。 【tottoko】さん [地上波(字幕)] 8点(2011-08-04 00:08:21)(良:2票) 479.《ネタバレ》 これはやられました。構成がうまいっ!という感想です。もちろん、一本筋の通ったテーマの主張があったからこそです。 序盤から曲者がたくさん登場し、風呂敷広げすぎて大丈夫かと冷や冷やしましたが、それぞれ無駄な配置がありませんでした。 特に隣の盗撮兄ちゃんは単に気味悪い添え物かと思っていたら、彼が核となるテーマを一番語ってくれていたのは意外や意外。 そして、最後の収束のさせ方が素晴らしかったと思います。 ラストだけでも多くの感想を語れる名ラストシーンではないでしょうか。 最後近づく銃口には身震いする怖さもあり、さりげなくどんでん返しの結末もあり、・・・と開けてみたら想像以上にお得だった福袋といった感じです。 暗くなりがちな内容なのに明るさを失わず、品のない会話や描写が多いのに印象が悪くなく、殺されたのに「ハッピーエンド」的な感覚で後味が悪くない、という珍しい作品でした。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-01-26 13:57:15)(良:2票) 478.《ネタバレ》 始まってしばらくして不穏な空気を感じた。不穏な空気の原因が最初はわからなかったのだが、両端に夫婦、真ん中に娘が座るダイニングテーブルのシンメトリーな構図を見て確信した。異様なほどの画面の美しさとあまりに完璧すぎてかえって不自然な構図こそが私が感じた不穏な空気の正体であった。これはドライヤーの『ガートルード(ゲアトルーズ)』で感じたものと同種のものだ。ただこの作品はその部分をコメディで濁している。なぜ濁すのか。そこが重要だからだろう。物質主義に彩られカタチだけは立派な家庭の内情はドラッグ、ゲイ、DV、リストラ、不倫等々の諸問題を抱えていた。アメリカンビューティという名のバラの美しい花弁がトゲを覆い隠しているように。人にどう思われるかが重要である登場人物たちは肉体改造に勤しみ、新しいマイホームだけに注力し、整形手術を夢見る。隣人はゲイであることを隠し、娘の友人は遊び人を装う。娘はありのままを盗み見られることで本当の自分を見出してゆく。ラストにはそれぞれの皮が剥ぎ取られてゆき、同時にその副作用が容赦なく飛び込んでくる。そこには大団円的心地よさと何かが終わりを告げたときの寂しさが同居する。つまり素晴らしい終焉があった。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-07-13 14:34:01)(良:2票) 477.《ネタバレ》 「アカデミー5部門受賞」に釣られて観たけど、期待しすぎたな・・・。テーマがよく解りません。家族の崩壊?最期に本当の美に気付いた男のドラマ?役者さんたちは皆それぞれにいい演技してるみたいなんだけど、どのキャラにも入り込めなかったせいか、どうもピンとこない。離婚率が半分を超えるアメリカで、まああってもおかしくない話、という程度で、私には良さが解らなかったなあ。終盤のガレージのシーンなんか訳わからんぞ。あの隣の軍人をゲイにする必要があるのか?そして、何で息子をおもちゃにした(勘違いだけど)主人公にゲイを仕掛けるのか??あんな拒否られるシーンなくても、よくも俺の息子に~このやろ~ドキュン、でいいじゃん。あと、どうでもいいけど、ピーター・ギャラガーってこんな役ばっかりふられてない?なんか気の毒。風に舞うビニール袋のシーンは確かに印象に残りましたが。 【あっかっか】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 4点(2009-04-24 13:13:04)(良:1票) (笑:1票) 476.《ネタバレ》 年齢も性別も違う各キャラクターに感情移入しまくり。父、夫、子供に戻ったり、経験も無いのに妻になったり、ゲイになったり。そして中年の一人の男として。可笑しく、切なく心を揺さぶられました。あまりにリアル。人間のイヤな部分、見たくない箇所を見せつけられました。でも妙に心地良かったりもする。“人間”を見事に描いている作品でした。結末は主人公の死。それも銃殺。どう考えてもバッドエンドです。しかし不思議と充実感がある。理不尽に命を奪われたことに対する憤りよりも、今までの人生に対しての感謝が勝る。彼をそういう気持ちにさせたのは何か。それは生きている実感だったと思います。生きている時から“死んでいた”主人公。彼を生き返らせたのは、ある少女との出会い。娘と同じ年の美少女。恋に落ちるのに理由は要らない。彼の望みはただ一つです。あえて下世話な言い方をすれば、「ヤリたい」「セックスしたい」。それが男の本音。もともと男はそんな生き物。彼女とヤリたいがために体を鍛える。まるで高校生です。そう彼は青春を取り戻した。それは性欲でもある。性欲は、すなわち生きようとする力。社会に研磨されるうちに、あるいは日々の生活で磨耗するかのように、失くしてしまったもの。しかし結局彼は少女を抱きませんでした。彼女が処女と知って、42歳の大人の自我が待ったをかけた。青春を取り戻しても、10代の精神に戻るわけじゃない。今まで積重ねてきたものは消えてなくならない。それが人生の重み。もし、彼女を抱いていたら殺されずに済んだかもしれない。でも“彼女を抱かずに殺される”ほうがしっくりくる。妻を殺人者にせずに済んだ可能性もある。これはこれで悪くない。決してベストじゃないけど、そこそこベターな結末。最後の刹那に浮かぶのは愛娘の顔、そして妻の顔。つまらん人生だったけど、ありがとう。もしそう言えるならば、その人生は悪くない。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-09-01 00:33:24)(良:2票) 475.ぱーふぇくと。、、、、、、、、、、、と一言にしようと思ったのですが、以下、だらだら。、、、、とにかく絶妙のバランス感覚。これだけ多様なテーマ、よくもまあ上手に、しかも饒舌にならずにまとめたものだと。、、、鏡、ビデオ、窓といった人と人との媒体の使い方も上手だし、ガラス、陶器のように割れやすく脆いものの象徴的配置も巧み。、、、この世界、そしてその中の「わたし」という存在を、どのように捉えるのかという哲学的な視座もしっかりしているし、、、。それに役者が、みんな上手。それぞれの役どころをしっかり理解しているからなのか、全ての役者が、それぞれ人としてしっかりと生命を持っている。、、、、、、そして上手に笑いをいれながら、、、感情、考えなど一人として全く同じ人間などいないこの世界で、どうやって生きてゆくのか、幸せをどこに探したらいいのか、というシリアスな問題を扱う。、、そう。そういう問題って、あんまり深刻に考えたら、いけないんですよね。人生の一番根っこにある問題って、肩の力を抜いて、楽しく、ばかばかしく、考えなくっちゃね。 【王の七つの森】さん 10点(2005-03-21 13:13:41)(良:2票) 474.《ネタバレ》 レスターにとっては娘の友達アンジェラ。キャロラインにとってはアメリカンビューティー(バラ)そのものや、豪華な家にインテリア。アンジェラにとっては美しくパーフェクトな自分。私の求める「アメリカンビューティー」ってなんだろう?真剣に考えてしまいました。自分の求める「モノ」。理想像と現実のギャップ。表と裏。手にしたと思った瞬間アメリカンビューティーは泡のように消えてしまう。ラストに見せるみんなの本当の素顔こそが「アメリカンビューティー」。 泣いた後、鏡の前でマスカラを気にしているアンジェラも、満ち足りた死に顔のレスターも、憎んでいた夫の死に号泣するキャロラインも。美しい映像と強調された赤。まるで本当に誰かの心の中を垣間見てしまったような気分。 【彩犬】さん 9点(2004-05-18 01:58:34)(良:2票) 473.世のほとんどの男性は、この映画の主人公と同じ予備軍である。みんな理性の箍(たが)が外れないように日々格闘している。最近は通勤途中ですら理性と戦わなくてはならなくなった。女子高生の皆さん、お願いですからもう少しスカート丈長くしてください。水滴も溜まると理性の器から溢れてしまいそう。あ、レビューになってない。軌道修正。ごく普通の家庭に内在する非日常な世界への誘惑をよくぞこれだけあぶり出したものだ。ケビン・スペイシーの偏狂ぶりは見事で、時折挿入される官能的な映像と共に強烈な印象として植えつけられる。シルエットで見せるホモもどきシーンは余りに品がなくて大笑いした。全体的にコミカルに描かれているので、アメリカの大衆にとってとっつきやすく問題提起されていると思う。 【やすたろ】さん 6点(2004-03-18 18:26:56)(良:1票) (笑:1票) 472.《ネタバレ》 吹き替えで観ました。題名どおり、美しく、そして幸福な話である。しかし、その美と幸福は薔薇の花弁に象徴されるような凡庸なものとして表れている。レスター・バーナムが自らレポートに書いたように彼の日常は「地獄に限りなく近い」ものだったのであり、そこに美や幸福は存在しなかった。というよりも彼は日常の中にある美や幸福-寒い日に落ち葉とともに風に舞うビニール袋に象徴されるような-を感得する力を失っていたのである。したがって、彼がアンジェラに魅かれることで取り戻すのはそのような微細なものを見分ける力である。それは観察力というより生命力であろう。ラストで、彼は自分を挑発し続けてきたあばずれの少女が、実は精一杯背伸びをした、虚飾にまみれた普通の少女であったことを知る。レスターは彼女の中に美を見い出す。美は彼方にではなく、この腕の中、この目の前に、いじましい嘘とともにあったのである。彼は驚き、彼女から手を離して、ひとりで幸福にひたるのである。そして頭を打ちぬかれて死に、天に昇りながら美はいたるところにあるのだと説き明かす。設定から人物配置まで実によくできている。素晴らしい映画だと思う。 【h.】さん 8点(2004-03-16 16:04:28)(良:2票) 471.ここに出てくる対照的な二組の家族は極端に描かれてはいましたけど、もはやアメリカだけの問題ではないですね。人間にとって基本となる基盤となる最小組織である家族が機能していない、すでに崩壊してしまっているのですね。表向きは両親と子、住みごこ地のよさそうな小ぎれいなマイ・ホーム。しかしそこに住む人間たちは無気力な夫と見栄っ張りな妻。国粋かぶれの暴君の夫と自己主張できない妻。そしてその娘と息子はこの夫婦の子ならこうなるだろうなあと、妙に納得してしまいました。その現状に疑問を持っているのがレスターとクリス・クーパーの妻。知らず知らず「こうすることが普通、幸福」と信じきっているより、何か違うと疑問を持つことの方が正常のような気がする。登場人物の中でいちばん屈託無く、表と裏を感じることなく、自然体で幸福そうなのはゲイのカップルだった。このあたりがかなり皮肉ですね。何かに目覚めたようにレスターがトレーニングを開始するあたり、それまでとうって変わってギラギラしてくるのが可笑しくもあり、突き刺さってくるものがある。忘れていた情熱ですかね、ファンタジーといってもいい。けれど現実に気づき一気に我にかえる。もうね、リアル過ぎて辛くなってくるの。 クーパーの妻は息子を父親から離すことを選ぶ。けれどあの娘と息子はラスト、レスターのあの姿を見ても悲鳴ひとつあげず、淡々と珍しいものを見るような態度である。この子らもかなりの重症だ。この感覚が子孫へ受け継がれていくかもしれないと思うと恐ろしい。20世紀はひたすら物質欲を追求した時代だったように感じる。21世紀は精神性を追求する時代になることを望む。 タイトルの「アメリカン・ビューティー」これはアメリカ作出のバラの名前です。一般的にバラといって思い浮かぶものは改良に改良を重ねた品種でしょう、美しいけれど本来の姿ではないのです。見せかけの美しさ、美しさのために無理をしていると言ってもいいかもしれません、そんな意味がこのタイトルにはあると私は勝手に解釈しています、自分でも気づかない闇、病んでいる部分をリアルに描いたシニカルコメディ、人ごとじゃありませんね。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2003-11-24 00:03:25)(良:2票) 470.みなさんのレビューを見て、かなり「?」と思いました。映画見終わったあと、「何この駄作は」とか思ってみなさんのレビューを見たのでかなり疑問に感じました。。 人間ひとりひとりが、家族を演じるのを捨て自由に生きていく、こんな映画だったのですね! オレには、登場人物の行動がワケパッパ。。行動が不可解すぎる。。親父がジェーンの友達を好きになるのも、母の行動も、ジェーンがなんで隣のサイコ野郎を好きになるのかも、いきなりジェーンがサイコ野郎の前で脱ぎだすのかも(ここがイチバン分からん)、父親がなぜいきなりキレだすのかも、サイコ野郎の父親の行動も何もかも。。 説明がない。 サイアクだった。 【武しゃん】さん 1点(2003-07-24 21:38:54)(良:2票)
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