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サン★ロレンツォの夜

LA NOTTE DI SAN LORENZO
(サン★ロレンツォの夜)
1982年【伊】 上映時間:107分
ドラマ戦争もの
[サンロレンツォノヨル]
新規登録(2003-11-21)【オオカミ】さん
タイトル情報更新(2011-05-24)【S&S】さん


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監督パオロ・タヴィアーニ
ヴィットリオ・タヴィアーニ
キャストオメロ・アントヌッティ(男優)
脚本パオロ・タヴィアーニ
ヴィットリオ・タヴィアーニ
音楽ニコラ・ピオヴァーニ
撮影フランコ・ディ・ジャコモ
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【クチコミ・感想】

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13.《ネタバレ》 この監督の映画はエピソードをひとつひとつ思い出すだけでも心が満ちてくる。教会が砲撃され司祭と母親が額をつき合わせて傷ついた娘を運び出す場とか、画面は至ってシンプルなのに沁み入って来る。寓話の紙芝居をめくっているように、戦争の残酷がピクニックの絵日記のように展開していく。残酷が頂点を極めるのが、小麦畑での戦い。今まで幾多の戦闘シーンが映画の歴史の中で撮られてきているだろうが、私にとってはこれが一番きれいで残酷。グロテスクな意味での残酷ではなく、まさに戦争そのものの残酷さが、うららかな小麦畑の中で繰り広げられるのだからたまらない。圧巻は少年ファシストを射殺するシーン。少年ならではの純な高揚がその前に描かれている。父の「まだ十五歳だから」と嘆願している目の前で、地を這いずり回って助けを求めている少年を射殺する。殺す側も身重の妻をファシストに殺されており、この憎悪の増幅の耐え難い残酷さほど、ストレートに戦争を告発した場はないだろう。射殺の次にパッと遠景のカットになり、画面を美しい緑で埋めてしまうニクさ。さらにすごいのはラストで「実際に起こったことでもハッピーエンドになることがあるんだよ」って言うんだ。ずっと深い絶望を語ってきた映画の最後で、それを踏まえた上での希望を語っている。断固とした平和への意志が感じられる。戦争をそのまま描けば、いやピクニックのように楽しんでいる少女を通して描いても、それは反戦映画になる、という確信を監督は持っている。こういう作品を作れるのは本当の平和主義者に違いない。私は傑作の多いこの監督の作品群でも、本作と『カオス』がとりわけ好きだ。 なんのかんのさん [映画館(字幕)] 9点(2012-05-24 10:07:34)(良:2票)

12.公開からはや20年。DVDで見直すまで映像も切れ切れにしか覚えていなかった。主役の女の子が可愛かったのはもちろん覚えているが、あとはコンドーム風船くらいかな。だが、そもそもそういう性質の映画なんだと思う。これは記憶の鎮魂歌。『プライベート・ライアン』を超えると人間の感性はファンタジーと融合してしまうんだろう。そういう意味で、確信犯的に戦争映画の「ある一線」を踏み越えた監督の勇気を評価したい。この世には、語るには辛すぎる記憶ってのがある。リアルに語っても意味のない事だってある。無数のおとぎ話から血の臭いが拭い切れない理屈は、現代でも有効だ。 エスねこさん 7点(2004-10-16 11:54:16)(良:1票)

11.《ネタバレ》 子供というのは未熟な生き物だ。あの”禁じられた遊び”のなかで墓の十字架を勝手に使ってマイワールドを作っていたように。6才の女の子にとって、戦時は非日常。夜中に村が爆破されるのをどこかわくわくしながら待ったり、財産を消失したおばさんがイヤリングを預けてくれたことで胸が躍ったりする。こういうコドモ感覚、私もかつて持っていた。遠い記憶の中に。
大人の感性で捉えると耐えられないほどの苦痛を、子供の「?」フィルターを通して酷さを緩和しているような描写の映画である。
しかし観賞している私はもう大人なので、あののどかで美しい麦畑で、厳かな聖堂で、何が起きたのか悲しいかな知っている。コドモ側の「イヤリングもらって嬉しい」、「米兵さんは風船をくれて親切」と並行して起きている大人側の苛烈な現実。あまりのギャップに心をどこに置けばいいのかわからなくなった。
少女は母になりわが子に語る。それはおとぎ話のようだけど、内包されたただならぬ事実をその子も長じるにつれて知るのだろう。 tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-29 23:38:31)

10.《ネタバレ》 随所で駆使される遠景や奥行きショット。とりわけ、聖堂の爆破を、扉から漏れる煙を外から映すだけで表現してしまう手際(その後に外を避難する人の数が妙に少ないのも、中の光景を想像させて、かえって生々しい)。麦畑の戦闘での、全体が見えない、したがって個々の生き死にも一瞬先がまったく見えないという撮り方のリアリティ。ラスト、解放されたグループのリーダーが「3時間だけ物思いにふけった」という絶妙なほど的確な描写。そうそう、トラックで連れ去られたロザーナのその後が何もふれられないのも、さりげない容赦なさを際立たせています。つまり、骨は単純なはずなのに、一つ一つの積み重ねにおいて、少女視点を貫き、しかも描写過多を周到に避けることで、見る側の我々の背後にも迫るほどの厳しさを突きつけてくるのです。表面を流れる血は、見た目は派手でも、拭えばなくなってしまう。どこからともなくじわっと滲んでくる血ほど、その流れを止めることは困難。 Oliasさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-06-06 01:04:35)

9.戦争は大変やと思った。 ホットチョコレートさん [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-30 21:13:07)

8.戦争は、のどかな田舎の村にも陰を落とす。というより、そののどかな日常の中に、戦争による破壊や死が容赦なく入り込んでくる理不尽さが、本作では描かれています。だから、死は多く描かれようとも、必ずしもその凄惨さを強調するような描かれ方はなされていません。しかし、のどかな畑で隣人のような人々同士が殺し合わねばならない光景、大勢の隣人たちがバタバタと倒れていく光景、もうこれだけで十分過ぎる息苦しさを感じさせます。
しかし、生き残った者がいる限り、日常はまた必ず戻ってくる。どんなにつらい過去があったって、その過去に何がしらの美しさが含まれているならば、決して過去そのものを否定したりはしない、あのジイさんが取り戻した恋心のように。
そして、つらい過去が本当に洗い流せるものかどうかはわからないけれど、一時的にせよ何にせよ、降ってきた雨がつらさを洗い流してくれる。映画では時々「晴天なのに(ホースで降らせた)大雨」ってなシーンがありますが(笑)、本作のこのシーンは間違いなく、「明るい光」と「雨」の両方が必要なシーンでしょう。
ラストの眠っている子供。今の平和がこのまま続いて欲しいという希望と、周りを包む闇の、幽かな不安。 鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-14 08:03:09)

7.第二次世界大戦末期のイタリアの片田舎が舞台で、当時6歳だった女の子の体験を基にした戦争ドラマです。占領軍のドイツの手先となって同胞に危害を加える者、パルチザンとして抗戦する者、アメリカ軍を頼って脱出する一団と教会に集まって不本意ながら留まる一団。のどかな田園風景と可憐で無邪気な女の子に和みますが、顔見知り同士が殺し合う残酷さや切なさが伝わってきます。生理的欲求や安全の欲求といったマズローの自己実現理論を思い起こさせる映画でした。 ProPaceさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-01-31 16:01:15)

6.《ネタバレ》  非常に悲惨で哀しい出来事なんですが、どこか幻想的で、また大らかさすら感じさせる描写にイタリアらしさを感じましたね。美しさの中に重いテーマが包み込まれていて、観終わった後も深く心に残る映画でした。

 考える時間を殆ど与えられずに、殺して生きるか殺されて死ぬかの2者択一を選択させられる戦争の恐ろしさ、馬鹿馬鹿しさを思い知らされる作品です。
TMさん [ビデオ(字幕)] 7点(2009-02-06 19:46:50)

5.《ネタバレ》 第2次世界大戦中のイタリアのとある農村。ファシストの迫害から逃れてアメリカ軍に助けを求める為の旅に出た村人達の逃避行の様子がユーモアを交えて描かれています。この作品の語り部となる少女や村人達の素朴さが印象深いです。しかし、旅の途中でファシスト派の村人達と遭遇し、村人同士が互いに殺し合うという何ともやりきれない悲劇が起こる。タヴィアーニ兄弟は戦争さえなければ仲睦まじく暮らしていけたはずの平和な農村、争いの舞台になるはずのない農村をあえて戦争を描く舞台とすることでそこに暮らす素朴で善良な人々さえも変貌させてしまう戦争の愚かさと狂気を描こうとしたのではないでしょうか。何ともやりきれない話ですが、逃避行の旅でさえも冒険だった少女の視点で描いた事、それを昔話として当時の記憶を回想するという手法で描かれたことがこの作品にとってとても良かったと思います。 とらやさん [DVD(字幕)] 8点(2008-12-07 18:33:42)

4.ひとつの村の中でファシスト派とパルチザン派が死闘をするというトラウマとなるような状況で、少女の視点を中心にどろくさくならないような画面展開となっています。たんに事情に通じていない子供の視点というよりも、控えめに記憶の救いを描きこんでいるような印象を受けました。もっと悲惨な体験をした人もいましょうし、正反対の体験を思い出す人もいるでしょう。この映画は中庸の良さを醸し出していました。 バッテリさん 7点(2004-01-30 23:18:56)

3.市民の立場から戦争を観るという珍しい作品ではあるがハリウッド映画には観られない斬新さがある。戦争が幻想的に描かれており逆にこの手法によって戦争の愚かさを訴えることに成功している。 hrkzhrさん 7点(2004-01-13 23:34:02)

2. 虎尾さん 6点(2003-12-13 00:08:31)

1.”イタリアの笠智衆”と私が勝手に呼んでいるオメロ・アントヌッティがいい味を出しています。物語は1943年のイタリア。シチリアに上陸した連合軍がローマを目指しつつ北上しているときです。ナチスドイツ軍の手から逃れた農民達が、アメリカ軍に助けを求めるという話です。村が焼き討ちされたり、パルチザンの処刑があったりと、話はかなり残虐悲惨な面もありますが、少女と”笠智衆”の演技により、なぜかおとぎ話のような印象を与える作品です。「お星様に願いをするとかなう」というエピソードがジーンときます。 オオカミさん 8点(2003-11-21 16:39:26)

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【点数情報】

Review人数 13人
平均点数 7.08点
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400.00% line
517.69% line
617.69% line
7861.54% line
8215.38% line
917.69% line
1000.00% line

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