みんなのシネマレビュー

ゆれる

Sway
2006年【日】 上映時間:119分
ドラマサスペンス法廷ものミステリー
[ユレル]
新規登録(2006-06-22)【ぐるぐる】さん
タイトル情報更新(2024-09-21)【イニシャルK】さん
公開開始日(2006-07-08)


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監督西川美和
キャストオダギリジョー(男優)早川猛
香川照之(男優)早川稔
伊武雅刀(男優)早川勇
新井浩文(男優)岡島洋平
真木よう子(女優)川端智恵子
蟹江敬三(男優)早川修
木村祐一(男優)丸尾明人
ピエール瀧(男優)船木警部補
田口トモロヲ(男優)裁判官
キタキマユ(女優)アシスタント
田山涼成(男優)
河原さぶ(男優)
(女優)
原作西川美和(原案)
脚本西川美和
撮影高瀬比呂志
製作川城和実
バンダイビジュアル(「ゆれる」製作委員会)
テレビマンユニオン(「ゆれる」製作委員会)
松竹ブロードキャスティング(「ゆれる」製作委員会)
企画是枝裕和
配給シネカノン
美術三ツ松けいこ
編集宮島竜治
録音白取貢
あらすじ
東京に事務所を持つフリーランスの写真家、タケル(弟)。田舎で家業のガススタンドを継ぐミノル(兄)。接点のない二人が実家の法事で久々に出会った。早々に帰ろうとするタケルを、ミノルは「明日、峡谷までピクニックに行こうよ」と引き留める。サッサと帰りたいタケルだったが、GSで働く幼馴染みの智恵子の姿が目に飛び込んで来た時、運命の歯車が回り始める。ほんの小さな揺らぎは、皮肉の神の手でやがて骨肉の確執へと…。

エスねこ】さん(2007-09-26)
全てのをあらすじ参照する

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ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意です!




【クチコミ・感想】

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160.《ネタバレ》 兄は女性を助けようとしたのですか?
弟は兄を助けようとしたのですか?
兄は何故自首したのですか?
弟は何故兄を刑務所に入れたのですか?
兄はバスに乗ったのですか?
わからない事が多すぎてダメでした。 東京ロッキーさん [インターネット(邦画)] 4点(2024-06-13 19:59:51)

159.わからないことが多すぎる。自分のことは訳わからん映画を許容できるタイプだと思っているけど。兄が何を考えているのか、弟が何をしたかったのか、両方わからなかった。どちらかがわかれば、もっとスッキリ出来る気がする。 センブリーヌさん [インターネット(邦画)] 6点(2024-03-18 04:04:27)

158.光の描写が素晴らしい。映像美は評価できるが、脚本が退屈でなんとも地味な映画という印象だ。オダギリジョーだけがひたすら美味しい役をもらえている。伊武も香川もしたたかで狡猾な策略家を演じるのが得意なはずだが、この作品では地味で実直な田舎者を演じて損な役回りという印象だった。 ブッキングパパさん [インターネット(邦画)] 5点(2024-01-14 20:16:06)

157.もうちょっと煮詰めればサスペンス的には面白くなりそうとは思いつつ、そうしちゃうと兄弟愛とすれ違いを描きたいドラマの軸がブレちゃうので、これで良かったと思う。面白かった。、 afoijwさん [ビデオ(邦画)] 7点(2023-03-17 13:10:21)

156.《ネタバレ》 なんだか、少しずつボタンを掛け違えてしまった結果、誰もが幸せになれなかったといった印象を受ける。でも人間ってそんなもんで、たまたま上手く行く人とたまたま上手く行かない人なんて紙一重ではないでしょうか。 いっちぃさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-12-03 22:39:54)

155.西川美和監督の作品で初めて面白いと思いました.
まぁ,展開は想定通りの流れでしたが,オダギリジョー,香川照之,伊武雅刀,蟹江敬三の演技が素晴らしかったです.
タイトルも絶妙です. あきぴー@武蔵国さん [DVD(邦画)] 7点(2022-07-17 23:05:39)

154.《ネタバレ》 新進気鋭の若手カメラマンとして東京で充実した日々を送る早川猛。彼の兄で、田舎で父が経営するガソリンスタンドを継いだ早川稔。才能に溢れ都会で洗練された生活を過ごし女にもモテる弟と、田舎で地味な生活を送り真面目で大人しく女にも縁がない兄。そんな対照的な早川兄弟は、ある日、実家で行われた法事で久しぶりの再会を果たす。子供のころからずっと仲の良かった二人は、長い月日など感じさせないほど自然に話せるようになるのだった。だが、そんな二人の関係は、ガソリンスタンドで働く幼馴染の女性川端智恵子を巡り、揺れ始める。易々と彼女の好意を手に入れる弟と、彼女に恋心を抱きながらもただ見つめることしか出来ない兄。危うい関係で繋がった三人は、かつての思い出の地である山の中の渓流へと出かけることに。そして、そこで事件が起きてしまう――。古いつり橋の上から智恵子が転落し呆気なく亡くなってしまったのだ。しかも、その場には兄の稔がいた。当初はバランスを崩した彼女が一人で転落した事故として扱われていたが、その後驚きの展開を見せるのだった。なんと兄の稔が自ら突き落としたと自白し、そのまま殺人容疑で逮捕されたのだ。果たしてそのつり橋の上で何があったのか?やがて始まった裁判で、仲の良かったはずの兄弟が抱えていた闇が明らかとなる……。一人の女性を巡り、徐々に崩れてゆくそんな兄と弟を終始淡々と見つめた法廷劇。この監督の映画は今回初めて観ましたが、これがなかなか見応えのあるヒューマン・ドラマの良品でありました。とにかく、この監督の心理描写のきめ細やかさには舌を巻く。価値観の全く違う対照的な兄弟のそれぞれの思いが次第にすれ違ってゆく過程などなんとも繊細で、この二人の揺れ動く微妙な関係性に最後まで目が離せませんでした。特に殺人容疑で捕まる兄の人物造形は非常にリアル。監督は女性ということですが、こんなにもモテない男の心理が分かるなんて凄いですね。ほんのちょい役の登場人物までちゃんと血の通った人間として感じさせるところなどもホント巧い。そして「ゆれる」というシンプルで印象的なタイトルが示す通り、彼らは皆、最後までずっと揺れ動く。あの時ああしていれば、この時こうしとけば…。きっと何処にも正解などないのだろうけれど、人間は誰しもその時々の決断によって人生が決まってしまう。その現実の切なさに翻弄される二人の兄弟には、観ていて心揺さぶられずにはいられない。二人を熱演したオダギリジョーも香川照之も非常に嵌まり役で素晴らしかった。三島由紀夫賞の候補にもなった、監督自身による原作本も今回購入済みなのでまた楽しみに読もうと思います。 かたゆきさん [DVD(邦画)] 8点(2021-08-28 01:39:58)

153.《ネタバレ》 猛が取り戻そうとした兄とは、結局猛自身が勝手に作り上げた虚像だったのではないか。
そのことに勝手に腹を立て、法廷で自分が真実と思い込んでいる吊り橋での出来事を証言したのではないか。
兄のためではなく、あくまで自分自身のために。
7年の空白の後も、猛に変化があったとは思えない。
母が死ぬ前もきっと、自分以外のことは彼にとっては他人事だったのではないか。
この映画で「ゆれる」のは、他ならぬ観ている我々の心ではなかったか?
お前も猛と同じ生き方をしてはいないか?と。

とにかく俳優陣の演技が見応えがあった。
オダギリと香川照之はもちろん、伊武雅刀と蟹江敬三の凄みは流石。
そしてまだ端役の新井君。役者としては素晴らしいと感じた。
音楽とカット割も素晴らしく、私が言うのは僭越だが、映画としての完成度が非常に高い。
いい映画を観た。 roadster316さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-06-13 08:40:38)

152.《ネタバレ》 設定がめちゃくちゃ面白いし、兄と弟のキャラクター設定にリアリティがある
殺人に至るまでの心の動きにも非常に説得力があると思う

ただ面白いのは途中まで
終盤はオダギリジョーの心変わりのために香川照之が血迷ったとしか思えないご都合主義的な作り
前半は最高なのに後半で台無しになった
核の部分である「殺人犯の肉親になりたくない弟」の人物像がうまく描けてなかったかなと
少なくとも自分は兄弟の豹変に納得いかなかった Nigさん [インターネット(邦画)] 7点(2021-03-27 00:22:37)

151.稔の、じっと一点を見つめる顔、洗濯物をたたむ背中。真面目さの中に狂気がみえる。最後、バスに乗って、弟から兄という存在を奪うのだろう。 nojiさん [映画館(邦画)] 6点(2021-03-04 23:49:15)

150.《ネタバレ》 新聞(ここのサイトでも)などでの高評価からちょっと
期待しすぎてしまったのか、実際に見ての感動はあまり感じられませんでした。
あまり先入観を持たずに見るべきだったのでしょうか。意味深な会話や印象的
な映像の挿入など心理劇を盛り上げる工夫が盛りだくさんで、監督の思い入れ
を感じますし、主人公二人や脇を固めたベテラン俳優陣の演技力には感服しま
すが、やや食傷ぎみでした。

謎解きがテーマではないと思うのですが、結局真実はどうだったのか、にこだ
わってしまいました。
「最初に兄が証言したように、彼女が勝手に落ちて、兄は手をつかんで助けよう
とした」なのか、それとも弟が証言したように「彼女の言葉に逆上した兄がわざ
と突き落としたのか」。兄の腕に残った傷をみれば(意味ありげに何度も映して
いましたが、なぜ弁護士がそれを兄に有利な証拠として取り上げなかったのかだ
ろうか?)、前者だと思うのですが、じゃあなぜ弟はあんな証言をしたのか。

弟の妄想なのか。なぜ兄を嘘つきだと思ったのか。もし前者が真実なら弟の証言
には悪意があり、出所した兄は家に帰ろうと迎えにきた弟を絶対に許すわけはない、
などなどすっきりしない点が多々残りました。(こだわり過ぎなのかもしれません) キムリンさん [映画館(邦画)] 6点(2021-02-25 18:08:09)(良:3票)

149.この映画を観ると、人間の認識能力といものは、如何に不安定なのかということを改めて気づかされる。人間は物事をありのまま知覚することはできず、自らのフィルターを通してでしか認識できない。しかも、その記憶でさえ、後の心境の変化などが影響し、曖昧なものになってしまう。人間の記憶は、決して記録ではないのだ。
そんなことを自覚させてくれる素晴らしい作品である。 アクアマリンさん [DVD(邦画)] 9点(2019-01-20 18:20:13)

148.《ネタバレ》 面白しろかった。最初はグダグダの展開だが、弟が吊り橋に関わるシーンぐらいから、ギヤアップ。兄弟の演技合戦でピーク。ラスト、バス停での希望のもてるシーンを暗示して終了。兄の香川の演技は、少しオーバーアクトだと思えるが、ストーリーの中で吸収されていて、違和感は少ない。大好きな真木洋子が出ているが、1シーンを除いて目立っていないように思える。開花は、まだ先であった。この映画の中で、一番インパクトが強いのは、オダギリと真木の濡れ場でのセリフ。「舌出せよ」である。ある意味衝撃的。特に、女性監督なのでその印象強し。西川監督、見た目は美女だが、心の中は中年のおっさんではないのか。これ以降、西川監督作品は続けて見ている。彼女の代表作。 にけさん [映画館(邦画)] 9点(2018-12-23 22:23:48)

147.《ネタバレ》 私には2歳下の妹がいる。姉妹仲は恐らく普通。私たちはすべてが似て非なる存在のため、家族として当たり前の慈愛、信頼、寛容はあるものの、姉妹であるが故の嫉妬、劣等感、羨望も持ち合わせていることもまた事実だろう。同じ親から生まれ、どれだけ親が平等に扱っていたとしても、環境によって育まれた立場や認識の差は、なかなか変わらないのかもしれない。

事件によって大人しかった兄は豹変し、そんな兄に戸惑う父や弟。それぞれが描く互いのイメージ(認識)がことごとく覆され、沸き起こる不安。人は「家族」という存在に、心のどこかで絶対的価値を求めているのかもしれない。絶対など存在しなと思いつつ、それでもどこかで信じているのかもしれない。だからこそ、その考えが根底から覆された時の絶望感は計り知れない。小さな波紋はじわじわと大きく広がり、心は揺さぶられ、絆も揺るがされ、互いの存在や価値さえも揺るがしてしまうほどの恐怖に変化するのだ。
兄の稔は、必死で自分を助けようとする弟の猛に深い謝意を感じてはいるものの、同時に自尊心を傷つけられ、恥と屈辱を感じてしまう。皮肉なことに、稔自身も父や弟と同様に、自らの認識と違う弟を目の当たりにして戸惑い、不安や恐怖心が生まれてしまったのだろう。証言台で話す猛の表情は悲しいほど無機質で憎しみに満ちているが、その姿を見つめる兄の表情が安堵に満ちているのは、なんとも悲しい。

しかし、猛が偶然見たホームビデオに映し出されていたのは、取り合う手と手から感じられる兄弟の確かな絆。これを見た瞬間、私も猛同様に嗚咽を漏らしてしまった。幼かったあの頃の数々の映像が頭の中を駆け巡り、苦しくなるほど胸が痛んだ。同時に、温かく優しい感情にも包まれた。私は、自分が想像していた以上に妹を大切に想っていたことに気がついたのだ。
本作のように、いつか私たちにも認識のズレを感じる時が来るかもしれない。しかし、私たちにも見えない絆があると信じたい。不安定で不確かなことばかりだが、私と妹との絆だけは消えないで欲しいと願う。

最後に猛が必死に「兄ちゃん、家へ帰ろうよ」と叫ぶ言葉の裏には、「あの頃の二人に帰ろうよ」という願いも込められていたのだろう。そして弟の声に気づき微笑んだ兄の「帰る場所」が、どうか父や猛のいる場所であることを、切に願った。 港のリョーコ横浜横須賀さん [DVD(邦画)] 9点(2018-12-02 20:19:38)(良:1票)

146.《ネタバレ》 橋もゆれる、心もゆれる、兄弟の関係もゆれて画面までゆれる・・・。
西川監督の作品を観たのはこの作品が初めてで、その後、「ディア・ドクター」「夢売るふたり」も観ましたが、人の心理の揺れる様を描かせたら、日本で西川監督の右に出る人はいないんじゃないでしょうか? そしてこの脚本をさらに輝かせたのが役者たちの演技力。特に主役の二人は、もう「すごい!」という言葉しか出てこないほどの名演でしたね。

不自然な点は多々あります。橋の上での、智恵子の稔に対する態度。猛のことで気持ちがイライラしていたとしても、30歳前の大人があのキレ方はないですよね。また、昨夜寝た幼なじみが死んたというのに、あの猛の冷めた落ち着き、なのに間違った記憶で兄を有罪にしてしまうなど、普通のドラマだとありえないこと。でも現実の世界では、そういう不自然がいくつも重なって成り立っています。多くの人が思う「普通はこうだよね」通りの描き方は、2時間ドラマにおまかせしましょう。

ひさしぶりに観返して、この作品に対する評価はさらにアップしました。脚本は一切の無駄がなく、「これ以上はない」というくらいの見事な映像表現など、そのレベルの高さは、他の映画作品とは次元が違うように思えました。おそらく、数十年後でも、その評価は変わらないのではないでしょうか。 ramoさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-09-20 00:26:51)

145.シナリオはインパクトが無く、パッとしませんが、オダギリと香川の名演が光る作品。香川さんはこーゆーちょっと変人の役柄は見事ですね。最後のシーンはゾッとしました。 SUPISUTAさん [DVD(邦画)] 6点(2017-07-19 16:30:56)

144.《ネタバレ》 ミもフタもない言い方ですが本作品は「イケメン、世渡り上手、口説き上手な性悪男(猛)」と「そんな男になぜか惚れてしまう尻軽女(智恵子)」と「頭の良い、人の善い、しかしモテないスネ男(稔)」が繰り広げる超あり得ない物語です。私は還暦を過ぎた一初老男性ですが若かりし頃こういう3タイプの男女は周りに見かけました。でも時が経ってみれば性悪男は家業を継ぎ堅実な経営者になったり、尻軽女もちゃっかり平凡なサラリーマンと結婚し良妻賢母になったり、スネ男も意外に不釣り合いな美女を射とめたり、が現実です(実例です)。この映画は性悪男とスネ男が兄弟、そのスネ男の営む地方のGS社員が尻軽女、その尻軽女と昔恋仲だった性悪男が都会から戻って来たのですから何か起こらないほうが不思議です。案の定GSで仲良く話す稔と智恵子をチラ見した猛のスイッチが入り早速その夜智恵子と関係します。稔もその辺のカンは鋭く猛に探りを入れるヒッカケ質問。そして稔はなぜか猛と智恵子を渓谷に誘う強引な展開。で、いくらだらしない下半身とはいえ「クソしてくる」と猛は川向うへ。そして猛を追って行く智恵子と稔がよりによって吊り橋の上でもつれ合い哀れ智恵子は谷底へ・・・」。(このシーン智恵子は迫ってくる稔を嫌悪感丸出しで拒みますが尻軽女というのはこういう場合「あ、ありがと」とか言って稔の手を借りるもんです) さてそこから裁判沙汰になり兄弟の証言から事件か事故か「ゆれる」の真骨頂が展開されるのですが縷々書いた通りそもそもの状況設定にほとんどリアリティが無いので白けるばかりです。猛が幼いころの8ミリを観て稔が高所恐怖症だったことを知る(?)とかラストシーンで稔が出所後バスに乗る(?)とか観る者の心もゆれる、なんてドーでも良くなります。多くの映画賞を受賞された名作を茶化すようなコメントを長々書きましたがこんなひねくれた見方をする者もいるということはご理解ください。オダギリさん、香川さん、真木さんの演技は非の打ちどころなく3点です。 yoroshikuさん [ビデオ(邦画)] 3点(2015-11-05 15:05:49)(良:1票)

143.《ネタバレ》 ブラックコメディ「蛇イチゴ」のにおける素晴らしい馬鹿馬鹿しさと比べると、この映画は狙い済ましたかのように「ゆれる」映画である。
カメラそのものまで大袈裟に「ゆれる」。複数の人間の視点で観客の心も「ゆれる」。何が真実で何が嘘なのか。あるいわ・・・。
超極端に言えば、西川美和は観客を「騙まし討ち」にする事を予告している。その騙まし討ちを楽しめるか楽しめないか。
俺はその騙まし討ちを楽しんでしまった者として、この映画の感想を書いていきたいと思う。

細部のこだわり(照明や心理描写など)に思わず眼がいってしまう。
台所の流しに注がれる水、酒の一滴、ビールを注ぐ、ペットボトルの水、ホース、シャワーの、吊り橋の下の激流の“音”。
猛は女と接吻をして家を出て行くが、彼女もまた猛のフレームに映される“仕事仲間”の一人に過ぎない。

年代物の車を走らせて寄るガソリンスタンド。そこで出会った女と意味あり気に視線を交え、サイドミラーに写される女の表情を確認して男は去っていく。そこで観客は二人の関係を何となく察する。

葬式に普段どおりの格好で現れ、父親は詰り、猛もまた父親を詰る。それを止める兄の稔。稔はいつも耐えて耐えて耐えている。家族のために。

猛と女は再会してすぐに性交できるほどの“仲”。
ベッドで弟が情事を楽しむ間、兄は黙々とトラックにオイルを注ぐ。まるで弟あるいわ女に嫉妬するようにその場面を挿入してくる。トラックが微妙に上下している様子も気になる。

男が去った後、独りで男の煙草の匂いを嗅ぐ。残されたトマトが暗示する食事を食べたか食べなかったのか、そして二人の関係。

渓谷へのピクニック気分。
バックミラーに光る男女の顔。嫉妬、本音。
普段はヘコヘコ、その鬱憤を大自然で開放する稔。あるいわフリをしているのか。


渓谷にかかる吊り橋の上。その上にいるだけでサスペンスは起きる。閉鎖的空間の息詰まる雰囲気。ボロボロの橋、激流、幼い子供のように服を掴む挙動、怒声。

目撃者は独りだけ。しかもファインダーでなく肉眼だけ。その男の視点すら直後には明かされない。ただ橋の上に残った者に対する対応だけが描かれる。真実を語るのは手の傷だけ。
写真家は見ていたにも関わらずだんまりを決め込もうとする。
静かに励ます男、流れてくる靴、庇い過ぎる者への疑念、シャワーで亡き者を思い出し、汗と涙を洗い流す。封筒の報酬は前払い。

死に追いやった疑いのある人間を憎むどころか、むしろ殺されるような人だったの?という疑問つぶやいてしまうような母親。
弁護人同士の舌戦も、二人にはどうでもいい事なのだろう。
スーツの正装は初めて自分を出すために。

過去を物語るのは8mmフィルムだけ、それを見て今まで冷淡だった者が、過剰なまでに感情を揺さぶられて泣くのである。ここまできて観客の心を揺さぶるのか!
後悔し、全力で車を走らせる者の表情の出る“本音”、それに笑顔で応える者の表情は本音だったのか、それとも・・・。最後の最後まで謎を残す。そこに俺は惹かれる。 すかあふえいすさん [DVD(邦画)] 9点(2015-06-08 21:11:01)

142.弟ひどい。あきずにはみれた。舌出して。 すたーちゃいるどさん [DVD(邦画)] 6点(2015-04-05 17:40:13)

141.《ネタバレ》 映画の冒頭の法事シーンの中で、襟足(髪)を自分でカットした後が
見える場面が印象的。

香川照之さんはもともとすごい俳優さんなんだろうけど。自分の中
では「頭の良い、意地悪い役」の人ぐらいの認識でした。
この映画を見た後、私にとって存在感のある俳優さんになりました。
考えてみれば、ほかの映画やドラマを見ると、そこらじゅうに香川
さんだらけ!どんだけの作品にでてらっしゃるのでしょうか。

香川菌パンデミック状態! たかしろさん [DVD(邦画)] 6点(2015-03-02 16:40:04)

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【点数情報】

Review人数 160人
平均点数 6.77点
000.00% line
110.62% line
200.00% line
331.88% line
4106.25% line
51911.88% line
63421.25% line
73924.38% line
82817.50% line
92314.38% line
1031.88% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.47点 Review17人
2 ストーリー評価 6.45点 Review22人
3 鑑賞後の後味 5.63点 Review19人
4 音楽評価 6.35点 Review14人
5 感泣評価 5.41点 Review17人

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