みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
8.《ネタバレ》 ロメールといえば、若い男女の恋バナ、という先入観をみごとにひっくり返されました。監督が初めて手掛けた長編作品という今作はメタボ気味の中年のおっさんが主人公なものだから、とても驚いてしまった。のっけから体毛ボーボーの四十男の上半身はだかの画ですもん。 ヌーヴェルヴァーグの影響を受けているとの指摘がたくさん見られるけれど、ゴダールとかあの辺の小難しいノリが苦手な人でもしんどくないと思います。 ロメール作品によく出てくる長々した哲学会話もありません。その代わり丹念に主人公の凋落していく様をカメラは追っかけます。初期のロメールは言葉でなく映像で訴えていたのかあ。 悪態をパリの街につき散らかしながらさまよう男と、冷たい世間と皮肉にもあちこちに目立つリッチでリア充な人々。切符は落とす、犬まで吠える、会いたい人らは片っ端から不在。 冒頭から男がちょっとお調子者で危ういなあと描写されてはいるのですが、あまりの容赦ない現実に同情を禁じ得ないところ。が、なんというラスト。まさかの一発大逆転とは、すなわちこれ獅子座。ほんとかね笑。まあ川に身を投げて‶FIN”が浮かんでくるよりは良いです。ヌーヴェルヴァーグってやりそうじゃん。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-11-10 19:03:46) 7.エリック・ロメールというフランス人監督の、1950年代の作品。 ロメール作品を観たことがなかったので、一つくらい観てみようと決意。 ロメール作品の中で、ツタヤに置いてあるものがこれしかなかったので、この作品を選択した。 プータローで腹の出た40男の主人公が、ひょんなことからホームレスへと堕ちていく。 その過程を描いた、ストーリー的にはいたって単純明快なものだ。 かっこいい主人公でもないし、別に感動できるストーリーというわけでもない。 だけど、ホームレスに堕落していく過程の描かれ方は、なかなかのもの。 徐々に迫り来る飢えに対する恐怖などが、リアルに描かれているのだ。 最初はこ綺麗なスーツを着ている主人公。 さまよい歩くうち、まずは靴の底が剥がれる。 そして、ズボンが汚れ、上着も汚れ・・・ 少しずつ、それっぽい“身だしなみ”に近づいていくのだ。 これは細かい演出だが、観ていて笑いが出るくらい楽しめた。 しかし、終わり方が良くない。 でもとにかく終わり方が・・・ もう少しヒネリがあればなぁ。 まあ、この終わり方もこれはこれで良いのかもしれないが。 それにしてもこの主人公を演じたジェス・ハーン、あまりにノーテンキなボンボンが板につきすぎ。 腹はダボダボ、おまけに歩き方もチンタラチンタラしている。 しかも、“自称作曲家”っていう設定も更に笑える。 こんなに笑うべき作品じゃないのかもしれないが、こういう見方もアリかと。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2021-05-28 00:16:30) 6.獅子座の運勢は30代はぶらぶらしてて40代になると幸運か不幸かハッキリするんだって。幸福になるってんじゃなく、いいか悪いかハッキリするってところがミソ。曲がりなりにも社会人だった主人公がルンペンになっていくのを、関数のグラフを眺めるように描いていく。このテンポの堂々としたとこ(人が不潔になっていく関数でもある)。金銭が正確に表示される。友人に渡さなかった6フランで9フランのパンを買ったり、推理小説の古本10冊で400フランとか、彼の金銭出納簿がキチンと観客の頭に書き込まれていく。とりあえず目的ありげな通行人になって社会人を装うんですな。鞄はまだ持っている。でも衣服の汚れなどで、だんだん街中で浮いていってしまう。それを糊塗しようとするんだが、それも面倒くさくなって、服のしみを取るより、そのしみの側に転がり込んでしまう。恵んでもらう経験が、社会人としての誇りを放棄した瞬間か。ここらへん実に実感迫ります。セーヌの遊覧船から落ちた菓子袋を石を投げてこっちに寄せようとしたり。イタリア映画だったら重いネオリアリズモの題材が、フランスはエスプリの笑いに仕上げている。苦笑いだけど。ゴダールがベートーベンの弦楽四重奏曲15番の第2楽章中間部を繰り返し聴く場があり、のちの『カルメンという名の女』(全編にベートーベンの弦楽四重奏が流れた)を思い合わせると、これはゴダール本人の好みのスケッチなんだろう。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-06-10 09:38:59) 5.エリックロメールは大胆なストーリー展開や衝撃的な映像で楽しむ監督ではないのだろうと思う。なんで感情移入して全然退屈じゃないのかなあと不思議。ホントは10点つけたかったけど、ラストがきっと他の作品より少し劣っているからマイナス1点。エリックロメールの映画をまだまだ観てないのだけど、どれも10点つけたくなる監督と今の時点では思っている。 【ぺんぎんうさぎ】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-01-12 00:58:41) 4.《ネタバレ》 何か、タイトルから(獅子座どうしの)美男美女の淡いラブストーリーをイメージしていたのですが、全然違う話で、いきなり胸毛ワンサカなオヤジが出てきたのでビックリしました。 最初、パーティーのシーン辺りで眠くなってきてしまったのですが、遺産が手に入らなくなってパリを徘徊する辺りから一気に目が覚めてきてストーリーにグイグイ引き込まれていきました。あの徘徊シーンは主人公の台詞もほとんどなく、ハッとするような出来事もこれといってないにもかかわらず、何故か強烈な印象を受けます。“執拗なまでに”ピエールの動きを追って、という感じではなく“ただ淡々と”もしくは“黙々と”見つめるとか、見守るといった感じに見えます。 ラストも、ピエールの豪遊しているところを出してハッピーエンドを迎えるといった安っぽいことはせず、遠目で控えめに見て、これからのピエールをちょっと心配してしまうような目つきでピエールのことを映していたように思えました。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-12-14 22:43:42) 3.都市に生きる個人の孤独を、人生一変どん底の40歳男がひたすらパリを徘徊することによって映し出す。「おれはこんなにも不幸なのに・・・ここにこんなに不幸丸出しの男がいるってのに・・・誰一人見向きもしねぇ!それどころか皆幸せそうな顔しやがって!楽しそうな声出しやがって!・・・何だこの疎外感は!何だこの劣等感は!なんでおれだけこんな思いしなきゃならねぇんだ!?おれなんていなくなってもいいってのか!?何でこんなこと考えなきゃならないんだ!パリが悪いんだ!そうだ、こんなクソみたいな街が全部悪いんだ!何て冷てぇ街だ!パリという街もパリなんかに住んでる奴等もみんなクソだ!何だこのクソみたいなブロックは!きったねぇ!まじきったねぇ!パリのブロックは最低だ!最低レベルのブロックだ!」――――叫び、歩き続ける男を映すとともに魅力に溢れた街・パリを映し続けるカメラ。カメラだけが正直にパリへの愛情を語っていた。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-04-18 04:55:24) 2.この映画見終わってまず感じるのは、フランスっていいなぁ・・・ってこと。この映画に関してはストーリー云々よりも、パリの風景、パリの日常、革靴鳴らして歩く遊歩道が印象深い。それは、パリの美しさ!って訳じゃなくて、ロメールが愛したパリの街の素の表情なんよな。何故か懐かしいような温かさとか、美しさがある。ストーリーも悪くない。怠け者の男が遺産を相続できたりできなかったりで、ホームレス&物乞いみたいに落っこちていく・・・みたいな感じなんだけど、そんな男が中心のストーリーだからこそ、社会からはみ出た男の客観的な目線でパリという街が浮き彫りになるし、そこでの生活感がよく見える。この目線の低さで何もかも新鮮に見えた。チーズとパン、イワシの缶詰、ベンジン、新聞。この作品にはそんな日常すべてが詰まってる。ああ大好きだぁ。 【ハッシーふりかけ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-18 04:34:15) 1.師ジャン・ルノワールの『素晴らしき放浪者』へのオマージュか? ヌーベルバーグの盟友であるクロード・シャブロルの遺産相続のエピソードを元に、エリック・ロメールが長編処女作として撮りあげた獅子座生まれの楽天的で呑気な四十男のパリ放浪の物語。かくいう私も獅子座生まれの40男です。 【なるせたろう】さん 10点(2003-10-14 12:08:41)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS