みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
14.《ネタバレ》 いやあ、これは凄い。台詞なんて無くても映像だけで全てを語る。分からせるシーンの数々、霧の立ち込む野原を彷徨う男、霧と月の美しさ、美しいという意味ではそんな迷える男を狂わす女、ジャネット・ゲイナーの美しさ、愛を語るのに余計な言葉は要らない。表情だけで語らせる監督の演出の素晴らしさに酔いしれました。サスペンス映画として完璧な上に娯楽性、芸術性の高さ、ベッドに仰向けに寝る男の表情に被せるようにして写し出される霧の映像美、この映画は全てにおいて美しい。寝ている男にそっと布団をかけてあげるジャネット・ゲイナーの優しさ、男が鳥に餌を与える女の姿を見てる場面と赤ちゃんを抱えて動き回る女の美しさに加えて吠える犬、湖でのシーンの恐ろしさなどは映像だけで全てを語っている。分からせてしまうぐらい本当に上手い。映画の基本である映像により見せる素晴らしさ、娯楽と芸術とが見事に融合した大傑作! 【青観】さん [DVD(字幕)] 10点(2021-01-17 13:42:16) 13.《ネタバレ》 「最後の人」とか「ファウスト」とか傑作揃いのムルナウだが、やはり1本選ぶとするとこの「サンライズ」。 田舎の幸せな夫婦の中を引き裂こうとする小悪魔的な女、その誘惑に男が打ち勝って夫婦の愛を取り戻すという話だ。 ストーリーは至極単純、中身は超ドラマティック。 天使のような嫁さんジャネット・ゲイナー、筋肉的な夫ジョージ・オブライエン、それを唆す都会女のマーガレット・リビングストン。 夫婦には既に赤ん坊がいる。 だが可愛い嫁がいるにも関わらず都会女に惹かれる夫。 どんな美人でも「見飽きた」存在になれば誘惑に惹かれてしまう。男の性という奴か。 何も無い田舎・・・全てが存在するような都会の魅力が男を虜にする。 女は「私の夫になってよ。あんな女殺しちゃってさ。」恐ろしきは女の換言よりも、その言葉に支配されてしまう夫の方だ。 「吸血鬼ノスフェラトゥ」や「ジキル博士とハイド氏」の頃から恐怖演出がズバ抜けたムルナウ。 愛する女性を「邪魔者」として殺そうとする夫の狂気。 魔が差した人間ほど恐ろしいものは無い。 強烈なモンタージュ、湖面の美しさが余計に怖い。 「ミズーリ横断」や「廃墟の群盗」で常軌を逸した映像の美しさを残したウィリアム・A・ウェルマンも、ムルナウの恐ろしさに勝てる気がしない。 湖面に浮かぶボート、二人きりの「密室」・・・犬の乱入や夫自身の葛藤・・・ただこの様子を見るだけなのにまったく飽きない、見入る、見入ってしまう。 うーむ、この先もガンガン書きたい。ただこの続きを書いてしまうと全部ネタバレになってしまう。 いや本当この後の展開が「常軌を逸した」感じになっちゃうんだもの。 取り敢えずリア充爆発しろ。 いろんな意味で夫婦愛に溺れまくりっす。すごく微笑ましい。爆ぜろ。 余りに空気が変わったので笑ってしまうほど別の映画になる。 なのに何の違和感も無かった。 更にラスト20分でまた「突然変異」だ。 何なんだよこの映画・・・ムルナウ万歳。 ラストの夕陽と髪をといた「天使」の寝顔が最高に美しかった。こんなにもキレイな映画があって良いのか・・・。 真相は是非とも本編で堪能してもらいたい。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 10点(2017-03-27 07:43:29)(良:1票) 12.《ネタバレ》 ストーリーだけ取り出すと、ヘン。何も都会に逃げ出るからって、妻を殺す必要はないだろ。舟の上での殺意のシーンの演技なんか表現主義時代の悪影響が感じられる。都会=悪、田舎=善というパターンも気に食わないし、どう見たってシティ・ガールより可憐な妻のほうがいいじゃないか…。でもたぶんこれは神話なんだよね。しっくりいかなかった夫婦が真の夫婦になるまでの試練の物語。そう思えば、この二人が都会で過ごす部分がシミジミといい。ついさっき殺意を見せた夫に追いつかれると、もう逃げようともせず、つまり自分の命の危機よりも、夫婦生活が崩壊してしまったことのほうに泣いている妻。可憐そのもの。一緒について行くんだ。教会を経て新婚夫婦のようにはしゃぎまわるの。写真館、床屋、そして遊楽場の光の洪水に、花火のおまけまでついて。帰りに湖水ですれ違うかがり火焚いた船(いかだ?)。そのあとの嵐も極端なんだけど、神話としての駄目押しね。これでラストの「よかったよかった感」が深く心に定着していく。私の知る限り、モノクロで一番美しい映画。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-07-21 09:52:18) 11.《ネタバレ》 幸せだった夫婦が一人の女によって壊されてゆくという、なかなかシンプルなストーリーなのですが、このような普遍的とも言える定番作品は自分にとってかなりツボです。 自分が映画で楽しみを見出すのは、ベタなストーリーを映像のテクニックや演出、ストーリー構成や人物設定、シチュエーションなどによって如何に上手く見せているかというところに尽きるわけで、変に捻ったストーリーよりもこの映画で見られるような登場人物の心理を丹念に描く形でストーリーが進んでいくものの方が面白く感じられます。 この映画は、前半の教会から出たところまではもう素晴らしいと言うしかなく、特に街に出てきたときに、夫が妻に許しを請うところと妻が少しずつ警戒心を解いていく一連のシークエンスは、もう完璧と言ってしまえるほどの見事な描写です。道のど真ん中で交通渋滞なんかお構いなしに熱いキスを交わしているシーンの後の二人が並んで歩くショットでハッピーエンドだったら素敵だなぁと思っていたのですが、その後にやや長めの息抜きがあって、この落差はちょっと勿体無かったなぁと感じました。 後半の大波にさらわれるシーンも大迫力で、こちらもまた筆舌に尽くし難いほどの名シーンなのですが、その後に妻が助かるシーンを挿入してしまったことで、妻が生きていたことの喜びが半減してしまったような気がしましたが、二人が再会した時の幸せそうな表情が良かったですし、ラストの美しい“サンライズ”ショットも、紆余曲折あった夫婦が再出発するという意味も含んでいるようで、とても感動的なエンディングでした。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 00:33:44) 10.《ネタバレ》 こんなに古いサイレント作品であることも知らなかった予備知識が皆無の作品です。教会に辿り着くまでの世も末かという重苦しさ、教会を出てからのユーモアをちりばめたみずみずしい喜びに溢れる楽しさ、帰路の悲劇とハッピーエンドの結末。ありきたりで分かりやすいストーリーですが、最後まで見入ってしまったのは、主役2人の演技力ときめ細かい演出によるものなのでしょう。私も教会の神父さんの言葉にホロリとさせられました。悪女がもう少し絡んでくれればよかったのですが、美しく清純で可憐な奥さんと対決させるなどというのは罰当たりな事であって当時では考えられなかったのでしょう。 【The Grey Heron】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-05-01 01:14:27) 9.内容的にはどうでもいい内容でした。 『イントレランス』や『カビリア』、そして『メトロポリス』辺りと比較しても、面白さ・インパクトの両面において劣っています。 “ムルナウのサンライズ”と聞いて、執念で探した本作ですが、期待が大きすぎたようです。 ここでの高評価を見る限り、どうも私はムルナウと相性が悪いようです。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2008-06-29 23:35:14) 8.《ネタバレ》 男の手だ、半開きに宙に構える手だ。殺意を語る、迷いを語る、懺悔を語る。妻の首だ、時には斜めにしなだれ、時にはぴょこぴょこ動く、失意を語る、幸福を語る。ホーンが呼ぶ、妻の名を呼ぶ。名前は分からない、でも、妻の名前が分かる。オーバーラップ、交換するショットも使う。善と悪、現実と妄想、田舎と都会、幸福と不幸、その対比。浮き袋代わりの芦の束、見る者に最後はこれが左右するはずだ、つまりは、ボートが転覆するはずだ、と教えつつ、見る者はストーリーの展開にはらはらすることになる。男が死ぬのか、女が死ぬのか、はたまた…… サイレント映画の、表現の極みを見せる。きくところによると、ドイツ表現主義の流れにいる監督であるとか。これが表現主義かと、うーんと唸る。さらに、ここは賛否が分かれるところだが、ギャグも「教会のシーン」を越えてから入っている。ハリウッド側の興行的な要請か?それとも、チャップリン同様の笑いと涙路線というのが、この当時の映画の王道であったのだろうか?何れにしろ、素晴らしい映画だ。 【K-Young】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-09 14:40:05) 7.《ネタバレ》 生涯ナンバーワン映画がどんどん更新されてゆく。でももうこれ以上はないでしょう。凄すぎます、この映画! 無駄なく完璧に描写される導入部。表現主義映画の真骨頂といえる都会の女との密会シーン。そして『陽のあたる場所』をはるかに凌ぐボート上の恐怖演出。都会へと移動した後の細やかな夫婦の心理描写。その完璧なまでの光に号泣した教会のシーン。ここで終わっても10点である。しかしまだ中盤。酔っぱらった子豚騒動は『ベイブ』も真っ青。ミュージカル映画を彷彿させる華麗なダンスとそれを見る男と女の面白おかしいシーンはチャップリンの映画のよう。その後の嵐のシーンではその風の凄さを荒れ狂う遊園地の遊具で見せつけるのだが今のパニック映画も顔負け。そしてボートの転覆とココで活きて来た「藁の束」という小道具の使い方の巧さ。観客をどぎまぎさせる展開の妙。そしてそして、、あぁ、なんて美しいのだろう、この女優。特別に11点てのを作ってください、管理人様。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-06-22 15:38:53)(良:2票) 6.《ネタバレ》 ストーリーはシンプルそのもの、人間の弱さと愛についての寓話です。ですが、役者の繊細な演技も、表現主義的な映像美も、数少ない台詞字幕のタイミングも、完璧に素晴らしかったと思います。夫が改心する教会の場面、そして圧倒的なラスト、2度涙が出ました。ラストでは隣で見ていた友人も号泣していました。この感動はサイレント映画ならではのものだと思います。完全に打ちのめされました。 【藤堂直己】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-09 08:13:10)(良:1票) 5.「声」なしで十分伝わる作品。むしろ「声」は不要だと思う。仮にトーキーが可能な時代に撮影されたとしてもサイレントにしただろう。その意味でサイレントであることに必然性がある。正真正銘のサイレント映画。 【STYX21】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-06 19:26:07) 4.疾走する機関車、大型客船のショットから田舎の避暑地へと移るオープニングからして、なにやらコントラストがきいているのですが、その通り純朴な田舎の女と都会の悪女、幸せの絶頂と不幸のどん底、というめりはりのある構造を成す映画であります。そのせいで非常にわかりやすいストーリィとなっています。しかし、しかし、見ておるうちに数々の映像トリック、陰影ある美しいショットにどんどんと、それこそ水の中へ沈み込むように引っ張られていきます。それにもまして、まして、ジャネット・ゲイナーです!お皿とスプーンを持って登場したファーストショットからもうノックアウトです。可憐、純情、優美、もう抱きしめたい!街でチュッチュ、チュッチュするジョージ・オブライエンには、ええ加減にせーよ!と毒づきたくなりましたよ。そしてラスト、髪をすっかり下ろした彼女、サンライズの光が顔を射し、そこに微笑みが浮かんだ瞬間、私的映画史に堂々とその表情が刻印されたのであります。うっとりとはこのことですな~。その他、男と悪女の抱擁シーンに挿し込まれる妻と赤ちゃんの抱擁、行きと帰りで同じ電車内の位置にいながらそれこそ正反対の2人など気に入ったシーンも多々ありました。それと動物が効果的、象徴的に使われていることが指摘できるでしょうか。牛=没落、犬=不安、子豚=幸せ、となっておりますね。もし、時空を超えて、虚実を超えて告白タイムがあるなら、私はこの映画の彼女に右手を差し出したいものです。ふ~・・・。 【彦馬】さん 10点(2004-09-11 21:41:36)(良:4票) 3.ストーリーはよく出来てたし、テンポも良かったんだけど、今の時代の映画に慣れてる自分にとっては、この映画はあまりにも古すぎたようです。 【夏目】さん 3点(2004-06-18 09:43:06) 2.古いサイレントなんだけどしっかりとしたストーリー展開があって、それが結構今にも通じる話で面白かった。真面目な農夫が都会の女に誘われ、そそのかされて若い妻を殺そうとする。外出に喜ぶ妻をボートに乗せ、突き落とそうとするが結局果たせず、一緒に都会で楽しく遊んで・・・と言う話。前半のサスペンスタッチがなかなかいいが、そこでちょっとだれてくる気がする。最後にももう一波乱あるが、ハッピーエンドでしめているので起承転結、よくまとまっている。この時代ではスリリングでサスペンスらしい光と影の映像で撮られているし、心理劇とも言うべきドラマをサイレントでこれだけ見せたと思えば素晴らしい作品だと思う。 【キリコ】さん 8点(2004-01-25 23:48:34) 1.とにかく「うわー。金かかってんなー」という印象。セットもモノホンの建築物としか思えない。とにかく豪華絢爛・贅沢三昧。だから「あんなド田舎にチンチン電車が走ってくるか!」などというつまらないツッコミは入れないように。 【じゅんのすけ】さん 8点(2003-08-29 19:54:57)
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