みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
4.《ネタバレ》 数年前に引退の報が伝えられていたカウリスマキが引退を撤回して撮った、実に彼らしい一篇。 スーパーで働く「ゼロ時間契約」なる労働形態の女と、どうしても酒がやめられない工場労働者の男。 カウリスマキの映画らしい、器用に生きていくことができない男と女のラブストーリー。 相変わらず登場人物の間には独特の隙間があり、微妙な沈黙の時が流れる。 せっかく女から電話番号を聞いたのに、電話をかけることができないもどかしさ。 せっかく男に電話番号を教えたのに、電話がかかってこないもどかしさ。 食事の約束の前に、女は新しい食器を買い、男は花を買う。 台詞の無い2人の間に流れる時間や思い、変わらないカウリスマキらしい表現方法に嬉しくなります。 2人がデートで見た映画が、同じく登場人物間の隙間が特徴的なジム・ジャームッシュの「デッド・ドント・ダイ」 カウリスマキからジャームッシュへの友情か敬意か。こんな遊び心の挿入もまた嬉しかったりします。 これまでの彼の作品に登場した男と女と同じく、本作の2人の今後にも苦労はあるだろうけど、 ささやかなユーモアと共に確かな希望が感じられる、ラストの2人と1匹で歩いていく姿がまた良かった。 それにしてもなぜカウリスマキは再び映画を撮る気になったのだろう? 序盤からラジオを付ける度に頻繁に流れてくるウクライナ戦争のニュース。 中盤、2人が食事をする際に音楽でも、とかけたラジオからもウクライナ戦争のニュースが流れてくる。 それに女が一言、「酷い戦争」と吐き捨てラジオを消す。以降、ウクライナのニュースが聞こえてくることは無かった。 映画人として、何らかのメッセージを発せずにいられなかったのかもしれません。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2025-03-27 15:10:18)(良:1票) ★《新規》★ 3.しばし、余韻に浸らせてください。 映画は現実逃避のために見ていることが多いです。が、現実より現実さがあふれているのに現実逃避できてしまう、最高。 あと、「カラオケ王」とあだ名つけてるセンスがツボ。 【HRM36】さん [インターネット(字幕)] 9点(2024-11-18 22:21:46)(良:1票) 2.《ネタバレ》 いやぁ、好きだなあこういう行間の幅が広い映画。 デートに誘って観に行く最初の映画が"Dead Don't Die"なんてところも最高。 慎ましやかな普通の男女がごく自然にさりげなく映画の中で「生活」している。 女性はなけなしのお金で悩みながら小瓶の食前酒を、男性は花束を買うシーンなんか堪りませんね。 普通の人々に幸多かれと願わずにはいられない愛すべき作品だと思います。 追伸 ・アルコールは程々にね。 ・そして本作にもロシアのウクライナ侵攻の影響が... いい加減にしろよロシア。 【たくわん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-10-24 13:05:33)(良:1票) 1.《ネタバレ》 引退するって聞いたときには、やっぱ(少しだけ)驚きもしたのですが、その時からも何となく復帰の可能性は在るかな…とは思ってて、んで5年で復帰ってコトなのでコレは正直「好い頃合い」だと思ったのです。が今作、そんな個人的期待や前評判の高さをも完全に凌駕してゆくがマデに、意外なホドに非常に素晴らしい作品に仕上がってたのですよね⇒短いタームの引退期間でしたが何かしらが(想定外に)好い方向に変化・進化しちゃったのか?とすら。まず、内容とゆーたら、直近の監督作と比べても実に全く何の変哲も無い超・ありふれた物語だとは思うのですよ。勿論、幾つかの親しみ易いテーマはしっかりと置かれては居ます。がしかし、率直にそもそも「やっぱそーいうコトじゃない」と思わされてしまったとゆーか、映画ってやっぱ(何を語るにしても)それをどう語るか、どんな画(色)で+どんな言葉(音)で彩るか、唯それだけのコトなのだ、と再度気付かされてしまった…と言いますか。思いがけず寧ろ、コレこそが映画だ(=映画の技術の粋と言うべきモノだ)とまで、もう唸らさせれてしまった…と言った方が好いかも知れません。 画ヅラと言うならまず、やっぱ何処も彼処も再び魅力に溢れて居る…のですが(⇒北欧の日常風景てのは、色んな他作品でも観るたび実感するコトではありますが、やはり少し風変わりとゆーかちょっと見慣れない感じが常に新鮮に感じられるとゆーか、それもまた今作でも効果的だったかな~とは思いますね)、今作は中でもその「色合い」とゆーか、ごく落ち着いて涼し気なハイソな感じもあるのですが、一方で非常に「鮮やか」だったなァ~という感覚が強かったのです。何となく、直近のカウリスマキ作品には「青い」ってイメージが有るのですが、今作はその青を非常に単純に「儘ならないという意味での憂鬱」の表現として使っている様に見えて、でその中 or 隣とかに(それと相対すべき何かとしての)赤や暖色が配されるという、シンプルなそのコントラストが非常に鮮やかに効果的だった様に見えました。コレも、誰でも出来そう・思いつきそうなモンだとも思うですが、それでも重ねて「卓越した」技術だったと思うのですよね(ココまで来ると)。 音楽的にも、今作はまたほぼほぼ歌芝居と言って好い様なレベルでモロに「歌う」シーンが多くって、かつ監督作の特徴としての台詞の少なさ(+しかも更に各々の本音はソコでまず言葉にならないコト)も相まって、それらの歌に登場人物の真の感情とゆーのがほぼ全て仮託されている…と言っても好い状況だったかと思うのですね。そもそもタイトルの『枯れ葉』とゆーのも、コレは私もどーいう意味だろ?と思って観に行ったら結局、ズバリ例の名曲シャンソンのコトだった様です⇒あの曲のイメージが骨格と成っている・あの曲を流しながら終わってゆくべき映画だった、という(コレも)シンプルな手法のよーで。でも、随所で流れる数々の曲ってのは、有名なのもあればそーでないのもあるし、音楽的なジャンルも様々…である一方で、実に心地好い調和の下でその「物語り」を各自見事に遂行していたとゆーか、コレとかもまた卓越した手腕だったな+とゆーかコレって単に映画の空気感の醸成と言うより、正に監督の価値観とゆーか(或いは)人生そのものの曝け出しの方じゃなかったかな…と思わされてしまいましたよね。こーいうのを、こんなカタチでモノの見事にやってのけられるとゆーのは、別に表現者でも何でもない私からしても、実に本当に羨ましいコトだな…と(また)唸らされてしまいました。傑作。 【Yuki2Invy】さん [映画館(字幕)] 9点(2024-01-28 22:53:09)(良:1票)
【点数情報】
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