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【クチコミ・感想】
4.ヴィスコンティ映画に嵌まっていた頃、上演されていた岩波ホールにまで観に行った唯一の作品であり、今後もそんなことはないだろう。本作に限らず、ヴィスコンティ映画は、ある意味面白いが、楽しめる映画ではない。だが、ルキノ・ヴィスコンティ本人がイタリア貴族の末裔であるのを反映してか、旧体制が滅んでいく残照を描いて右に出るものはいない。本作は、その集大成とも言える作品であり、史実であるだけに壮大である。ルードヴィヒの狂気と頽廃を追いながらも、全編をセピアで縁取り、決して品格を損なうことがない。ヴィスコンティにはお気に入りの役者というものがいるが、ミス・キャストというものがない。ルードヴィヒのヘルームート・バーガーは無論嵌まり役だったが、当時、絶世の美女と謳われたエリザベート=シシィを演じたロミー・シュナイダーの気品ある美貌は、シシィ役を見事に表現して見せた。ただ、気軽に観られる映画ではない。観る前に、「よし、観るぞ」という覚悟はいるだろう。完全版では、4時間だ。美術監督の苦労が偲ばれる、小物に至るまでの調度やセット、気合いの入ったコスチューム・プレイは、圧巻である。 【由布】さん 8点(2002-11-11 01:04:01)
3.富と権力を与えられた者には相応の義務と責任が伴う。それをフランス語で「ノーブレス・オブリージュ」と言う。その責務に耐えられなかった男の末路を描いた映画。ヨーロッパ最古の名家ヴィッテルスバッハ家の血筋を引くルートヴィッヒ。そしてその血筋に代々受け継がれる狂気・メランコリーの人格的欠陥は、ルートヴィッヒも逃れることが出来なかった。エリザベート王妃役のロミー・シュナイダーの美しさも見逃せない。この頃がまさに最後の輝きだったと言える。かなりの超大作なのであまり人には薦めないが歴史的な価値を考慮して7点。かつてのヨーロッパ王侯貴族がどれほどのものかを垣間見ることができる。 【カテキン・スカイウォーカー】さん 7点(2002-10-28 22:28:47)(良:1票)
2.生への執着と絶望、死への憧憬と恐怖、相反する感情に揺れるルートヴィヒのおののきは、腐り落ちかけた果実のように甘美です。(映画では)。彼の退廃と凋落は、彼が生から得た魅惑の証しのように思えました。「帝国衰退期のローマ人を手本に、デカダンスの戦士であるとはどういうことか学びたまえ。絶望の中でもがき、鬱々として栄光を愛し、素朴さにおいて腹黒いとはどういうことかを。」シオランの「敗者の祈祷書」の一節です。この映画にピッタリだと思って引用してみました。嫌味に感じた方、ごめんなさい。 【毬】さん 10点(2002-06-08 22:27:28)
1.異才ルキーノ・ヴィスコンティの遺作(確か?)。「ベニスに死す」を絶賛し,ほとんどマーラーそのもののような性格の主人公に共感し,感情移入してきた人たちにとって,柄がでかいぶん散漫な印象を与えたであろうことが,容易に想像できる。しかし,ドイツ統一という時代の大波に翻弄されつつも,自我を通し悲惨な末路をたどるバイエルン王ルートヴィヒ2世の生涯は,当時既に時代遅れであった絢爛たる様式美に溢れている。中世への憧憬と決して満たされることのない心の空洞と。豪華絢爛たる時代錯誤的19世紀末南独逸王侯物語。大河のうねりのように息の長いワーグナーの楽曲が,ヴィスコンティとルートヴィヒの人生の黄昏を鮮やかに彩っている。 【koshi】さん 8点(2002-01-18 22:17:37)
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【点数情報】
Review人数 |
28人 |
平均点数 |
7.21点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 1 | 3.57% |
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2 | 1 | 3.57% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 1 | 3.57% |
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5 | 2 | 7.14% |
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6 | 2 | 7.14% |
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7 | 5 | 17.86% |
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8 | 10 | 35.71% |
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9 | 2 | 7.14% |
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10 | 4 | 14.29% |
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【その他点数情報】
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