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【クチコミ・感想(9点検索)】
2.面白い。
映画のキモの一つは、やはり主人公マヤのキャラクターであろう。
と言っても、彼女の素性やバックボーンはほとんど作中に描かれない。唯一わかるのは、あるシーンでちらっと映る彼女のモニタの背景画像から、どうも子供がいるっぽい、ということくらいだ。なぜビンラディンをそこまで憎むのか(通常のアメリカ人なら当然の感情ではあるとは思うが)、どういった政治信条があるのかも不明。
しかし、そういったキャラクター性は一切削ぎ落とし、ただただ彼女の執念にのみ焦点を当てることで、ストーリーを濃密なものにしている。
彼女の何者も恐れず強気に行動する様は見ていてとても惚れ惚れする。
筋骨隆々の海兵隊に平然と無理難題を押し付けたり、自分の直属の上司どころか、そのはるか上の役職にまで食って掛かる様は、しびれるものがある。
彼女のキャラクターが深く描かれていない故に、ラストシーンで彼女が涙するのも、単純に思いを成し遂げて感極まったからではなく、何か別の意味があるのではないか?と思わせる。
実際にあったできごとを、フィクションを交えつつうまくサスペンスに仕立て上げているのも見事。
良い映画だった。 【椎名みかん】さん [インターネット(吹替)] 9点(2021-04-13 06:38:37)
1.すべてを終えて、帰国の途につくヒロインが、飛行機の操縦士に「どこに行く?」と聞かれる。
他愛もない問いかけの筈だが、彼女は茫然としたまま何も答えられず、一筋の涙を流し、映画は終焉する。
私は何をしたかったのだろう?私は何故こんなところまで来てしまったのだろう?
彼女が抱えたその「虚無感」こそが、この映画が辿り着いた真理だろうと思う。
アメリカによる「ビン・ラディン殺害」を実録的に描き出した今作において最も重要なことは、この映画が、実際に報じられた「ビン・ラディン殺害」から一年余りの極めて短かい期間の中で製作され公開に至っているという事実だ。
それは、この映画で映し出されるものが、リアルタイムの「世界」の姿であることに他ならない。
勿論、この映画の内容が、そのまま総て真実だと認識すべきではないだろうとは思う。
が、あの「9.11」から現在に至るまでの10年余りの時間の中で、アメリカが辿った「混迷」と、それに伴う世界の「混沌」の様は、ありのままに表現されていたと思う。
主演したジェシカ・チャスティンの演技は素晴らしかった。
恐らく意図的であることは間違いないと思うが、彼女が演じたキャラクターは、主人公であるにも関わらずバックグラウンドが殆ど描かれない。
どうして彼女がこの任務にアサインされたのか、どうして彼女はこれほどまで任務に固執したのか。当然生じる疑問に対して敢えて真意を描かず、時に淡々と時に妄信的に職務を遂行する主人公の姿のみが描かれる。
そういった明確なキャラクター性が見え辛い主人公を、この主演女優は絶大な説得力を持って演じていた。
ラストシーン、茫然自失としたヒロインの姿には、世界中を渦巻く「憎しみの螺旋」の中心に、自分が知らないうちに引きずりこまれていたことに初めて気づいた「絶望」が滲み出ていたように見えた。
そして、その「絶望」は決して彼女だけに与えられたものではないと思う。
この世界においてその愚かな“螺旋”が続く以上、世界中のすべての人々が、渦の中心にじわりじわりと引き込まれているということを、この映画は静かに重く訴えかけてくる。
主人公のバックグラウンドが描かれなかった理由は、彼女が「特別」な存在なのではなく、この世界に生きる人々を象徴する存在として描き出すためだったのだと思えた。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2013-12-18 22:38:40)
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【点数情報】
Review人数 |
90人 |
平均点数 |
6.83点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 0 | 0.00% |
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5 | 16 | 17.78% |
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6 | 18 | 20.00% |
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7 | 32 | 35.56% |
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8 | 15 | 16.67% |
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9 | 7 | 7.78% |
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10 | 2 | 2.22% |
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【その他点数情報】
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