みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
4.戦争ドラマの傑作の一つ。 派手なドンパチも無い、ただ女や男たちの他愛の無いやり取り・・・これだけなのにどうしてこんなにも面白いのだろうか。 捕虜収容所に囚われたフランス軍の男たち。 騎士道精神の権化のようなエリッヒ・フォン・シュトロハイムが醸し出す風格。銃火という壁が取り払われた軍人たちが交わす、人間の本質に迫ったリアルな会話の数々。 反戦を無性に叫ぶでも、戦争を擁護過剰に擁護するワケでも無い。 ジャン・ギャバンの髪の毛の量は明らかにおかしい。それだけ収容所生活が長いのだろうか? ギャバンたちが脱獄する際の緊張感は、後のベッケルの「穴」に受け継がれたのだろう。 まるで静かに泣くように男を撃ち抜く弾丸。 シュトロハイムを始めとする登場人物たちがまとう幻想的な雰囲気。まるで血で血を争う戦争の現実から逃れ、収容所の“夢”の中へ入ったように。 ギャバンが出会う事になる女性もまた“夢”だったのかも知れない。 それでも、国境で彼らを待ち受ける銃兵は“現実”である。 常に人間味のある暖かい視線が貫かれた、戦争映画の不屈の傑作。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-06-18 20:44:14) 3.身障者になり戦場で華々しく戦えず、収容所長としてしか帝国と皇帝にたいする貴族としての責務を果たせず忸怩たる思いのドイツ人将校。皇帝亡き共和国フランスに他の一般人将校との壁を感じつつ祖国のために戦う旧体制の残滓であるフランス人貴族将校。二人の関係を象徴するのは、洗いざらしの白手袋と一輪のゼラニウムである。持ち物検査に際し、名誉と信義を重んじなければならない貴族将校には口頭での誓約だけで済ませる同じ階級のドイツ人将校。これでは脱走に参加するわけには行かないだろう。しかし、同時に他の将校を逃がさせることにより貴族軍人としての祖国への責任を果たす・・・何年ぶりにしたであろう貴族としての矜持、白手袋をつけて・・・。不毛な要塞に咲いた一輪の花は、孤高の貴族階級の象徴である。フランス人貴族将校が銃弾に倒れ、亡くなったあと、手折られるゼラニウムは、騎士道の体現者の死を暗示させる。 【Waffe】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-10 17:34:53)(良:2票) 2.映画では、男女や友人同士といった人間社会の「感情」を描いたり、自然風景の美しさを描いたりすることはあるが、人間の生き方そのものを「美」として表現しているこの映画はなかなか稀有である。それが少しも浮き上がることなく、色あせた収容所の壁の中で、まさに窓際に咲く一輪の花のように、鮮やかに映えている点は素晴らしい。「貴族社会」というと、「世間知らず」「脱世」というようなイメージが先行してしまうが、そういうところゆえに生ずる美しさ、というものを感じることができた。歴史の授業では、貴族文化は権威を誇示するものという面を強調されて教わってきたが、そんな一面で捉えられるものではなく、世俗を超越した、気品あふれる「花」のような美的感性を無視することはできないと感じた。対照的にジャン・ギャバンの演技は実に世俗的で、この対比がまた人間模様をかもし出していて、実に楽しい。 【神谷玄次郎】さん 9点(2004-02-24 00:24:49)(良:4票) 1.ようやく名画の呼び声高いこの作品を見ましたらなんと、「大脱走」「第17捕虜収容所」「アルカトラズからの脱出」などの捕虜・脱走ものを思わせる「おおもと」だったんですね。第1次大戦中のお話ですが、作られたのは37年という第二次大戦前のきな臭い時代。反戦のメッセージが強く伝わってきます。捕虜収容所での紳士的な扱いややり取りは信じられないようなのどかな感じだし、脱走した二人をかくまうドイツ婦人との描き方も甘い感じがする。それでもドイツ貴族のシュトロハイムのたたずまい、フランス貴族との友情の描き方、この時代に作られた意義、後の作品に与えた影響の数々など諸々の敬意を加えて9点。 【キリコ】さん 9点(2003-12-25 15:06:34)(良:1票)
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