みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
8.突然帰ってきた父親に対する息子2人の感情が揺れ動く様を、旅を通して実にリアルに描きだされている。これだけでもうこの映画は傑作と言える。 あまりにミステリアスな父に戸惑う兄弟だが、兄と弟それぞれの立場で異なる父親像がしっかり描かれているのが良かった。 兄は、父親に対して怖いと思いながらも、やはり自分の父親なんだとしっかり受け止めていて、次第に尊敬の念を抱いて行く。一方の弟は何かに付けて反抗的だ。何故帰ってきた。自分らをいじめるために帰ってきたのかと父親に対して逆らってばかりだ。そんな両者の言い分は最もであり、自分もこの弟のようにつまらない事で反抗し、車で何処かに置いてきぼりを食らったことがあるので、この弟の気持ちは痛いほど良く分かる。どうせ、すぐ戻ってくるだろうと最初はたかをくくって余裕なんだけど、次第に不安な気持ちがどんどん押し寄せてきて、しまいには絶望的な気持ちになってうずくまるしかないという。ああ、考えただけでも絶望的な気持ちになってきた。 最後に、父親について駄目出し!もうちょっと子供達の事も考えて打ち解けてやろうよ、手当たり次第に厳しくすればいいってもんじゃないでしょう。ちょびっとでいいからユーモアを身につけようよ、道中の沈黙が気まずすぎるよ。不器用すぎるだけで、きっと根は優しい父親に違いないのだから。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-07-14 19:38:00) 7.ロシア映画は数えるほどしか観ていませんが、どの映画も強い衝撃を与えてくれます、芸術的に幅のある、奥深い国だと改めて思いました。本作もすばらしいです、弟役の少年も満点の演技じゃありませんか、見応えがありました。ラストの写真たちもさらによかったです。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-08 15:05:44)(良:2票) 6.シャープで洗練された映像感覚が素晴らしく、個人的につぼにはまった作品。それだけで妙に高評価になってしまったが、冷静に考えるとそんなにたいした話ではないような気もしてくる。リアルで迫力があるし、宗教や政治についての象徴性はよく考えられているが、その実こころから感動できるほどのめり込める物語ではなかった。無骨で愛情表現の下手な父親との間の絆が、悲劇を通して回復する。子供たちに欠けていた父性が、わずか一週間で受け継がれるまでを描く。父親が自分の親の姿と重なり、少し切なかった。(ところで、説明不足な点はそんなに気にならなかった。大体見当はつくし、謎解きは主眼ではないので説明しなくてもほとんど差し障りはないと思う。) 【no one】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-02 07:26:05)(良:2票) 5.解かれざる問いがあっさりと解かれてしまう。これこそが出来損ないのミステリーと言えるのではないか。現代のミステリーとは、謎が問いかけられ、そして解かれないこと、世界と人間という大いなる謎の前で解かれるべき謎のちっぽけさに愕然とし、そこから新たに謎が連鎖すること、事件の解決が読者を宙吊りにすること等々、一筋縄ではいかないのが特徴であり、ミステリーとして、作者や登場人物、そして読者たる僕らが謎に対峙する姿勢には実に現代的有り様が反映されているのだ。 確信犯的に謎を残す映画『父、帰る』は、まさにそんな現代的な謎に満ちたミステリーだといえようか。しかし、この映画で問われて解かれない謎については、それが解かれ得ない状況に追い込まれてしまうという、その状況設定こそがこの映画の肝ではないかと僕は感じる。つまり謎の解決が知らしめる真相とか真実そのものには大した意味はないはずなのだ。 この映画はもっと素直に観られるべきだと思う。父と子、母と子、兄弟、そして家族。その根源的な関係性から立ち上る感情というもの、そして生きる原理としての赦しの視線をもってこの作品を観てみれば、そこで描かれるドラマに最初から謎などない。この映画はロードムーヴィー的な平板な物語に内包される人間同士の言葉を超えた感情劇なのであり、僕らはその微妙さこそを感じ取るべきなのだ。 実は僕も偶にしか帰らない父なのだが、父帰る時の息子の視線には気を配るようにしているゾ。。。 【onomichi】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-10-02 10:15:26)(良:2票) 4.弟が心から「お父さん」と言ったとき涙があふれました 【のりまき】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-26 23:11:15) 3.映画の内容に満足していたので長男役の子が、この映画のロケ地で撮影直後溺死したというのがショックだった。 【孤島の鬼】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-05-29 22:15:13)(良:1票) 2.いや、ほんとこれいいんじゃないでしょうか・・・。父をソ連に見たてる政治的解釈やキリストに見たてる宗教的解釈をしたり、「イワン」=イワン・カラマーゾフと論じたり、水のイメージなどからタルコフスキーの影響を論じたり・・と、学者や評論家や映画通はすでに様々な視点からこの映画を語り尽くしていることでしょう。本作はそういうことが可能な豊かな表現の作品である反面、少々「あざとい」とか否定的な意味で「高尚」だとか正直私は思います。それはそれで魅力であると知ったかで勘違い野郎の私なんかは感じるのですが・・。しかし、本作はそうした隠喩にまみれた高尚な作品であっても、ストーリーは意外とシンプル(寓話化された単純さ)で結構強烈に心を揺り動かされます。シニカルでぺダンチックな評論家的視点などやっぱりどうでもいいと思える非常に真摯な作品です。自己満足かもしれませんが鑑賞後の余韻がたまりませんでした。どういう余韻かはうまく説明できないのですがボ~ッとなってしまいました(どういう余韻が残るか?というのが私の映画評価で大きな比重を占める基準です)。静かでゆったりしていますが決して退屈ではありません。ハリウッドのけたたましさに慣れきっていてもそれほど不満を感じないでしょう。あえて謎だらけのまま放り出すやり方が成功しているかどうかというのがやはり大問題だと思いますが私個人はこの映画に関してはあれで良いと思います。ソ連やキリストや父親などというのは得体が知れない謎だらけの存在だというのを表現しているのではないでしょうか?。すっきりしないのがこの作品の魅力的な味だと思います。映画館で観てからかなり時間経っちゃったけど、気まぐれに今になって思い出しながらレビューしました。でも、あのなんともいえない薄暗い美しくわびしい映像は大きなスクリーンで観て良かったなぁ・・と自己満足してます。 【しったか偽善者】さん 9点(2005-03-12 22:22:04)(良:3票) 1.12年前失踪したまま音信不通だった男が、ある日突然妻の元へ帰ってくる。戸惑いを隠せない二人の息子。次男は父親を写真でしか見たことがなく、ここで初めて父親という存在を認識することとなる。本作は父親と二人の息子との数日間の出来事を描いたものだが、誰もが疑問に感じる本来語られるべき“父親の事情”には一切触れられないまま ドラマが進行していく。この父親、いきなり食事にワインを飲ませたり、釣りを目的にした旅に出るのも、男としての息子の成長ぶりを確かめたかったのだろう。自らのことは語らず寡黙で野性的な、いかにも男っぽい父親ぶりで、躾としての振る舞いや言動は親としては極めて当然のことでありながら、息子たちには不満や不信感が募るばかりだ。それには、男親がないまま育ってきた子供たちの心情が微妙に作用しているのだが、長男は大人の世界が少しは解りかけている年頃ということもあって、父親を理解しようとするが、母親に溺愛されて育ってきた次男には、理解を超えた単なる威圧的な男にしか見えてこないのだ。このあたりの細やかなエピソードの積み重ねは絶妙で終盤それがボディーブローのように効いてくる。長い間留守にしていた空白を埋めるかの様に息子たちに接する父親だが、父親と母親との愛し方の違いが分からない次男は、やがて反撥を抱くようになり、ドラマはクライマックスへとなだれ込んでいく。結局、子供の成長を見守ってこれなかった男の苦悩と焦燥感は理解できるにしても、何かが欠落していると言わざるを得ない。いかにも古いタイプの父親像と、新しい世代との間に横たわる溝。この国での失われた12年というのは、あまりにも大きく重いという事なのだろう。映画は様々な謎を残したまま悲劇的な結末を迎えるが、この理不尽ながら絶対的な存在である親の重みというものを、息子たちは嫌というほど感じとることとなる。 実に皮肉で見事な幕切れだが、それにしてもなんと後を引く作品だろうか。 【ドラえもん】さん 9点(2004-10-26 18:37:02)(良:3票)
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