みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
6.主人公の周りに集まる、4人の女性たちに興味が湧きました。4者4様の、立場と尊厳死に対する考え方があり、鑑賞している者にとっては、誰かの考え方に共感できるんではないでしょうか。J・バルデムはもちろんのこと、弁護士フリアと義姉マヌエラを演じた2人の女優の演技はすごかったです。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-10-28 23:45:19)(良:1票) 5.過剰な自意識の持ち主ほど、自殺するとき、自分の死に意義を見出そうとして尊厳死などと嘯きます。 ちなみに日本における自殺者は、年間3万人を越えていると言われますが、この数字は少し勘違いしやすい。 これは自殺に成功した数であり、自殺未遂者を含めると、約10倍の30万人なのです。 つまり30万人の人が、どこかで自殺を行って、そのうちの1割は自殺に成功し、9割は失敗しているのですね。 「絶望」は、いつ私たちを襲うか分かりません。 現代における私たちは、病魔に殺されるよりも、自分に殺される可能性が高くなってきたように思います。 こういう状況だからこそ、「人が生きることは権利であり、義務ではない」という言葉が胸に響きます。主人公の死を望む気持ちが「尊厳死」であれ、「自殺」であれ、もし生きることが義務ではないのなら、私たちには死ぬ権利があるのではないでしょうか。 それとも人間は、自殺したいほど人生に絶望していても、愛してくれる相手や、お世話になっている人のために生き続けるべきなのか? しかし人は絶望したとき、他人のことを考えられるほど寛大ではないと思います。 ラモンのことを自分勝手だと思うことは、絶望を知らない健常者の傲慢な見方かもしれません。 人は絶望の前では、みんな自分勝手になるのだと思います。 ただし尊厳死という言葉は存在してはいけないと思う。これは死を正当化したり美化する言葉です。自殺といえばいいじゃないですか。問題は自殺が悪いのかどうかということだと思います。 自分から死を選ぶことは立派ではありませんし肯定できるものではないと思いますが、完全に否定しきれない難しさがこの映画から伺い知ることができます。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-01 20:30:26) 4.お涙頂戴でもなく、尊厳死を否定も肯定もしていない。考えさせられる作品。 【まんせる】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-05 00:38:12) 3.正確に言えば、彼の死は「尊厳死」でもなく、「安楽死」でもない。彼は「自殺」したのであり、彼を支援する立場は「自殺幇助」であろう。 映画の中に「尊厳を守るために死ぬ」という彼の言葉がある為、そこから「尊厳死」というひとつのイメージが喚起されるが、それを限定的に扱ってしまうと、この映画から僕らが受けるより深い響きを損なってしまうように思う。それはとても勿体無いことだ。 彼は頚椎損傷を原因とする四肢麻痺により、28年間も寝たきりの生活を余儀なくされ、そこには既に長い長い物語が横たわっている。しかし、敢えて言えば、この映画は、彼と家族の長い物語の果てに、フリアとロサという全く違うタイプの二人の女性が彼らに関わる、その中で彼らが彼の自殺を決心し、そして決行する、短い期間に凝縮された感情の物語として僕は捉えるのである。もっと言えば、この物語は彼だけの物語ではなく、彼に関わった人たちの物語でもあるのだ。彼は自殺する。しかし、そこには、自殺する彼を中心にして、彼らの「生きる」ことへの濃密な意志と疑義が垣間見えないだろうか。そして彼自身についても、生と死への思いが微妙に捩れる瞬間が、その人間的な揺らぎが、共振するように僕らを揺さぶるのである。 「海を飛ぶ夢」とは何だろうか? 映像とともに印象的に語られる彼の「海を飛ぶ夢」とは? それは叶わない夢でありながら、彼を28年間支え続けてきた不可能性の可能性ではなかったか。彼はフリアに想う。「永遠に縮まらない距離」のことを。フリアもロサも結局は錯覚してしまったのだと僕は思う。彼だけが彼女達との触れ合いの中で揺らぎながらも、結局はその距離が決定的であることを悟るのである。そんな彼自身が決して相対化され得ないこと、そのことを今度は僕らが悟るに至るのだ。 間違ってはならないのは、彼は仏のように悟って死ぬのでは決してなく、人間という不可解さを自明のものとして死ぬのである。それは生きることへの揺らぎと言っていい。そこに逆説的に浮かび上がる、静かに切り取られ選び取られた生の有り様こそが僕らの胸を強く掴むのであろう。 僕としてはやはり彼に焦点を当ててしまうが、やはり、この物語は彼に関わった人々の「生きる」物語である。そしてもちろん、その反映の中に僕らも含まれている。それが観るということだろう。 【onomichi】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-18 22:29:51)(良:1票) 2.この作品は、はたして「尊厳死」と「自殺」という社会問題への解答を意図して作られたのだろうか。法廷やマスコミが主人公にとってあまりにも無意味な存在として描かれているように(そして自筆の本でさえも死のタイミングを図る一つの要素でしかなかったように)、私はむしろこの作品に主人公の「死」への哲学を純粋に見た思いがした。実話ベースの作品なので敢えて言うと、私たちが彼をみているのは2時間だが、介護をする家族が彼を看ているのは28年間という途方もない期間である。彼はその間、「体の向きを変える」事から、それこそ「袋を取り替える」事まで全てを周囲に委ねざるを得ない状態で生活してきた。『涙を流す代わりに笑顔で取り繕う事を覚えるのさ』という一言は、彼にとっての「生きている辛さ」を非常に象徴している。(彼の家族ほどではないが近い現状に直面している者にとっては、涙腺が緩んで仕方なかった。映画館であれほど、恥ずかしいほど号泣した事はなかった。)そして愛し、分かり合えた人にすら忘れ去られていく事実。死とは、海を飛ぶ夢とは対極にある、この世で最も儚き現実である事を改めて思い知らされる。くだらない、要らないと思えるシーンや人物も時折登場するものの、ぜひ社会問題としてではなく、いつか訪れる自分の問題として、そして家族の問題として、この作品を多くの人に観てほしいと切に願う。 【wood】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-05 10:50:52)(良:1票) 1.死(=生)に対するそれぞれの考え方。生きていて欲しいと願う愛とはエゴなのか。「死は生まれる前の何もない無」 【MjB】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-04-20 00:22:31)
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