みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.これはもう、すごいモン観ちゃった!というのが偽らざる感想。 まず主演したジャルジャルのふたりがバカいい。 干しシイタケを戻すだけのシーンに半日かかったという福徳は変に役者面せず等身大で演じれば(とは言っても彼の実像は押しも押されもせぬお笑いエリートなのだ)、相方の後藤は半端な役者じゃ敵わないほどの、オーラがあった。 前半の暴力シーンでは、暴力を振るう側の怯えや覚悟のなさ、集団心理なんかも細かく描かれていて、暴力行為そのものよりも普通の人の罠としてのそれが恐ろしさをかき立てる。 後半の展開は失速と見る向きも多いようだが、こここそが今の若者の空疎な空気感を醸していて良かったように思う。 届かなそうなでっかい夢を掲げることで現実から逃避する福徳と、地方や家庭からくる閉塞や、好きな女との一筋縄ではいかない未来から、おとぎ話のような将来を夢想する後藤の行き詰まり感がよく出ていて切なさを感じた。 昔の若者ならもっと無軌道や無鉄砲にもなれたのかもしれないけれど、開き直りにも似た無気力が彼らを支配しているのは紛れもなく今の時代感だ。 もちろんこのお話し、これで終わるハズもなく、解釈の余地が様々にあるラストシーンに繋がる。 この映画を観て誰もが連想する類似事件(被害者を生き埋めにした集団暴行殺人事件)の主犯は死刑が確定している。 決して特別じゃない人間の日常の中に、ぽっかり口をあけて構えている悲惨がきっちり描かれているのだ。 人は簡単に「生き直し」なんかできやしない。せめて「自分の命」なんかより大事なもんを見つけろや、と、そんなメッセージが聞こえてきた気がする。 【poppo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-09-08 00:53:51)(良:3票) 1.誤解を恐れずに結論めいたことを言うならば、これは井筒監督のキャリアの集大成にして、2010年現在、撮られるべくして撮られた正統派青春映画の傑作だ。■「大人」になり切れないまま、肥大した自意識と破れかけた夢だけをズルズルと引きずつつダラダラとした日常を無為に生きるユウキは、今という時代を的確に映すキャラクターになっている。彼や、もう一人の主人公・勇気を取り巻く若者たちもまた、自意識を持て余し、それを刹那の享楽や他者への攻撃性へと変えて行く。■劇中では暴力と憎悪が連鎖し、加害者と被害者は場面ごとに立場を逆転させていく。事態はただ悪化するばかりで、そこには一人の勝者もない…そんな身も蓋も無い現実が、実にリアルに、シビアに描かれる。前作「パッチギ!LOVE&PEACE」の公開時、監督は「実はHATE&WAR(憎悪と争い)が裏テーマでもある」という主旨のことを語っていたが、本作ではそのテーマがいっそう明確に語られている。■また、主役のジャルジャル(福徳秀介・後藤淳平)を始め、本作の主要キャストにお笑い芸人が起用されているが、彼らの演技が非常に素晴らしい。過去の井筒作品でも同様のキャスティングがされたもの(ガキ帝国、岸和田少年愚連隊など)がいくつかあるが、本作はその中でもそれが最も成功したものと言える。■なお、本作ではかなりリアルな暴力シーンも含まれており、それがR15指定作品となった要因のひとつでもあるのだが、その擬斗を担当しているのが「パッチギ!」シリーズで非常にエモーショナルな「どつき合い」を演出した秋永政之であることも特筆しておきたい。単に「暴力的」というのではなく、暴力を振るう側の「おびえ」など、細やかな心理描写を伴ったその演出は、もっと評価されてしかるべきだと思う。 【ぐるぐる】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-07-10 19:26:09)(良:2票)
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