みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(7点検索)】
3.第二次世界大戦前夜の時代、フランスの“上流階級”の人間たちの愚かさと滑稽さを描いた群像劇は、驚くほどに感情移入することができない。それくらい、彼らの思考と価値観そのものが、我々庶民からは異質であり、遠い位置にあることの表れだろう。 ただしそれは、何もこの映画で映し出された時代や環境に限ったことではないのかもしれない。 今この世界にも、確実に“上流階級”というものは存在していて、そこに巣食う人々は、一般ピープルにはまったくもって常軌を逸した思考経路でこの世界を捉えているのだろう。 そして、どの時代においても、そういう人間たちが、資本を牛耳り、結果的にこの世界全体の意思を司っているという現実に、本作の顛末同様にクラクラと目眩がするようだった。 フランス映画界の名匠ジャン・ルノワールの最高傑作とされる本作は、そうした遠くもあり、実のところこの世界の本質的な“愚”が詰まった何とも皮肉でブラックなコメディ映画だった。 ブルジョワたち(今で言うところのセレブリティ)同士の色恋沙汰や人間模様、享楽的な人生観が、ひたすらに滑稽で呆れる。 手放しで面白い映画とは言い難かったけれど、この世界の根幹に存在する“笑えない”愚かさは伝わってきた。群像劇を彩るそれぞれの人物描写も細やかだったと思う。 特にルノワール監督自身が演じた財産も才能もない食客の男が、小間使いの男と共に“屋敷”を去っていく顛末には、監督自身が感じていたこの世界からの逃避への願望が如実に表れていたと思う。 “ゲーム”とは何なのか。社交場での立ち振舞か、社交界における人間関係か、人間のエゴイズムの取り回しか。 いずれにしても、そのくだらない“ゲームの規則”の中で、雁字搦めになりながらも、それに抗うすべもなく依存することしかできず、体裁と偽善的な笑顔を保つしかない彼らの生き様に対して、感情移入せぬまま、ただただ不憫に思えた。 冒頭の狩猟パーティーの途中、数週間前に銃の暴発で太ももを撃ち抜かれて亡くなった社交界仲間のことを笑い話にするくだりがある。 今宵の飛行家の死も、きっと二週間後にはアンラッキーな事故として、彼らの中の笑い話として葬られるのだろうな。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-09-08 09:35:23) 2.ゲームの規則とはそういう事なのか?不倫もゲームであるが但し、きちんした規則の元にしないと、とんでもない結末になる。ジャン・ルノワール監督の人間観察の凄さ、上流社会の人間だろうが、そうでない人間だろうが、規則を守らないと人間として失格であるというような皮肉が沢山、込められているようだ。相変わらず何を撮っても標準レベル以上の完成度の高い映画しか作らないこの監督の凄さ、ただ、やはりこの映画に出てくる登場人物の人間関係が一度でははっきりしないのと、登場人物が多くて理解しずらいのが難点であるのと、やはり私は群集劇というものがあまり好みでないようだ。それでもつまらなくは感じないし、見応えのある作品に仕上げてしまうところは流石、ジャン・ルノワール監督だと言いたい。部屋の中を登場人物がこっちと向こう側とで動きながら単なるドタバタ喜劇には収まらないドラマを生み出す空間、喜劇でもありながら悲劇的でもあり、人生は両方あるから面白いんだよとでも言っているようにも思えるそんな映画です。色んなものがこの映画の中にはぎっしりと詰まっていてそういう意味でも凄い映画であることは見つめつつ、ジャン・ルノワール監督の最高傑作がこれかと問われると私はNOとしか答えようがない。取りあえず今は7点だけど、もう一度、見れば8点になるかもしれない作品て気もするし、迷いつつ7点てことでこの映画の感想を終わりにしたい。 【青観】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-11-11 20:41:15) 1.混沌とした社会という圧縮鍋に人間の弱さや哀しさをギュ~ッとつめて、ひとつまみ分のコメディエッセンスを加えたような作品かしら? 友情や愛に対する人々の想いがピシピシと伝わってきて、笑うに笑えなかったのが唯一のマイナスポイントでした(でも私的には“コメディエッセンスが笑えたか”ってのが大事なんです……)。大西洋を23時間で横断飛行するという快挙をなしとげ、英雄となったアンドレ(ローラン・トゥータン)を称して「大西洋は渡れても、シャンゼリゼ通りの横断歩道は渡れないんだ」という友人オクターヴ(ジャン・ルノワール)の言葉が印象的。これはどの人にもあてはまるんじゃないでしょうか。 【元みかん】さん 7点(2003-11-08 07:41:40)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS