みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
10.非常に良い作品だと思います。特に前半の部屋のロウソクの位置と影、少し遠めからのアングル、障子を開けかた、三味線の音での説得、現在の時代劇には皆無の工夫が見られました。観えない人には何も見えないのだと思います。最初の頃に、「今の時代は真剣で戦ったことがある武士はいない。どんな戦いになるか分らない」という風なセリフがあって、後半の乱れながらの斬り合いになる。ラストの逃げ出した家臣の笑いは、何の滑稽さを表わしているのでしょうか。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-11-28 17:43:08) 9.切腹からのスタートシーンから襲撃の段取りが整うまでの時間が短く、非常にスリリングなのですが、本番の戦いはちょっと長かったですね。誰がどこにいるのかさっぱり分からないし。でも敵味方双方のリーダーの重鎮ぶりは見事でした。現代の時代劇のようにチャンバラ時にカキーン!音がなく、みんなやぶれかぶれな雰囲気がリアルで良かったです。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-11-19 18:29:01) 8.再評価です。 前見たときは戦闘まで淡々としすぎていて退屈でしたが、今回は「太秦ライムライト」を気に色々と見直す事にしました。 そしたら退屈どころかその丁寧なドラマ作りに見入ってしまいます。 それに戦前の時代劇を幾つか見たおかげで俳優陣の豪華さに今更ながら驚いています。「鴛鴦歌合戦」や「赤西蠣太」の名演を見た後だと、片岡千恵蔵の重きを置いた演技の良さがようやく解りますし、その補佐役として「鞍馬天狗」の嵐寛寿郎や月形龍之介など時代劇を支えてきた骨太の名優たち。どうしてこんな面々の凄さに今まで気付けなかったのか。戦前日本映画の凄さを知った今の自分には、老いて尚も重厚で重い時代劇を作ろうとした野心が伝わってきます。「十三人の刺客」は今でいう「太秦ライムライト」。 黒澤映画や小林正樹の「切腹」などは、今だと最新鋭の技術の粋とも言える「驚異的な存在」だったのでしょう。時代劇の人気が続く嬉しさの反面、サイレント時代から培われた「剣劇」というカタの衰退・・・それを残すべく千恵蔵を始めとする古参の強者、里見浩太朗や丹波哲郎をといった新進気鋭、西村晃など名バイプレイヤーたち・・・今考えると恐ろしい顔ぶれです。 終盤まで戦闘が無いのも往年の時代劇のようなドラマに重きを置いた作風であるし、数十分にわたる戦闘も阪東妻三郎の「雄呂血」や伊藤大輔の「忠次旅日記」えのオマージュにも似たこだわりが感じられます。 この映画の神髄はサイレント時代の「呼吸」を理解しないと中々味わえないものなのかも知れません。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-12-24 12:53:08) 7.リメイク版を観た後で、このオリジナルを鑑賞。こんな傑作を今まで観ていなかった自分が恥ずかしい。 このオリジナルを観ると、今の邦画時代劇のロケーションの苦しさがよくわかる。 昔の時代劇は「絵」が広い!! どのシーンを見ても、よくこんな広いロケ地があったのだと感心する。 今のようにカメラがやたらめったら動かず、1カット1カットの構図が素晴らしく、そのカットの組み立てでシーンを見せている。 やはり、この頃の映画はテレビとはっきり差別化した撮り方をしていたのだと思う。 小さなモニターではなく、映画館で堪能したい作品だ。 【どっぐす】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-13 23:50:53) 6.悲しいですね、たった一人の無能な男の為にたくさんの血が流れ、倒れてゆく。幸い、無能な男は最後まで無能で不様で、そして惨めだった。まっ、とりあえず奴の最後は鼻で笑ってやった。 【ボビー】さん 8点(2004-08-18 19:31:47)(良:1票) 5.七人の侍と忠臣蔵を掛け合わせると、戦争映画になっちゃった、という作品。ラスト30分の死闘はもはやチャンバラではなく、戦争です。映画の始めのほうは断片的な描写のためモヤモヤしているのですが、それが明石藩主暗殺計画へと収束していくあたりでスッと見通しがよくなり、もうワクワクしてきます。途中、藩主一行が行方不明になり、オヤ、と思わせるも、あんまり大したエピソードに伸びないのは残念でしたが。それでも、落合宿についに藩主一行が現れるシーンは、ゾクゾクします。そして壮絶な死闘へ。要塞と化した宿場町には光と陰が交錯し、さらに砂埃も舞い上がって凄まじいばかり。狭い路地での戦いでは、自然、登場人物の動きはカメラに対し前後方向に限られることとなり、それが、こちら迫りくるような独特の迫力をもたらします。う~む、それにしても実に潤いの無い話だ、命を投げ出しての殺し合い、たどり着く先などどこにもない。リアルすぎるほどの殺陣とは対照的に、何か夢の中の出来事のような現実感の希薄さ、まさに悲壮感のみで紡ぎあげたような映画です。ところで、ナレーションはやっぱり芥川隆行に限りますなア。無条件に説得力を感じてしまうこの声。安心感があります。伊福部昭の音楽はいつもどおりの怪獣映画風の音楽(?)で、人によっては真骨頂と呼び、また人によってはマンネリとも言う。わたしゃ結構好きですが。 【鱗歌】さん 8点(2004-05-23 16:09:40)(良:2票) 4.東映のいわゆる「集団抗争時代劇」なのですが、この「集団抗争時代劇」という呼び方は何とかならないものかといつも思ってしまいます。なんだかヘンテコな呼び方で、おまけに意味がよく分かりません。なんだってこんなややこしい名前をつけたんだろう。もう少しスマートな名前を付けてもらいたかったと常々思っています。と、苦情はこの辺にして、呼び方はともかく、この映画、とても面白い秀作。お勧めの一品です。どうしても豪華キャストに目が行ってしまいますが、キャストのポイントで言えば、重要なのは明石藩主松平左兵衛斉韶の見事な悪役ぶりでしょう。菅貫太郎が演じるこの暴君の傍若無人な立ち振る舞い、憎らしい目付き。こいつを何とか懲らしめてやりたい。こんなやつは生かしておくな。と、思った瞬間に、観ているものは本作に取り憑かれることになります。観ているものが、こやつを憎らしいと思えば思うほど、当然プロットに力が出てきますし、逆にそう思わせなければ、ここで描かれる武士道や面目、それに対するシニカルなメッセージがとても弱いものになってしまいます。時代劇にはとんでもない悪役を無理なく設定できるという大きな利点があり、悪役の存在意義は他のジャンルに比べて極めて大きいと言えるのではないでしょうか。その意味で、本作における菅貫太郎の見事な芝居の功績は大だと思います。前半に見せるキャメラワークも秀逸。特に構図が素晴らしく、低く構えたキャメラは座敷をほぼ左右対称に切り取っていきます。このびっくりするほど左右対称な画面が生み出す様式美は一見の価値ありです。『七人の侍』などと比較されることもしばしばですが、この情緒は黒澤作品のキャメラ演出にはないものだと思います。また、奥行き重視のようで、襖などを必ずナメていくあたり、路地を突き当りまでしっかりととらえるロングなどにも確かな作家性を感じました。途中、若干、話を急ぎ過ぎた感があって、少しサスペンス性が削がれた感じもしますが、ラストの大殺陣で不満解消。さすが「集団抗争時代劇」の代表作ですね(笑)。 【スロウボート】さん 8点(2004-04-08 22:15:27)(良:4票) 3.緊張感が滲み出ている前半も良いが、やはり何と言っても日本映画史に残るラストの死闘である。「今の時代、白刃で立ち会うことなど無い」なんて台詞、東映の時代劇では聞いた事無い。この「十三人の刺客」は東映時代劇の特徴であり、またどれも似通っていた踊りのような殺陣を廃し、黒澤映画にも匹敵するリアルで壮絶な戦いを魅せてくれる。それでいて画面に千恵蔵さんが映れば、東映時代劇伝統の重厚な空気が流れる。そう、この作品はリアリズムと様式化された動きのブレンド具合が絶妙なのだ。 命を投げ打って戦う刺客たちもいいが、馬鹿な殿様を守る内田良平さん演ずる鬼頭半兵衛が抜群にカッコいい。彼だって殿の無能さには気付いており、それを守る事が世の中にとってマイナスばかりだとは分かっているはずである。それでも自分の意思を捨て、主君のために命を投げ出すのが侍という存在。彼の背中に悲しき武士道を見た。 【紅蓮天国】さん 8点(2003-10-13 20:54:58)(良:2票) 2. 確かに西村晃の無様な最期(「か、刀、刀!」)は脳裏に焼き付くインパクトだった。ただ、個人的には狂気の明石藩主を演じた菅貫太郎のアノ完全にイッてしまった目つきと狼藉ぶりも忘れがたい。オレが千恵蔵ならあんなにアッサリ殺さず、ネチネチ苦しめた揚げ句に嬲り殺しにするね。工藤栄一監督の東映集団時代劇は「大殺陣」「十一人の侍」を経て、実録やくざ映画へと変貌していったのだった。ウーム、残念。 【へちょちょ】さん 8点(2002-12-30 05:58:13) 1.片岡千恵蔵や嵐山寛寿郎といった往年の時代劇役者は流石に立居振舞いが決まっているね。なるほどこうして見ると、最近の時代劇ドラマは軽い軽い・・・。<ネタバレちょっとあり>ところで、本作の見所は最後の宿場街を舞台にした集団暗殺シーンということだが、これはなかなか見ものでした。と言うのも、てっきり格好のいいチャンバラシーンが出てくるものと思っていたのが、まるでそのような場面がないんですね。宿場街ごとトラップ要塞化して、石は投げるわ、棒でつつくわ、もはや武士の美学なんぞあったもんじゃぁない。気勢をあげて押すかと思えば次の一瞬には引いて、追ってきた敵を陰から刺し殺すといった様は、殺戮の実相を見事に暴いている。「武士とはこうあるべきもの」とか「剣の奥義を極める」等々、前半のシーンでやたら武士としての建前に拘っていた西村晃演じる浪人が、いざ実戦の場で最後にのたうつようにして逃げ回り惨めな死に様を晒すあたり、工藤栄一監督のシニカルな側面が伺える。 【ヨアキム】さん 8点(2002-09-18 08:25:19)(良:4票)
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