みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
7. 年頃になった娘の結婚をめぐる父親の葛藤という日本のホームドラマではお約束となった筋書きだが、本作品の時代は昭和30年代である。周知のように新憲法により「婚姻は両性の合意に基づく」として、戦前までのように家長の合意を婚姻の要件とする「家の秩序」否定されてから十年そこそこの時期である。 子どもが結婚するとなれば、親が用意した縁談→見合い→結婚というプロセスがまだまだごく自然であったわけである。 佐分利信演じる昔気質の父親が恋人との結婚を言い出した長女に対して、やれ相手の家柄だの家計だのをあげつらって結婚に反対したり、最終的には娘の結婚に同意するもそこに至るまでに結婚相手の氏素性を興信所に調べさせるといった光景はあながち昔の話ではなく、近年までみられたものであり、「結婚とは個人同士ではなく家同士のもの」という日本ならではの結婚観(日本よりも儒教倫理の厳しい中国や朝鮮ではもっとそれが鮮明なのだろうが)が色濃くて本作を辛辣なものにしている。 これが、見るからに家長オーラバリバリの佐分利信の役が、今回は脇役に回っている笠智衆であったなら、もっとユーモラスで憎めない父親像になっていたに違いないが、その上でどういう家長的キャラを表現したのかという興味が沸く。 【あやかしもどき】さん [DVD(邦画)] 8点(2025-01-14 00:22:12) 6.最近、大昔に観た小津の「秋日和」「秋刀魚の味」、そして本作を続けて観直しました。小津の作品は、ある意味ハリウッドの冒険スペクタクルと同じ、絶対に映画でしかありえない映画です。観ていると段々映画の世界の中に入り込んでいくのが分かります。それが心地良いです。 3作ともそれぞれ味がある良い作品ですが、他の2作と比べて本作は「岡田茉莉子ロスト」でした。どうも他2作を見てすっかり岡田茉莉子がお気に入りになっていたようです。監督が彼女を1番バッターと読んだのも納得です、と出ていない女優の話を書いてしまいましたw 【amicky】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-01-28 18:08:12) 5.「心理描写に優れた映画」ってやつだったらきっと、主人公のオヤジは娘の結婚に表向き反対しつつも、ああでもないこうでもない、どうしよう、と苦悩の表情を、映画を観る我々の前にこれでもかと見せつけるんでしょうけれども、この映画はそうじゃない。佐分利信は映画の冒頭で堂々と、恋愛結婚はスバラシイ、と述べてみせ、その直後には堂々と娘の恋愛結婚に反対して見せる。頑固で理不尽であればあるほど、面白い。そんで、彼の娘を含めた3人の若い女性が入れ代わり立ち代わりチクチクやって、彼の妻も控えめながらチクチクやって、トドメを刺すように中村伸郎がすました顔でチクリとやる。ホントは佐分利信の内面を、各登場人物が代弁しているのかも知れないけれど、それを一人の男がウジウジ悩む姿ではなく、軽妙な人物関係に投影して描いて見せる。これぞコメディ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-01-21 22:38:19) 4.日本では、この映画で描かれているように、真剣な話は「ま、ちょっと座れ」からはじまっていた。その文化が消えてしまったのが『解夏』である(←別れ話を立ってする恋人たちが描かれている)。時代はめぐる。本作は小津作品のなかでも京都が出てくる数少ない作品だが、祇園の細い路地のシーンは、狭い空間をうまく写す小津のカメラにぴったりの素材だと思う。もっと京都を撮てちてくれれば…。 【wunderlich】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-21 16:35:54) 3.「ただいま」「おかえりやす」京都の言葉、つまり京言葉っていうやつです。これが本当に何とも良いなあ!そう思わせてくれます。小津作品全てに共通して言えることの一つに言葉の大切さ、家族の有り難さをしみじみと描くその雰囲気、いかにも日本的で観ていて何だか安心出来るのです。小津監督独自の人間の撮り方、これはカメラマンの力も大きいと思います。良い映画というのはそういうものだと小津監督の作品を観ることで、観れば観るほど思う今日この頃です。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-14 21:25:27) 2.わたしにとって、やっぱり、小津は、笠智衆と原節子です。二人がでてくれば、そこに家族愛があると素直に頷ける。そして結婚などでそれが崩れてゆくとき、得もいわれない感慨に浸ることが出来る。あの人を食ったような、やや軽薄なメロディも、笠智衆のバックに流れるのなら、違和感もない。そして全体として、神話的な空間が拡がってゆく。、、、、、、この作品の、佐分利信はどうなんでしょう。小津の作品にあっては、どうも存在感、生命感が強すぎるのではないかと。或いはあまりに偉そうというか、、、、、。小津作品のマンネリ・テーマにちょっとしたアクセントを加えるという趣はあるのかもしれませんが、なんか浮いているという印象をぬぐい切れません。それに娘である有馬稲子のことを可愛がって、愛しているという雰囲気がいまいち伝わって来ないというか。娘を嫁にやった哀しさも伝わってこないし。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-07-31 10:45:42) 1.嫁入り前の娘と父親の姿をユーモラスに描いた作品です。私は最近初めて観たのですが、今観ても普通に面白い映画でした。なんの知識もなく観ても、さすがは「小津監督」素晴らしいセンスですね。余談ですが、友人(日本人)がフランスでこの映画を字幕で放映しているのを観たそうです。最初、日本語が上手く聞き取れなくてフランス語の字幕を見てしまったとのこと。昭和30年代の日常会話ってこんな感じだったんでしょうか?今とまるで違うのは確かですね。もしかして、今の中学生にみせようと思ったら現代語訳の字幕が必要なのかな…?? 【へっぽこ】さん 8点(2004-03-18 20:16:16)
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