みんなのシネマレビュー

人生は琴の弦のように

Life On A String
1991年【中・日・独・仏・英】
[ジンセイハコトノゲンノヨウニ]
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タイトル情報更新(2017-02-09)【シネマレビュー管理人】さん


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監督チェン・カイコー
脚本チェン・カイコー
音楽チュイ・シャオソン
撮影クー・チャンウェイ
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【クチコミ・感想】

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2.これはまず「地形」の映画である。盲目の主人公が見ることの出来ない遠景から、足もとの斜面に至るまで、作者の慎重な選択が感じられる。監督はかつてテレビのインタビューで、パゾリーニが好きだと言っていたが、その影響もあるかもしれない。しかし黄河のほとりのうどん屋シーンの不思議な緊張感はオリジナルなものだ。怒涛渦巻く背景を生かした地形の中で、セリフの少ないドラマが演じられる。地形が観客に与えるインパクトは強烈で、非日常の世界に・それも東洋的な光沢を持った神話の世界に一気に連れ去ってしまう。シートウが恋人の顔を地形になぞらえて手で探っていくシーンがある。盲人が視線の代わりに手でもって恋人の顔の上を放浪し、触覚が視線になって未知に向かい合ったわけだ。またこれは「音楽」を巡る映画である。『黄色い大地』からすでに、彼の映画では音楽が重要な役割りを演じてきたが、本作で前面に押し出された。人々に和をもたらす彼の琴、最後は自分のために弾き切ろうとする。が、主人公は芸術に裏切られる。人のためでも自分のためでもなく、芸術はそれ自身のために存在するという無慈悲さが剥き出しになる。芸術に魅せられるとはどういうことなのか。それでも音を掻き鳴らさないではいられない人間の可憐さのようなものが感じられても来るのだ。さらにこれは「放浪と定着」の映画でもある。村人は二人の盲人を神として歓迎するが、定着は許さない。おそらく定住したらただの乞食になってしまうのだろう。民俗学的なテーマでもあろうが、芸術=非日常のありように関する問題でもある。大きな争乱を一気に鎮めてしまう力は偉大であると同時に恐ろしくもある。そのようなものには居座ってもらっては困る、時々訪れて去っていくのが一番いい。芸術とはそういうきわどい存在なのだろう。謎のようなうどん屋の女将の歌に「誰だって自分の家にはいたくない」というリフレインがあった。女=妻というものがそもそも定住の象徴なのに、その女が放浪へ導く歌を暗示している。彼女はけっこう重要な存在で、芸術に関わってしまった人間の皮肉な運命そのものを操っているミューズなのだろうか。ああ、なんかとても多層的に観られる映画であった。 なんのかんのさん [映画館(字幕)] 8点(2011-04-20 12:27:19)

1.寓話的な雰囲気の中で、ゆっくりと流れていく時間が心地よいと思いました。僕のちんまいTVの画面で観てさえも、とても広い所を漂っているかのような錯覚を味あわせてくれた画造りは見事でした。この監督さんは、子供達の王様や黄色い大地などでもそうなのですが、何でもない話の中にとても奥行きのある感情の機微や寓意を巧みに織り込み、それを丁寧にかつ適度に突き放した絶妙な描き方をすることによって、心の中に深く染み入ってくる作品を残してくれます。ホントどーでもいいことですが、うどん屋さんサイコー。 ロバちゃんさん 6点(2003-10-14 09:42:33)

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【点数情報】

Review人数 3人
平均点数 7.00点
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