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【クチコミ・感想】
1.内容については触れない。一言でも発しようモノなら観た時に大きく興を殺ぐ結果になるだろう。
評価について。
アヌシー審査員の「100 年間の映画 100 選」リストでは、本作は 58 番目で日本作品としては2位だ(1位は言わずと知れた喜八郎の『道成寺』、100 番中 45 番)。つまり、この百年に世界中で製作された短編アートアニメ作品の中で、58 番目と位置付けられている。当然、非商業分野での手塚アニメの、一番の業績となる。
個人的にはもっと上位に食い込んでもいいと思っているが、手塚治虫のカトゥーンなタッチが相当な違和感を醸しているのは否定しようがない。日本はともかく、アヌシー的に見ればこれじゃランクを上げ辛いだろう。自分の業績を確立した後でも、かたくなにフライシャー/ディズニーの追従者でいようとする手塚の頑迷さは、愛しさまで生まれるほど。
製作時期が問題だ。
本作は 84 年。第二次SFブームのまっただ中で、彼一人が沈没していた時期。本格SFを狙った『プライム・ローズ』は物語が手塚史上最悪のクラッシュを起こし、『ドン・ドラキュラ』の放映は伝説的な4回打ち切り。SF界での手塚治虫は、過去のブランドとして葬り去られようとしていた。
そのドン底(金もなかった)の時期に、本作の企画を立ち上げて、金にもならないアニメの作画をガリガリ 4000 枚もやってたというのが、「やはり神だな」と思わせる。同時代のサンライズ+『ガンダム』や、すぐ後のマッドハウス+『アキラ』の狂乱ぶりを考えれば、この時代にアートアニメへ目を向けていたアニメ界の巨匠(笑)がいた事自体が、信じ難い。
狙いについて。
言葉を持たない、文字も登場しない、まあ他にもいろいろあるが、本作は「世界の子供に見てもらう」事しか考えていない。この選択は、世界のアニメ市場でゼロから実績を積み直す覚悟だったような感触がある。この人の創作欲はどこまで罪深いんだと恐れ入る。
この試み自体の評価は置くとして、本作から始まった手塚の 80 年代作品群は、広島アニメ映画祭を発信の場とした。この映画祭が現在のアートアニメ層の母体になっているのは言うまでもない。同祭の看板、そしてアヌシー常連の、ノルシュテインやグリモー(あとラルー)などに並んで手塚治虫が存在している。58 番目として存在している。
手塚は結局、この作品を生むために生きたんじゃないかと思う。
【エスねこ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-05-07 00:49:02)(良:1票)
マーク説明 |
★《新規》★ | :2日以内に新規投稿 |
《新規》 | :7日以内に新規投稿 |
★《更新》★ | :2日以内に更新 |
《更新》 | :7日以内に更新 |
【点数情報】
Review人数 |
2人 |
平均点数 |
9.00点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 0 | 0.00% |
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5 | 0 | 0.00% |
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6 | 0 | 0.00% |
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7 | 0 | 0.00% |
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8 | 0 | 0.00% |
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9 | 2 | 100.00% |
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10 | 0 | 0.00% |
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