みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
17.下町で古びた靴下工場を細々と経営する初老の主人ハコボの元へ、疎遠になっていた弟のエルマンが訪ねてくる。ハコボは事もあろうに、従業員のマルタに偽装夫婦になる事を頼み込み、三人での束の間の奇妙な共同生活が始まるというのが、大雑把なストーリー・ライン。何故、ハコボは結婚していなかったのか、或いは偽装結婚を何故する必要があったのか、などと言った素朴な疑問には殆んど触れられないまま、ドラマは進行していく。勿論、それらには然したる意味はなく、何の変化もない同じ事の繰り返しで明け暮れしている所へ、一石を投じた事によりドラマが生まれ、やがて人間の本性が炙り出される面白さ。様々なエピソードを積み重ねる事でそれらは的確に描出されていく。静かな語り口だが演出は実に巧みで、ドラマらしいドラマがなくとも、多くの事を語りかけてくる作品だ。もう若くもなく、同じスタイルに固執し変化を望まない一組の男と女。仕事以外のことには無気力・無関心で、自分の殻に閉じこもって人生を楽しもうとしないハコボ。今までどのような人生を送ってきたのだろうか。しかし羽振りのいい弟には弱みを見せたくないという、兄としてのプライドだけは持っていて、その頑なな姿勢はどこまでも崩さない男だ。年配の従業員マルタも寡黙で仕事には従順な女性として描かれるが、利己的で単純なハコボと違い様々な表情を垣間見せる。彼女は一人では生きていけない事を自覚し、そして何かに期待を抱きながら生きてきた女性なのである。偽装夫婦を頼まれた時に快く応じたのもやはりその何かを期待したからで、たまたま年恰好が同じという程度の理由で、マルタを選んだハコボとは大違いだ。だからラストのしっぺ返しも当然の成行きとも言える。表向きは例え同じ方向を向いているようでいても、生き方や考え方というものはやはり人それぞれ違うという、至極当然のことを映画は改めて教えてくれる。“チーズ”と“ウィスキー”の違いはあっても、人生を笑顔で過ごしたいのは何処の国の人も同じだと、作者は言いたげだ。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-06-09 16:21:21)(良:3票) 16.ときに人形の表情が雄弁になるように、無表情が多くを語ることがある。髪型を変えても気がついてもらえない・写真を撮らねばと言っても反応がない、そこで主人公はがっかりした表情を作らず、無表情で通す。がっかりした表情をすれば、それは「がっかり」だけだ。無表情だと、がっかりしたけどがっかりしたことを男にさとらせないぞ、という意地や、別にがっかりしてないもん、という自分へのごまかしや、その他いろいろ複雑な感情を、見てるほうが類推し膨らませてしまう。無色を保っている彼女の内面に、多彩な色彩が飛び交って見えてくる。演技力とは、そういう無表情を作れる能力を言うのだろう。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-10-29 12:22:08)(良:1票) 15.この映画に含まれる教訓と言いますと、「合コンでは大抵、幹事以外のヤツがモテる」という、我々もよく経験するアレですけれども(笑)。久しぶりに弟に会うにあたり、雇い人の女性に妻の振りをして欲しいと頼む男。こんなアブノーマルな、ある種オイシイ設定を、惜しげも無く極めてノーマルに淡々と描く、その味わい。エピソードの積み重ねと言うよりは、シチュエーションの積み重ねとでも言いますか、事件というほどの事件もない進行。それぞれのシーン、それぞれの状況で、それぞれの言動が交わされる中に、主人公たちの心境が何となく浮かび上がってくる。いくつかのシーンは、映画の中で何度か繰り返し登場したりするのだけど、それが、特に映画の前半と後半で、意味合いに差があったりする。特に印象に残る、主人公たちが一緒にエレベーターに乗り、互いに向き合わず、こちらの方を黙って見ているシーン。構図としてのインパクトも確かにあるけど、それより何より、この構図が映画の中で繰り返されること、そして前半で登場するこのシーンと、最後近くに現れるシーンで、二人の気持ち、二人の関係が明らかに異なっていることの面白さ。同じような映像でも緊迫感が全く異なっているのが、さらに印象的です。また、決して明るいオハナシでは無いのだけれども、それでいて、映画を通じ、背景に登場する調度のカラフルさが、映画にどこかユーモラスな雰囲気を与えてもいるように感じられます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-07-08 19:04:50)(良:1票) 14.いや~実に面白かった。 静かでセリフも最小限、動かないカメラの前での出来事。 その微妙な描写に、こちらは固唾を呑んで見守ります。 マルタもハコボも地味で堅~い?ヒトだというのに、その気持ちが手に取るように分かるのですもの。 アラ不思議!映画の醍醐味とはこのことだと、頷いておりました。 題名の”ウィスキー”とはこの作品の真髄を表しており、うまい事言うなぁと感心しております。 もう一度観てクスクス笑いたい。 それから、ウルグアイに親しみを持てたことも収穫。 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-03-17 20:08:03)(良:1票) 13.ウルグアイっていうだけでちょっと採点が甘くなっているかもしれないけど、期待以上におもしろい。 【aimihcimuim】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-08-10 02:10:48) 12.地味に淡々と進むかと思いきや、その中にいろんなことが盛り込まれているから油断ならない。普通ならこの先で本腰入れて盛り上げるだろう、というところで説明をシャットアウトしてあとは想像に委ねる。ちょっとした描写でさりげなく登場人物の思考の背景を表す。私は、「逆さ言葉遊び」のこの話における位置づけに思い至ってぞくっとしました。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-02-20 01:57:23) 11.ハコボにとってマルタは空気のような存在。その空気の微かな揺らぎを感じられない、若しくは感じまいとする事に対する代償。人は空気無しでは生きられないのに。鈍感は罪である事を実感させられます。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-01-05 01:09:13) 10.ウィスキーのように笑って酒のように楽しめなきゃ人生損するよってことが言いたかったのかなぁ。細かい描写は良かったけど、シナリオは難しすぎた気がする。 【ハラミ定食】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-02-24 20:05:37) 9.もてるヤツはもてる、もてないヤツはもてない。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-12-17 20:13:36) 8.映画ではなく、映像作品として見たかった。もう少しコンパクトにしてもう少しだけ鋭くさせたら、とても良質な映像作品になれたと思う。 【Leannán-Sídhe】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-08-04 16:25:01) 7.ウルグアイでは「ウイスキー」なんですね。今度やってみよう。この映画は描写が細かくて、観る人を選ぶ作品だと思います。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 4点(2007-07-27 06:15:25) 6.説明的な要素を排し、静けさに包まれながら淡々と進行する物語。大人の微細な心理を伝える映像表現の確かさ。遠き南米の人間に己自身を垣間見た気がした。あの仮初めのカップル写真も感慨深い。判りやすい外面ばかりを追った映画が多い中、中年の秘めたる内面を捉えた紛れもない傑作。 【丹羽飄逸】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-06-11 22:50:34) 5.出勤し、シャッターを開け、電気を点け、機械のスイッチを入れ、運ばれてきたお茶を飲む。そして代わり映えのしない靴下を作り続ける。たぶん何十年ものあいだ繰り返されてきた、儀式にも似た日常。この無間地獄の様な日々に埋没して暮らす兄の元に、そこから飛び出した弟が、ほんの少しの「変化」を連れて戻ってくる。不変を愛する兄、変わり続ける弟、そして変わらぬ毎日を生きながら、実はずっと変化を待ち望んでいた女が、互いに微妙に作用し合い、新たな関係を構築していく。例え僅かな変化でも、一度変わってしまったものはもう元へは戻らず、やがてそれは大きな変化をもたらすことになる。弟が去った後、以前の日常を取り戻したつもりの兄も、既に昨日とは違う明日へと足を踏み入れていたのです、7点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-10-22 00:06:22) 4.すごい地味だけど良かった。前半の日常生活の繰り返しを淡々と何度も映すのが、後半に繋がってて興味深かった。 【あしたかこ】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-08-02 06:43:58) 3.ラストあたり理解できず??? になっちまいました(笑)。ここ読ませてもらってなるほど~! って、自分、お人よしっつーかバカっつーか(汗)。ショーウィンドウ・ケーキ・選び放題・てんこ盛りシーンなんぞにトキメイてる場合ではなかった(笑)。 【ジマイマ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-05-19 23:59:41) 2.わだかまりのある中年の兄弟と、その兄から偽りの妻役を依頼された中年女性との奇妙な三角関係を描いた作品です。結構淡々としていて、面白みには欠けるかなと思っていたのですが、予想を裏切られました。確かに地味で淡々としてはいるのですが、これが下手な娯楽作品より面白い。とくに遠方に住む弟エルマンが来てからが見ものです。何ともいえない微妙な笑いを挟みつつ、偽りの妻マルタが弟エルマンに抱く好意、兄ハコボの嫉妬心を実に繊細に描いています。とりわけマルタの見せる前半と後半の表情の違いは絶妙です。単調にも感じる物語前半の描写が中盤以降になって効いてくるあたりに「上手さ」を感じ、また画ひとつひとつの構図に「センスの良さ」を感じます。解釈を観客に委ねた描写やほろ苦いラストも秀逸です。個人的には「神が望めばまた明日」という挨拶が気に入りました。大人向けの良作です。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-05-15 17:45:30) 1.この3人の役者の演技に脱帽!特に女優の細かい表情がいい! 動かないカメラで同じカット割で平坦な日常を見せるもころが凄くいい。 特に二つ目のスィッチを押したところで階段を上っていく、というところまで 毎日が同じタイミング、ってのが、若い監督なのによくこういう演出ができるなあ。 偽装結婚のはずが次第に愛が芽生えてハッピーエンド!ってな感じの ハリウッド的なノリを一切排除しているのが心憎い。リアルでいい映画です。 【GO】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-05-15 18:04:08)
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