みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
3.みんなどこかが狂ってる! と、映画全編を通して延々と映し出される密集する雑踏の中で思わず叫びたくなる。 鋭い社会風刺を強烈なブラックユーモアをもって描きつけている「問題作」と言っていい。 1957年当時に、これほどまでに冷ややかなエグさで埋め尽くした映画を描き出した市川崑という映画監督は、やはりとんでもない人物だったのだと思わずにはいられない。 一流大学を卒業しながらも、将来に対する望み薄な展望をドライに割り切り、無表情のまま現代社会の荒波に飛び込んでいく主人公。 映画のタイトルを指し示すように、彼は「日本には我々が希望をもって坐れる席は空いていない 訳もなくはりきらなくては」と冷め切った持論を展開する。 どこに行っても人間が混み合い、すべての人間が杓子定規に生きるしかない明らかに狂った社会。 そのすべてを割り切って生きてきた筈の主人公だが、父親からは母親が狂ったと聞かされ、母親からは父親が狂ったと聞かされ、まわりの同僚たちも何だかどこかが狂っている。 次第に、本当に狂っているのは、社会なのか自分自身なのか分からなくなってくる。 50年以上前の映画でありながら、この作品が映し出す社会の本質とその病理性は、まさに現代のそれに直結するものであり、登場人物たちの妙な言動は可笑しさから次第に恐ろしさとなって観る者に迫ってくる。 主人公は紆余曲折を経て路頭に迷う。ラスト、自ら建てたあまりに粗末な掘建て小屋を強風にさらされながら、主人公はそれでも柱にしがみつき、未来に対する諦観か覚悟が判別のつけづらい感情の中で、生きていかなければならないと宣言する。 その直後には、小学校の入学式に臨む子供たちが、校長から「将来は前途洋々」と訓辞を受けているシーンが映し出され映画は締められる。 いやあ、この皮肉さはもの凄い。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-31 00:55:46) 2.市川監督の片鱗を伺わせるところはあり、いくつか観るべきところはありますが、いかんせん、駄作は駄作であります。 【みんな嫌い】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-11-27 12:49:47) 1.若き日の川口探検隊長は嫌味のない二枚目でカッコいいですね。今でいうと岡田義徳みたいな雰囲気。タイトルにもなっている通勤満員電車、患者であふれ返っている精神病院、殺風景な社員寮、雑然とした会社の作業場等、どこかタガが外れて歯車が狂っているような登場人物を含め、当時の世相をシニカルに捉えた市川+和田夏十夫婦コンビのブラックユーモアが全編に弾けてます。でも膝を叩いて笑えるような楽しいコメディじゃないですね、これは。唯一自分爆笑したのは、笠智衆がいつものすっとぼけた口調で「母さん(杉村春子)が発狂してなあ~」って言う箇所のみ。破れかぶれの勢いは感じさせるけど佳作とまでは言いかねる出来かなあと自分は思います。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-03-25 14:01:41)
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