みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
6.周囲から蔑まれて育ってきた主人公の青年を市川雷蔵が演じていて、前半はいかにも純朴、と言うよりは野暮ったい雰囲気を漂わせています。およそ雷蔵らしくない役、のようでいて、実はこの人、こういう役の方が似合ってたんじゃないか、という気もしてきますが、後半への彼の変化が見どころで、思いつめたような悲壮感が加わってくると、やっぱりこれが雷蔵だよなあ、と。 不幸な生まれのため、あいつは犬の子なんじゃないか、とか、酷い言われようをしながら育った主人公なのですが、そういう育ちが為せる業なのか、はたまた宿命というものなのか、独特の野生みたいなものが彼には備わっています。 それは例えば、花を愛する優しき心。なのですが、ただ「優しい」とだけは言うだけではなく、その心ゆえ、殿様に対しとんでもないこともやらかしてしまうし、またその事件が彼のその後の運命を左右したりもします。 はたまた、走る馬にも遅れずについていく異常な脚力。いや、雷蔵がそんなに速く走れる訳ないでしょ、これって早回しやんか、などと言ってはいけないのです。主人公の持って生まれた野生。 はたまた、居合の達人(内田朝雄)の技を、目で見て習得する眼力。いや、内田朝雄がこんなに速く刀を抜ける訳ないでしょ、これって早回しやんか、などと言ってはいけないのです。いずれにせよ、かつて野暮ったかった青年は、習得した達人の技、そして自らの修練と持って生まれた野生の勘により、暗殺を繰り返すヒットマンとなっていく。その過程で生まれる悲劇がまた、彼の宿命を感じさせたりもして。 で、片や花を愛するメルヘン、片や剣に生きる暗殺者としての心、その二つが、クライマックスにおいて邂逅する訳ですね。咲き乱れる花の中で繰り広げられる、襲いかかってくる刺客たちとの死闘。こういう場面で、やっぱり雷蔵の殺陣はイマイチだなあ、とは思いつつも、その悲壮感には魅せられてしまいます。こんな山間の小川に花が自然に咲いているはずもないので、きっと撮影のために植えたんでしょうけど、これだけの花、大変だったんじゃないでしょうか。しかし主人公が見る幻として、さらに花が一面を覆いつくすような映像なども出てきますが、さすがにこの量は植えられるとも思えず、これはどうやって撮影したんでしょうか??? 三隅研次&市川雷蔵の、いわゆる剣三部作の最終作で、ここでも、大映時代劇らしい陰影に富んだ映像、魅力的なロケ撮影、大胆な構図のカメラなどの魅力が堪能でき、残念ながらシリーズはこれで打ち止めとはなりましたが、掉尾を飾るにふさわしい作品と言えるのではないでしょうか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2025-01-26 07:32:58) 5.同僚から生まれについて馬鹿にされようとも、花を育てる地味な生き方をしたかった侍。しかし、自分の特別な才能を発見してしまったことで血なまぐさい世界に取り込まれていく・・・というと、悲劇的に見えますが、主人公自身が悩みつつも、宿命ならやってやる!と自覚的に修羅の道を選んでいるので暗い雰囲気ではありません。見どころは俊足・・・ではなく、やはり居合術。抜刀→納刀の動きがとても華麗で、しかも戦闘シーンがたっぷりと用意されているので贅沢に感じました。市川雷蔵は私が生まれる前に亡くなっておられますが、本当の映画スターだったんだなと今さら納得した次第です。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-05-23 13:15:23)(良:1票) 4.特異な出生に対する世間の蔑みに晒されて生きる斑平の突飛過ぎるキャラクターに唖然とするも、世間に対する妖気とお咲に対する爽やかさを併せ持つ姿に市川雷蔵ならではの味わいを感じる。手塩にかけた花を愛でて穏やかに暮らす事が叶わない決闘模様が切なかった。 【The Grey Heron】さん [DVD(邦画)] 7点(2018-02-16 13:27:11)(良:1票) 3.剣三部作の中で一番娯楽性に富んでて面白かったです。犬と人の間に生まれたと噂される男、園芸に才があり、走ればまるで犬の速度と持久力。そんな超人的で才能に恵まれた男が剣を握った日にはどうなるのか、という切り口には「のった!」と心の中で膝を打ちました。悲哀と怨根取り巻く斑平の半生が描かれているのでジャンルとしては悲劇になると思いますが、中盤までは「犬の子」と蔑まれていた斑平が城内で能力を買われみるみる出世するサクセスストーリー仕立てになってるので痛快でした。斑平が犬と人との子であるという話はあくまで人の噂話の範囲で留めてあり、「もしかしたら」という可能性を残しているのでかすかにファンタジー性の香りがありますが、そのブっとんだ設定が斑平に謎めいた魅力と超人的であることの説得力を与えています。結果を完全に見せないラストもどこかやり切れない余韻を残してていい感じ。ただライバルっぽいキャラが意味深に登場した割にあっさり退場したのは肩透かし、あのやりとりをやりたかっただけなんじゃないの。 【Jar_harmony】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-01-17 18:11:53) 2.剣三部作の第三弾。雷蔵の作品というか柴田錬三郎原作のには出生の秘密って作品多いけど、今回はまた凄い。犬の子と呼ばれ、花を咲かせる名人で、馬よりも速く駆け、そして居合いの達人、人斬り斑平と呼ばれるまでになる。設定は凄いけどストーリーはどうってことなかった気がする。花畑の中での斬りあいというのが見所か。 【バカ王子】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-08 23:30:56) 1.剣三部作の三作目。様式美溢れる格調高い時代劇。血塗られた運命を背負った男が、剣に出会うことによって孤独を深めていき、そして・・・。 殺陣のスピード、迫力も一級品。美しき風景と流れる血のコントラストも絶妙。そして虚しさの余韻が残る後味。うーん、傑作。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-09-07 04:28:38)
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