みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
10.池袋の新文芸坐にて鑑賞。 本作は、1939年公開の溝口健二監督作品である。 146分という長尺も合点のいく、まさに力作であった。 特に、全編を通して貫かれている、“1シーン1カット”という撮影方法により生まれる、“長回し”シーンの数々に圧倒される。 長回しといっても、それは実験的な長回しであったり、観客を驚かせる為の遊び的な長回しという感じではない。 監督とカメラワークと演じる俳優とが力を結束し、又、それぞれがプロであるからこそなせるものであった。 全編を通して貫かれる、その一貫した撮影スタイルに、溝口監督の強いこだわりと執念を感じた。 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-12-13 21:21:59) 9.最初は溝口って、まだるっこしくって苦手だった。もっぱら画面の美しさや長回しの楽しさを見てた。黒澤や小津みたいにストレートには熱狂できなかった。でこれが転換点だったな。やってることは新派の男女悲劇なんだけど、その男女の関係が違って見えた。名古屋のシーン、簾越しに見守る友人、奈落で祈るお徳さん。陰影の凄味も効いてるんだけど、この舞台上の菊之助とそれを下で支える女の情念の関係、「一歩下がって陰で支える女の道」ってモロ新派的なところだが、男が地下の女に支配されているとも見えたんだ。芸術家と批評家の関係でもあったんだけど、それよりもケモノと調教師に思えた。そうしたら、今まで観てきた溝口作品の多くも、調教師とケモノの物語に思えてきて、突然溝口作品がスーッと心に沁み込んできた(まあ溝口の男はケモノってほど猛々しくはないんだけど)。世間とか社会に対する調教師とケモノコンビの意地の物語。古めかしい女と男の物語でありつつ、その二人が一緒に世間と戦ってる能動的な物語にも見えてくる。これが一体になっている。本作のラスト、男の出世のために身をひく、と同時に、もう調教師は必要なくなった、という厳しい自己認識が女にある。以前の下宿を再訪するシーンの美しさは、その厳しさもあってノスタルジーがより磨かれているんじゃないか。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-05-21 10:16:49) 8.いやはや、すばらしい映画です。 【K】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-08-02 12:55:22) 7.全編を通して哀しい物語。「雨月物語」や「山椒大夫」に通ずる、日本人というか人間の本質を捉えた映画だというのに、後期の作品群に比べて冗長で、緊張感のなさが感じられるのはどうしたことか。“1シーン1カット”という撮影方法や“長回し”シーンに圧倒されることもなく、セリフの聞き取れなさにイライラしながら見た。歌舞伎のシーンだけでも字幕があったらまだ良かった。お徳を理想の女性像としてとらえてしまった人は可哀想だと思う。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-04-07 12:41:39)(良:1票) 6.溝口健二作品の中で一番好きな作品です。50年代の傑作群も好きですが、この作品が 恵比寿ガーデンシネマとNFCの「溝口健二特集」で観たのですが、両方とも涙ボロボロ。コメントはもう素晴らしいコメントが書かれているので書くことないんですが、私の好きなシーンは、二人で西瓜を切って食べるところで、観ていて心地良い。菊之助が成長し、東京へ帰ってくるのですが、かつてお徳と一緒に西瓜を食べた名残をこれまた一連の長回しで撮っていて泣かせます。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-10-05 17:44:53)(良:1票) 5.これほど話と画が一つにまとまった映画を初めて見たように思う。鑑賞後に溜息と涙と感嘆を同時に感じた。画面の中にぼうと浮かぶ画に溜息を漏らし、女の慈愛に涙し、判り易く、無駄のない脚本と演出に感嘆した。なんだろう、この余韻は・・。舳先に立つ菊之助がお徳に御辞儀をしている様で・・ああ、涙が止まらない。映画に於ける全ての要素が素晴らしすぎる。ここのレビューサイトに登録してまだ日は浅いがこの様な作品を知り、そして見ることができて本当によかった。まさにみんなのレビューのおかげである。この作品を置いてくれたTSUTAYAにも“ありがとう”と言いたい。 【カリプソ】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-04-01 17:17:43)(良:2票) 4.凄い~~~!この作品、昔、テレビで放送したらしいのをビデオに録画しといたという親戚に借りて観たけど、その圧倒的な映像美、溝口健二監督作品らしい本当にため息の出る美しさと更にその重厚且つ物凄い人間ドラマとしての力強さに、ただただ圧倒させられました。尾上菊之助の芸の深さと人間が成長するという事について、とにかく私のようなど素人が偉そうなことは言えないけど、傑作を通り越して、大大大傑作間違いなしの本当に物凄い作品です。これが溝口健二監督作品はまだ四本目ですけど、今のところ観た中ではナンバーワンです。とにかくワンカット、ワンカットが本当に映画的であり、美しく力強いその映像の正しくこれぞ映画ならではの美の世界!溝口健二監督の映画はどの作品にしても本当に美しい!美しすぎます。完全にやられました。よって迷うことなく満点です。この映画も含めて溝口健二監督の映画も黒澤明監督、小津安二郎監督作品同様、全作品バラでDVD化して欲しいなあ!そしたら「近松物語」とこの作品の二つは間違いなく買うのに! 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-30 19:22:31)(良:1票) 3.映画という芸術に対するひとつの回答があるような作品です。ひとつは、やはり構図ですね。例えば絵画における構図を思い浮かべると良いのかもしれない。名画が名画として成立しているのは画家が描き出す構図空間の見事さによります。映画でも同じです。主役、脇役、背景をどのように配置するかで全てが決まってしまう。そして、もうひとつが空間と観客の一体感です。例えば舞台演劇における役者と観客の一体感が良い例です。舞台では、常に観客が現実に起こっている状況の目撃者になっています。これを映画で実現するには長まわし以外にありません。空間が移動し役者が現実の時間と同時進行で動く状況が続けば、観客は今起こっている目撃者としての立場から、見事に中に入っていけるわけです。というわけで、すごい作品です。音声が聞き取りづらい点があったが、親切に字幕入りだった。って、英語の字幕じゃわかんないだろう。 【パセリセージ】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-12-04 22:32:42)(良:2票) 2.菊之助が、お徳と芝居の話をはじめてする川端のシーン、びっくりしますね。あの川べりをどんどん、どんどん歩いてゆくのに、いつまでたっても途切れないじゃないですか。、、、、、、それに最後の舟入の情景もいいですね。舟の先に菊之助が堂々と立って、最初は、やや上から見ているのだけど、だんだん菊之助をアップにしながら、カメラを下げ、最後は、まるで水面から撮っている感じで、、、、、これどーやって撮ったんだっっ、みたいに。、、、、、それに最後の30分くらいは、お徳がかわいそうで、なんだかもう涙が止まらない感じです。、、、、、、とはいえ、私は個人的には、山椒大夫、雨月、祇園囃子などの50年代の溝口の方が好きです。、、、、というのは、残菊の場合、最後に父親の菊五郎が、お徳はお前の女房だ、といって、菊之助とお徳との関係を認め、許してしまうからです。、、その時、二人の関係は、父=権威=慣習と融和して、めでたし、めでたし、で、社会的な矛盾は隠蔽され、話全体は単なるメロドラマになってしまう。単なる乳母ではないか、身分が違うぞ、というところから、この悲劇ははじまっているのに、そうした社会的な問題が結局、どこかにいってしまうわけです。、、、、、50年代の溝口なら、社会的な矛盾は矛盾として、しっかり提示したままにするはずです。(戦前ということを考えると仕方ないのかもしれませんが) 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-17 18:18:04)(良:1票) 1.ひゃ~凄い作品です。舞台役者の花柳章太郎、森赫子(かくこ)を迎え、ワンシーン・ワンショットを基本とする長回しがとことんまで研ぎ澄まされております。全体をローキーで捉えた三木滋人(稔)さんのカメラは、この哀切極まりない物語を実に哀切たらしめております。また森赫子さんの艶やかで控えめな演技が、緊張感の持続強いられる長回しに映えてお見事。舞台でスポットを浴びる菊之助と舞台下の暗闇でひたすら手をあわせるお徳のまさしく明暗、菊之助が調達した呉服の生地に顔を埋めるお徳・・・あ~涙。菊之助が台所で餅を眺めるシーンの切なさよ。「あらっ、若旦那こんなところにいらしたん」のノー天気な台詞が拍車をかけます。病床で芸人の女房として振舞うお徳、その弱々しい肢体、口調とは裏腹に力強い菊之助への言葉・・・あ~、涙涙。安易な感傷とは無縁のお徳の物語、完。 【彦馬】さん 10点(2004-08-27 00:21:58)(良:1票)
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