みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
2. 何度観てもとおかしさとぬくもりを感じる名作だ。 ムラ社会における人情ともたれ合いが紡ぎ出す「共同体」の構造がユーモラスに描き出される。 「小原庄助さん」といえば、民謡『会津磐梯山』でおなじみ。「朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上潰した」「もっともだ、もっともだ」と歌われるように“放蕩の権化”というべきイメージが独り歩きしているが、単純に考えれば、ギャンブルや女遊びに耽るのでないなら「朝寝~」くらいで身上潰れないだろう。 本作の主人公は旧家の大地主で村人から「小原庄助さん」の愛称で親しまれているが、戦後の農地改革で一気に左前になってしまった。にもかかわらず、野球、ミシン、ダンスなど習い事教室など農村の文化振興に借金までして積極的に寄付をするなど建設的な金の使い方に余念がなく(客人が来たら必ず酒をふるまうのは散財かもしれないが)、決して放蕩にうつつを抜かすような人物ではない。 その篤志家ぶりから村人から村長選挙に推されるも、これを固辞するように政治的野心もない。というよりは、「人柄」より「家柄」が立身出世の源となっていた従来の日本社会が敗戦後になってもはや転換してしまったことを彼は理解していたのである。 大河内傳次郎の現代劇というのはかなり貴重。その彼が抑えた演技で旧態依然にみえる農村社会にも押し寄せる「戦後改革」の波を屈託なく体現してくれる。 思わず吹き出しそうなエンディングの粋な遊び心も素晴らしい。 【あやかしもどき】さん [DVD(邦画)] 10点(2025-02-14 02:25:04) 1.まあ大らか~な作品です。朝寝朝酒朝湯が大好きで村の人々から<小原庄助さん>と呼ばれるある名家の地主を、大河内傳次郎が大らか~に演じております。まったくはまり役です。戦後農地改革により土地を失った地主のペーソスとユーモア・・・実際の旧家をロケーションとして撮影しているのですが、前半の金貸しが登場するシーン、後半の競売シーンでの横に横にと動くカメラ移動でこの家の風格がよく伝わってきます。没落しても頼まれたらイヤといえない庄助さんの旦那ぶり、人のよさをエピソードを重ねて描き、その合間に見せる雨のシーンでの傘や瓦の家紋を写したショットに過去へのノスタルジックな哀愁をのぞかせます。また庄助さんがロバに乗って出かけるショットに漂うユーモラスな雰囲気・・・私はこのロバのパコパコゆら~りとした歩みがこの映画の肝だと個人的には感じています。ロバだけをとらえたショットが何度も出てきますし、最後ロバをも手離した時に、そのロバと子どもたちが去っていくのをず~っと見送る庄助さんの後姿、ここは名シーンです。清水宏さんの自然でゆるりとしたタッチが、復興活力にあふれる時代の頬をふわりとなでたような作品でありました。 【彦馬】さん 10点(2004-11-27 23:52:10)(良:2票)
【点数情報】
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