みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
3. 久々に2度目の鑑賞。 いやはや、このブレーキの壊れた登場人物のハイテンションっぷりでいえば、川島作品の中で一、二を争うのではないか。 誰からも愛されている何でも屋の主人公を軸に指折りの奇人変人たちが、高度経済成長期の日本を投影するかのように「イケイケドンドン」とバイタリティ全開で繰り広げる狂騒曲。そこには同時代の日本人が「戦後民主主義」の旗の下、個人の自由をやりすぎといえるほど謳歌している爽快さが見て取れる。 とりわけ小沢昭一演じる受験生(!)の人を食いまくりながら終始あっけらかんとした図々しさは恐ろしいほど。 とにかく、そうした「戦後」になってこそ放出された人間の欲望のぶつかり合いをテンポの良さで畳みかけるように嫌味なく届けてくれる逸品だ。 【あやかしもどき】さん [DVD(邦画)] 9点(2025-02-03 03:59:30) 2.主人公は周囲に重宝がられることの心地よさに安住してしまい、隣人たちのしたたかさに利用されていく。そういう主人公を聖人化せず、映画はちゃんと彼をも裁く姿勢を取っているところがいい。だから人情長屋ものにはならず、人々の間にあるヒンヤリしたものを描いているわけだ。それにしてもこの脇役陣の豪華さはどうだろう。掛け持ち妾をやっている乙羽信子の別れの儀式のおかしさ。益田喜頓もまだ後年の“いいおじいさん”になってなくて、悪意あふれる陰湿な人物を演じる、それがまた似合っている。アァァいう妻を持つ骨董屋の渡辺篤。密造酒の清川虹子が室内で体操するシーンの迫力。酒場でトマトジュースのおかわりを頼む加藤武。そしてもちろん隣人たちのしたたかさを代表する受験生小沢昭一…。なんて豪勢なんだ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-02-26 12:11:26) 1.“初川島雄三”を「フィルムセンター」で体験してきました。 川島作品といえば、『幕末太陽傳』『洲崎パラダイス 赤信号』『しとやかな獣』辺りから入っていくのが無難なんでしょうが、貴重な本作がちょうどフィルムセンターで上映されるということで、行ってきました。 フランキー堺が主演の1950年代喜劇ということで、自分にとってはやや敷居が高かったですが、意外と楽しめました。 主演のフランキー堺、ジャズ・ドラマー出身ということですが、演技うまいですねー。 びっくりしました。 そして変に体格も良いです。 そして脇役で強い個性を発揮していた桂小金治。 こちらも落語家ですが、自然な演技で素晴らしいです。 若い頃も同じ様な顔してたんですね。 ヒロインの淡島千景ですが、個人的には好みに合わなかったです。 なので、男性出演陣に共感できず。 あのパーマは、現代的センスで見てしまうと、ひいてしまいます。 完全におばはんパーマです。 ところで本作、冒頭から凄いハイテンションです。 よほど集中していないと流れについていけないくらいのスピード感。 その後も、ドタバタ喜劇的な色合いのジョークが連打されていき、観ているこっちはノックアウト気味です。 これを「息もつかせぬ笑いの連続」と取るか、「テンション高すぎ、スピード早過ぎで疲れる」と取るかは、ほんと好み次第。 私は両方でした。 笑いのセンスとしては、正直合わない部分が多かったです。 しかし、登場人物が全てクセ者ぞろいで、各キャラクターが実によく作りこまれています。 その為、後半はいつの間にか“川島ワールド”に引き込まれたのも事実。 特にフランキー堺の演ずる主人公が、実に人間味があってよかったですね。 “サヨナラだけが人生だ” 何度となく本作で繰り返される“川島監督の座右の銘”といわれる名文句。 実に奥深い言葉でした。 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-08-24 07:11:26)
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