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【クチコミ・感想】
3.岡田嘉子宅の洋間や、デパートのエレベーターにおいて無情に閉じられるドアが彼女の頑なさを物語る。
そのドア越し、窓越しに交わされる視線と叫びは、サイレントゆえに視覚から響いてくる。
当時のマイブームらしい、人物への度重なるトラックアップも実に雄弁である。
特に、岡田嘉子と対峙し正面からその視線を受け止める筑波雪子の凛とした表情へ寄るショット。そこから彼女の手を強く握りしめる小島寿子の手のショットへ。
その繋ぎの切迫したリズムがいい。
一方では、原っぱで筑波雪子の立ち居から腰を下ろす動作の繊細なカット繋ぎの自然な美しさが眼を瞠らせる。
その繋ぎで女優の一動作の美をさらに引き立ててしまう。まさに映画美。
シーンの繋ぎでは、ライターと煙草を介した場面転換に工夫が凝らされており、物語を巧みに紡いでいる。
【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-02-12 20:09:41)
2.現存する成瀬巳喜男映画の中でも、最古の部類に入る作品。
“産みの親”対“育ての親”の構図。
劇中の岡譲二のセリフが印象的。
「子供を産むのが母親ではなくて、子供を育てるのが、母親の母親たる所以だ」。
まあ確かに理屈ではそうなんだけど、お腹を痛めて産んだ我が子を、手元に置きたいという、産みの親の心情というものがあるのでは?
ここは少し、一方的な善人の主張という感じだが、まあ、分かりやすくて良い。
成瀬巳喜男作品にしては、軽いノリで分かりやすく、心情的にも感情移入しやすい作品である。
それにしても、1930年代の成瀬巳喜男映画は、本当に鑑賞にこぎつけるだけで大変である。
正直なところ、映画の内容より、貴重な成瀬巳喜男映画を観られたということに、より満足感を得た感じである(苦笑)。 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-01-12 23:32:40)
1.《ネタバレ》 まあ悪い意味で少女小説的な話で、メロドラマと言っても監督が後に得意としたそれとは大分違う。かっぱらいの街角のシーンから始まり、順に岡田嘉子(産みの母)に近づいていく。次いで子どものほうを描く。両者を並行して描いていって、子どもを強引に連れていっちゃう展開。デパートに勤める母(育ての)とこの子どもが会ってしまいそうになる三越のシーンのあたりに、晩年のサスペンス作家をほうふつとさせるものがなくもない。母があわてて追いかけると、エレベーターの戸が閉まって下降を始めるあたり。階段とエレベーターの追いかけ。車の後部座席から子どもが母を見かけるが、すぐ目隠しをされてしまうとか。豪邸の子どもと、借家の母との共感シーンなんかもいい。何かを感じ合うみたいなところ。この後で子どもは外に忍び出て酒屋の自転車にぶつかってしまう。後年自動車事故を好んだ監督は、この頃は自転車で我慢した。この酒屋が私のノートによると三井弘次(当時なら秀男)。いまざっと調べた範囲では確認できなかったが、前年から与太者トリオのシリーズが始まって人気が出ており、トリオの一人安部正三郎が本作に出てるのは確認できたから、三井が出てても自然。いま残ってるフィルムのうちでもかなり初期の三井ではないか。で話のほうは満洲浪人の髭面男が出てきて善玉として仕切る(たぶんこれ岡譲二って、小津の『非常線の女』の人)。当時のヒーロー像ってのが分かる。監督これが長編三作目だそうだが、岡田嘉子を使えるほど期待されていたわけだ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-06-14 12:19:05)
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【点数情報】
Review人数 |
3人 |
平均点数 |
6.67点 |
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3 | 0 | 0.00% |
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6 | 2 | 66.67% |
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7 | 0 | 0.00% |
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8 | 1 | 33.33% |
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9 | 0 | 0.00% |
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10 | 0 | 0.00% |
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