みんなのシネマレビュー

1939年【日】 上映時間:142分
ドラマモノクロ映画小説の映画化
[ツチ]
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タイトル情報更新(2023-08-02)【イニシャルK】さん


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監督内田吐夢
キャスト小杉勇(男優)勘次
山本嘉一(男優)卯平
山本禮三郎(男優)兼博労
長尾敏之助(男優)駐在巡査
紅澤葉子(女優)おあき
風見章子(女優)おつぎ
原作長塚節
脚本八木隆一郎
北村勉
音楽乗松明広
撮影碧川道夫
配給日活
美術堀保治
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【クチコミ・感想】

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4.《ネタバレ》 内田吐夢が農民たちの生活を極限まで突き詰めた作品。 キング・ヴィダーの「麦秋」でもここまで地味じゃなかった。 これほどリアリティを持った農民は「七人の侍」にもいなかっただろう。 「七人の侍」で息子を野武士に殺された婆さんがいた。 その人も戦火で家族を失った辛い中を生きてきたという顔だ。 このように軍役や戦中・戦後の混乱をくぐり抜けた面構えの俳優が多かったが、この「土」に出てくる爺さんオッサン連中の面付きはもっと凄い。 辛い農民生活を身を削りながら耐えてきたという、そういう面付きの連中が多い。 フィルムは歳月を経て劣化が進んでいる箇所もあり、画質や音の悪さ、さらに冒頭とラストのシーンが欠如してしまっている。 欠如した部分は字幕で補われているが、劇中の絵で語る場面は言葉を必要としない凄味が伝わって来る。 物語はある農村の家族の生活を辛辣に描いていく。 主人公は祖父が残してしまった借金の完済に追われる身だ。 家を残してくれた父親を敬う反面、借金を残した父を恨んでもいた。 まるでドキュメンタリー映像でも見るかのような農村の様子。 ボロボロになった衣服、干からびた大地、多少の水ではすぐに渇いてしまう大地。 そこに大粒の雨が振り再び田は潤う・・・。 更には雷鳴のような音を立てて開く農家の戸。 娘がこっそり とうきびを狩りに行く場面。 ガラリと空く戸が緊張感を引き上げる・・・。 嫁入りで賑わうささやかな宴会。 火災の映像も凄い。 家が燃えてしまった残念だが、命あっての物種だ。 終盤で主人公が落ち込む様は情けないとも思ったが、自分の家が焼けたら誰でもああなってしまうだろう、抜け殻のように。 父を恨む息子、理由を知らない周りの人々は「なんんと親不孝な」と主人公を詰る。 しかし父親も責任を感じていた。 死が迫る父親、父親のために立ち直る主人公。 ラストの部分が欠如していたのは残念だが、恐らく感動的なラストで締めくくったのだろう。字幕がそう補完しているし。 内田吐夢はよく作品のテーマが余り「受けるイメージが無い」のでいつも資金繰りで困ったらしいが、映画仲間や知人から余ったフィルムや費用の援助をしてもらっていた。 それは毎回映画をヒットさせるという事と、何より人々に与える感動が内田吐夢の信頼となっていたからだろう。 すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 21:28:03)

3.オリジナル140分に対し、現存するのは巻頭・巻末部分を欠いた92分のフィルム。 ロングテイク主体でありショット数は250弱だが、その全てが素晴らしい。 出稼ぎにいく娘たちのシルエットが丘の稜線に小さく消えていくロングショットの美。 波打つ稲穂の揺れが拡がっていく緩やかな移動撮影。 斜面が活きた独特の農地の中を人物が走行するキアロスタミ的なジグザグ運動。 囃子のリズムに重なりながら、天秤棒を担いで水を運ぶ父娘を捉えるトラックバックの映画性。 風見章子が愛しげに掬い上げる精白米に注がれる光の眩さ。 そして、石臼や足踏み式脱穀機の生み出す土着的なリズム。 山本嘉一が座る囲炉裏端を捉えた屋内真上からの構図だけで醸し出されるただならない雰囲気。果たして傍の藁に引火し、一気に火の手が上がり家屋が炎に包まれる中を老人と子供が必死に這い逃れる姿を追う迫真のショットの苛烈な様。 各ショットの映画的充実ぶりは挙げ出せば限がないが、それは殊更な風俗描写や技巧の披歴ではなく、あくまで俳優と風土の素朴な佇まいと素朴な語り口の融合によってもたらされているものであり、生活風景の中のさりげない台詞ひとつひとつが人物描写として映画に厚みを出している。 フィルムの欠損と原作通りの徹底した茨城言葉の録音は、却って物語よりも言葉の意味よりも、映像と音の響きそれ自体の充実をより際立たせてくれており、作品の素晴らしさを損なうものではない。 ユーカラさん [ビデオ(邦画)] 9点(2012-03-17 20:20:58)

2.戦前の日本のリアリズムは、ちっとも戦後のイタリアに負けてなかった。演技、顔の表情も素晴らしい。背景に土地を含む構図も見事。いくつかの場面を思い返してみよう。風見章子が友だちを見送る場面、川原で木を拾っているその荒涼とした風景、遠くの舟との呼びかけあい。表情を抑えているところがいい。夏の水運び、つまずいて転んだりは決してしない、そういうときは桶を置いて休むのだ、それだけ水は大事に扱う、リアリズムの精神はこういうところで発揮される。雨乞いの太鼓をずっとバックで鳴らし続ける。収穫、苦しい場面を続けざまに押しつけるのではなく、仕事の喜びもちゃんと伝えてくれる。年貢(?)を運んで、その家で恐縮してご馳走になりながら帯の値段を尋ねる場面とか、火事のエピソード(長いショットで丹念に撮った迫力、知らせるのに田圃まで遠いいの)、人の家に飛び火してしまったことの疚しさのほうが先に来る、こんなところに村社会が見えてくる。セリフがよく聞き取れないのだが、父と婿の確執も重要そう。不完全なフィルム状態のままでも、傑作と言っていいだろう。 なんのかんのさん [映画館(邦画)] 8点(2010-01-07 12:01:09)(良:1票)

1.うーん、、これは久しぶりに「期待していた割に良くなかった」作品になってしまった。 渋谷のホテル街・円山町にある映画館まで足を運び、週末のカップルでわきかえる雑踏の中を必死に一人で歩いていったのに、良くなかった。 うーん、いやー、残念! 大体、音声が聞き取れんじゃないか!! こらぁ!! にじばぶさん [映画館(邦画)] 3点(2008-08-03 01:22:39)

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【点数情報】

Review人数 4人
平均点数 7.25点
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【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 9.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 9.00点 Review1人
4 音楽評価 9.00点 Review1人
5 感泣評価 9.00点 Review1人

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