みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
12.《ネタバレ》 なんでも増村・若尾コンビは全部で20本ああるそうですが、たぶん本作がその最高傑作というか極北に位置することは間違いないでしょう(全部観てるわけでもないのに偉そうですが)。だってほんと凄いんだもの、現役の映画作家ではその描写のエグさ・凄まじさはとうてい真似できないと思います。そりゃエグいスプラッターは日本でも撮られていますが、両腕を切断された兵士の性処理をナースがしてあげる描写なんて、当たり障りのない題材にしか手を出さないを製作委員会方式が幅を利かせている現状では絶対にありえません。まるで魚を捌くように手足を切り落としてゆく野戦病院、そして「俺は人命を救っているんじゃなくて〇〇〇を量産しているようなもんだ」と自嘲する軍医、ここら辺は『ジョニーは戦場に行った』に通じる不条理があって究極の反戦映画とも言えそうです。若尾文子もいい思いをさせてもらった男はみんな黄泉の国へ引っ張って行っちゃう、これじゃまるで“死の天使”ではございませんか。芦田伸介と二人で兵隊コスプレで始まるどう見たっての変態プレイはちょっと異様ですけど必見です。 増村作品の若尾文子はブレるところはあっても一途な女性というパターンが多いけど、それは本作の西さくらが完成形でしょう。ここは好みが分かれるところかもしれませんが、自分は川島雄三作品の若尾文子も捨てがたい魅力があると思ってます。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-11-14 23:29:10) 11.戦場では人間が人間でなくなる、これほどまでに強烈な映画はめったにはないだろう。麻酔が不十分なまま手足を切断する場面もとても衝撃的だし、モルヒネの力を借りてでも行わねば正気が保てない極限の状態もわかるような気がする。そして伝染病、それでも退去できない上部の命令、戦争の醜さを否応なく見せられてしまう。そういう極限で性的なことを迫られても、ほんの些細なことにさえ思えるくらいだ。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-06-24 20:15:34) 10.従軍看護婦という女性視点から戦争の悲劇、悲惨さを表現した作品。 アイデアが非常に珍しく、監督さんのこだわりやテーマもよく伝わってくる。 ただヒロイン役の若尾文子が中盤あたりから徐々に浮き出して、どうにも妙な違和感が・・・。 終盤にはメロドラマのような展開や、際どいシーンにはまた吹き替えを使っているようで、 せっかくのいい作品に水を差されたような印象。彼女以外のシーンは満点に近い内容の映画だった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-04-18 04:28:10) 9.確かに、天使でした…。思い残す事なく、気持ちよく成仏出きるわ。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-03-02 22:35:40) 8.《ネタバレ》 川津祐介が演じた男は、とっても卑劣だ。 別にスケベなのはいいのだが、気弱な口調で従軍看護婦に手淫を願い出て、股にまで足を挟む。 普通の男なら、あんなことは看護婦に頼めないはず。 もし現実にあんな男がいたとしたら、とんでもなく陰湿でスケベな男なはずだ。 でも最期は飛び降り自殺をしたから、まあ許されるか・・・ 当時観れば、スケベでセンセーショナルな題材たっぷりな内容なのかもしれないが、現代から観ると大したことはない。 そして小話が何個もつながって全体を構成したつくりになっているので、重厚感がない。 まるでオムニバス映画を、軽い気持ちで観ている気分になってしまう。 軍医と従軍看護婦とのロマンスが主な柱だとは思うが、それも後半に集中して描かれるのみである。 結局、従軍看護婦の、性的な部分を含めての、過酷な戦場を見せたかったのだろうが、散漫な印象はぬぐえない。 そして、いたずらをされる従軍看護婦役として、若尾文子が適していたかどうかが一番の疑問である。 若尾文子は十分に魅力的であったが、いたずらを受ける“天使”としてのキャラに無理がある気がする。 もう少し素朴な印象を持つ女優さんを、この役に抜擢した方が、より興奮度が高かったに違いない。 つまらないわけではないが、題材が先走りし、作品全体の完成度と重厚感は、他の増村保造作品に一歩劣る気がした。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2011-12-23 11:49:39) 7.《ネタバレ》 監督増村と若尾文子(様)コンビは次の「華岡青洲の妻」で終わりを迎えるが、この作品でやること全てやりきったのでは無いか、という位の日本映画史上に残る「ド変態映画」。彼女にとって「身体を求める事」は常に死と隣り合わせであった状況下での生きている証であり、「身体を与える事」は血塗られた看護婦として残された最後の仕事・奉仕であったという厳しさ。敵の大群が攻め込んでくる中軍服コスプレプレイをしている、という時点でどうかしているのだが下手に裸を見せるよりも物凄いエロティシズムを感じてしまうのは自分だけか。戦場下で「人間性」など無意味である(バケツに無造作に突っ込まれた足や手の残骸!)事をうたいあげたこの作品は増村にとっての「反戦映画」なのだろう。ただHなシーンはともかく戦場/病院の描写、きっつーい。とりあえず増村+文子(様)コンビの映画は年代順で鑑賞すること、切に願います! 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-09-12 19:25:52) 6.舞台を戦場にしているのにエッチなほうにエッチなほうにもってゆくのがなんとも嬉しいのだけど、若尾文子って増村作品に限らずけっこう艶っぽいイメージのわりにおっぱいとか絶対見せないでやんの。あるんだろうけど私は見たことない。まあそれは置いといて、エッチな描写もしつつも、戦場の過酷さには一切手を抜いていなくて、暑苦しく誇りっぽい画面に展開される荒っぽい手術シーンや機械的に感情無く死体と怪我人を振り分けるシーンや体の一部を失くした軍人たちが呻き声とともにひしめき合う画づらの圧倒的な悲壮感とグロテスク感は凄まじいものがある。だからこそ若尾文子のまわりだけがまるで異空間のようになる軍医と看護婦のメロドラマがなんともいえない気色悪さを出していてかえって魅力的なのだと思う。後半の「西はいやです」「上官からの命令だ」「いやです」とかコスプレシーンの気色悪さといったら!なんといっても増村監督が後にテレビでやった「スチュワーデス物語」のノリですから。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-10-26 11:16:41) 5.「妻は告白する」→「夫は見た」→「卍」→「清作の妻」→「刺青」→「赤い天使」徐々に徐々に凄みが増してきますね。はじめは人間の関係性に比重を置いているものが、より女性本能、魔法のような力で男性を支配する凄み、にシフトしていった。そんな印象があります。私、増村作品で一番はじめに観たのがこの「赤い天使」だったので、とにかく、唖然として観た記憶があります。この作品における若尾文子の演技には勿論、釘付けですが、若尾文子を媒体とした増村保造の「呪術師」(言い過ぎ)のような恐ろしさも感じてしまいます。この監督は何を考えてるんだ!のような不気味さのようなものですね。 増村作品を観る際は、系譜のとおり「青空娘」「くちづけ」「最高殊勲夫人」あたりから観た方がより本作品を理解できて良いのだと私は思います。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-08-30 15:14:25) 4.《ネタバレ》 「綺麗ごと」など全く通用せず、人間の本能が剥き出しになってしまう・・・・戦争というものの実態を生々しく描き出した傑作です。 とにかく、戦争においては人間は人間で無くなるということを残酷なまでに我々に見せつけてくれます。本当に衝撃的な作品です(月並みな表現ですが)。 ただ、ちょっとメロドラマ的な部分が中途半端に多かったかなと個人的には思いましたね。興業面も考慮しなければならないから仕方ないんでしょうけど・・・・・。 これは是非多くの人に観てもらいたい作品です(ちょっとエグいですけど)。 【TM】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-08-28 18:46:01)(良:1票) 3.《ネタバレ》 戦争映画っていうものはカラーよりも白黒で描く方が絶対に戦争の持つ恐ろしさが伝わるものです。少なくとも私にはそう感じる。この映画を観て益々そう感じた。これは戦争映画であると共に恋愛映画である。それもそこらの生ぬるい今時の恋愛ものなんかとは比べ物になにない究極の愛の形というものがこの映画の中にはある。それは若尾文子演じる西さくらという一人の看護婦が自分に関わった(肉体関係になった男)の存在があればこその本物の愛の形というものがある。自分と関わった男達は皆、戦争の被害により死んでいく。愛した男の為に自らの身体を身を持って見せる西さくらこそ彼らにとっては正しく天使の存在だった筈!しかし、そこは増村保造監督、この天使とでも言うべき若尾文子演じる西さくらを白衣の天使とは描いてない。確かに白衣を着込んではいるけど、この映画の若尾文子はタイトル通り正しく「赤い天使」それは何故なら戦争の惨酷さ、あのバケツの中に入れられる負傷した兵士達の手や足、それこそ人間の心の中に流れている「血」=「赤」という正に「赤」をモチーフに徹底して描かれたリアルで惨酷な恋愛映画だ!それにしてもこの映画のグイグイと引っ張る力強さ、それこそこの監督ならではの凄まじさではないだろうか! この作品の中の若尾文子のナース姿も軍服姿もどちらも◎ 【青観】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-21 23:08:12) 2.凄まじいです・・・。とてもお勧めは出来ない内容だけどこれが戦争かと...当然つくりものではあるのだけれどモノクロで良かったと思うほどの惨状。手塚治虫の漫画のような手足スプラッターシーン、ホラー以上にホラーしてます。「兵隊は人間じゃない物だ」「看護婦に心はいらない」「自分は自分、他人は他人と思わないと戦場では生きていけない」前半は見てるだけで痛いです。そして後半になるとずっと増村映画っぽくなる。いつもの粘着キャラが出てきて戦場最前線でのいちゃいちゃをはじめ、軍服コスプレ、「西が勝ちました」・・・。しかし川津祐介への看護といい大女優若尾文子にやりすぎだろ増村と・・・。 【バカ王子】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-06-24 23:32:33) 1.増村保造はあまり好きな作家ではない。あの「ぐいぐい」感がどーも淡泊な私には疲れる。好きな人にはたまらぬだろうし、これぞ映画だ、ってのもわかるが、もちょっと簡潔にいこうよ、って思う。ただし、「情念」ではなく、単に面白い物語を語る際には、その「ぐいぐい」感はたまらぬ魅力となる。この映画もそうだし、「妻は告白する」までの初期作品、「黒」シリーズ、「陸軍中野学校」あたりは大好きだ。まずお話が面白い上、クールでスピーディー、高松英郎や仲村隆らの濃いメンツが「ぐいぐい」押しまくるのを観ると、なんだか無類に昂奮する。若尾文子もいいが、増村の男たちもいい。で、不思議なのは「赤い天使」だ。この映画の無表情は一体なんなのだろう?戦争は人間性を剥奪する、多分、それがこの映画の無表情の理由だ。しかし、だからといって、これほどまでに無表情で、感情の起伏に乏しい人々を並べてしまってもいいのだろうか?ところが、そんな彼らがやってることは、いつもの増村タッチ。きわめて無表情に「ぐいぐい」行動するのだ。変な映画、理屈が映画を制御し、それ以外に余白はない映画。と、言ってしまうと悪口みたいだがそうではなく、この映画の「理屈」の徹底ぶりこそが感動的なのです。こんな映画、そうないっすよ。 【まぶぜたろう】さん 10点(2004-01-17 11:41:44)
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