みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
8.《ネタバレ》 スクリーンを観ているときにずっと考えていたことは「この作品も先日観た『ミュンヘン』と同じように(日本民族の)日本人には理解しにくいだろうな」ということでした。ですから僕も本質的な部分ではよくわかっていないんです。表面上はわかったつもりでも、日本民族のアイデンティティが99%を超える日本に住んでいる日本民族が、この問題を理解できるわけはないのです。 僕が『クラッシュ』を観ていて何度も何度も『ミュンヘン』を連想してしまったのは、この作品にもやはり完璧な善と悪とが存在していないからです。観賞している誰もが嫌悪感を抱くであろう黒人蔑視の白人警察官が映画の後半にどんな行動を起こすのか。また逆にそんな彼の差別的言動に嫌気が差した、相棒の若い白人警察官の行動は悲劇を招いてしまいます。黒人の自動車泥棒が素晴らしい行いもします。事件に巻き込まれる善良だと思われたアジア系男性の本性は…。物語が進んでいくほど分けがわからなくなって、そして「この人物はこういう性格だ」と色眼鏡を掛けようとしていた観客全てを嘲笑うのです。 私たちが生きている社会はつらいことがたくさんあって、面倒くさいこともたくさんあります。人は自分の経験が蓄積してくると、それに基づいた考え方や行動を取るようになります。ある一定の自分の中の法則を作り上げ、従って、そう考えて行動した方が楽だからです。全てを単純化して系統立てて考えた方が、自分の強さ弱さや善悪の判断基準をより明確にでき、揺るがない自信を得られると信じているからです。当たり前のことですが、人はステレオタイプの考えを持たないことは難しいです。けれど、自分の知らないことを知ろうとする努力と、自分のルール以外のことを考え考察する手間と、正しいと思い信じているものを再度検証してみることを怠けてはいけません。 人種や民族といったアイデンティティの違いから、他者を差別することはあってはならないことです。しかしアイデンティティを消して同質化を図ることも許されることではありません。『クラッシュ』はアメリカの物語であり、世界の物語です。日本のようなひとつが大部分の地域を取り出せば見えてこないような問題も、アメリカのように混ざり合うことで浮き彫りになるのです。他者をより尊重し、そして問題提起をする「人種のサラダボウル」をこの映画に見た気がしました。 【ひろすけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-18 23:53:05)(良:2票) 7.脚本絶品!出演者の演技も素晴らしかった。点と点の人間模様が線で結ばれていく様は「お見事!」以外言葉が出ない。人種差別はアメリカ社会に根強く残ってますが、一見無さそな日本は見た目で判断されちゃってるな。環境や状況で善にも悪にも転んでしまう人間って難しいねぇ。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-02-17 01:46:26) 6.《ネタバレ》 何気ない事に苛立ち、その捌け口として関係の無い人に当たってしまう。この誰しもが持つ経験の先に何が起きているか考えた事があるだろうか。この映画では、己の苛立ちが他人の苛立ちを生み、その負の連鎖から起きる悲劇を描いている。『砂と霧の家』の傷付け合いたくない者同士の負の連鎖、『マグノリア』の皆がかかえる苛立ちと希望。例えるならこの二つの映画の要素を足したような内容。人間のダメな所、良い所、それを含めて人間なのだなと改めて思った次第。怒ったっていい。苛立ったっていい。傷付け合うけど、それでも人間としての尊厳を失ってはいけない。まさに生きる上で糧になる映画だと思う。「人間をなめるな!」by長渕 【カイル・枕クラン】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-02-16 00:28:54)(良:1票) 5.《ネタバレ》 登場人物が多くて、後で役の名前だけ言われてもそれが誰だかわからなくなってしまうほどだが、人物の絡み合い方は非常によかった。話の中で起こる交通事故が多すぎる感じはする一方、話の最初に出てきた交通事故には何の意味があったのかよくわからない。いろいろなエピソードがあったが僕にとっては妖精のマントの話がクライマックスだった。 【HK】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-02-12 18:59:44) 4.映画は脚本という事をあらてめて実感しました。 【たま】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-12 16:24:39) 3.美しいオープニングから始まり、映画的な画面転換とともに30分足らずで主要人物を全て登場させている。伏線の残し方も上手く、何よりクライマックスのサイレントシーンで流れるマーク・アイシャムの曲が最高(隣の子どもなんか音楽に合わせて口ずさんでいたくらい)。そのせいか、プロットの似た「マグノリア」よりもずっととっつき易かった。もちろん、ブレンダン・フレイザーは(声以外は)ほとんど印象に残らない、などの問題は出てくるのだけれど、前半で不快感を覚えた登場人物に後半では共感してしまうし、ラストは完全な形でのハッピーエンドには終わらない、などの筋運びが素晴らしい。衝突に始まる愛憎劇が後半で消化されていき、その中では悲劇も喜劇も表裏一体。そういった意味ではライアン、ダニエル、ハンセンのエピソードが特に良かった。役者の中ではマット・ディロン、テレンス・ハワードの演技が秀逸だが、ライアン・フィリップもいい味を出していた(奥さんに負けない活躍を期待しています)。ただ、PG12指定ということだけど、親に連れられた子供は退屈するだろうな(ドラッグ中毒の描写とか)。 【マイカルシネマ】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-02-11 21:36:59) 2.眠いし、物理のレポートやらなきゃだし、他の作品のレビューも溜まってるけど、この作品は観た直後に書いておきたい。ホント、コレ素晴らしい。アメリカで未だに根強く残っている人種差別という問題を軸に、一人一人の人生が絡み合うという作品。そして、ある人とある人の人生がクラッシュを起こし、更に玉突きでクラッシュを起こすというアンサンブル劇。実際僕がアメリカに留学していた頃、差別とまではいかなくとも、多少なりともアジア人であるという軽蔑を受けたことはあるので、その辺のことは理解しているつもりだ。各場所に上手く多くの人種を散らしてあるので、分かりやすく、大変考えさせられる。人種差別を軸にしながら、銃社会、介護問題、階級問題など、多くの問題を上手く拾っている。表現するのが難しいほど複雑な話なので、完全に理解するのは大変である。裏を返せば、話の繋がりを見つけるのが楽しい。本作の登場人物は、一人一人が心にどこか悲しみを持っており、誰もが愛らしいキャラクターとして描かれている。人間は皆、悲しみと喜びの間で生きている。どこまでも不器用だけれど、そんな人間が抱きしめたくなるほど好きだ。明日から人に優しく接したくなる、ほんのりあったかい作品。最高です。 【こばやん】さん [試写会(字幕)] 10点(2006-02-01 00:08:07)(良:1票) 1.《ネタバレ》 登場人物が多すぎて一度で理解するのはなかなか難しい映画でした。 けれども見る度に新しい発見があって味わい深い映画です。 誰もが少しずつ持っている他人種、他民族への偏見、差別。けれども誰もがそれを少しづつ乗り越えようと努力している。そして理解しあおうとするのだけど、やっぱり最後まで乗り越えられない壁がある。そんなことを切々と訴えながらも、あまりくどくならずテンポがよくて爽やかな味わいが残る映画だと思います。 100%満足ではなくても皆がそれなりにハッピーエンドという結末なのだけど、唯一 ドン・チードルが演じる刑事さんだけは最後まで徹底的にかわいそうだったなあ。 【JUNK】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-01 13:10:55)
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