みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
9.《ネタバレ》 直球な差別用語の連発は語弊があるが分かり合えた仲間同士では粋であり、今まで演じてきた「頑固一徹・俺が正義なタフガイ」キャラは相変わらずで集大成と言える作品。でもそれでいて意固地に凝り固まっているわけでもなく、人種差別主義者で偏屈で頑固者だったはずが、ユーモア溢れる姉、軟弱な弟をはじめとしたモン族と打ち解けているあたり柔軟性もあった。モン族に古き良きアメリカというか、殺伐としている今の世の中が忘れた温もりを感じたのだろう。言葉は通じなくても心は通じるんだな。 星条旗を掲げてましたが、颯爽と力強く風になびく描写はなく、力なくただ垂れ下っていたのは今のアメリカを象徴しているようだった。それに対し昔の強いアメリカ時代の象徴のようなグラン・トリノ(希望)を託すのが、主人公に男を学んでいたあのモン族の少年。国を憂いむ老兵から新時代、新世代へのエールか。 これまでのイーストウッド作品を観てきた人には、【ケリのつけ方】が=イーストウッド(ヒーロー)の最後と見えてしまうだろう。自分の正義を貫いてきた男の最後が十字架を背負ったキリストのような散り方。お見事だった。 主人公とイーストウッドが歩んできた道が凄くマッチしていて、脚本家はイーストウッドに捧げたのだろうか?と思いましたね。ここ数年は人生を達観したかのように贖罪をテーマにした作品が多いが、自らがこのような役を演じたのは役者としてもケリをつけたのか?と思うと寂しい。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-27 21:16:53)(良:2票) 8.《ネタバレ》 イーストウッドは彼の国が抱える社会問題を盛り込んだのでしょうか? 親を/祖父をリスペクトできず、葬儀すら普通にできない、息子達・その妻達・孫達。 未だ根強い人種差別。 日常化してしまっている暴力、犯罪。 あまりにも安易な銃の保有、そして発砲。 いくつかは我々日本人にも突きつけられた問題でもあります。 が、彼の国の人達ほどには直面していないのも事実であり、そこには当事者ではない日本人には決して解らない諸々があるのでしょう。 私には、解る、と軽々しく使うことが出来ません。 名作だと思いますが、日本人と米国人とでは思いを寄せるところが異なると思います。 【hyam】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-04-27 19:48:21)(良:1票) 7.《ネタバレ》 俳優クリント・イーストウッドの死が、ベッドの上で静かに迎えられるのではなく、丸腰で無数の銃弾を撃ち込まれ地面に仰向けとなり(しかも十字架!)、それを俯瞰で撮らえるという形で迎えられるならば、それは最もふさわしい最期だ。 ウォルトはフォード社の自動車工場で働き、朝鮮戦争にも従軍し、年老いた今日では家の軒先で星条旗がはためいている、正にアメリカ栄光の時代を生きてきた男だ。だからこそ日本車に乗る息子も、次々と近所に越してくるアジア人も、何もかもを訝しく思う。 そんな彼が妻を亡くし、周囲を疎外することで、自らも疎外され、孤立することで自身の誇りや威厳を守ろうとする。 ある時ウォルトは、モン族のパーティーに招かれ、彼らの伝統を重んじ継承する精神に親近感を寄せるようになる。 それと同時に自身の死が近いことも悟り始める。 彼がやり残したこと、それは息子たちにすらしてやることが出来なかったこと、自分の魂を継承することだった。 やがてスーが暴行されるが、それは自分に原因があったと苦悶し涙する。彼は暗闇の中、椅子にどっしりと腰を据え無言のまま一点を見つめる。選択と決意の瞬間だ。 そして彼は立ち上がる。暴力の真の恐ろしさを知らない平和惚けした糞ったれの悪党どもに鉄槌を加えるのではなく、あえて彼らの暴力を噴き上がらせることにより、己の暴力を抑制し自らに鉄槌を加えることで贖罪とするのだ。だから十字架なのだ。 戦争を知らない世代にも罪はなくとも責任はある。罪は個人に関わり、責任は集団に関わるからだ。ウォルトがタオに継承したグラン・トリノは正にその責任だ。アメリカ栄光時代の魂としてのグラン・トリノ。これは人種的問題や血縁的問題などということを超越したところで感染する魂の継承だ。そしてそれは大きな責任の継承でもある。 タオがハンドルを握りしめ走り抜ける海岸線沿いの道、グラン・トリノの後ろを何台もの日本車(あるいは他国の車も含まれているだろう)が走り抜けていく。多民族国家アメリカは、真のアメリカの魂さえ継承され続けるならば、もはや白人の国である必要はないのだ。 俳優クリント・イーストウッドは死んだ。ではもし彼がスクリーンに帰ってくることがあるのならば、それは果たしてどの様な姿として戻ってくるのだろうか。彼のしゃがれ声が、まるで幽霊の歌声の如く劇場内に響き渡っていた。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-27 17:40:28)(良:7票) 6.《ネタバレ》 イーストウッドが、玄関ポーチにすっくと立っている。それだけで、そこに“荒野”が出現するのだ。イーストウッドが、街の不良どもに凄みをきかせる。その時そこにいるのは、まぎれもなく“ダーティハリー”その人だ。イーストウッド自身が最後の出演作というこの映画は、彼これまで演じてきたアンチ・ヒーローな「ヒーロー像」の集大成であり、それへのオトシマエに他ならない。 この映画から様々な政治的・社会的な寓意やら見解を見出すことは容易だろう(そこから、アメリカにおけるマイノリティの問題を皮相的に扱ったとか、不良少年たちの側の「問題」の背景を見ずに単なる悪役として描いている・・・等の批判も出てくるわけだ)。が、そんなこと以上に、『許されざる者』が「最後の西部劇」だったようにこれは「最後のイーストウッド映画」なのである。「監督」としてのイーストウッドは、「役者」としてのイーストウッドのキャリアをここに完結させ、“封印”してみせた。ジョン・ウェインの『ラスト・シューティスト』が、まさにそうだったように。 クライマックスの、両手を広げて地面に横たわる主人公は、ほとんどキリスト(!)のようだ。ここでもまた観客は、この“聖人画(イコン)”から様々な解釈やら印象を語ることができるのかもしれない。しかしそれが、「最高の死に場所」を得た主人公を映画が“祝福”するものであること、そして「役者」イーストウッドの最後の勇姿への“餞(はなむけ)”であること、ただそれだけのことだとぼくは信じて疑わない。本作の主人公であるとともに「役者」イーストウッドそのものである彼は、ここで映画に、そして「監督」イーストウッドによって召された。それをこういう形で目撃できたぼくたち観客は、何と幸福なことだろう・・・ そう、何よりもこれは「幸福」な映画なのである。だからぼくたちも、心からの祝福と“歓喜の涙”で応えてあげようじゃないか。 【やましんの巻】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-27 17:37:55)(良:7票) 5.《ネタバレ》 まさにクリント・イーストウッド男塾!イーストウッド演ずるコワルスキーが『アメリカで生活する男ならこれぐらいの事は出来なくちゃダメだ!』と庭の手入れ、他の人種の仲間との話し方、しかも女の子のアタックの仕方まで、色々と叩き込まれるモン族の少年タオ。最初はイジイジした奴なのに次第にたくましい漢に成長していくと同時にコワルスキーも頑固一徹の偏屈ジジイから、それまで見せなかった柔らかな表情をユーモアを交えて見せるあたりは絶品でした。そして彼が銃をかまえる姿、近所のどうしようないギャング集団に対して手で銃を撃つ真似をして挑発したりするシーンは様になり過ぎてると言うか・・個人的に痺れてしまいました。そしてギャング集団との決着の付け方は色々な意見があるでしょうが私は納得行くものでした。過去の戦争の忌まわしい出来事と自分の人生にケリを付けるように最後は自らは武器を取らず、丸腰で挑み自分の身体と命をもって解決してしまうなんて出来過ぎなよう・・・。その後、タオに受け継がれたグラン・トリノ・・実にいい表情で運転していて、その上に流れるエンディング曲の素晴らしさに我慢していたのですが不覚にも泣いてしまいました。ベトナム戦争で米国に利用され、用済みになったら見捨てられたモン族とポーランド系としてフォードに長年勤め上げたのに日本車の勢力に追われ車産業で栄えた街が廃れて、そこに取り残されたような主人公と共通する部分とか考えると、より興味深かったです。正直、本作で役者引退宣言していて『何でだよー』と思っていましたが、悔しい事に本作を観て、それも納得してしまいました。イーストウッドの役者人生最後を飾る、あまりにもふさわしい作品でした。 【まりん】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-26 20:33:07)(良:1票) 4.《ネタバレ》 あんなに悲劇的なラストなのに見終わった後は 不思議な安堵感と心地よい爽快さが残る。 CGもVFXも豪華なセットもないだけどこれは・・・ いや!これが「ハリウッド映画」だ!!!!。 【一番星☆桃太郎】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-26 04:02:38)(良:1票) 3.《ネタバレ》 先日のチェンジリングも素晴らしかったのですが、このグラン・トリノは私にとって特別な作品となりました。噂ではこの作品でクリントイーストウッドは俳優を引退するとか。そうだとしたら、これ以上に相応しい作品は無いでしょう。最後のシーンでは涙が止まらず、周りを憚らずに号泣してしまいました。人生って何だろう?男とは何だろう。まさに一人の男の生き様、汚い部分も、罪も、善行も、生きてきた道全てが最後の選択に凝縮されていたように思います。そして、ウォルトから受け取ったバトンを胸に、グラン・トリノで海岸沿いを疾走するタオこそ希望そのものです。黒沢監督の「生きる」に通じるものが有りますね。私は女性ですが、性別関係なく人生について考えさせられる作品です。映画でこんなに泣いたことは数えるぐらいです。それほど感動し、心の奥底を突き動かされました。中高年世代にも、若者にもぜひ見てもらいたいです。 【ClocheRose】さん [試写会(字幕)] 10点(2009-04-18 20:22:30)(良:1票) 2.妻を失った、偏屈な爺さんが自らの人生を憐れ見る作品でした。こうなってはいけない。こうなっては、いけない、そう聞こえました。それでも、若者には、つたわってはいかないのかもしれない。なかなか、現実を見つめるのって難しいものです。年を重ねてからもう一度、見てみたいです。 【杉下右京】さん [試写会(字幕)] 7点(2009-04-17 03:59:14) 1.《ネタバレ》 何もかも計算づくで、頑固爺はモン族のチンピラ達に「丸腰」で立ち向かったのであります。こういう計算が出来る年寄りになりたいものです。 【gatto_grasso】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-04-07 16:05:36)(良:1票)
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