みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(8点検索)】
28.《ネタバレ》 世間的に評価されている名作という理由だけで高得点はつけたくないが、本作はお世辞抜きにして、素晴らしい作品であると感じた。 この歳になるまで、小津作品は一度も観たことなく、ようやく本作を鑑賞したのだが、鑑賞中、なぜか終始鳥肌が立つような感じで、悲しくはないけど涙が出そうになることが何度もあった。とても不思議な作品である。 第一印象として、非常に「緊張感」のある映画だと感じた。美しい「日本の心」と、失われていく「日本の心」が終始静かにぶつかり合い、せめぎ合い、衝突しながら、それが一本の筋となって、映画の根底を流れていく。だから、特殊な緊張感が生じるのだろう。 子ども達に会えることを楽しみにわざわざ尾道から出てきたものの、子どもたちから邪魔にされながら、決して直接文句も言わずに、逆に「幸せな方かもしれんなあ」と語り合う老夫婦。 子どもたちは、絶対いいはずだと熱海へ送り出し、厄介払いをして、母親が亡くなったら、「(死ぬ順番が父と母が)逆だったらよかったのに」と語り合う。 まさに「親の心子知らず」という言葉がぴったりだ。「あんな立派に育てられたのは誰のおかげだ」と問い詰めたくもなるが、自分には幸一もしげも否定できないと思う。 父母と子どもというのは、ある意味においては、一番近いようにみえて、一番遠い関係でもある。血が繋がっていれば、紀子のように自分の真の気持ちを素直に吐露できないものである。 そして、幸一もしげも最初はああではなかっただろう。しかし、父や母がいる故郷を離れ、東京へ出て、結婚し、子どもを持ち自分の生活というものが次第に形作られていくと、徐々に人間はみな変わっていってしまうのだろう。紀子や京子ですら、再婚や結婚をしたら恐らく変わっていってしまうのではないか。これはもう良い、悪いというよりも、人間としてやむを得ないことなのだろう。 大きな家に一人取り残された周吉の後ろ姿がとても小さく感じられる。彼の後ろ姿によって、人間が変わっていってしまうことのもの悲しさと、郷愁の余韻が残る。 本作を観て、親子の関係を少し改めてみないといけないなと感じられた。小津監督も失われつつある「日本の心」を描きつつ、そうした現状に対して少し考えさせて、いくらかの歯止めをしたいという趣旨を込めたのではないだろうか。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-12-31 00:22:01)(良:2票) 27.笠智衆という俳優、物凄いハマってますねこの役。ばあちゃんが死んでしまってからの幾多の一人でいるシーン、表にはみえないけど、ジワーっとにじみ出てくる何かがあります。これが俳優の姿なんだろうなぁとも思ってしまいました。そして、原節子。あまりにも美人。静かで単調なようでありながら、まったく退屈しない。2時間以上の作品でありながら退屈しない。時折みせる美しい景色。にじみ出る人の心。どう考えてもやっぱりこれは名作です。 【アンリ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-07-05 11:17:16) 26.今、どこであるのかを、例えば煙突からモクモクと煙が出ているカットで「東京」と判らせ、冒頭と同じ画を見せることで「尾道」だと判らせ、旅館と海が当然「熱海」で、「大阪」は大阪城のカットをもってくる。今、どの家にいるのかをその前に差し込まれる美容院や病院の看板が語ってくれる。説明セリフやナレーションが無くても画だけで判らせる。 大半が人物が大写しで映される中、例えば熱海での翌朝の老夫婦の後姿や、半ば追い出されたカタチの二人の道端に腰掛ける姿や、一人で朝焼けを見ていたと言う妻に先立たれた父の姿は小さく小さく映し出すことでその寂しさを表現する。老夫婦の尾道の家での会話に近所のおばさんが割って入る。老夫婦のあいだにおばさんがいる、という構図を、妻亡き後もそのまま同じ構図で映し出す。妻のいた場所がぽっかりと空いた構図が強烈な喪失感を演出する。映画とはまさにこういう作品のことをいうのである。しかしそれだけでは傑作とは言えない。この作品は映画として本来当たり前にすべきことをちゃんとしていて、それをベースに小津流の独特の画と独特の間で小津らしさを出し、さらに老夫婦をメインにした「家族」のストーリーの中から、東京で一人で生きる女の物語をラストで出現させるという構成が素晴らしすぎる。終始見せてきた原節子の意味ありげな視線が本当の「東京物語」の伏線だったのである。傑作です。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-16 12:53:37)(良:4票) 25.《ネタバレ》 熱海でおばあちゃんが立ち眩んで転んでから、ずっと胸が締め付けられるような気持ちで観ていました。そしてその後は随所で不覚にも涙。どうも僕はおばあちゃんに弱いようです。これは一種の家族崩壊を描いた作品だが、ただ哀しいだけで終わらせなかったところが◎。今観ても十分名作だと思うけど、もっと年を重ねてから観たら、もっともっと堪能できるんだろうなぁ。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2005-11-20 20:04:22) 24.僕は20代だが、なんとも味わい深い映画で面白かった.一見、退屈でだらだらした映画にみえるが、不思議と退屈さはなく飽きることなく見れた。世間的に見れば家族はバラバラでないのかもしれない。しかし、確実に家族は断裂しているのであってそこがなんとも悲しかった。 【思込百遍】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-10 14:46:06) 23.小津映画はこれが初めてだったのでまず静止画に驚かされました。 悲しい内容ではありますが、日本人の一般的な家族というのをよくあらわしていると思います。 【maemae】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2005-10-30 19:59:03) 22.なんとも寂しい老後ですな、やるせないと言うか何と言うか。 自分も息子達のような行動をしてしまう可能性も大いにあるんで責めれないんだよなぁ。50年前の映画とは思えないほどの出来のよさ。昔の日本映画って本当に凄かったんだね…。 【ふくちゃん】さん 8点(2004-12-26 05:34:48) 21.おばさんの嫌味がいい味でてます 【のりまき】さん 8点(2004-12-07 20:53:00) 20.《ネタバレ》 いい映画だと思います。出てくる人達が皆普通の人で、描かれる物語も普通、人が死ぬ時も普通、とにかく様々な面で普通なので、その分共感できる部分が多々ありました。原節子はちょっと善人過ぎて、なんだか無理している感が漂っているような気がしたのですが、そういう不自然さも含めて描きたかったのか、それともあれは自然な演技でああいう人が当時はいたということなのか、まぁまだまだ私が勉強不足なのでしょう。 【あさしお太郎】さん 8点(2004-08-31 01:32:58) 19.懐かしくて美しい。全てに時代が感じられ、淡々とした一つ一つのやりとりに深みがある 。こういう作品が色褪せることはないのでしょう。 【KING】さん 8点(2004-06-17 09:54:13) 18.《ネタバレ》 主要人物が、喜怒哀楽を強く押し出すことなく奥にぐっと噛みしめようとする様が、逆に感情の奥深さを感じさせます。特に、笠の枯れた佇まい。逆算すると、当時の実年齢は50歳前後のはずなのに、枯淡の境地にあるかのような立ち居振る舞い、台詞。特筆すべきは、ラスト近くで近所の婦人と会話するシーンの、笠の「背中」です。妻を失い、表にこそ出さずに気丈にふるまっているものの、内心にある寂寥感を、見事に背中だけで表現しています。笠の隣にいつも寄り添っていた妻は、もうそこにはいない。わずか数十秒のこのシーンだけで、この点数を計上してもいいくらいです。 【アイアン・バタフライ】さん 8点(2004-04-17 16:32:11) 17.さすがに名作です。わたくしごときがあらためて評すべきところなどありません。しかし、小津作品はこれ一本しか観ていません。名作だと認めながらも、なぜかその他の作品に触手が伸びないのです。どことなく「覗き見」しているような、後ろめたい感じがするのかもしれません。例のローアングルのせいかな。でも繰り返しておきますが、さすがの名作であります。 【バッテリ】さん 8点(2004-02-12 22:06:22) 16.この時代生まれてなかったのに、なぜにしみじみ懐かしいのでしょう。日本の映画。 【あべ】さん 8点(2004-02-11 01:02:38) 15.実の子供だから、親には冷たく当たってしまうのは仕方の無い話ではある。なぜならば、そこ関係の間には「親子の甘え」が存在するのだから。ひるがえって、嫁の紀子は多くの方が指摘するように、真の親子の甘えが無いがために、献身的な役を演じ続けなければならなかった。それを「ずるいんです」という言葉に込めさせる力量を原節子には感じさせる。それを知ってか知らずか紀子の言葉を肯定することで生じる親としての寂しさを避けるかのように父親はサラリと流す。映画=芸術ではないと思う私でさえ、人間が生きる上で欠かすことの出来ない家族的なつながりを、となりからのぞいているような絵づくりに芸術性を感じなくも無かった。 【クルイベル】さん 8点(2004-01-18 12:51:49) 14.新しい家族を形成する過程の中で、旧家族が崩壊していくのは必然のこととは言え、そこには様々な感慨があってしかるべしです。旧家族を守ってきた人、新しい家族を守らなければならない人。もちろん、新しく形成された家族でさえもやがては崩壊していきます。愛情や憎悪といったものに関係なく、必然的に繰り返される別れ。この永久的に続くと思われる輪廻転生の流れを、父母が息子を訪ねるという場面に限定することで輪切りにし、家族を構成している一人一人の思いををわかりやすく提示しています。すべての人が家族と言う枠組みになんらかの形で取り込まれている以上、この物語は、観客の置かれている様々な立場によって、それぞれの視点を生み出し、不安、怒り、孤独感や連帯感、さらには死生観や無常観といったものまでを内包するボリュームのある作品になっています。もちろん、主人公はあくまでも旧家族を守ってきた老夫婦であり、家族は彼等との関係の中で描かれ、彼等に対する同情的な眼差しが全編にわたって存在しています。その意味で、「年を重ねないとわからない映画」という思いは、この映画には必ず付きまとうことになるでしょう。小津監督の俯瞰や移動を徹底的に排除した独特のローアングルによる画創りについては、語り尽くされた感がありますが、時折挟み込まれる静物画のような人物のいない静かなカット。いつもこれにやられてしまいます。 【スロウボート】さん 8点(2004-01-12 17:55:14)(良:1票) 13. 【veryautumn】さん 8点(2004-01-08 15:19:31) 12.広島弁がええですわい(尾道弁?)。広島出身という杉村春子さんが印象的です。 【its】さん 8点(2004-01-07 00:38:18) 11.おばあちゃん子である僕は、なんどもなんども泣きそうになり、もうやめよう、観ていられない、と何度も中断しようと思いました。日本人ってこんなに優雅で温かかったのかと思わせる主役の老夫婦と、日本人ってこの頃から醜悪で無機質なのかと思わせる当時の若者と、家族の絆って所詮こんなもんなのかと思わせる子供たちのそれぞれが心に強く響いてきました。 そして何より、二人の女性の家族観。原節子の台詞は正論だと思う。でも、僕は出来る限り「京子さん」でいたいと思った。 【あなたのはレビオSir.】さん 8点(2003-12-26 14:51:02)(良:1票) 10.見る前は無機質に話が進む映画なのかなと思ってたけど、案外泣ける話だった。確かに淡々とはしているけど、一つ一つの言葉が芸術的で印象に残る。今はまだ漠然と良かったって感じる程度だけど、経験を積んでいけばよりその言葉が胸に響くのだろう。 【ボーリック】さん 8点(2003-12-24 00:24:18) 9.自分にとって初の小津作品。「・・・何も起こらない」とか思いながら観ていたら、いつのまにか引き込まれていた。これが小津マジックか・・・。美しい話し方、所作。奥ゆかしい女性。こんな時代があったんだねえ・・・さすが美輪明宏の御推薦。話に聞いていたカメラ目線で喋る役者、部屋の奥のほうから映す「小津ショット」、カメラの位置がやたら低いとか、そうした所も新鮮だった、と同時にハリウッドに全く影響を与えなかった理由も何となく分かった。まさに「動の黒澤、静の小津」。笠智衆が三船敏郎だったらどんなだろうと考えたら、笑けてきた。原節子は綺麗だなあ・・・。 【C-14219】さん 8点(2003-12-12 23:11:51)(良:1票)
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