みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
81.《ネタバレ》 原作は「命を惜しむ戦闘機乗り」というこれまでに描かれなかった異色のキャラクターを主軸に、現代ともリンクさせた家族愛や同志愛、さらにはミステリー要素も盛りまれ、その底流にゼロ戦や、太平洋戦争史といったミリタリー面からのアプローチを誠実に描いたところに秀逸さがある作品だが、本作はまずこうした原作に対する監督のリスペクトがしっかり感じられる作品とはなっている。特に歴史考証がしっかりなされた衣装やセット(戦後のバラック小屋などは地味だが手抜きをせずに作っている等)に加え、本作の面目躍如はリアルな空戦シーンなど、監督がこだわったであろうシーンもVFXの進化によって過去にないレベルで再現されている点だ。反面、現代パートは定点での取材シーンが中心のため、画面に動きをつけるのは難しかったと想像されるが、ベテラン俳優の演技力がしっかりそれをカバーしていたと思う。特に本作が遺作となった夏八木勲は味のあるいい演技を見せている。もし宮部久蔵なる人物が実在していて、その史実に基づいたフィクションとして製作され、エンドロールで実際の写真が映し出されたと想像すればおそらく嗚咽クラスの感動があったかもしれないが、作中でも語られていたように、戦争で死んだ人、生き残った人にも、それぞれのドラマがあったことを改めて想起させてくれる点で、この作品が平和な時代に生きる私たちに有益なメッセージを投げかけていることは間違いない。 【田吾作】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-12-28 20:46:44)(良:1票) 80.《ネタバレ》 三浦春馬がゼロを幻視するシーンにホロっと来ました。原作には大いに感銘を受けたクチだけど涙腺が緩むことは無かったので、映画版を観た意義はありました。 終戦から間もなく70年。劇中でも語られるように、当時を体験した人はどんどん減りやがては居なくなります。今は節目の時節なのだと思います。戦争体験者から昔話を聞いても、現代に生きる、特に若者の生活や考え方が劇的に変わるとは思いません。状況が違い過ぎるからです。でも、「知っている」ことはとても大切だと思っています。それによって判断の基準や物差しが生まれると思うから。本作はフィクションですが、戦争に関わった人たちすべてに物語があったという台詞には説得力を覚えました。 そういう意味で、世代を繋ぐことをテーマにしていたと思える原作の根幹は伝わって来ました。多くの方がご指摘の通りオーバーアクションが鼻に付きますが、私には瑣末でした。 原作読後は、真珠湾・ミッドウェーから南方戦線を経て沖縄へ至る太平洋戦争の前線が初めて一本の線で繋がったように感じられました。私にはそれも意義深かったのですが、さすがに2時間余の映画には望めなかったです。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-12-28 13:37:15)(良:1票) 79.《ネタバレ》 私が小学生の時、教室で読んでいい漫画ってのがあって、『はだしのゲン』とか太平洋戦争を描いた漫画が数冊ありました。アジア各国で悪逆非道を行う日本軍。“御国(天皇・国家)のため”に無駄に死なされた神風特攻隊。特攻の命令を出す悪そうな上官と、悔し涙を流しながら出撃する隊員のイメージが印象に残ってます。私たちは自分で考える前に、そういう“教育”を受けてきた世代です。 本作は特攻を美化するでも、卑下するでもなく、当時の軍部の方針とかも描かず、あくまで当事者である若者たち=特攻隊員の目線で描かれています。現代の若者・まだ26歳の健太郎が、当時26歳で命を落とした自分の祖父の、気持ちや行動を探求していく構図が面白いです。 特攻と自爆テロの違い。健太郎の友達が考えるように、熱狂的愛国者が“御国のために”と誇りを持って、ヒロイズムに浸って特攻したのか? 合コンを抜け、改札に向かう普段着の健太郎。周りはみんなスーツ。命令されなくてもおんなじ格好してるのが、日本人らしい。戦時中も日本人は、みんなおんなじ方向向いてたんだろうな、って。 宮部教官に可を貰い、一日でも早く特攻に出撃したい予備学生たち。彼らは悲惨な戦争に自暴自棄になったのではなく、自分が国のために何が出来るかを考えたうえで、特攻を望んだように観えました。家族の住む本土に迫る、目の前の米軍艦隊。その足を止める手段としての特攻。予備学生は国を戦火から守るために、出撃を望んでたんでしょう。でも宮部はその先の、戦争に負けた後を見据えていたんでしょうね。 宮部が最後に特攻を選んだのは、自分の代わりに、日本の未来を創る若者たちが死んでいくのに、耐えられなかったからでしょう。でも搭乗機52型の不調が、宮部の望みを叶えてくれました。「生まれ変わってでも、必ず君と清子の元に戻ってきます。」 「妻と娘のために生きて帰りたい。」この言葉は、あの時代“妻と娘を愛している”と同じ意味だと、井崎は言いました。 あの時代に彼ら若者が使った“国のため”という言葉は、今の時代の“家族のため”と同義語だったんじゃないかと思えます。 早田ひな選手の「鹿児島の特攻資料館に行ってみたい」発言がネットで話題になっています。実際に見た結果、どんな感想を持つかは彼女の自由だし、感想を公表する必要もないことですが、まだ24歳の若い子が、自分の目で観て自分で考えようという想いが、とても素晴らしいことだと思います。 彼ら特攻隊員が守ろうとした“国”には、きっと私たち=未来の子孫たちも含まれるのでしょうね。そんな事を考えた、今年の終戦記念日でした。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 8点(2024-08-17 16:27:21) 78.《ネタバレ》 漫画版を読破後に見ました。漫画は大変面白かったので映画の方はきっとイマイチだろうと思って見たけどそれなりに楽しめました。 ラストの終わらせ方が上手かったと思います。漫画だと宮部は爆弾が不発で犬死してしまい、なんとも後味の悪い印象で、それが生き残った者の生をより一層際立たせる効果がありましたが、この映画では宮部の死の直前でぶった切ることでカタルシスを観客に与えることに成功しているように思います。 俳優陣もよい演技だったと思います。とくに、生き残った戦友たちが豪華で演技も申し分ない。ただ私は三浦春馬の演技力がいまいちに思えました。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-09-27 12:34:42) 77.《ネタバレ》 宮部久蔵が架空の人物でも、同じ思考を持った人間が当時にも存在していたからこそ制作された物語だと感じた。 戦争を知らない私たちの世代は、軽はずみな発言はできない。なので、アクションとか俳優の演技とかは二の次で、内容や題材を胸に刻むべき作品。 【バッジョ】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-11-05 21:21:55) 76.《ネタバレ》 最後の笑みをうかべながらの、特攻は理解できない。 【へまち】さん [DVD(邦画)] 4点(2017-12-03 13:30:05) 75.《ネタバレ》 原作もマンガも未見。主演の岡田準一は寡黙で抑制的な役でなかなかよかった。 この作品に限らないが海軍軍人役の脇役が、表情や態度の演技がオーバーだったり、姿勢が悪かったりで、昔の東宝映画とかを見慣れてるものとしてはちょっと違和感あった。まあ今の映画で史実どおりボー読みってわけにもいかないか。144分という長さは感じさせなかったが、後半の終戦直後の話はちょっとバタバタした感じでちと残念。 空母赤城のCGの出来はいい感じ。空戦も昔のCGに比べると良い感じになったが、飛行機のような小さいものはまだいかにもCGっぽく見えてしまう。最近のCGを駆使した映画は情報量が多すぎてちゃかちゃかし過ぎで観てて草臥れる。 戦争が舞台になっているが、時を越えたこの国の人々の繋がり、といった、より普遍的なものがテーマである印象だった。自分の祖先が残してくれたもの、祖先が続く世代に残した思い、それらの集合体としての国が今もあるというありがたさ、というものを考えたくなる作品。 【クリプトポネ】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2017-08-11 10:21:53) 74.橋爪功さん何言ってるかわかりづらい。ほんとに本職が俳優なんだろうか。 映画の完成度が高いだけにとても残念なポイントでした。 【マントタヌキ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2017-07-05 14:07:23) 73.《ネタバレ》 やはり完成度が高い。岡田准一や井上真央は日本の宝だなと改めて感じました。 豪華な俳優陣、真に迫るような迫力ある戦闘シーンなど、賞を総なめにした理由も分かります。 でも過剰すぎる演出には少々うんざり。終始流れる感情的な音楽、泣きの押しつけなど。この映画に始まったことではないですが。 戦後70年ともなれば戦争の記憶は薄れる一方。そんな現状に危機感をもった作者が訴えたかった真意は何か。反戦や戦争賛美を意図したものではないと思いますが、ラスト近くの三浦春馬の号泣を見ていると、平和ボケで取り残されて自信を失いかけつつあるこの国の危機感を演出したかったのかな?なんて思ってしまいました。 【mhiro】さん [地上波(邦画)] 6点(2017-06-08 18:06:20) 72.2017.06/01 BS鑑賞。肝心の宮部と景浦の関係が描ききれていない。青年時代と老人時期キャスティングがアンマッチ。でも結構お涙もあり楽しめたし俳優陣も充実。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-06-02 00:16:17) 71.《ネタバレ》 <原作未読>2014年の実写邦画ナンバー1ヒット作。今さらの鑑賞だけど、実に良かった。主人公・宮部久蔵は仲間が戦ってる最中も自身の命最優先で逃げ回る帝国海軍の恥さらし。そんな彼の運命を特攻作戦が変えていく。日本軍苦肉の策により、次々と無念の死を遂げる教え子たち。そして彼らの盾になるという任務を遂行できずにいる自分。宮部には、もはや自分だけが幸せに生きる道などなかった。自身の命にかえて、一人でも未来ある若者の命を救うことが彼なりの贖罪。特攻と言えば一種の洗脳状態のもと、国のために命を捨てるというイメージで、実際それが大半なのだろうけど、宮部のような特攻の形もあったのかなと考えさせられる。原作者のことはよく知らない。左の人たちから敵視されてるのかもしれない。でも作品はまた別。愛する妻、子供と暮らす何気ない幸せを戦争は奪っていった。特攻についても作戦と呼べない代物と断罪している。このようなことを二度と繰り返してほしくない。そんな思いがこもった立派な反戦映画だ。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-08 18:39:05) 70.小説は読了済みです。正直永遠の0ブームにのかっただけの体裁を整えただけの映画だろうと思ってずっと敬遠しておりましたが、これは謝らざるをえない。すみませんでした。監督、スタッフ、キャスト皆様の魂の籠った素晴らしい映画です。いい作品を作ろうという心意気を感じました。 【ばかぽん】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2017-01-06 18:11:12) 69.出撃して上空で逃げてた?ってのがよーわからんかった。三浦春馬が大げさなのも×。ただジーンとしました。英霊に敬意。 【すたーちゃいるど】さん [地上波(邦画)] 5点(2017-01-04 18:09:15) 68.《ネタバレ》 小説の映画化としては、かなりよくできていると思います。最低限必要な部分を抽出して上手くまとめた感じ。 私の頭が幼稚なせいだと思いますが、原作を読んでも、この映画を観ても、戦争美化だとか反戦だとかいったことについてそれほどの主張は感じませんでした。 原作の中では、日中戦争の頃から話が始まり、ゼロ戦登場時の圧倒的な敵との性能差が徐々に埋まっていく状況や、終戦頃には敵戦艦の対空装備の性能が格段に進歩していたことなどが、一戦一戦の戦況変化と並行して丁寧に語られており、個人的にはこの辺りが非常に気に入っていたのですが、映画の中では一言二言触れる程度だったのが少し残念でした。まあでも、2時間に収めるためにはそれも致し方なかったのだと思います。 【マー君】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-11-23 19:34:37) 67.この映画を観た感想というか、この映画を観た人の感想を見て思った事をいくつか。 まず、戦争賛美だ反戦だ、といろいろ物議を醸すこの映画ですが【「百田尚樹」が書いたもの】だという要素を外して純粋に映画だけを観れば、僕には反戦映画に見えます。というかこれを観て戦争賛美に見える人がいるというのがよくわかりません。 どうしてもそう見えてしまう人は、「百田尚樹」の呪縛にかかってるんじゃないかと思います。 百田尚樹自身はまぎれもなく右寄ですからしょうがないところはあるのですが。 それから、僕にとって太平洋戦争は生まれる20年前に終わった戦争ではありますが、それでも戦争の記憶は世間に色濃く残っていて、それも含めて太平洋戦争についての知識や特攻隊の知識は当然もっています。 しかし、今のたとえば20代の人にとってみれば太平洋戦争は遠い昔の歴史の中の出来事。たぶん僕にとっての日露戦争くらいの感覚でしょう。 この映画(小説)の感想を読んでいるとおどろくほど「戦争の事はよく知らないけど」という文言が出てくるのですが、これってまさに劇中の健太郎の最初のスタンス。 劇中の健太郎は、祖父の事をいろいろ調べるうちに「歴史の中の他人事」が「自分にとって関係のある事」に変化していくわけですが、この映画を観た人も戦争というものを少し意識する事で今後の日本のあり方について真剣に考えるようになるのかもしれません。 考えるとっかかりがこの映画でも僕は別にかまわないと思います。 まぁ個人的にはこの映画は好きではないですが。なにしろ百田尚樹が好きになれないもので…(最初に書いたのはなんなんだw) 【あばれて万歳】さん [地上波(邦画)] 6点(2016-11-10 00:34:02) 66.《ネタバレ》 昭和の左翼全盛時代では「特攻は無駄死にだった」と否定的にとらえるのが普通でした。でも近年は米軍資料が公開されてきて、米海軍に予想以上の損害を与え恐怖を呼び起こしていたことが明らかにされています。日本の戦争映画であまた製作されてきた“特攻もの”ですけど、本作では「腕は立つけど海軍いち臆病な戦闘機パイロット」というキャラを主人公に持ってきたところが目新しいんでしょうか。でもその宮部久蔵はとても疑問が多いキャラであります。この映画を観る前は「臆病」というのは「無茶な戦闘はしない」という意味で使われていると自分は思っていたんですが、それが全然違うんです。映像で見る限りでは敵味方入り乱れて空戦が戦われている最中に彼は戦闘空域を離れてただ見ているだけだったんです。彼は三機編隊の編隊長のはずで、部下が空戦しているのにそれはないでしょう。第二次大戦を生き抜いたエース・パイロットたちは「空中戦では慎重かつ細心に徹して決して不利な状況では戦わない」を鉄則としていたから空戦に勝利して生き残ったわけですが、それは決して逃げていたというわけではないのは当然のことです。こんな部下を見捨てるような人間をまるで良心的なヒーローとする原作者の感覚は、なんかおかしいんじゃないかと感じました。そしてこれはあくまで映画としての問題ですが、うすーい脚本のせいでこの宮部という人の人物像がさっぱり伝わってこないのも困ったことです。 観終わっての感想は、ちょっとカネをかけたTVの二時間ドラマだったということに尽きます。戦時中の話と現代をシンクロさせながらストーリーを展開させるというのは最近の邦画では頻繁に使われる手法で、「またこれか」とため息が出るばかりです。登場人物たちの会話は妙に説明口調のセリフばかりで、ここら辺もTVドラマ臭さが滲んでいます。そういえば原作者は放送作家上がりだそうですから、ある意味納得です。後半の宮部が戦死してからの展開がまた安易で、宮部の妻子の流転は懐かしの50年代新東宝メロドラマを観てるような錯覚に陥りました。 空戦シーンはほぼ100%CGですが、なんか妙に実感がなかったです。これはたぶん航空機に詳しいCGスタッフが参加してなかったからでしょう。ここは同じCGでも、最近量産されているロシア製独ソ戦映画の空戦シーンの方がはるかにリアルです。艦船にいたっては雑誌の付録についているCGムーヴィーと大差ないレベルでした。CG担当は最近『シン・ゴジラ』で話題の白組ですけど、しょせん彼らでもカネをケチられたらこんなもんでしょう。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2016-09-22 22:51:35) 65.《ネタバレ》 原作者は好きじゃないので、叩く気満々だったけど、いい映画だった。岡田准一もよかった。これがヒットしたのは納得できる。【ネタバレ注意】後半の展開はバレバレとはいえ、だからこそ最後のどんでん返しみたいにせず、早めに話をもってきているのがよい。“明らかにはされない”最後のオチもいい感じだった。戦闘シーンも映像の迫力を追いかける感じではなく、しかし不自然ではなかった。「自爆テロと違うんだ」というくだりは気になったが、決して戦争や特攻を美化しているようには見えなかった。なんで原作者は、ああなんだろうね。 【mohno】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-03-14 18:05:23) 64.テロリストと神風特攻隊の違いを説教臭く描いた作品。 しかし、特攻を否定する人達がいかにも物知らずで鼻持ちならない嫌な奴等として描かれているのはどうなんだろ。 否定する側を醜く描くことで、相対的に特攻を美化しようとする意図を感じてしまう。 せめて両面をイーブンに描いてほしかった。これでは一方的な考え方の押し付けになってしまう。 そもそもこの作品のテーマが特攻への一方的な否定的解釈へのアンチテーゼなのだとしたら、 同じように一方的な解釈を見せつけるのはどうなんだろう。やっていることは同じじゃないのか。 とにかくイデオロギー要素が根底にかなりの部分で溢れているため、 見る人によって物凄く気持ちよかったり、または嫌な気分になると予想される作品だと思う。 【もんでんどん】さん [地上波(邦画)] 5点(2015-12-11 13:14:25) 63.「私たちだけが特別なのではない」 映画のラスト、夏八木勲演じる主人公の祖父が秘めた真実を語り終えた後にそう付け加える。 特攻の美化だ、右傾化だなんだと、原作者の人間性も手伝って賛否の激しい作品であるが、結局この物語が最も伝えてくることは、その夏八木勲の台詞に込められていると思う。 軍人も、民間人も含めて、激動の時代を生きたこの国の総ての人たちが、悲しみも、怒りもひっくるめた「物語」を秘めて、その後の時代を何事もなかったように、耐え、忍んで生きてきたという事実。 この映画で綴られる物語はもちろんフィクションであるが、あの時代を生き、命を継いだ人たちがいたことは紛れもない事実であり、そのそれぞれの物語に対して否定も肯定もないと思う。 「戦争」においては、正義も不義もないことと同様に、それに関わった人間の行為においても、善悪の判別をつけることなど出来ない。 この物語において、生存者の“証言”によって異なる人物像が伝えられるくだりは、そのことをよく表している。 「戦争」は否定されるべきものだと思う。 しかし、ただただ一方的に偏った意見を聞き入れ、そのまま否定することも、安直で、それもまた危険なことだと思う。 あの時代を生き抜き、命を継いでくれた人たちそれぞれが語る言葉の意味を、今の時代の僕たちは今一度知り、考えていかなければならないのだと思う。 原作の時点で賛否の激しい作品ではあったが、個人的にはそれほど偏った思想を感じることはなく、むしろ生存者の証言という要素を軸にした中立的な物語だと思った。また戦争という悲しみを孕んだ物語ではあるが、構成として娯楽性の高い作品だとも思った。 「証言」を軸にした物語構成は、人気バラエティ番組「探偵ナイトスクープ」を手がけた放送作家らしい作品だとも思う。 山崎貴監督は、彼自身の最大の武器であるVFXを存分に活かして、このベストセラー作品の映画化を成功させている。 主題ともいえる“零戦”が飛び交う交戦シーンの迫力とクオリティーの高さは、間違いなく国内最高レベルであり、この作品に相応しい映像としての説得力を備えられていた。 それは、凡庸なドラマパートの演出力を補って余りある総合的な演出効果だったと思う。 キャストにおいては、“証言者”である老人たちを演じたベテラン俳優陣が皆さすがの味わい深い演技を見せてくれる。 ただここはやはり、主演俳優である岡田准一の熱演を特筆したい。 人々の記憶の中にのみ残るある意味人物像が定まらないキャラクターを、熱く、真摯に演じきって見せたと思う。 この俳優には、所属事務所の枠を越えて、今後もっと幅広い役柄を演じていってほしいと思う。 ついに特攻に赴く時、エンジンの不調を察知した主人公は一寸安堵のような表情を浮かべる。 やはり彼は、どんな心情であっても、どんなに無様であったとしても、最後まで生き残る道を模索していたのだと思う。 戦後70年。実際に、生きて、残った命の価値と、彼らが継いでくれた命の意味を、改めてよく考えていきたい。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-08-16 20:02:10) 62.え、それで終わり? というのが正直な感想です。「誰よりも命を惜しんだ主人公はなぜ特攻に志願したのか?」という宣伝に惹かれ映画館に行きましたが、なぜ特攻に志願したのかが全く描かれずに終わっていたので拍子抜け。まるで「密室殺人事件の犯人は誰だ?」という宣伝文句の映画を観に行ったらトリックも犯人も皆目わからず迷宮入りでしたチャンチャン、てな映画を観た気分です。脚本がいけないのでしょうか? 原作(未読)も同じなら原作が悪いのでしょう。思想信条とか関係なく、純粋に一つの作品としてつまらないです。時間とお金を無駄にしたと思える少ない映画でした。役者の演技で+1、CGで+1、計2点献上。 【金子淳】さん [映画館(邦画)] 2点(2015-08-13 17:25:06)
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