みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
18.《ネタバレ》 是枝裕和の『怪物』は3部構成。ひとつのプロットを3つの視点により描いている。 1つ目の母親の視点では、保利がとことん歪んでいる。 2つ目の保利の視点では、湊が歪む。 3つ目の湊の視点で、歪むのは誰か? 羅生門形式。そもそも、映画とは他者の視線から見られた世界の風景。世界を捉えようと思ったら、その世界なるものを多くの視点で囲んでいくしかない。それは視線の「反復性」と呼ばれる。 視点によって人物像が違っているのは、主観による視点であるから。それが怪物を生む。湊の視点は不安定で、「それ」が歪んで見えかけるのだけど、自分がどうしようもなくなり、それを受け入れる。そのキッカケが校長のいるところ。結局、怪物を断つ回路は、言葉(世界)ではないところ「非言語性」にあったのだなと。 すべての物語は本来、謎解きである。でもそれは容易には解かれない。だから謎は宙吊りとなり、観ている人の身体の中に「内面化」され、その人のものになる。 「反復性」「非言語性」「内面化」 『怪物』を傑作たらしめているターム。私ならこの3つを挙げる。 「なぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか?」 それは、映画がその「気付き」こそを描きたかったから。ある人は、最後に二人が死んで違う世界で生き返ったとし、現世の死を以て、制裁が再生産されたと言う。これを「君と世界の戦い」(カフカの『君と世界の戦いでは、世界に支援せよ』)として単純化すれば、ある人は、「君が世界となるべきだ」と見做し、映画は「君は君であるべきだ」として映す。 私は、映画が文芸であるとすれば、映画は「君は君であるべきだ」ということこそ捨ててはいけないと思う。それが優先されなければ、君が世界になる、その世界を描くことだけに過ぎなくなるから。監督は、性的マイノリティーの世界ではなく、「君」を描きたかった。その決意を『怪物』から強く感じる。 彼ら二人は何処に生き返ったのか?ビッグクランチは時間の逆行。実は死んだのは飽和した世界の方だった、というのが私の解釈である。 【onomichi】さん [映画館(邦画)] 9点(2024-06-19 00:33:19) 17.《ネタバレ》 子どもは純粋無垢じゃない。 こども視点から描くと、彼らの世界は、ドロドロしている。 大人の我々は、それを忘れているだけだ。 子どもの扱いに巧い是枝監督が、その子どもワールドを描く。 観終わると、大人が「怪物」ってことになるのかな・・ 田中裕子の演技が、見事に映画の層を厚くしている。 貫禄です! 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-06-09 18:38:36) 16.子供たちのパートは文句なし。LGBTQジャンルと言って差し支えないと思うが、美しい映像とか、星川くんの可愛らしさとか、湊の揺れる心とか、引き込まれる感覚があって素晴らしかった。是枝監督は子供を撮るのが本当に上手。しかし、この映画は玉に瑕というのか、保利先生が湊母の前で見せた姿には今でも納得がいってないんで少し減点。これはもしかすると小説なら上手くいったのかもしれないが、映像になると想像の余地はなく、安藤サクラ編と瑛太編で保利の整合性が取れていないように感じてしまった。そこだけ残念かなと。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-01 00:27:16) 15.《ネタバレ》 予備知識無しで見たので、こう来たか・・・という印象。 羅生門とか噂の二人とか小さな恋のメロディとかスタンドバイミーとかの昔の映画がよぎりました。 三人目線なので心情がわかりにくく、特に一番大事な二人の少年の感情と行動はもう少し丁寧に描いて欲しかったです。 見た者にお任せ的なラストも今一つ。 【木村家の娘】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2024-05-29 21:17:16) 14.《ネタバレ》 いやぁ... 久々に見終わりに唸ってしまった。 まさに「怪物だーれだ?」ですわ。 いろんなタイプの怪物総出演。 誰もが誰かからすると怪物なんだろな。 星川くんのポジティブ風味がいたいけで。 主演二人が本当に名演でした。 是枝監督は子供演出が見事ですよね。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2024-05-26 21:03:08) 13.《ネタバレ》 冒頭の30分は怖くて怖くて・・・絶対に死んじゃうんだと思って観ていました。 引き込まれました。 最後は是枝監督らしい観客にゆだねる形ですね。 【東京ロッキー】さん [インターネット(邦画)] 7点(2024-04-01 17:30:47) 12.《ネタバレ》 誤解による、被害者加害者の入れ替わり、ボタンの掛け違い混迷のストーリーを それぞれの視点で描いた映画なんだけど・・ どーもストレスが残る1本。 観客のミスリードを誘うやり方がセコイ。 みなそれぞれ事情があるのに、悪人・サイコに見えるような仕草の強調ばかり。 その上で、各登場人物が本音を隠して自分の殻に閉じこもり、ズレた正義感で暴走へ。 さらに、悪人は居ないというテーマを掲げつつ、本当のいじめ主犯は別にいるし、 怪物保護者も別にいた。とこるが、そちらの人物は特に掘り下げない。 映画制作側にとって都合のいい部分しか見せないのなら、真実は別にあるという 投げかけを、途中で放棄しちまってないか? 面白い題材なのに、料理の方法がプロっぽくない、学生ムービーみたいだ。残念。 【グルコサミンS】さん [DVD(邦画)] 5点(2024-04-01 15:29:58) 11.《ネタバレ》 さすがというしかない。小説でたとえるなら東野圭吾や奥田英朗のそれ。引き込む力がすごいんだ◾️思春期以前のころのグラグラ感。二人の気持ちを決して他の人に知られないためのウソ。木田さん(女子)には、どうやらバレている(たぶん、雑巾のパス)。◾️本作は二人が事故に遭って宇宙の終焉(ビッグクランチ)を迎えて然るべき映画じゃないかな。すみません、人でなしで。【追記】皆さんのレビューを見て、そうですよねと納得。本作は、あくまでも救いのない悲しいお話です。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 9点(2024-03-17 19:24:32) 10.《ネタバレ》 どこか不穏な空気ではじまり、観てるこっちはそわそわ。うちには小5の息子がいるから、余計にソワソワ。何かが子供たちの中での起こってる。でも何が起こってるかわからない。学校の対応に、僕らはググッと安藤サクラ目線に立たされる。いじめがあるのか?とか、サイコパス的な変な事件とか起こってるのか?とか。親目線、学校目線、で物語は進み、そして迎える子供目線。ここで何が起こってるのかが明かされる。いや、もう、涙が止まんなかった。なんの涙かわからんけど。最後は色々、解釈がとれる終わり方だけど、僕は結構、心に響いた終わり方でした。スッキリでもなく、単なる悲劇でもなく、なんてゆーか、ちょっと切ない感じもするけど、希望もあるようなファンタジー?変わらない2人、でも世界の方が変わった感じにも思えました。怪物はどこにもいなくて、そしてみんなの中にちょっとずついて。だから変えていこ世界みたいな気持ちにはなれました。ちなみに嫁さんは、最後が現実よりになってないのが、納得いってないみたいでした。あと、学校の対応、ひどすぎとか。どっちにしろ、色々考えさせられるわー。 【なにわ君】さん [インターネット(邦画)] 10点(2024-03-08 20:25:34) 9.良い映画だと思うが、真相がわかる後半になってすっきりしない感じが残る。時間の関係もあるのかもしれないが、担任の態度についても理由がはっきりしなかった(見方が悪かったか?)。 【海牛大夫】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-07-11 14:57:13) 8.《ネタバレ》 日本の現実との乖離をちょっと感じた。皆いい家いい部屋に住んでます。高級住宅街の話かな。やや貧乏そうに見える人が多少いてもよさそうなもんだがそう言う方は見受けられず、おとぎの国の映画。二人の名前をつなげて書く。いかにも小学生らしい。小学5年生で秘密基地かー。小学5年生ってもうちょっと大人なんじゃないかなー。知らんけど。字も下手すぎる。あの秘密基地、蚊がすごそう。蚊取り線香必須のはず。 担任の先生、前半は謝罪を強制されるいかにも新人類っぽい先生なのだが、後半は生徒に寄り添おうと健気に頑張る熱血教師みたいになっていて、あまりの落差に違和感はある。 まとめ: 狂気は誰にでもある。 【ほとはら】さん [映画館(邦画)] 6点(2023-07-01 19:15:11) 7.かの偉人の言葉「人間ならば誰にでも現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は見たいと欲する現実しか見ていない」を思い出しますが…それにしても母親視点の校長をはじめとした学校側の対応はコメディだったの?と思ってしまうような違和感。 このしっくりしない感じもサスペンス・ミステリー仕立ての学園ドラマに引き込まれてしまい、いつの間にか雲散霧消。 あの変な感じがなければ…ちょっと残念。 【ProPace】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-06-29 20:34:03) 6.近藤龍人の撮影は素晴らしいです。安藤サクラと永山瑛太が豪雨の中窓の泥を拭いとる様子を電車の内側から見せるショットはまるで墨絵のように見える効果があり斬新な造形だと思いました。直接関係はないかもしれませんが黒澤明が七人の侍で雨に墨汁を混ぜたというエピソードを思い出しました。しかし結局のところその撮影もただ美しい画というだけで何かの象徴として効果的に使われているわけではありません。湖だけを映したショットが何度か挿入されますが、場面の区切りとして機能しているだけです。湖の近くの町と学校という舞台設定には美しくそしてノスタルジックでもあること以上の意味がありません。作品のテーマは善意としての行動が結果として他者を追い詰めることにもなり得ること、それが必ずしも個人だけの罪というわけではなく置かれた立場や組織の論理によるものではないかと気づかせることです。しかし星川父(中村獅童)のみ別の側面を見せずに単純な悪人として描いています。それはこういう人物だけは絶対に許せないという作り手の主張といえなくもないでしょうが、安易な悪役の記号を寄せ集めた安っぽいキャラのようにも見えてしまいます。ラストも劇中で提示された多くの要素を一つにまとめ上げるテーマやメッセージを投げ捨ててありがちなメロドラマ的エンディングでお茶を濁したようにしか見えず納得がいきません。それこそ黒澤明の羅生門は最後には人間不信を拭い去ろうとする一筋の希望を提示してみせました。この映画もまたそうするべきではなかったでしょうか。 【Сакурай Тосио】さん [映画館(邦画)] 5点(2023-06-23 22:37:17) 5.《ネタバレ》 約8ヶ月ぶり2度目観賞。是枝裕和監督による学園・家族ドラマ、サスペンス。アカハラ暴力教師のエータくん、モンスターペアレントのサクラちゃん、やる気のない田中裕子校長(ヤツと同姓同名)、2人の小学生。前半ドラマは中学生日記の小学生版やな。多様な人物の視点で描かれる群像劇的な後半。前半の種が明かされて面白くなるはずだが、なんだかとても冗長で入り込めなかった。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 6点(2023-06-18 02:27:38) 4.《ネタバレ》 この内容に『怪物』というタイトルを充てた凄み。 人は同じものを見聞きしても受け取る側によって見え方聞こえ方がまるで違う。 結論を言えば、登場人物に怪物はいない。敢えて言えば教師たちか、同級生たちか、父親か。だが作中で彼らの視点描写がないだけで、彼らには彼らなりの道理があるのだろう。 みんな自分の価値観や正義感や今まで生きてきた経験値によってものを見ている。だが自分の見ているものが全て正しいとは限らない。これは現在のネットにおける歪んだ正義感を可視化した作品ではないだろうか。 少年たちは最後にどこへ行ったのだろう。作中最も美しい場面なのに、直前の場面とはつながっていないのだ。美しくとてつもなく悲しい場面だった。 【denny-jo】さん [映画館(邦画)] 8点(2023-06-15 20:40:30) 3.良い映画ですね。 子供たちの演技が自然です。 次に「怪物」の正体について、意見を述べます。ネタバレが嫌な方は読まないように。 ――――――――――――― 音楽室で「怪物」を思いっきり楽器を使って吐き出す、校長と生徒。唸りを上げる「怪物」 後悔、不安、恐怖、周り(世間)に対する思い、偏見などの感情が「怪物」となって唸りを上げる(慟哭) この世で最も恐ろしいものが人間の思いの「怪物」であり、それが最悪として表現されているのが戦争。 この映画は日常に潜む「怪物」を上手く表現している。 【cogito】さん [映画館(邦画)] 8点(2023-06-11 12:50:28) 2. 面白かった!つか、圧倒された作品。 正直、一回めの閲覧では分からない事が多い。 言わばパズルのピースを全部取り出して広げただけ…のような。 けど数回観る事でパズルのピースの意味合いと、その組み合わせで全体像がつかめて来るだろう。 正直、そんな不思議な感覚の映画だなーと思う。 ただ、ぶっちゃけ…非常に良く創ってるけども雰囲気も含めて、一回観ただけじゃ伝わり切らんかったかな…俺には。 あ、でも悪い意味じゃなく…終ったあとは「あー、美しい映画だったな…」とか「子供の頃にこういう事があったな…」とか、そんな事を考えた美学があった。 恐ろしいのは、最初の母親のターンを見ている時に「ああ、この人は間違ってないだろうな…」と刷り込まれるが、話が進むとそれも錯覚だと気付かされる。 そして、観終わってから電車内や家で色々と考えてしまうだろう。 あの回収されてない伏線らを回想すると、若干…心がゾワゾワし出す…もう一回行って脳裏で組み合わせるしかない。 映画の視点は「親」「教師」「子供」の3視点で描かれる。 ただ、怖いのと共感したのは…三者間それぞれの着眼点と価値観が映像にされているところで、そこはあくまで自分視点であり、正義感や価値観が強引に引っ張られてしまう…いや、その恐ろしさよ。 言わば、戦争の価値観なんて…己の言いたい事、己の聞きたい事、己が正義と信じてるが故に言わない事。 もう、戦争をしてる国家間なんて、このような視点かも知れない。 これが恐ろしくて、更に最後のシーンの映像が素晴らしくて…ただ懐かしい回想と共に映画が締め括られてゆく。 ともあれ、己を貫くってのが一般的な価値観かもだけど、誰かの上に立ったり、団体の長になる人間には、自身の考え方の変化になるかも知れないので、是非とも観て欲しいなと思う次第。 あー、観てない人間にネタバレしないように書くと…この程度かな。 . 【映画の奴隷】さん [映画館(邦画)] 7点(2023-06-06 04:24:59) 1.《ネタバレ》 自分の理解を超えたモノは「怪物」。だから何とかしないといけない。 母親にとって事件と向き合わずにいる学校。教師にとってこんなものだと思っている子ども。男の子にとって妙に女の子とつるんでいる男子。 それぞれに現実の結末とそうでないものを見せる。 観客も怪物と思う側に引き寄せるための演出がちょっと過剰気味。 【ぶん☆】さん [映画館(邦画)] 6点(2023-06-04 16:41:43)
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