みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
9.《ネタバレ》 ポール・ハギスの「スリー・デイズ」にレニー・ハーリンの「5デイズ」と紛らわしくて仕方がない”デイズもの”の一本ですが、これがなかなかよくできています。ワンシチュエーションもののサスペンスとしては年に一本出会えるかどうかというレベル。設定に無理はあれど90分ならば勢いで乗り切れる。これは思わぬ拾いものでした。 【注意!ここから壮絶にネタバレします】 とにかく凄いのが脚本で、観客の先読みを巧みに利用する形で物語をぐいぐいと進めていきます。「実は核爆弾などなかったことがラストで明かされ、拷問の無意味さを説いて映画は終わる」、私はこんな結末を予想しながら観ていました。私以外の多くの観客も同じようなことを考えたのではないでしょうか。しかしそんな浅はかな先読みなど脚本家は百も承知であり、この”狂言説”はまんまと中盤のトリックに利用されます。「どうせ”狂言でした”がオチだろう」と思っている観客の目の前で53人の市民を爆殺してみせ、この犯人はホンモノであることを強く印象付けるのです。こうして予想を裏切られた観客はその後の展開がまったく見えなくなるのですが、観客が真っ白になったところで「ここからが本番だ」とばかりに二転三転の怒涛の展開を叩き込んでくる周到さには舌を巻きました。。。 この結末が読めない物語の中では、観客は己の倫理観をも問われることとなります。容疑者を痛めつけることは悪いことだということは明らかです。一方で、本気で人を殺そうとしている犯人を相手にした時には、綺麗ごとだけでは解決しないこともまた事実。では、どこまでの強硬手段ならば許されるのか?現実の戦いを知っているサミュエルは徹底的にやろうとしますが、トリニティらオーディエンス達はいつまで経っても腹を決められません。ショッピングモールを爆破された直後には殺意を持って犯人に襲いかかるものの、怒りが喉元を過ぎると再び生温いヒューマニズムが頭をもたげる。最終的には、米国人の良識によって核爆発が引き起こされるという皮肉な結末を迎えます。エグイ拷問をやっているサミュエルと犯人は、実は冷静な計算の中で動いており、良識派ぶってその拷問を眺めているオーディエンスの方が感情に流されているという構図こそが本作のミソ。「世論は本当に戦いを理解しているのか?」ということを鋭く問いかけてきます。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 8点(2012-05-04 02:10:24)(良:1票) 8.マイケル・サンデル先生のハーバード白熱教室ですね。個人的には立ち居地は既に決まっており特に考えさせられることもなく終始ヘレンにイライラ。ストーリー的な面白さは感じたがサスペンスとしての結末が与えられなかった点で、SFならともかくサスペンスでこういう終わり方は許せず減点。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-04-25 16:56:44) 7.《ネタバレ》 そう。こう言った問題提起。 プロ市民的な道徳。商業的な道徳。社会を無視した自己完結的な道徳。全てが怪しい。 この映画には、作品自体にトリックが掛かっている。 それは、登場人物以外には道徳もクソも無いのであって、どのような手段で得られた平穏であろうとその大切さに価値などと言う概念は無いと言うことだ。ここに出てくるヒューマニティは作り物だ。人間は、見殺しにした見ず知らずの人間に対しての罪の意識で壊れる生き物なのだ。目の前のテロリズムに対するヒューマニティでは救われない生物だ。 Hが自ら凶人を演じ切り贖罪を引き受けると言い、テロリストとの戦いを続けたにもかかわらずその場の雰囲気に流されてしまった。通常兵器の居住区への誤爆でさえどれだけの火力があるか、どれだけの死傷者がでるのか、どれだけの人が悲しむのか。爆発するまで思い出せない。それが人間だったりする。 だから、ラストショット。ブロディが子供を抱えて自己憐憫に酔う様を見たとき、吐き気に似た憎悪を覚えた。リアルで絶妙。現実であれば、この後彼女はこれまで人類が経験したことの無い罪の重さに耐えることは出来ない。これほどで有れば事後の罪の重さで決めるしか無いのだ。 難しくない。凶人の命と正常な社会に生きるそれ以外の全ての人類の命は等価では無い。視野狭窄なヒューマニティに対して映画という媒体で手をつけたという意味で非常に意義のある作品だと思う。こう言った問題にはプロ市民が積極的に介入しようとしているが、プロ市民が口出しできる分野では無い、と言うことは様々なテロ事件で彼ら自身が身にしみているはずだ。だが、ホモサピエンスである彼らにも実装されているはずの精神機能が作動しないのは何故なのだろう。見せかけのヒューマニティはより多くの人を殺し、それにすがった者の精神も壊すはずなのだが。 ちなみに、米国内では『ジュネーブ協定で』拷問は禁止されている。この作品、そういう意味も含まれている。いろいろなメッセージがいろいろなセリフで発せられている。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2012-04-21 17:06:54)(良:1票) 6.《ネタバレ》 疲れたー。 寝る前にこういったの観てはいけないですね。眠れなくなる。 テーマだ重すぎて私には語る事は出来ませんわ。 でも面白かった。 【Pea Shan】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-03-20 02:21:45) 5.《ネタバレ》 多人数の命を救うためなら無実の女、子供を拷問してもいいのか?と問うてくる。これは困った。映画の中では対立する2つの考え方を示している。結果的には拷問に失敗し大都市が破壊されることになるのだが、それでも「人間として間違ったことをしてまで助かることに意味は無い」「拷問をして得た情報は誤った使えない情報」という考え方を示している。考えさせられた。 【小鮒】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-03-12 07:00:20) 4.《ネタバレ》 ・最後の爆発を止められなかった ・犯人の自殺を食い止められなかった ・犯人の奥さんを殺してしまった(?) といったイライラ要素があり、ちょっと減点。 【チェブ大王】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-03-12 05:37:44) 3.《ネタバレ》 つい最近、「24」を全シーズン鑑賞したからでしょうか、拷問シーンにそれほどのインパクトを感じなかったし、家族を引き合いに出して爆弾の在処を聞き出そうとする展開もジャックバウアーがやってたから目新しさは感じなかったのですが、それでも終盤の言い争い、特に仲間割れの様相は釘付けにさせるぐらい面白かったですね。市民の命を守るためには、こういう拷問や殺害も正当化出来るのかという、答えのでない問題をテーマにしてる。犯人役の男性も凄く熱演していて、作品の質を高めていたように思います。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-02-13 22:37:03) 2.《ネタバレ》 拷問される側の苦痛を描くだけでなく、拷問する側がどんどん追いつめられて、 疲弊していき、時に投げやりになっちゃったりするのが描かれているところが面白い。 「犯罪者と言えど、拷問するのは、どうかと思いますよ・・・」 というところから、こちらの気持ちはスタートするんだけど、徐々に拷問する側に感情移入する気持ちにさせるような構成が巧みで、怖い。 終盤は、切に「もう、吐いちゃえ! 頼むから吐いてくれ!!こっちだって、好きでこんなことしてるんじゃないんだ!!」って思った。 「これから、どんなヒドイことするの!?」的な緊迫感、緊張感がずっと持続しているので、観終わった頃にはヘロヘロ。登場人物達は、アン・モスさん以外普通には見えないが、狂人はいない。皆、冷静に自分の立場や、色んな事を考えた上で、ある種「道徳的」に行動しているのに、こんな事になってしまうのが、逆に怖かったりする。 ハッキリとした答えを用意しないながらも、驚かされる終盤からラストまでは相当に秀逸。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-10-11 01:56:24) 1.《ネタバレ》 どだい三原橋は銀座なのか?半地下に降りるとそこは昭和が息づいている...。妙に食べ物の臭いが漂う館内には中学生の頃に心臓をバクバクさせながら入った日活系映画館の空気が漂っていた気がするのは私だけのunthinkable? さて、そんな事はどうでもよくて肝腎の本篇だが、なにが貴方にとってのunthinkableになるかは本篇への参加意識で異なるだろう。テロに対する恐怖?家族と痛みと信念(宗教)のせめぎ合い?常に2面性を引きずるアメリカの正義?暴力の応酬に対しての恐怖? どこかでこれと似たなにかを観たぞという既視感は、そう「大統領の隠謀」(lion and lumb)を思い出した。本篇の、観る者にその立ち位置を半強制的に意識させる事をもとめる脚本は、もし尺がこれ以上長かったら考える事を放棄したくなるインテンシティー。 そう、それがunthinkableなのかもしれない…。自らの命を差し出した者には、すでに恐怖も絶望も未来や生きる事への枯渇感がないのか?それともそのせめぎ合いに揺れる90分だが、正義とは何か?大儀とは何か?考えろ!その思考不可能を…と追い立てる映画だ。 【crushersyu】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-09-27 09:25:51)
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